かえり‐ち〔かへり‐〕【返り血】
血痕
(返り血 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/17 08:18 UTC 版)
血痕(けっこん、英語:Blood residue, bloodstain)とは、血液の痕跡のことである。犯罪現場などに残されており、犯人を特定する重要な証拠として鑑識や法医学の分野で使用する[1]。また、血痕パターン分析は、考古学分野でも活用される[2]。
血の散らばり方(血しぶき、血が出た後に外力によって変化した擦過血痕等)によって、血がどのような力で体のどこから出血したものか、出血した後にどういう力が起きたか等が分析される。また、犯人が出血していた場合も、DNA型鑑定などによって有力な証拠となる。出血してからの時間でも色などが変化し、場合によっては血漿の分離なども起きる。古く乾燥した血痕でも、20世紀初頭に登場したルミノール試薬などによって鑑識に用いられる[3]。
とくに、傷をつけた相手にかかる血は、返り血と呼ばれる[4]。
出典
- ^ Robinson, James L. (2008). “Blood residue and bloodstains”. In Ayn Embar-seddon; Allan D. Pass. Forensic Science. Salem Press. p. 152. ISBN 978-1-58765-423-7
- ^ Hortolà, Policarp (2002). “Red blood cell haemotaphonomy of experimental human bloodstains on techno-prehistoric lithic raw materials”. Journal of Archaeological Science 29 (7): 733–739. doi:10.1006/jasc.2001.0782.
- ^ “血痕がDNAより多くを語るとき”. SWI swissinfo.ch. 2022年6月25日閲覧。
- ^ "返り血". デジタル大辞泉. コトバンクより2023年3月21日閲覧。
関連項目
- ルミノール - 血痕の鑑識に用いられる薬品。
- DNA型鑑定
- 血の跡 - 狩猟の際に、手負いの獲物が残す血の跡をたどり追跡する。
- 血糊(ちのり) - 舞台や映像作品などの出血表現に使用される血に似せた物。
外部リンク
- 血痕分析・血痕鑑定 - 法科学鑑定研究所
- 犯罪現場のプロが解説、血痕から分かる犯人の足跡 - WIRED.jp
返り血
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 02:30 UTC 版)
逮捕後、A宅から押収されたAの着衣・靴や手に巻いていた包帯などからは、県警鑑識課による鑑定では人血反応が一切得られていない。ズボンと自転車からは人血と判定できないレベルで微量のルミノール陽性反応が得られているが、Aの母は、自転車のルミノール反応はAが転んで怪我をした際に付いたものだと述べている。 一方、本件でBの遺体の法医鑑定を行ったのは、弘前大学教授夫人殺人事件の再審鑑定などで知られていた、千葉大学医学部法医学教室教授の木村康である。そして、この木村鑑定によれば、Bのシャツの刺創右側部分には「手拳大にわたる飛沫状の血痕」が存在し、また犯行現場にも返り血である飛沫痕が残されている。そして、Bの前腕の傷口からは30センチ四方に血液が飛散したと見られるため、「犯人が返り血を浴びていないとは考えられない」とされている。 木村は鑑定当初、腕の傷口からの出血の少なさから、胸を先に刺されて心停止した後に腕を刺された、と考えた。そのため腕からは大出血はせず、胸からの出血も着衣で防がれたため、犯人が返り血を浴びなかったとしても不自然ではない、と判断した。柏署もこの当初の木村の見解から返り血については重視しなかったが、実際には遺体発見直後、現場に駆け付けた目撃者の誰かがBの身体を動かし、その際に胸からナイフが腕ごと抜けて近くの水溜まりに浸かっている。後にBの腕が水溜まりに浸かっていたと知らされた木村は、腕からの出血は洗い流されたと判断し、「犯人は必ず返り血を浴びている」と鑑定結果を訂正した。 加えて木村は、遺体の刺創は右前腕に2か所、右胸に1か所の計3か所であるが、その形成機序は 前腕の2か所の傷が形成された後、独立して胸の傷が形成された(3回の刺突) 前腕の2か所目の傷の形成に連続して胸の傷が形成された(2回の刺突) のいずれかが考えられる、とした。しかしAは、「Bを追い抜きざまに右胸を目がけて刺したが、右腕ごと刺し貫いてしまい、ナイフが引っかかって抜けなくなったのでそのまま逃げた」と、ほぼ一貫して1回のみの刺突を供述している。 以上の点から、木村鑑定はAの犯人性を疑問視している。しかし、傷口から血液が飛散したという見解に対しては、鍔のないナイフの柄からも、Bが右手に握りしめていた傘からも、傷口の至近距離にあったポシェットからも、まったく血痕が検出されていないという反論もある。
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