おこがましい
おこがましいとは、自分の地位や能力を超えて行動する様子を表す言葉である。自分の立場や資格を超えて、適切でない行動をとることを指す。特に、他人に対して敬意を欠いた行動や言動を指すことが多い。また、自分の能力や地位を過大評価し、他人を見下す態度を示すことも含まれる。
おこがましい
「おこがましい」とは・「おこがましい」の意味
ビジネスシーンでも使用される機会が多いおこがましいという言葉には、「身の程しらず」や「生意気」などの意味があり、漢字で表記すると「烏滸がましい」が一般的である。おこがましいには、「身の程をわきまえない」と「ばかばかしい」という大きくわけると2つの意味がある。前者は現代日本において一般的に使用されている言葉で、特にビジネスシーンなどで耳にする機会が多い言葉である。「身の程をわきまえない」には「生意気」「分不相応」「無遠慮」などのニュアンスが含まれているため、自分が置かれている身分がふさわしくないときや身分に合わないような発言や依頼をしなければならない場合に前置き言葉としてよく使用されている。基本的には、自分を下げて相手に意見や案を物申すときの前置きとして使用されることが多い。したがって、自分と同じ立場の人や目下の人に対しては使用しないことが前提の言葉である。
おこがましいを漢字で表記する場合は、一般的には「烏滸がましい」であるが、「痴がましい」や「尾籠がましい」との表記でも正しい。「烏滸がましい」の「烏」という漢字には「カラス」という意味があり、「滸」という漢字は「水辺」を意味する漢字である。後漢時代の中国では、黄河や楊子江のほとりに集まって騒いでいる人たちのことをカラスと呼んでいた。この川のほとりでやかましく騒いでいる人になぞらえて「烏滸がましい」という漢字が用いられるようになったとされている。
また、「痴がましい」の「痴」という漢字には、「愚か」や「頭の働きが鈍い人」などの意味がある。おこがましいという言葉は、もともとは「ばかばかしい」という意味合いで使われていたことに由来して「痴」という漢字が使用されるようになったと言われている。さらに「尾籠がましい」の「尾籠」は、鎌倉時代以降に多く使われるようになった言葉で、「おこがましい」の「おこ」という字を当て字にしたものである。現在は「びろう」と読む和製漢語に変化しており、「無礼」や「礼儀をわきまえないこと」という意味のほかに「不潔」や「わいせつな様子」などの意味を持っている。
「おこがましい」の語源・由来
おこがましいは、日本古来から使用されている「をこ」と接尾辞「がまし」を合わせた古語が由来である。平安時代中期に紫式部が創作したことで有名な『源氏物語』の作中や吉田兼好の『徒然草』にも登場するほど日本の古い時代から使用されている大和言葉である。古典文学作品の中では、「ばかばかしい」や「みっともない」、「人の笑いものになる」という意味合いでよく用いられている。もともとは、馬鹿げている様子や愚かな様子を表す「をこ」という名詞にそれと似た傾向がある様子を示す「がまし」というシク活用形容詞がついて「をこがまし」となり、現在の「おこがましい」という言葉へと変化した。現代では、人の笑い者になるという意味が薄れており、「身分をわきまえずにでしゃばっている様子が恥ずかしい」や「でしゃばった真似をする」「生意気」というニュアンスで使用されている。基本的には、自分を下げて相手に意見や案を物申すときの前置きとして使用されることが多い。したがって、自分と同じ立場の人や目下の人に対しては使用しないことが前提の言葉である。
「おこがましい」の熟語・言い回し
おこがましいかもしれませんがとは
おこがましいかもしれませんがとは、目上の人や取引先の人に対して厚かましい言葉を伝えるクッション言葉として引用される言葉である。「差し出がましいですが」と同じようなニュアンスで使用することができ、これまでの話の流れとは違うことを話したり、目上の方や取引先の方が伝えてきた意見とは違う意見を提案したいときに使用する。
相手から「おこがましいかもしれませんが」と前置きされてから意見をされた場合は、相手がこちらに言いにくい意見を懸命に伝えてくれている心情を読み取ることができる。相手が勇気を出して意見を述べているシチュエーションなので、感謝の意を述べた上で相手の意見に対して耳を傾けるようにすることが望ましい。また、おこがましいかもしれませんがと相手が切り出した時に、相手の意見を肯定する「はい」という言葉を使ってしまうと「あなたは身の程しらずな人ですね」という意味合いとなってしまうため十分注意が必要である。相手が目下の者であっても、「そのようなことはありませんよ」を控えめに否定の言葉を入れた対応をすると良い。
おこがましいながらとは
おこがましいながらとは、身の程をわきまえないにも関わらずというニュアンスを持った言葉である。おこがましいながらの「ながら」には、両立しにくい2つの事柄を同時に成り立たせるという意味があるため、「~に関わらず」「~であるけれども」などという意味にとることができる。一般的には「僭越ながら」や「おこがましいことを申し上げますが」、「差し出がましいことを申しあげますが」などと言い換えて表現されることが多いため、ビジネスシーンなどで使用される機会はそれほど多くない。
「おこがましい」の使い方・例文
・私のような者がこの場で意見するのはおこがましいかもしれませんが、少々値段設定が高いように感じています。・おこがましいかもしれませんが、こちらの書類が正しいように思います。
・著名人が座っているこの場に私がいることがおこがましく感じる。
・この人はなんておこがましい考え方をする人なのだろうか。
・私の夫はおこがましい要求をしていることに気がついていない。
・おこがましいお願いとは存じますが、その案件を任せて頂いてもよろしいですか?
・自分でいうのもおこがましいのですが、留学経験があるので英会話には自信があります。
・あの場でクライアントに意見をするのはおこがましいと感じないのか?
おこがましいという言葉は、若い人の間ではあまり使用されていない言葉ですが、目上の人や年配の方が使用しているのを聞いたことがある人も多いことだろう。具体的な使い方としては、自分よりも立場が上の人から意見を求められたときや何か指摘をすることがあったときに、用件を述べる前置きに使用することが望ましい。自分を下げて謙遜している印象を相手に与えることができるため、特に目上の人と食い違った意見を述べたいときや相手のミスを発見してしまい指摘をしたいときなどに使うことで切り出した側の謙虚さが相手に伝わり、物事をスムーズに進めることができる。また、この他にも目上の相手へ依頼をしたいときにも使うことができる言葉である。「おこがましいお願いですが」という前置きをすることで、目上である方に依頼をすることが生意気であると承知しているという意思を伝えることができる。
おこがましいを使用する上で注意したいのは、おこがましいには自分を下げる意味が含まれていることである。基本的には目下の者が目上の者に対して使用するが、ビジネスシーンでは上下関係にそれほど差がなかったり、年齢は下でも経験は自分の方が上であるケースもある。このようなケースで使用してしまうと、相手が嫌味を言われたように感じてしまったり、威圧されたと感じることもある。また、自分以外の人物におこがましいという言葉を使用する場合には、「相手が身の程をわきまえていない」という意味になってしまうことを頭に入れておく必要がある。相手を叱咤するときやたしなめるときなどの目的があるとき以外はトラブルの原因となるため使用を避けるべきである。自分以外に使用する場合には、使う目的をしっかり持つことが重要である。
おこがましい
「おこがましい」とは、「出しゃばったまねをする・身の程知らずなことをする・差し出がましい・分不相応で生意気だ」などの意味で用いられる表現である。わかりやすく言うと、偉い人の発言に口出しするような振る舞いを指す表現である。
「おこがましい」は、漢字では、「烏滸がましい」と表記する。古語「をこがまし」に由来する語である。英語では presumptuous(僭越・無遠慮)が「おこがましい」のニュアンスに近い。
おこがましいの使い方・例文
「おこがましい」の使い方としては、ビジネスシーンにおいて、目上の人に意見具申するような場合に、その「口を挟む」という行為が出しゃばった行為であると前置きする(謙遜の意味を込めた)ような言い方が挙げられる。具体的な言い回しとしては、「一介の平社員に過ぎない私が会社の経営方針に口出しするのもおこがましいのですが」といったような言い方があり得る。これに続く内容は異見・異論・疑義あるいは反論などが想定される。おこがましいの漢字と語源
「おこがましい」はもともと古語で「をこ(なり)」「をこがまし」のような形で用いられてきた表現である。「をこ」は漢字では「烏滸」や「痴」と表記されることがある。そこで「おこがましい」を漢字で書く時は「烏滸がましい」または「痴がましい」という表記が用いられる。いずれにしても「馬鹿げている」「馬鹿馬鹿しい」「みっともない」といった(笑いものになるような)意味合いがある。おこがましいの類語
「おこがましい」と使用場面が共通する表現に「あつかましい」「差し出がましい」がある。いずれも「出過ぎたまね」を指すという点では共通する。「おこがましい」は「分不相応」「身の程知らず」という意味合いが中心であるが、「あつかましい」は「厚顔無恥」「いけずうずうしい」という無思慮・無遠慮の意味合いを中心とし、「差し出がましい」の場合は「必要上のおせっかい」といった意味合いが中心となる。おこがましい、差し出がましい、厚かましい、の使い分け
いずれの表現も、ビジネスにおいて「おこがましいようですが」「差し出がましいようですが」「厚かましいお願いですが」という具合に謙遜表現として用いられる。ただし「おこがましい」の場合は自分が意見や主張する立場ではないという風に、立場や身分の違いに対する謙遜の意味合いが強いのの対し、「差し出がましいようですが」と言う場合は、どちらかというと意見や主張の内容が相手にとって「おせっかいかもしれない」「特に不要なものかもしれない」といった懸念に由来する謙遜の意味合いが強く、逆に「厚かましいお願いですが」などと切り出す場合は、相手に自分の主張を理解したり承諾してもらうことを目的とした交渉文句の一部として使われた謙遜表現になっている、という使われ方の違いがあり、注意が必要である。
おこ‐がまし・い〔をこ‐〕【▽痴がましい/×烏×滸がましい】
おこがましい
「おこがましい」の例文・使い方・用例・文例
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