ひたちBRTとは? わかりやすく解説

ひたちBRT

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/01 03:51 UTC 版)

ひたちBRT
専用道を走行するひたちBRTの大型ハイブリッドバス
(2023年1月 泉が森 - 大甕駅西口間)
基本情報
日本
所在地 茨城県日立市
種類 路線バス (BRT)
開業 2013年(平成25年)3月25日
運営者 茨城交通
詳細情報
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ひたちBRTは、 茨城県日立市茨城交通(旧・日立電鉄交通サービス)が運営しているバス路線である。廃線になった日立電鉄線の跡地を利用したバス・ラピッド・トランジット(BRT)で、2013年(平成25年)3月25日に第一期区間が開通した[1]大甕駅から常陸多賀駅までの第二期区間は2018年(平成30年)3月26日に暫定運行を開始[2]、2019年4月1日から本格運行を開始した[3]

概要

日立市が渋滞が激しい南北方向の交通改善を図るため、取得した日立電鉄線跡地をバス専用道として整備、新交通システムとしてBRTを導入したものである。計画は3期に分かれており、段階的に旧久慈浜駅から旧鮎川駅までの約8.5kmを専用道路として整備する。全体の完成後は一般道を経由して日立駅に乗り入れる予定である[4]

第III期(常陸多賀駅~日立駅間)のルートについては、2021年頃から中央線ルートを基本に検討が進み[5]、常陸多賀駅~池の川さくらアリーナ間を短中期整備区間、池の川さくらアリーナ~日立駅間を長期整備区間としている[6]。常陸多賀駅では、周辺地区整備計画に関連して新たに跨線橋を整備し、運行ルートとして活用する予定である[7]

専用道上の停留所には上屋が設置され、一部の停留所ではパークアンドバスライド用駐車場やサイクルアンドバスライド用駐輪場が整備されている。

2025年2月3日からは、「レベル4」の自動運転(中型バスとしては日本国内初)の営業運行を開始した[8]。(歴史節も参照)

歴史

  • 2005年(平成17年)4月1日:日立電鉄線廃線[9]
  • 2008年(平成20年)
    • 3月・7月:日立電鉄線跡地を日立市が取得[10]
    • 8月:日立市が跡地利活用を進めるため、学識経験者、交通事業者、公募による市民委員などで構成された検討委員会を設置。
  • 2009年(平成21年)3月:「日立電鉄線跡地活用整備基本構想」策定[11]
  • 2010年(平成22年):学識経験者、交通事業者、市民委員などで構成された検討委員会により「新交通導入計画」が取りまとめられる[12]
  • 2011年(平成23年)10月:第1期区間大甕駅-久慈浜駅間着工[13]
  • 2013年(平成25年)3月25日:ひたちBRT開通[14][1]
  • 2014年(平成26年)1月16日:ひたちBRTがEST交通環境大賞「優秀賞」を受賞[15][16]
  • 2014年度(平成26年度):ひたちBRTの取り組みが「JCOMMデザイン賞」を受賞[17][18]
  • 2015年度(平成27年度):日立市久慈浜地区が第11回まちづくり情報交流大賞「まち交大賞(国土交通大臣賞)」を受賞。ひたちBRTの整備を軸としたまちづくりが評価される[19][20]
  • 2016年(平成28年)2月1日:「日立商業高校」停留所新設(日立商業下 - どうのいり公園間)[21]
  • 2018年(平成30年)
  • 2019年(平成31年)
    • 4月1日:本格運行を開始[3]
    • 5月1日:日立電鉄交通サービスの茨城交通への合併により、運営が茨城交通(日立南営業所)となる。
  • 2020年(令和2年)
    • 11月30日:多賀駅前 - おさかなセンター間で、中型バスによる自動運転の実証運行を開始[25][26]
    • 12月14日:自動運転バスの運行中、大甕駅西口付近でガードレールとの接触事案が発生し、実証運行を中止[27]
    • 12月25日:国立研究開発法人産業技術総合研究所が12月14日に発生した事案の調査結果および対策について公表[28]
  • 2021年(令和3年)
    • 1月20日:関係事業者による技術検証として自動運転を再開することを発表[29]
    • 2月1日久慈サンピア日立の改修工事に伴い、2022年3月31日までサンピア日立停留所を休止[30]。あわせておさかなセンター停留所の発車時刻を変更[31]
  • 2022年(令和4年)5月1日:サンピア日立停留所を再開[32]
  • 2024年(令和6年)11月26日:国土交通省関東運輸局が、ひたちBRTに対し、運転者を必要としない自動運転車「レベル4」として認可。対象区間は全国最長の6.1 km(南部図書館 - 河原子間)で、中型バスへの認可は全国初[33][34]
  • 2025年(令和7年)2月3日:南部図書館停留所 - 河原子BRT停留所間において、国内初の中型バスでの「レベル4」自動運転の営業を開始(2月2日には出発式を開催)[35][36][37][38]

運行形態

ひたちBRT

多賀駅/常陸多賀駅
泉町
河原子中学校入口
東多賀町
河原子交流センター入口
旧・河原子駅
河原子[BRT]
磯坪
大沼[BRT] 旧・大沼駅
大沼小学校
寺方
水木[BRT] 旧・水木駅
泉が森
大みか駅西口(学園前)/大甕駅
臨海工場西
臨海工場入口
臨海工場前
大甕工場前
吹上橋
どうのいり公園
日立商業高校
日立商業下
南部図書館 旧・久慈浜駅
久慈浜
瀬上新橋
サンピア日立
おさかなセンター

主な停留所を記す。「=」は専用道区間を表す。

平日ダイヤ

終日、おさかなセンター - 大甕駅西口(学園前) - 多賀駅前間、大甕駅西口(学園前)- 多賀駅前間の2系統が概ね交互に運行される。

日中はおさかなセンター - 大甕駅西口(学園前) 間が40分間隔、大甕駅西口(学園前) - 多賀駅前間が20分間隔となる。

朝の通勤時間帯には多賀駅前発大甕工場前行および大甕駅西口(学園前)発おさかなセンター行の便、夕方~最終便にかけてはその逆方向の便が加わる。

土曜・日曜・祝日ダイヤ

終日、おさかなセンター - 大甕駅西口(学園前) - 多賀駅前 間で30分間隔の運行となり、大甕工場前 - 臨海工場西間は運行されない。

車両

大型ハイブリッドバスと中型ディーゼルバスがあり、ひたちBRT用車両は10台あり、「ブルーラピッド」(青色・1台)「さくらラピッド」(桜色・2台)「うみラビッド」(水色・1台)「ポポーラピッド」(黄色・1台)「ものづくりラピッド」(橙色・1台)「かみねラピッド」(緑色・1台)「風流物ラピッド」(茶色・1台)「きららラピッド」(黄緑色・1台)「シビックラピッド」(紫色・1台)の愛称がある[40][3]

脚注

出典

  1. ^ a b 導入計画策定を支援した『ひたちBRT』が開業”. 一般財団法人計量計画研究所. 2014年3月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年10月23日閲覧。
  2. ^ ひたちBRTが常陸多賀駅まで運行を開始します”. 日立市 (2018年3月5日). 2021年8月11日閲覧。
  3. ^ a b c ひたちBRTが本格運行を開始!”. 日立市 (2019年3月5日). 2019年6月2日閲覧。
  4. ^ (3)第III期整備計画新交通導入計画” (PDF). 日立市. p. 49. 2021年8月11日閲覧。
  5. ^ 『日立市議会だより』(2021年4月、第146号)”. 日立労組日立国分支部 日立市議員団. 2024年4月13日閲覧。
  6. ^ 『日立市地域公共交通計画』”. 日立市. p. 56 (2024年3月). 2024年4月13日閲覧。
  7. ^ 日立都市計画における道路の変更に係る地元説明会を開催しました|日立市公式ウェブサイト”. 日立市公式ウェブサイト. 2024年4月12日閲覧。
  8. ^ 水戸支局・近藤奈穂「自動運転バス始動/10分遅く ひたちBRT/効率化課題 営業運行/運転手同乗で」『日経MJ』2025年2月21日、9面。
  9. ^ 跡地の概要について”. 日立市. 2012年10月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年10月23日閲覧。
  10. ^ 電鉄線跡地の概要について”. 日立市. 2014年2月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月10日閲覧。
  11. ^ 跡地活用の基本構想について”. 日立市. 2014年2月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月10日閲覧。
  12. ^ 日立市|新交通導入計画を策定しました”. 日立市. 2023年10月10日閲覧。
  13. ^ 日立市都市建設部公共交通政策課「日立電鉄線跡地新交通導入事業」 - 国土交通省
  14. ^ ひたちBRT、3月25日運行開始…日立電鉄線跡地を走行”. レスポンス. 2013年10月23日閲覧。
  15. ^ 環境的に持続可能な交通(EST)ポータルサイト 第5回 EST交通環境大賞の結果について”. ESTポータルサイト. 2023年10月10日閲覧。
  16. ^ 日立市|新交通(ひたちBRT)がEST交通環境大賞「優秀賞」を受賞しました。”. 日立市. 2023年10月10日閲覧。
  17. ^ 日立市|新交通(ひたちBRT)の取り組みが「JCOMMデザイン賞」を受賞しました。”. 日立市. 2023年10月10日閲覧。
  18. ^ 平成26年度JCOMM四賞の各受賞者”. jcomm ページ!. 2023年10月10日閲覧。
  19. ^ 茨城県日立市「久慈浜地区」”. まちづくり情報交流システム. 2023年10月10日閲覧。
  20. ^ 第11回まち交大賞 受賞地区一覧”. まちづくり情報交流システム. 2023年10月10日閲覧。
  21. ^ ひたちBRT停留所「日立商業高校」新設のお知らせ - ウェイバックマシン(2016年2月16日アーカイブ分)
  22. ^ 「ひたちBRT」第2期区間 暫定ルート26日開通 - ウェイバックマシン(2018年3月25日アーカイブ分)
  23. ^ 日立市が自動運転バス実証、バス専用道では全国初」『日本経済新聞』2018年10月22日。2019年6月2日閲覧。
  24. ^ ラストマイル自動走行の実証評価(日立市)を開始-廃線敷利用のバス専用道路及び一般道での自動運転バスの社会受容性検証-”. 産業技術総合研究所 (2018年8月27日). 2018年12月5日閲覧。
  25. ^ ひたちBRT ラストマイル 自動走行実証評価”. 2021年2月9日閲覧。
  26. ^ 中型自動運転バスによる実証実験の開始”. 産業技術総合研究所 (2020年7月10日). 2021年2月9日閲覧。
  27. ^ 中型自動運転バスによる実証実験におけるガードレールとの接触事案について”. 産業技術総合研究所 (2020年12月15日). 2021年2月9日閲覧。
  28. ^ 中型自動運転バスによる実証実験(日立市)におけるガードレールとの接触事案の原因調査結果と対策について”. 産業技術総合研究所 (2020年12月25日). 2021年2月9日閲覧。
  29. ^ ひたちBRT自動運転 安全確認のお知らせ”. 茨城交通 (2021年1月20日). 2021年2月9日閲覧。
  30. ^ ひたちBRT「サンピア日立」バス停休止します”. 茨城交通 (2021年1月28日). 2021年2月9日閲覧。
  31. ^ 2月1日よりひたちBRTおさかなセンターバス停発車時刻変更になります”. 茨城交通 (2021年1月28日). 2021年2月9日閲覧。
  32. ^ [路線バス] ひたちBRT「サンピア日立」バス停のご利用を再開します”. 茨城交通 (2022年4月26日). 2023年5月4日閲覧。
  33. ^ 【茨城新聞】ひたちBRT レベル4認可 自動運転、全国最長 年度内運行へ 茨城・日立”. 茨城新聞クロスアイ (2024年11月27日). 2024年11月28日閲覧。
  34. ^ 茨城県初!自動運転車(レベル4)の認可を行いました ~運転者を必要としない自動運転車(レベル4)~”. 国土交通省関東運輸局 (2024年11月26日). 2024年11月28日閲覧。
  35. ^ 国内初!レベル4自動運転の中型バス「ひたちBRT自動運転バス」の運行サービスが開始されました”. 経済産業省製造産業局自動車課 (2025年2月3日). 2025年2月3日閲覧。
  36. ^ 【茨城新聞】ひたちBRT レベル4出発 6.1キロ、自動運転 関係者ら式典 3日から営業運行 茨城・日立”. 茨城新聞クロスアイ (2025年2月3日). 2025年2月3日閲覧。
  37. ^ 茨城「ひたちBRT」国内初の中型バス自動運転「レベル4」…日立電鉄線跡地6・1km運行”. 読売新聞オンライン (2025年2月3日). 2025年2月3日閲覧。
  38. ^ ひたちBRTで自動運転バスの営業運行がスタートします!|日立市公式ウェブサイト”. 日立市公式ウェブサイト. 2025年2月3日閲覧。
  39. ^ 日立市バス路線マップ”. 日立市. 日立市公共交通会議 (2024年1月24日). 2024年4月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年7月20日閲覧。
  40. ^ 新交通車両のデザイン及び愛称の決定について”. 日立市 (2013年1月31日). 2019年6月2日閲覧。

関連項目

外部リンク


ひたちBRT

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茨城交通日立南営業所」の記事における「ひたちBRT」の解説

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