魔術結社
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「とある魔術の禁書目録の用語」の記事における「魔術結社」の解説
魔術師が集まって構成される組織の通称。英語読みでは「マジックキャバル」。 その形態や規模、目的や活動、宗派や使用術式などは千差万別。無償の人助けを行う善良な結社から殺人やテロも厭わぬ犯罪組織的な結社、攻撃的で大規模な有力結社に技術や戦力の低い小さな結社まで、世界各地に無数の結社が存在する。また、対抗する分野が相争うという「対立職業(ジョブカウンター)」と呼ばれる暗黙の了解が存在し、このため魔術結社業界は、数多の結社同士が無秩序に増えて拡大しては無秩序に競い淘汰されるという勢力争いを繰り返し、全体のバランスを保っている。 先述のように魔術師は信念に忠実な個人主義者ではあるが、儀式における役割分担の必要性、情報収集や資金獲得の効率化、単純な戦力増加など様々な理由により、同じ目的を持つ者が集まり魔術結社を形作る。魔術結社は対立も多いが、霊装の材料調達などで結社同士が交流したり魔術的な裏市場を形成するなど、ある程度の共同体は保たれている。なお魔術結社はその存在を公にはしていないものの、一応会社という名義で表社会での地位が保障されている場合もある。また現代の魔術結社では、古城や宮殿などの古めかしい大規模なアジトを持たず、アパートや雑居ビルの一室といった簡易な小拠点を複数用意し、財産や人員を小分けするのが常識とされる。これは他組織による捜索や襲撃の際に一つを切り捨てリスクを最小限に抑えるためである。 なお、魔術師が所属していても十字教諸派等の公的な宗教組織は魔術結社に該当しない。これは制度的な違いもあるが、レイヴィニア曰く最大の違いは「多数派として認められているか否か」であり、仮に魔術結社であっても巨大宗教を大きく超える勢力にまで拡大すれば立場が逆転するとされる。宗教の中でも十字教は魔術結社を異端や邪道として敵視しており、それゆえ教会と魔術結社は対立関係となっている。特に、犯罪組織として社会に混乱や悪影響を及ぼす結社や、政治的に問題のある思想を持つ結社については、制裁対象として捕縛または殲滅させられる。 傾倒すれば傾倒するほど金や情報といった「俗っぽい力」を嫌って遠ざけようとする風潮があり、有力な魔術結社の場合は豊富な資金を有しているケースもあるが、それはギャングに近い裏の金であり、不正を暴かれてしまえば没収される葉っぱのお金に過ぎない。 また、魔術の初心者が数人集まる同好会やクラブ活動のような小さな集団は結社予備軍と呼ばれる。活動内容も恋占いや瞑想など程度の低い物に終始し、組織構造も未熟なまま自然消滅する。ただし、結社予備軍には大多数の小物の中に高い実力を持つ組織が紛れているという特徴があり、後述の「新たなる光」がそれに該当する。 黄金夜明(S∴M∴) かつてイギリスに存在した世界最大の魔術結社。単に「黄金」とも呼ばれる。実在の黄金の夜明け団にあたり、史実と同じくアレイスターがかつて所属していた組織として知られている。3人の創始者により発足し、1人が老衰で離脱した後は、メイザースとウェストコットの二頭体制となった。ウェストコットがアンナ=シュプレンゲルから結社の設立を許可されたとしていたことから、根本的には薔薇十字を下地にした組織で、薔薇の亜流とも言える。 団員の位階構造はニオファイトからイプシシマスまでの11階級で、エジプト神話に重きを置いた儀式魔術を得意とする0°=0□から4°=7□までの第一集団(「黄金の夜明け」)、予備門、探索者がクリスチャン=ローゼンクロイツの墓所を発見するエピソードにちなんだ儀式が代表格に居座る5°=6□から7°=4□までの第二集団(R.R.etA.C./ 紅い薔薇と黄金の十字架」)、8°=3□から10°=1□までの第三集団(秘密の首領たち)、結社内結社スフィアなど、いくつかの段階、グループが存在していた。「埋蔵金発掘や個人的な復讐など俗世の欲に基づく低俗な目的で魔術は使わない」「魔術師は常に知識や技術を習得する事での全能感、己の心と戦い続けながら清廉に生きるべし」という規律を掲げていた。 玉石混交だった眉唾なオカルトを系統立てて整理し、ゆっくり一つ一つ「段差」なく魔術を理解できるように、世界の統一された真理の解明を進めており、自らの手で必要だと感じた奇跡の起こし方を調達するために、精巧なボードゲームを参考にして、永遠に終わりの見えない「工作キット」の開発を目指していた。蒸気機関などの自然科学が席巻する時代に生まれたこともあり、聖書の記述を鵜呑みにせず、聖書発生以前の古代宗教の変遷を紐解く試みも行い、母体のヘルメス学の影響から、地中海を挟んだ最も身近な異界であるアフリカ大陸に残るエジプト神話に特に着目し、主要な神殿にはエジプト神話の神々の名前を付けていた。 インペレーターからセンティネルまでの10人が役割を決めてそれに準じた装束や象徴武器で身を固め、特定の順序で呪文や動作をこなしていく、舞台演劇じみた魔術儀式こそが「黄金」の基本にして真髄。カバラを下地にして、エジプト神話、ギリシャ神話、タロット、エノクなどを組み合わせ、共通する神の記号や光の象徴を抽出して本質に迫る術式群を備えている。人の域に留まったまま「魔神」の力さえ己の術式に組み込んで行使するため、オリジナルの「黄金」なら使い方次第で知識の面で「魔神」すら出し抜く事すら可能。 カリスマ性がある強大な魔術師が集ったが、活動資金が潤沢でなかった事と、それ以上に個々人の天才性を考慮してもなお余りあるほどの社会性の欠如、そしてメンバーの1人であったアレイスター=クロウリーが魔術の絶滅を目論み1900年4月に引き起こした「ブライスロードの戦い」がきっかけとなり、主要二大派閥の激突へと発展し重鎮が一掃された上に、アレイスターがかけた呪いで「全ての可能性を摘み取られた道」を歩むことになり、明確な終わりを見ないまま自己崩壊した。以降、黄金の復活を望む結社が出現したこともあったが、すでに可能性が摘み取られているために再結成の夢を叶えられたものは現れなかった。 少数の生き残りは各々が持ち出した霊装や魔道書を抱え込み、それぞれが正当な後継者であると主張して小規模な結社を旗揚げしている。その分派結社群は総じて「『黄金』系」と呼ばれ、公式に確認されているだけで優に100を軽く超えるが、逆に数が多すぎて1つに再統合する機会を失っており、今日では互いの足を引っ張り合うのに忙しい。 ローラ=コロンゾンの手で、タロットカードの「原典」を利用して当時のメンバー(アレイスター=クロウリー、ミナ=メイザース、アラン=ベネットを除く)がイギリスの防衛装置として再現される。彼らは78枚一揃いのタロットカードで人体を表現され、目に見えない傷やへこみによって「人類」という漠然とした枠組みに個人としての癖や特徴を注入することで我を持った存在へ色付けしている。「原典」の破壊不能属性を利用した半不死を実現しており、血管や神経が通常の生命とは異なるため一方通行のベクトル操作でも傷を負わせるのは難しい。ただし、絵柄が変わらないように、返り血などの汚れを避けようとする傾向がある。知を与える機能を空回りさせることで、疑似的な人格の構築と保全に力を回しているものの、ストッパーが壊れると自己修復機能が復活して白紙の状態に戻ってしまう。クロウリーズ・ハザードに代わる脅威としてロンドンを襲い、スコットランドに向かった「王室派」をも脅かすが、アレイスターが聖痕を用いて空間に満たした莫大な力により、大地と魔道書のエネルギーの受け渡しを阻害され、人の形と意識を保てなくなり「死」を迎えた。明け色の陽射し 「黄金」系の中でも最強クラスの力を持ち、魔術大国イギリスの中でも屈指の魔術結社。ボスはレイヴィニア=バードウェイ。 本来は「カリスマの挙動や指導者の条件を調べ、国家や集団を掌握する」という目標を掲げていた秘密結社で、レイヴィニア曰く「まるで世界征服を目論む悪の組織」。「今すでにある社会の最上部を掌握する事」という即物的な支配を目的とするので、新たな秩序を作るためのアイテムには価値を見出さない。宗教と学術との間の境目が曖昧な古い時代からあるため、設立当初は魔術サイドでも科学サイドでもなかったが徐々に魔術へ傾倒し、「黄金」の結社に潜入した際に完全に魔術に染まってしまったという。ある意味ではアレイスターの欠片を最も色濃く継承しているとも言える。「明け色の陽射し」という名もその後名付けられた。 本来の性質ゆえか、社会を破壊するほどの強大な力や世界を汚染する「原典」を嫌悪する傾向にあり、ボスの家系は代々「黒小人」の技術を封印している。魔術結社としては、黄金系ではポピュラーな「天使の力」を扱う大規模儀式系魔術を得意とする。 宵闇の出口 ポルトガルを拠点としていた「黄金」系魔術結社。無駄遣いが多く、限りある人材・資源を勝手に消費し、周りへ迷惑を掛けることで有名で、「インテリぶった野蛮人の集団」とまで酷評されている。事実バードウェイが片手間で作ったビスケットを生み出す呪符を作るために子供を3人廃人にさせる必要があるなど、魔術師を名乗るのもおこがましいほどの輩しか存在していない模様。油田開発によって得た資金で子供を扱う市場と取引しようと目論んでいたが、それに関わる資源調査団の一員にパトリシアが参加していたことで「明け色の日差し」が対応することになり、バードウェイ一人の手で壊滅させられた。 暗闇を拭う夜明け イギリスに存在する零細魔術結社。タットワの配色を象徴武器用の四色に配置し直し、五大元素を色彩化して色を混ぜたり補色を対応させることで自然界にある五種類の力へ間接的に干渉する術式を扱う。扱っている術式が時代遅れの物であるため、本拠地イギリスでもほとんど知るものがいないほどに衰退している。 翼ある者の帰還 中央アメリカを拠点とする魔術結社。構成員はアステカの民族衣装を纏い、アステカ神話系の術式を用いる。例として、他勢力へ潜入する際にはアステカの神官が生贄の人間の皮膚を着る儀式を応用し、他人から15cm大の皮を剥いで作る護符で変装術式を発動する。さらに「雲海の蛇」や「太陽の蛇」など、強力な魔術兵器を保有する。 上条勢力の拡大を懸念し、学園都市にエツァリを派遣している。かつては中米最大の魔術結社であり、独自の超能力開発の過程で魔術サイドの協定に抵触した米国の学芸都市と長年にわたって抗争し、最終的に勝利したが、その後は体制に不満を持ったテクパトルが上層部を粛清したため、組織としては壊滅状態にある。 占星施術旅団 かつてロシア国内で活動していた十字教系の魔術結社。現在の名称は不明。 人々の相談に応じて魔術を行う便利屋のような仕事でロシア全土で活躍していたが、ロシア成教の一部門に目を付けられ追われることになり、その逃亡中に当時のアックアに助けられ国外に脱出する。その後は組織を再編し名前を変え、ロシア成教の支配圏外であるヨーロッパで同様の活動を行っている。 ローマ正教がロシア成教と手を組んだために、再び追われる身となるがまたしてもアックアに救われる。第三次世界大戦では十字教三大宗派の協力関係構築に陰ながら貢献する。 オルレアン騎士団 フランスの魔術結社。結成当初はジャンヌ=ダルクを応援する善良な結社であったが、ジャンヌ処刑後に次第にカルト化し、ジャンヌの復讐とジャンヌの人工的な再現実験を掲げる歪んだ組織に変貌する。 実験素体として誘拐された少女を救うために立ちあがった少年と、協力した当時のアックアの活躍より壊滅する。フランス最大の結社だったが現在は残党がいる程度。 新たなる光(N∴L∴) イギリスの結社予備軍。実力は魔術結社と相違なく、目をつけられないために、あえて規模を小さいままに留めている。10代の少女4名で構成され、 ラクロスのユニフォームのような白地に青・赤の服装とミニスカートを着ている。「十字教によって意図的に歪められた北欧神話」の術式を好んで使い、悪魔化された神秘を取り扱う事で、ただの北欧神話では起こし得ない現象を制御する。また全員が「鋼の手袋」という霊装を所持し、またそれぞれ異なる小悪魔的外観の霊装も持つ。 イギリスのために活動しており、キャーリサのクーデターの際には彼女に協力し、カーテナ=オリジナルの輸送を担当した。能力実演旅行編SSでは、コードEICによる、魔術的な「メスリズムにおける動物磁気を利用した精神の集合的連結と、生命力を魔力に精製する手法の確立」について調査するため、ショッピングセンター内で活動しており、マグロヒロイという拠点が登場している。 グレムリン(GREMLIN) 第三次世界大戦を経て誕生した魔術結社。新世代のオカルトであり、機械の誤作動を促す妖精「グレムリン」の名を名乗る。正規メンバーは北欧神話に関した名前を冠する。その正体は世界大戦の敗北ムードを嗅ぎ取った魔術師たちの不平不満の受け皿として集結させたもので、科学サイドに対する魔術サイドの代表となる「魔神」オティヌスの強化を徹底的に行っている。 他の魔術結社と違い、PMCと手を組んだり、能力者への対抗策を有するなど科学方面にも精通している。更に上条の生死確認のためだけに惑星そのものへ干渉し世界規模の災害を起こしかねない「ラジオゾンデ要塞」を使い、魔術の最適化のために人の姿を捨てた魔術師が属するなど、これまでの結社とは比較にならない規模を持つ。オーディンの性質自体を再調整するため、「主神の槍(グングニル)」の完成を急いでいる。ハワイでは「槍」の炉心を手に入れるため、米国への侵攻を表向きの口実とし「起爆剤」を利用してキラウェア火山を噴火させ火山性エネルギーを手に入れる。 学園都市の量子論による能力開発と異なる、マクロな世界を歪めミクロな異常を引き起こす全体論による能力開発にも着手している。バゲージシティでの実験で一定の成果が見られたが、ただの人間では再現不可能だと判明したため、魔術によって支えられた存在でもなく超能力開発を受けてもいないが極めて高い耐久性を持つ素材を求め、「窓のないビル」に幽閉されるフロイライン=クライトゥーネを手に入れようとした。彼女が変質して素材としての価値を失ったため、代わりに垣根の肉体を利用することになる。 その後、東京湾沖に「船の墓場(サルガッソー)」を築き、東京23区を主戦地とする戦争を開始、同時に世界中の軍事拠点を抑えようとする。しかし、オティヌスが「魔神」としての力を放棄しようとしたため彼女と敵対することとなり、オーデンセで待ち受けていたが、トールによって構成員全員が戦闘不能にされた。真のグレムリン 魔術結社「グレムリン」の本当の姿。科学と魔術の融合ではなく、あらゆる宗教のあらゆる「魔神」が参画できる組織のことであり、オティヌスですら打ち破れなかった漆黒の世界の裏側にある「隠世」と呼ばれる位相に複数の「魔神」が存在している。四大文明に出自を持つネフテュスや娘々などを筆頭にしているため、魔術結社として見ると非常に歴史が古い。 1つしかない世界を変えるために生じる「魔神」同士でのリソースの奪い合いを防ぐため、意見をすり合わせるための協議会として作られているが、自分たちが世界の変化に関わることも嫌っているため、よほどの事情がない限り積極的には現世に関わらない。 オティヌスの消滅に介入したタイミングで侵入してきたアレイスターにより隠世を破壊され、ゾンビの術式で自分たちを世界に影響を与えないレベルまで弱体化させたうえで現世に降り立たなければならなくなる。しかし、ゾンビが倒され術式を書き換えられたことで無限の力を喪失し、脳幹の手で僧正が討たれ、さらには自分たちがほんの少し前に上里へと与えた「理想送り」で残党全員が「新天地」へと追放され壊滅した。新天地は「魔神」がどれだけ暴れても全く問題ない特殊な世界であったため、そこへ送られた面々は今までの鬱憤を晴らすかのように全力のケンカに明け暮れており、全員にとっても予想外の事態であったが、第二、第三志望に落ち着いたため結果的には悪くない結末になったと考えているようで、上里に対する恨みはそれほど強くはない模様。 テレマ僧院 魔術師アレイスター=クロウリーがイタリアのシチリア島にいた、1920年から1923年の間に設立した組織。実在のテレマ僧院(英語版)に相当する。年若い少年少女を集めて薬物投与などを行なっていた。「たった一つのアクシデント」のせいで崩壊し、現代ではすでに存在していないが、散った夢を科学の形に擬態させ、極東に設立したものが「学園都市」である。 薔薇十字(ローゼンクロイツ) 14世紀の伝説的な魔術師クリスチャン=ローゼンクロイツが原点である古き魔術結社。史実における薔薇十字団に相当する。 クリスチャン=ローゼンクロイツが長い旅の中で手に入れた世界各地の叡智を整頓し、凡人にも理解可能な形に置き換えてから再配布するという格好で広まった。「写本」という形で比較的閲覧の機会に恵まれた「薔薇十字団の名声(ファーマ・フラテルニタティス)」「薔薇十字団の告白(コンフェッシオ・フラテルニタティス)」「化学の結婚(ケミシュ・ホッホツァイト)」の3冊の魔道書と、ローゼンクロイツ自身が賢者達から授けられた高純度の「原典」と言われる「Mの書」が有名。 結社の目的は人と世界の「病」を治す事で、そのために無償の奉仕を惜しまないとされ、伝統的に薬効の採取や合成に詳しい。ここで言う世界の病とは、戦争、汚染、枯渇などを指し、結社の魔術師が「劇薬」となって、これらを引き起こす人間社会そのものを正しい知識でもって導き、間違った常識を正す事で世界を蝕む病巣を取り除くとされる。 主にカバラの術式を用いる。「分かりにくいものは分かりにくいままで良い」とした魔術の系統で、選ばれた者だけが奇跡を振るい、民衆はただ配給される恩恵を受け取れば何も問題ないとした集団である。「決まった制服を着る必要はなく、病人を助ける以外の活動も明かさなくてよい」「メンバーはあくまでも市井に紛れて暮らし、所属する者はRC以外に自らを示すサインは残さない」「その実力や影響まで否定するつもりはないので無用な乱用を防ぐために自らの後継者は事前に取り決め、年に一度集会を開いてメンバー間の親交を深めること」「創設から100年、薔薇十字という組織は秘匿する」といった規律があった。世界の完全なミニチュアを構築しており、過去、現在、未来に起きるあらゆる事象を箱庭の中で再現する事により、世界の全てを手に取るように理解できたという「伝説」まで存在する。 しかし、アレイスターによれば始祖の老人は存在せず、ヨハン=ヴァレンティン=アンドレーエのたわ言だったという。だが、薔薇十字という技術体系はきちんと回り、超常を制御するに至っており、自由に世界を渡り歩いている。R&Cオカルティクス 占いやまじないを軸として各業種へ這い寄る魔術専門の新型巨大IT。元からあった「捕われぬ組織」が現代の時流に合わせて形を変えた仮面組織で、「薔薇」の重鎮であるアンナ=シュプレンゲルが軌道に乗るまで面倒を見ている。 系統としては占いサイトから始まり、人の相談に乗る形で第三者のプライバシーまで効率的に集めながら、オカルトグッズの通販などでアメーバのように広がっている。正しい魔術をユーザーに提供する事でより良い人生をサポートすると謳っている。汚い金は自分の首を絞めるだけであるため、武器として使う金は真っ当に稼ぐという所をひどく現実的に理解しており、オカルト組織が嫌う「俗っぽい力」を馬鹿にせずに研究し尽くし、「資金」や「情報」を切り札の1つとして認識し、表の事業できちんと稼いでいる全く新しい価値観の魔術結社である。個人のモバイルから巨大なインフラまで、必要な専門技術は得意とする会社を傘下に押し込んででも、ネット事業に関わる全てを武器としている。その1つの柱としてネット通販にも軸足を置いており、集配所から輸送ルートから本拠地が割れないように、拷問も買収も脅迫も通じないドローン宅配を特に重視していた。 大々的に魔術が宣伝され、なおかつ相手の正体が全く見えないという経験のない事態に魔術サイドは無力であり、インターネット環境を支配する科学サイドも危機の正体を正しく把握できていない。その特徴から、統括理事の根丘が日本語版の最先端ワードに表示されるよう細工した事で、科学サイドの総本山である学園都市でも普及しつつある。12月25日には学園都市とイギリス清教が協力した「オペレーション・オーバーロードリベンジ」でロサンゼルス本社ビルに侵攻され、その際のどさくさで重鎮達はアレイスターに殺害される。 神の剣の文字を知る者 「海より来たる覇者」「世界樹を絶やさぬ者」「知を刻む鉄杭」「地の中で黄金を鍛える槌」と並ぶ、西ヨーロッパに存在する北欧神話系五大結社の一つ。大規模霊装を得意とする。本拠地は人工運河沿いのハーバーの路上に鎮座した全長30m超の巨大木造帆船。 聖人とワルキューレ双方の資質を持つブリュンヒルドを、「純粋な北欧神話の魔術」全体を衰退させるとして徹底的に迫害したが、彼女に報復されて他の結社共々壊滅し、構成員は残らず重傷を負う。 目覚め待つ宵闇 イギリスに拠点を置くクトゥルフ神話群の魔術結社。魔術に歴史を求めず、各々の魔術系統が持つ「弱点」や「研究上の壁」に対して全く新しいブリッジとなる術式を提供する事で、他の魔術結社から大量の報酬や人脈を獲得している技術屋集団。構成人数は150から200名。 古今東西の様々な術式を組み合わせて「今は失われた体系」と全く同じ事ができるようにする術式「分類不能(ブランクペーパー)」の完成を目指しており、「必要悪の教会」の「フリーパス」及び魔道書「死霊術書」の強奪、ドーバーでの海底都市ルルイエ浮上といった事件を起こし、イギリス清教の目を特別入試試験中の天草式に向けさせる事で計画を進める。だが、術式完成を前にストーンヘンジで儀式を行っていた際、施術鎧を装着したフリーディアによって壊滅させられる。
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