袋田の滝とは? わかりやすく解説

ふくろだ‐の‐たき【袋田の滝】

読み方:ふくろだのたき

茨城県久慈郡大子(だいご)町にある滝。久慈川支流の滝川上流に位置する岸壁4段落下することから四度(よど)の滝ともいわれる。高さ120メートル、幅73メートル冬期は滝が凍りアイスクライミングが行われる。

袋田の滝の画像

袋田の滝

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/29 06:42 UTC 版)

袋田の滝

第1観瀑台より見た袋田の滝(2017年5月)
所在地 茨城県久慈郡大子町袋田
位置 北緯36度45分51.1秒 東経140度24分26.5秒 / 北緯36.764194度 東経140.407361度 / 36.764194; 140.407361座標: 北緯36度45分51.1秒 東経140度24分26.5秒 / 北緯36.764194度 東経140.407361度 / 36.764194; 140.407361
落差 120 m
滝幅 73 m
水系 久慈川水系滝川
プロジェクト 地形
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袋田の滝(ふくろだのたき)は、茨城県久慈郡大子町袋田にある久慈川支流の滝川上流に位置し、滝は4段で[1]長さは合計120メートル、幅73メートル[2][3]。冬は、滝が凍結する「氷瀑」現象が発生することがあり[4]、氷壁を登る人もいる[1]。全面凍結はかつては毎年のように見られたが、近年は2012年が最後で、氷瀑の脇を水が流れる[1]

日本の名勝に指定されている。華厳滝那智滝とともに日本三大名瀑の一つに挙げられる場合もあり、日本の滝百選にも選定されている[5]1990年平成2年)に行われた日本の滝百選の人気投票では1位を取った。奥久慈県立自然公園に指定されているが、華厳滝が日光国立公園、那智滝が吉野熊野国立公園に指定されているのに対して、袋田滝は国立公園にも国定公園にも指定されていない。

江戸時代水戸藩の領地内であり、水戸黄門として知られる徳川光圀が訪れたことがあるとされる。

成り立ち

大子町を含む久慈川沿いの地域は、西の八溝山地と東の阿武隈山地久慈山地)の間にある比較的低い地域であるが、地質学的には新生代中新世の中頃(およそ1500万年前頃)に堆積した地層でできている。地層が堆積した環境は、下位では川や沼などの淡水であるが、上位では海に棲む化石が発見されるので、海であったことが分かる。つまり、今から1500万年前には太平洋の方から、海がこのあたりまで侵入していたのである。

地層は主に砂岩礫岩泥岩からできているが、火山灰などの火山噴出物からできた地層も少なからず見られる。そして、その代表格が奥久慈の名峰として名高い奥久慈男体山をつくる「男体山火山角礫岩層」である。これは海底で火山が噴火して、冷却する際に、大きな礫状に破壊されたあと全体が固まったもので、非常に固く浸食に強い地層である。奥久慈男体山を中心に南北に30km近くにわたって連なる急峻な尾根は、削り残されたこの地層によってできており、袋田の滝近くの月居山(つきおれさん)や生瀬富士もそれに含まれる。

袋田の滝は、久慈川の支流滝川の水が、何百万年もの浸食にも耐えてきた、かつての海底火山の噴出物が作る断崖から落ちることによって作られた。地形としては日光男体山の溶岩によって川がせき止められてできた日光華厳滝に似ているが、この溶岩は約2万年前のもので、地質学的には袋田の滝の場合よりもはるかに新しい。

阿武隈山地南部・奥久慈男体山周辺の稜線。標高は400-600m程であるが急峻な地形が広がっている。
袋田の滝北西にそびえる生瀬富士(月居山より望む)
生瀬富士中腹の火山角礫岩。
滝周辺ではこのような火山性の岩石が多く見られる。

別名

この滝の別名である、四度の滝(よどのたき[6])は、滝川が4段に岩肌を落ちることから名づけられたとされる説と、昔、この地を訪れた西行が「この滝は四季に一度ずつ来てみなければ真の風趣は味わえない」と、この滝を絶賛したと伝えられていることから名づけられたとされる説がある。

観瀑台

正面から滝の全景を観賞するためには、「袋田の滝トンネル」(長さ276メートル、高さ3メートル、幅員4メートル)を通って第1・第2観瀑台へ行く必要がある。入場料は、大人300円、中学生以下150円(ただし茨城県民の日〈11月13日〉は無料)。無休であるが、営業時間は、5月〜10月が8時〜18時、11〜4月が8時30分〜17時。この他、ライトアップ期間には夜間営業あり。袋田の滝トンネルの入り口には、今瀬剛一の句碑がある。

  • 従来の観瀑台(第1観瀑台)へは、袋田の滝トンネルを通り、徒歩約5分。滝の上から3段目の目の前にある(最上段は見えない)。新観瀑台(第2観瀑台)完成後も引き続き利用可能である。
  • 新観瀑台(第2観瀑台)が、2008年(平成20年)9月13日13時にオープンした。袋田の滝トンネルの途中に新設した2機のエレベーターで、上部に上がる(階段等は設けられておらず、エレベーターのみとなる)。3つのデッキからなり、従来の第1観瀑台よりも、第1デッキは約44メートル、第2デッキは約48メートル、第3デッキは約51メートル上にあるため、最上段を含めた滝の全景を観賞することができる。建設費約5億2000万円は、補助金なしに全て利用料収入から賄った。

なお有料の観瀑台を利用しない場合も、滝側面、及び滝側面を登り月居山へと続くハイキングコースから滝の一部を見ることができる。ハイキングコースからは滝の縁を上流側から眺めることができる。

袋田の滝トンネル
第1観瀑台
第2観瀑台(第2デッキ)

交通アクセス

滝本(袋田の滝)と袋田駅を結ぶ茨城交通の路線バス(2023年8月)。

2010年(平成22年)まではゴールデンウィーク紅葉が見頃の時期に、高萩駅花貫渓谷竜神大吊橋からの臨時バス(観光周遊バス・定員制)が運行されていたが、2011年(平成23年)からは事前予約制となっている[7]

ギャラリー

周辺情報

ロケが行われた作品

脚注

  1. ^ a b c d 【いいね!探訪記】袋田の滝(茨城県大子町)ガラリ異世界 挑んでヒヤリ朝日新聞』夕刊2023年1月21日3面(同日閲覧)
  2. ^ 「袋田の滝」の紅葉が見ごろ 茨城 大子町”. NHK (2018年11月15日). 2018年11月15日閲覧。
  3. ^ 袋田の滝 一般社団法人茨城県観光物産協会(2019年8月31日閲覧)
  4. ^ 「袋田の滝 氷の白壁」東京新聞』朝刊2019年1月10日1面(2019年1月15日閲覧)
  5. ^ 『日本の滝紀行 上巻 ( 東日本編 )』舞字社、1997年7月22日、42頁。ISBN 4-7952-7191-7 
  6. ^ 【国名勝】袋田の滝・生瀬滝”. 大子町. 2023年12月24日閲覧。
  7. ^ 平成23年度 秋のキャンペーン 「いばらき紅葉街道を行く」について』(プレスリリース)東日本旅客鉄道水戸支社、2011年9月21日http://www.jrmito.com/press/110921/20110921_press.pdf2011年9月21日閲覧 

関連項目

外部リンク


袋田の滝(大子町)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 14:23 UTC 版)

茨城ごじゃっぺカルテット」の記事における「袋田の滝(大子町)」の解説

北部にあるため先生車で移動道の駅奥久慈だいご登場

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