オティヌス勢力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 08:01 UTC 版)
「とある魔術の禁書目録の登場人物」の記事における「オティヌス勢力」の解説
オティヌス 声 - 瀬戸麻沙美 本作のヒロインの1人。魔術結社「グレムリン」のトップ。北欧神話の主神であり、戦争・魔術・芸術・詐術の神「オティヌス(オーディン)」の名を冠する。オッレルスからその座を奪った、正真正銘の「魔神」で、その正体は作品世界におけるオティヌスとオーディンの伝承の基となった張本人。 毛皮のコートの下に黒装束、尖った鍔広の帽子という、魔女の如き風貌をした隻眼の少女。「知識」を得るために片目をえぐりだしさらに首をくくったという。えぐりだした「目」は、デンマークの、後世にイーエスコウ城が湖上に建てられる湖の中に沈められており、これが彼女の魔神化にとって重要なファクターとなっている。また、外見こそ13〜14歳程度の少女だが、不老不死のレディリー=タングルロードと同様に実際の年齢はそれ以上とされる。 最も「魔神」に近い人物であるオッレルスをして「絶対に勝てない」と言わせるほどの力を持ちながら、「魔神」が持つ「無限の可能性」により50%の確率で失敗するというリスクを抱えており、このジレンマから解放される手段を求めて活動しているらしい。成功の100%を手にするため「主神の槍(グングニル)」の完成を目指している。 性格は第三次世界大戦を起こした時のフィアンマに似ていて冷酷無慈悲だが、面倒見は案外よく、インデックスやレイヴィニアと同様で説明好き。だが、その分析はインデックスとは違い、攻撃的で相手の尊厳を削り落とす害意に満ちている。 グレムリンの仲間や部下達、数々の暗躍や作戦も使い捨ての囮、時間稼ぎとして利用しながら、「船の墓場」での「槍」製造中にオッレルスとフィアンマの襲撃を受け、「妖精化」で「魔神」として完膚なきまでに敗北を喫する。しかし、実は50:50というどちらに転ぶか定かではない状態のため動きが取れなかったにすぎず、成功か失敗のどちらか100%を手に入れることが真の目的で、何者かに敗北すること自体が第2希望だった。よって敗北により失敗の100%を獲得したことで「魔神」として完成し、さらに自らの肉体から成功を象徴する「槍」を生み出したことで「魔神」すら凌駕する存在となる。 実は作中の世界にたどり着く前に世界の改変を何度も行っていたという過去を持ち、その結果自分が元居た世界の姿を見失ってしまっていた。仕方なく元の世界に酷似した世界を作り上げ「魔神」の力を捨てて暮らしていたが、次第にその世界に妥協できなくなり、もともとの「第一希望」の世界に帰りたいと願うようになる。「グレムリン」を組織したのも、完全なる「魔神」の力と「基準点」である「幻想殺し」の力を使って元の世界に帰るという真の目的のためだった。 「槍」を手に入れた後は位相を作り出し、「幻想殺し」を扱いやすくするべく上条の心を挫くために数え切れないほど世界で押しつぶし続け、「上条への最後の料理」としてわざと見逃しておいたミサカ総体によって上条が精神的に回復してからも数百万回世界の繰り返しを行った。だが、圧倒的な格下を幾度となく相手取ったことが仇となり、10,031回目の直接対決で遂に自分の方が先に精神的な限界を迎えてしまったため、「幻想殺し」を手中に収めることを諦め、「次の世界」で妥協しようと考え上条の殺害を決意する。自分専用の戦闘パターンを積み上げた上条に成功100%の方向性である「槍」を砕かれはしたものの、残った失敗100%の力で勝利したが、瀕死の彼から「幻想殺し」でオティヌス自身の「第一希望」の世界を取り戻すように頼まれる。上条という「元の世界」にいた時ですらいまだかつて現れたことの無かった理解者の喪失がきっかけで、彼の世界を戻してその世界で支えとなるものを見つけたいと願い、「妖精化」の弊害に体を蝕まれながらも自分の死を覚悟して「上条当麻の世界」に戻した。魔神のみに作用する「妖精化」を無効化するためには人間へと戻る必要があったため、自分の側につくことを決意した上条と共にデンマークへ向かう。数々の敵の攻撃を退けながら「目」が沈む湖までたどり着いたが、自分自身を許すことができず、自らの死によって世界中を敵に回した上条を救おうとして、限界を迎えつつある肉体で彼に対して魔術を行使する。 最後の戦いで「幻想殺し」で「妖精化」を破壊されたため、肉体は9割9分が死滅してしまったものの、僧正の介入により完全には死を迎えることはなく、「魔神」に最も近しい存在でありながら一切魔術の使えない身長15cmの小人として復活する。当初の予定ではアメリカに引き渡されて収監される予定であったが、小人の脱獄を防ぐことの可能な施設がないことや寿命の概念があるかさえ不明なことから、「幸せな世界を眺め続ける」という罰を与えられた。現在は上条の家で生活しているが、同居人インデックスの飼い猫であるスフィンクスに何度も襲われており、名前を聞くだけで涙ぐむほどの天敵となっている。なお、ジャガイモ料理、特にフライドポテトが好物で、お国柄かニシンも好き。 ローラとアレイスターの協議で身柄の保証が為されていたが、双方共に社会的地位を失ったことで立場が不安定なものとなっている。上条からは「理解者」として、インデックスと同じ魔術のスペシャリストとして厚い信頼を寄せられているが、女性関係の広さに嫉妬して不平をこぼすことも多い。移動の時は、上条の右肩を定位置としている。なお、上条との最後の戦いはアメリカの手回しにより全世界に衛星中継されており、小人化した姿も世界中に流されたのだが、学園都市は例外であったらしく、目撃した上条のクラスメートからは精巧なフィギュアだと思われていて、美少女フィギュアを持ち歩いているという誤解を振り撒いている。 死体の要所に黄金を打ち込むことで「死者の軍勢(エインヘルヤル)」として操ることができ、生命の活動の根幹にある生命力の代わりに、外部から魔力を注ぎ込むことで精密に動き回り、心臓は動き、脳が思考を継続しているが、生物として当たり前の呼吸、反射、反応は行わない。そして、「槍」の完成によりその術式を「生み出す」極致の象徴として強化、「位相」をそれまでの世界に挟み込むことで全く異なる見え方の世界を作り出し、世界中の人間の生き死にさえ自由に操ることができるようになる。さらに、体内で製造した「主神の槍」は、英傑シグルズの父が持つ「伝説の剣」バルムンクを叩き折ったことに起因して、「人間の権威の象徴を打ち砕く」という「神様の優位性」を示す他の神々の武具とは一線を画する特徴を有し、この「槍」を投擲すると、その瞬間に新たな「位相」を埋め込まれた世界は粉々に砕け、その破片は巨大な槍の形になって位相の壁を噛み砕きながら突き進み、人間の抗う意志を破壊する。また、「オティヌス」としては1発で惑星の1つ2つを削り取るほどの威力を持つ10本の「矢」を扇のように展開して放つ「弩(いしゆみ)」の術式と、自分を含む対象者を除く世界のすべてを移動させ相対的に瞬間移動を行う術式「骨船(こつせん)」を使用できる。移動後は天体全体を元の位置に戻すので時計などに誤差は生じないが、300〜400kmの誤差が当たり前なうえ、移動中に海に落ちたり山脈に衝突する危険性がある。以上の術式は神としての力を失った後は使えなくなったが、神の知識自体が失われた訳ではないので、アンナが学園都市に現れた際には、カラスの羽根を使った傍受霊装をばら撒き、R&Cオカルティクスで使われる中途半端な術式に介入した「監視と伝達(フギン・ムニン)」で周囲の状況を見聞きしていた。また、2羽のカラスの使い魔で世界中の情報を蒐集し、鷹に化けて下界を視察することから鳥と相性が良く、神の力を失ってからも鷹を捕まえて乗りこなす程度のことはできる。 投擲の槌(ミョルニル) 魔術結社「グレムリン」の正規メンバー。北欧神話の雷神トールが持つ雷槌「ミョルニル」の名を冠する。 黒い大理石で出来た直径55cm、高さ1m程度の円筒形の物体という異様極まりない姿をしているが、れっきとした人間であり魔術師。自分の術式を最適化させるためマリアンに改造され現在の姿になったとされる。本名、性別など素性に関するものは一切不明だが、オティヌスによれば少女とのこと。本当の声であるか定かではないが、高いソプラノの声で言葉を発する。人体改造による最適化は当たり前の毎日の延長線でしかなく、マリアンに肉体を預けたのは信頼の証であった。 ミョルニルの特性にちなんだ半径400mを射程とする電撃と、体表を箱のように開き内部で召喚した弩や火縄銃などの飛び道具による攻撃を得意とする。最大の武器は自らの名前でもある術式「ミョルニル」で、莫大な電力を纏い空中を高速旋回することによりソレノイドコイル状の磁場を発生させ、円の内部に帯電した空気を通す事で超巨大な雷撃を発生させる。また、トールが万能神であった頃の名残で様々な用途で利用できる「魔術の杖」の力も有し、魔術におけるあらゆる問題を一つだけ解消できる霊装としての希少な能力を持つ。 自らも形状を変え空中飛行することが可能。これは空中を飛ぶ魔術師に対して絶対の効果を持つ魔術「撃墜術式」の格好の的であるが、その異様な外見により人間であることを見破られることは稀。 上条当麻の生存確認のため打ち上げられたラジオゾンデ要塞に逗留し、宇宙空間から落下するという荒業で要塞への侵入を果たした神裂火織を襲撃する。「ミョルニル」で要塞の3分の1を吹き飛ばし神裂を追い詰めるも、正体を見抜かれ「撃墜術式」を唱えられたことで撃墜され、逃走する。 以降はマリアンと共に行動する事が多く、「一端覧祭」では彼女の護衛、「船の墓場」では「主神の槍」製造の補佐を行った。デンマークではマリアンと上条の戦いを見届けて、意識を失った彼女を連れて去っていった。 マリアン=スリンゲナイヤー 声 - 五十嵐裕美 魔術結社「グレムリン」の正規メンバー。現存する数少ない「黒小人(ドヴェルグ)」。銀髪の三つ編みに褐色肌の少女。黒小人再興の夢を仲間から託されて「グレムリン」に参加した。 黒小人に伝わる技術により、黄金の工具を用いて「神々の武具」を作り上げるだけでなく、人間を家具に作り変えることも可能。完全な道具の場合は鉱物から、演算機能を持たせる場合は生命体から作る、という大雑把なルールを設定している。ただし、死体の加工は専門外で、改造された人間は生きたままなので、生理的な弱点を突かれて無力化され得るという弱点を持つ。 切り札として全人類を殺害するために作られた霊装「戦乱の剣(ダインスレーヴ)」も所持している。最終戦争ラグナロクの合図の一つとなる戦争を引き起こす、人が操る武器の中では最大クラスの災厄を生み出す伝説の魔剣がモデルなだけあって強大な力を宿しており、天国への道を閉ざす形で様々な宗教において封印された存在を解き放ち「終末」を再現することができる。使用時にはあらかじめ境界を引いて一種の結界を準備する必要があり、この工程を怠ると「御使落し」のような怪現象が起きる恐れがある。完全に抜刀してしまえばとんでもない災害をもたらすことから、鞘から刀身を露出させるだけでも、狙った相手が恐怖の余り自分で心臓を止めて死ぬほどのとんでもない威力を誇る。また、この剣を封じる鞘の力で直径3mほどの「透明な球体」の内部へ地球の重力を封印し、乱反射させ続けることも可能で、その際に人間ごと封印したり、封印した空気中の埃や塵を一点から解き放つことで灰色状の切断ブレードも生み出せる。灰色の大剣による攻撃は物理法則に従うものであるため「幻想殺し」で打ち消すことができないが、同時に自身の意思で操作することもできず、「射出口」の形が変わると暴発する危険性が高いという弱点があり、塵の補充は自動で行われるので異物を投げ込まれるだけで簡単に封じられてしまう。なお、人間の王が使う武器なので、特殊な接続術式を施す必要性がないのが利点。バゲージシティでオティヌスが破壊したが、放棄された「主神の槍」の材料から作られた、人間が扱える範囲のあらゆる武器を作り上げる「万象の金(ドラウプニル)」によって再生されるも、「幻想殺し」によってふたたび破壊された。 黒小人が使う工具の進歩を目指していた頃に加群に接触して友人となる。グレムリン結成後は相討ちによる復讐を止めさせようと組織に引き入れ彼が必要とされる場所を提供したが、止められないと悟るや相打ちになっても生き残れるように支援することを決意。敵と味方の境界が極端で、敵には残虐な改造を施し惨殺する一方、仲間がたとえ一人でも死ねば大きく取り乱す。 ある実験の為にウートガルザロキやシギンと共に「ナチュラルセレクター」を警護し、学園都市地上部隊との交戦にとどまらず、理論や運命の抜け道すら塞ぐ霊装「ロキの投網」によって航空部隊の迎撃も行っていたが、加郡の死を目撃したことで実験やオティヌスの制止を無視して激昂、「戦乱の剣」で無差別殺人を行おうとするも上条に敗北する。その後、フロイライン=クライトゥーネを確保するため「投擲の槌」やトールと共に学園都市に侵入するが、上条たちの策で自分の居所が割れたと焦り、暴走し始めたためトールによって昏倒させられ戦線を離脱した。 その後は、「船の墓場」で「槍」の調整を行うが、オッレルスによる妨害を受け負傷する。グレムリンを見捨てたオティヌスを始末するため単身で上条たちを襲うが敗北、「投擲の槌」に連れられてその場を去った。 ウートガルザロキ 魔術結社「グレムリン」の正規メンバー。北欧神話の巨人「ウートガルザロキ」の名を冠する。金髪の男性。 雷神トールさえ完全に騙し切った幻覚のスペシャリストであったウートガルザロキにちなんで、炎の写真を見せて炎の痛みを与えるといった、「五感の一つで得た情報を別の五感に移し替える」という幻覚系の魔術を使う。使い方次第で相当な破壊力を秘めているが、長時間精密な幻覚を見せるためには、相当多くの「素材」を集めて正確に提示する必要がある。 本来直接戦闘には参加しない魔術師で、「戦闘を含むバゲージシティという環境を繊細に調整する事」を目的に派遣され、ウェイスランドの護衛をしていたが、乱数の襲撃を受け重傷を負わされるも、幻覚を掛けて動きを封じた。しかし、似たような幻覚使いである乱数に幻覚を掛け返されてしまい、無限ループに陥って行動不能となる。 シギン 魔術結社「グレムリン」の正規メンバー。北欧神話の悪神ロキの妻「シギン」の名を冠する。 論理の穴埋めを得意とするディベートの達人で、100%確実な「助言」を行うことができる。また、敵側に間違ったアドバイスを与えて自滅させる攻撃方法も使い分ける。その能力を自分のために使うことができれば「魔神」に手が届く可能性すらあるとされるが、そもそも魔術師であるかどうかは不明で、「論理の穴埋め」能力が魔術にも通用するものであったため、魔術サイドの業界に入る事になった。自分はアドバイスするだけで、「助言」によって仲間が成功した時だけ自分の手柄にしようとするため、仲間意識はきわめて希薄で、裏切りにも抵抗感がない。 バゲージシティに派遣されていたが、序盤のうちにすでに近江率いる甲賀の部隊に捕らえられていた。 木原 加群(きはら かぐん) / ベルシ 木原一族の一人。魔術結社「グレムリン」の正規メンバー。北欧神話の英傑「ベルシ」の名を冠する。 短い黒髪の男性。初登場時は白いロングコートと同色のフルフェイスヘルメットで完全に容姿を隠しており、地の文などでは正体が判明するまで「ヘルメットの男」と表記されている。木原一族らしからぬ人格の寡黙で優しい人物だが、手段の正当性を選ばない所や暗部に似た科学実験の考案など、やはり彼も「木原」らしい特徴を持つ。しかし目的のために自身の死を厭わず、各所に様々な気配りをした計画を立てるなど、上条とは違う方向における完璧で潔い主人公とも描写されている。[要出典] かつては学園都市暗部に属する臨死体験を専門に扱う研究者で、人の命の普遍的価値を追求する目的で生命を科学的に究明しようとしていた。その結果、人間を安全に殺害し安全に蘇生させる方法を確立し、単純に「人間の心臓を止めた回数」では一族内でも1、2を争う(ただし全員蘇生なので実質0人)という記録を作ったものの、このまま研究を続ければ人の命の軽さを結論付けてしまい本来の目的に反すると気付いて研究職を辞す。その後は一般の小学校教師となり、不登校生徒と接し学校生活へ復帰させる「落第防止(スチューデントキーパー)」の役職を担い生徒達の憧れとなる。その間は夜回りをして生徒の安全を守っていただけでなく、近隣住民にも子供達に危険が及んでいないか確認するよう頼んでいた。教師時代は童話の「幸福な王子」に例えられる人物で、他人の危機には鋭敏だが、自分の人生を充足させる事にも自分の危機にも興味がなく、理由がないから見捨てないという考えの元で行動していた。だが3年前のある日、その生徒の一人である雲川鞠亜の登校途中に襲撃してきた通り魔の少年を返り討ちにして殺害してしまい、正当防衛と認められるも生徒達のために教職を辞する。さらに通り魔の少年が実際は病理によって通り魔に仕立て上げられた被害者だったと知り、彼の復讐として病理と自分自身を殺害するために学園都市を去った。 マリアンと出会い魔術の存在を知ると、復讐を完遂する手段として独学で魔術師となり、「最終的に共倒れになる削り合い」という目標を達成するための術式の構築を開始、自身の異名の英傑ベルシの持つ決闘剣「ヴィーティング」の伝承にちなんだ、一撃で致命傷になる攻撃だけを全部無効化する極端な防御術式と、負傷の度合いに応じて攻撃力を増す効果を有する青白い光の剣を生む術式を磨くようになる。「一度パワーアップしたら以降は敵を倒すか標的を切り替えるまでその攻撃力のまま」であるため、猛攻を受けると天井知らずの術式を無制限で使えるが、補正がないと活躍しづらいので、奇襲や一方的な攻撃は苦手であり、幻覚使いは天敵といえる。「グレムリン」に所属してからは科学者として貢献し、魔術と科学の融合技術創造や作戦立案を担当していた。 バゲージシティではファイブオーバーなどの学園都市側の軍勢を撃破し、円周を一時退ける。その後、病理を襲撃して消耗戦に持ち込み、自身の目的通り相討ちを果たし死亡した。死体は、オティヌスの「死者の軍勢」の一つとなったものの、バックドアとして事前に首に埋め込んだ半導体によって自分らしくない行動を命じられたときにはそれに抗うことができるようになっている。それにより、総攻撃の際にはフレイヤと共に東京襲撃を命じられたものの、人命救助を行っている。そして、上条達に敗北したフレイヤとその母体を病院へ搬送し、オティヌスが力を失いグレムリンが撤退したのと同時に機能停止した。 生前、「新入生」を仮想敵とし彼らに対抗するための拠点を学園都市内に準備しており、これが上条やトールのフロイライン=クロイトゥーネ救出に役立つこととなる。 トール 声 - 斉藤壮馬 魔術結社「グレムリン」の正規メンバー。北欧神話の雷神「トール」の名を冠する。金髪を長く伸ばした細身で色白の少年。 直接戦闘手段を突き詰めた結果、「戦争代理人」と呼ばれるほどの実力をつけた戦闘のプロ。とあるの物語で初めて登場した戦闘狂でもあり、[要出典]経験値の獲得を目的としている。「聖人」や「魔神」、フィアンマのような特別な力を持つ魔術師ではないが、魔術などの異能の力を使わない格闘術も強く、学園都市のファーストフード店で上条と大喧嘩した際は殺人のさらに先にあるとされる暴力を振るい、不良の喧嘩程度しか知らない客達(学園都市の各校の生徒ら)にその暴力を見せて恐怖心で動けなくなるほど戦慄させた。トール自身も異常に打たれ強いため、上条の拳を喰らってもしつこく粘り続け、敗北しても最後まで倒れなかった。 指先から灼熱のアーク溶断ブレードを噴出する攻撃手段を備えており、これはさらに「投擲の槌」を接続して永続的に力の供給を受けることで、雷光を最大で2kmまで伸長させることもでき(通常使用時は20m)、常に力の供給を受け続けているため幻想殺しでも消しきれない。これらは足からも噴出でき、ブースターとして使用することも可能。また、「帯」の霊装により、橋梁を投げ上げるほどの怪力を振るったり、トールの伝承に則った霊装による女性限定の変装術式も備えている。この魔術で美琴やマリアンに変装した。だが、これらの強大な力はあくまで「雷神」としての特性であり、トールの力の本質ではない。 その本質とは単なる雷神ではなく、農民や製造業を守り、あらゆる気象、季節、天候、災害を司っていたころの、全能の神としての力。「全能神」としての術式は「自分が必ず勝てる位置に相手を地球ごと移動させる」というもので、手足を振るうだけで必ずクリーンヒットになる位置と距離を自動で調整し、相手が地球の反対側に居ようと即座に懐に潜り込める。学園都市の超能力で言うところの「空間移動」に類する魔術で、原理としてはオティヌスの「骨船」に似ており、査楽の「死角移動(仮称)」とほぼ同じ効果をもたらすが、規模は結標の「座標移動」さえはるかに凌ぐ。また、「絶対に敗北を回避する」ことと同義であるため、相手の攻撃は一切届かず、一方通行でも殺せないとされる。「魔神」の一撃のように世界全体を一瞬で粉砕するような攻撃には太刀打ちできないが、裏を返せば一撃で全能のトールを倒せるのは「魔神」のみということになる。しかし、確実に勝てるという性質上、戦闘による経験値はほとんど蓄積せず、使用すればするほど自転や公転の誤差が修正しきれなくなるという重大な欠点がある。また、相手との戦闘に直接かかわりのないものは対象外。これらの欠点を加味してもその力は強大で、オティヌスが「魔神」とならなければ「グレムリン」のトップについていたはずだったほどであり、グレムリン内では「旧全能」と呼ばれている。 上条が身を置いていた環境、またはそうした環境に身を投じる選択の潔さに憧れ、以前から破壊を拡大させる自分の力を抑え込むことのできる上条に目をつけていたほか、上条のこれまでの戦いの経歴や彼の性格も気に入っており、自身もさらなる経験値を獲得できる最高の敵として高く評価している。また学園都市の情報もいくつか把握しており、オッレルスと削板の「説明できない力」の類似点を上条に語っていたことから、学園都市での2人の交戦も知っている節がある。 学園都市に潜入すると、上記の雷神が女装する逸話を基にした女性限定の変装術式で美琴に変装し、溶断ブレードで上条と一時交戦。フロイライン=クライトゥーネを救うため「グレムリン」を欺き、上条と接触し行動を共にする。彼女が「窓のないビル」から脱走すると、他のメンバーを前線から遠ざけてから美琴を唆して共にオッレルス勢力の前に立ちふさがり、シルビアと交戦。その後、学園都市を出る前に上条と戦闘し、雷神としては敗れたが両腕を骨折した状態ながら全能の神の圧倒的な力を持って彼を降す。バゲージシティの一件で既に「グレムリン」を見限っており、オッレルスと入れ替わって組織を脱退する。 その後、オティヌスを斃そうと世界中からオーデンセへと集結した「グレムリン」メンバー全員を「全能神」の圧倒的な能力で殲滅し、上条の前に立ちふさがる。満身創痍の上条を追い詰めるも、術式の弱点を逆手に取られ列車に轢かれてしまい、何とか致命傷は避けたものの重傷を負って戦闘不能になる。自らも負傷した後は、上条に最後の敵が一緒に逃げてきたオティヌスであることを教え、上条の最後の戦いを見守った。 作者のあとがきでは原動力の面で初期の一方通行との共通点を指摘され、「一線を踏み外さないまま、順当に成長する」事で形成されたキャラクターとの事。 フレイヤ 魔術結社「グレムリン」の正規メンバー。ぎりぎり女子大生ほどの年齢の妊婦。北欧神話の豊穣神「フレイヤ」の名を冠する。 胎児を安全に出産するための術式を攻撃用に転化した術式を使い、「コール」で「ブリーシンガメン」という宝石を核に、北欧神話に登場する怪物たちを「仔」として生み出す。さらに、北欧神話が共倒れの伝説であることを利用し、生み出された怪物たちは「ブラック」と「ホワイト」の2つに分類され、「シフト」で対になる存在を捕食させることにより怪物を強化することもできる。 母体に魔術を扱うセンスがないため胎児を利用して魔術を使用していると発言していたが、実は妊娠2年を経た胎児こそが「魔術師・フレイヤ」としての本体だった。自分を身籠ったことで周囲の人間から縁を切られ孤独の中で倒れた母親を救うために、自らの意思で母親の意識を乗っ取る。その影響で母親の意識が薄れ、いずれ死を迎えるという事実を覆すため「魔神」であるオティヌスを頼る。 「グレムリン」の総攻撃の際にはベルシと共に東京を襲撃、ムスペルを最も多く撃破した上条の前に現れ交戦を始めるが、美琴に切り札の「地の底這う悪竜(ニーズヘッグ)」を撃破され、インデックスが魔導書の知識によって元々の術式を完成させたことにより胎児から母親に意識が切り替わった。その後は鞠亜やベルシと共に戦場を離れ、病院へと搬送された。 ロキ 魔術結社「グレムリン」の正規メンバー。奇術師か道化師のような印象の燕尾服の老人。全世界を引っ掻き回して北欧神話を最終戦争へと導く悪神「ロキ」の名を冠する。 空一面に偽りの星々を高精度で映し出す術式「ヴィゾヴニルの御膝元」を「船の墓場」上空に展開し、味方にすら現在地を北海だと思い込ませ、誤った情報を受けたイギリスの部隊をダミーに引きつけることに成功する。その際にロビンフッドで首を貫かれて致命傷を負ったかに思われたが生存したようで、オティヌスの逃亡時にはイーエスコウ城までやって来ていたことが示唆されている。 ヨルムンガンド 魔術結社「グレムリン」の正規メンバー。少年。北欧神話に登場する世界をぐるりと囲む大蛇「ヨルムンガンド」の名を冠する。「グレムリン」の直接戦闘担当。 天の神すら殺す毒の息を模した紫の光球を飛ばす術式を使用する。 「グレムリン」総攻撃の際には日本海上空1万mでロシアの爆撃機編隊を襲撃、直後にステイルと戦闘を開始する。 ヘル 魔術結社「グレムリン」の正規メンバー。無数の皮膚移植が施られた肌を持ち、返り血を浴びたかのような色のドレスを纏った少女。北欧神話の死者を束ねる冥界ニヴルヘイムの女王「ヘル」の名を冠する。 死者の残留情報から死因を取り出し、武具による「死因と入れ替える」術式を使う。個人だけでなく物体にも使用することができ、例えば銃殺を焼殺と入れ替えれば弾丸1発で戦艦一つを丸ごと焼くことも可能。 「グレムリン」総攻撃の際には太平洋サイパン沖で補給艦隊及びそのルートの破壊を行うが、シルビアとブリュンヒルドと交戦することとなる。 フェンリル 魔術結社「グレムリン」の正規メンバー。青年。北欧神話の最終戦争で主神オーディンを喰らう獣「フェンリル」の名を冠する。グレムリンの直接戦闘担当。 フェンリルの涎が川を作ったという伝説をもとに、「川」と同じ記号を盛り込むことで龍脈や地脈のようなエネルギーの流れを強引にねじ曲げ、莫大な力を呑み込む「溝」を作り、魔術的なエネルギーを任意の場所へ強引に受け流す術式を使用する。呑み込む過程で色々なものを巻き込むという性質を利用して、攻撃に転用することも可能。 「グレムリン」総攻撃の際にはNORADの弾道ミサイル基地を抑えるべくアラスカに向かい、オリアナと交戦する。 イドゥン、シフ 魔術結社「グレムリン」の正規メンバー。名前のみ登場。北欧神話の女神「イドゥン」、「シフ」の名を冠する。後衛担当。 サローニャ=A=イリヴィカ 魔術結社「グレムリン」の構成員。ロシア・エカテリブルグ出身の魔術師。15歳。 白い肌に金髪で緑を基調とした衣装に膝上まである革のブーツを履いている。単語に「ちゃん - 」と付けるのが口癖でおどけた言動と裏腹に残忍な性格。 元々ロシア成教に所属していたが、第三次世界大戦後に失踪、学園都市とアメリカ合衆国を中心とする体制に不満を抱き、グレムリンに加わる。 「レーシー」というロシアの妖精に関する術式を用いる。「レーシーの森」の植物が生成した酸素を吸った生物の精神レベルを均等に整え、支配する。ただし完全に操作できるのは大脳の未発達な昆虫や爬虫類までで、人間は意志薄弱にする程度が限界である。「森の住人」の悪意や敵意を集中させることで「森」から排除されたものの心を外側から干渉して捻じ曲げ、植物の生育を妨げた者への罰として種子や花粉をぶつけた対象の体を麻痺させることも可能。ロシア以外の土地ではロシア産の植物を使い「飛び地」を作らなければ術式が行使できず、植物や動物を持ち込まない限り数日間のラグが生じるという欠点があるほか、持ち込んだ植物を抜かれるなどで森を破壊されると術式が強制停止されてしまう。 オーレイと組んでアメリカ合衆国を掌握しようと画策し、ハワイで暗躍していたが、狙いを突き止めた上条と黒夜に敗北した。 サンドリヨン 魔術結社「グレムリン」の構成員。フランス出身の魔術師。 ダイバースーツに似たコルセットの上に透明なドレスを着用している。 名前通りに「灰被り」に関する術式を用い、失敗があり得ないよう外的要因をすべて排除するほか、ガラスの靴に基づく22.5cm以外の大きさの足の破壊、ダンスの技術を応用した高速戦闘、カボチャの馬車をモチーフとする衝撃波による攻撃を行う。術式の発動にはドレスを着用することが必要で、また午前12時(あるいは夜明け)を示されると術が解除される弱点がある。 ハワイへ来た上条達を空港で襲撃するも、レイヴィニアに弱点を付かれて敗北する。事件後、マリアンの口からハワイでの作戦の真相を聞いて激昂するも「投擲の槌」に敗れ、制裁として彼女の手でテーブルに改造された。 その後、オッレルスによって元の姿に戻されたことで自分の体を組み立て直せるようになり、自らを分解して荷物として学園都市に侵入して、麦野に自分の体を作らせ、彼女が分量通りに作らなかったためやや小柄な姿で肉体を復活。「グレムリン」に決定的なダメージを与えるべく上条と接触し、フロイライン=クロイトゥーネの「機能」を停止させるため自らの体の材料の余りを提供する。
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