徒然草とは? わかりやすく解説

つれずれぐさ【徒然草】

読み方:つれずれぐさ

つれづれぐさ


つれづれぐさ【徒然草】

読み方:つれづれぐさ

鎌倉時代随筆2巻吉田兼好著。元徳2〜元弘元年(1330〜1331)ごろ成立か。随想見聞などを書きつづった244段(一説では243段)からなる無常観に基づく人生観世相観・風雅思想などがみられ、枕草子とともに随筆文学双璧(そうへき)とされる


徒然草

読み方:ツレズレグサ(tsurezuregusa)

鎌倉時代随筆吉田兼好著。


つれづれぐさ 【徒然草】

二巻吉田兼好著。序段共二四四章段からなる随筆集仏教思想基調としている。→ 兼好

徒然草〈上下/〉

主名称: 徒然草〈上下/〉
指定番号 2287
枝番 00
指定年月日 1974.06.08(昭和49.06.08)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 書跡・典籍
ト書 永享三年三月卯月正徹書写奥書
員数 2冊
時代区分 室町
年代 1431
検索年代
解説文:  吉田兼好の作として著名な随筆集筆者室町時代東福寺禅僧であり、歌人知られ清巖正徹である。奥書によれば正徹三本校合したもので、本文特徴見せ消ち注記があること、各段の区切り本文流布本異同があって徒然草の原形研究注目されることなどで徒然草の現存最古写本として貴重である。

徒然草

作者清水義範

収載図書日本文学全集
出版社実業之日本社
刊行年月1992.10

収載図書普及版 日本文学全集 第1集
出版社集英社
刊行年月1996.2
シリーズ名集英社文庫


徒然草

読み方:ツレズレグサ(tsurezuregusa)

分野 随筆

年代 鎌倉後期

作者 卜部兼好


徒然草

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/28 15:57 UTC 版)

正徹本・永享三年(1431年)写

徒然草』(つれづれぐさ)は、卜部兼好(兼好法師、兼好、吉田兼好)が書いたとされる随筆清少納言枕草子』、鴨長明方丈記』とならび日本三大随筆の一つと評価されている。

概要

徒然草の作者 吉田兼好(『前賢故実菊池容斎画 明治時代)

兼好を作者とするのが僧・正徹(後述)以来、定説になっている。

成立については、室町幕府の九州探題である今川貞世(了俊。兼好の弟子の命松丸と親交があった)が、兼好の没後、草庵に残っていた原稿を編纂したと言われてきたが、疑わしい[1]。国文学者の橘純一は、鎌倉時代末期、1330年8月から1331年9月頃にまとめられたとし[注 1]、長く有力説とされてきた[1]。この説によれば南北朝の争乱以前に中年期の兼好が著したことになるが、現在は「長年書き溜めてきた文章を1349年頃にまとめた」とする説が有力である[3]

序段を含めて243段から成る。文体和漢混淆文と、仮名文字が中心の和文が混在している。内容は多岐にわたり、序段には「つれづれなるままに」書いたと述べ、その後の各段では、兼好の思索や雑感、逸話を長短様々、順不同に語り、隠者学に位置づけられる。兼好が歌人、古典学者、能書家などであったことを反映しているほか、兼好が仁和寺がある双ヶ丘(ならびがおか)に居を構えたためか、仁和寺に関する説話が多い。また、『徒然草』が伝える説話のなかには、同時代の事件や人物について知る史料となる記述が散見され、歴史史料としても広く利用されている。中でも『平家物語』の作者に関する記述(226段)は現存する最古の物とされる。

『徒然草』序段[注 2]
つれづれなるまゝに、日くらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ。

作品の名にもとられる書き出しの「つれづれ」(徒然)は「やるべき事がなくて、手持ち無沙汰なさま」[4]を意味する。「つれづれなり」と「よしなしごと」や、「書き付く」は先行する文学にも用いられている組合せであり、作品および自己を卑下する謙遜の辞である[5]

諸本

写本は江戸時代のものが多く、室町時代のものは非常に少ない。 現存最古の写本は、正徹が永享三年(1431年)の3月27日および4月12日に上下二巻を書写・校合した本(正徹本・静嘉堂文庫蔵)である。現存する諸本は、通説では

の4種類に分類されるとされる[6]

受容

同時代の史料に『徒然草』への言及が伝わらないことから、「執筆後約百年間は注目されなかった」とされる[要出典]。室町中期に僧・正徹が注目し、自ら書写した写本にこの作品を兼好法師のものとし、兼好の略歴も合わせて記している。これが正徹の弟子の歌人や連歌師たちに波及し、応仁の乱の時代に生きた彼らは、「無常観の文学」という観点から『徒然草』に共感をよせた。

江戸時代になると、版本が刊行され、松永貞徳の『なぐさみ草』、秦宗巴の『つれづれ草寿命院抄』、林羅山の『埜』、加藤磐斎の『徒然草抄』(1661年、寛文1年)、北村季吟の『徒然草文段抄』(1667年、寛文7年)といった注釈書も書かれていく。また、『徒然草』に記された教訓町人などにも親しみやすく、身近な古典として愛読され、「大根の 武者これ屈強の 功の者」[注 3]などの川柳が作られるなど、江戸期の文化に多大な影響を及ぼした。

こうして『徒然草』は古典となり、文学史上の位置が確定した。

絵画

絵画化は近世に入ってからと見られ、寛永7年(1630年)刊の絵入版本が最古とされる。その後絵入の『徒然草』は広く愛好され、土佐光起住吉具慶如慶海北友雪といった当時一流の絵師の筆による絵巻、画帖が現存している。また、絵本や絵入版本も大量に作られ、今日でも数多く残る。

  • 海北友雪の「徒然草絵巻」(サントリー美術館蔵、全20巻)は、『徒然草』のほぼ全ての章段を絵画化した大作である。巻物で右から左へ段が進み、絵の横にその粗筋(短い段は全文)の文章が書かれている。
  • 上杉家には六曲一双の『徒然草図屏風』(上杉屏風徒然草[注 4])が現存する。徒然草から二十八の場面が描かれている。右隻第一扇・上(序段)から左隻第六扇・下(第百三十四段)まで[8]。段と段の間は金雲で覆われ、美しい衣装の長い黒髪の女性たちが登場する(第五扇・中)など他の「徒然草絵」に比べ、かなり華やかに描かれている。

解釈・評価

  • 江戸時代以降はもっぱら教訓書として読まれてきたが、国文学者の内海弘蔵は「趣味論者」兼好による「一大趣味論」と捉えている[9][10]。また、兼好の無常観、死生観を強調する見方もある。
  • 小林秀雄は「徒然草」という短いエッセイで、兼好の「物が見え過ぎる眼」を指摘し、本書を「空前の批評家の魂が出現した文学史上の大きな事件」と評価している[11]
  • 加藤周一は、『徒然草』の他に類を見ない顕著な特徴として、「心に移りゆくよしなしごと」を次々と書きとめることで、多面的でしばしば相反する思想を一冊の小著にまとめあげた点を指摘している[12]。この点において加藤は、『徒然草』にジェイムズ・ジョイスの「意識の流れ」の先駆を見ている。
  • 清水義範は『徒然草』を「日本の知的エッセイの基本形、知識人エッセイの原形」と評しており、「エッセイは「世の中の間違いを叱り飛ばす」形式で書くべきという思い込みに囚われている」と指摘している[13]。清水は「人間は皆、兼好が徒然草で喝破したように、毒を吐いて「けしからん」と言うのが愉しいのだ」と指摘する[14]
  • 橋本治は『徒然草』を「卜部兼好という青年」の人生のプロセス全体をなぞるように、30年以上の時間をかけて書かれたものではないかという前提に立ち、本作の魅力を「青春の哀切と達観した不思議なエネルギーとが一つになっているところ」にあると述べている[15]

現代語訳

叢書

絵本

漫画化作品

外国語訳

  • 英訳: The Tsuredzure Gusa of Yoshida no Kaneyoshi : being the meditations of a recluse in the 14th century / translated with notes by G. B. Sansom. (Transactions of the Asiatic Society of Japan, v. 39)Kelly and Walsh , Z.P. Maruya , Kegan Paul, Truebner , Otto Harrassowitz, 1911[16]
  • ドイツ語訳: Betrachtungen aus der Stille; Tsurezuregusa. Aus dem Japanischen übertragen, erläutert und mit einem Nachwort versehen von Oscar Benl. Insel, [1978][17]

脚注

注釈

  1. ^ 五味文彦も1330年を画期と捉えている[2]
  2. ^ 表記は新日本古典文学大系『方丈記・徒然草』(岩波書店、1989年)により、一部改変。
  3. ^ 「大根の精霊が武者となって筑紫の押領使を助ける段」(第六十八段)より。「功の者」と「香の物」をかけている。なお、この「大根の武者」の話は、テレビ東京系列『日本の昔ばなし』でもアニメ化されている[7]
  4. ^ 他の「上杉屏風源氏物語」「洛中洛外図屏風上杉本」などと区別するため。

出典

  1. ^ a b 川瀬一馬校注『徒然草』解説(講談社文庫、p310)
  2. ^ 五味文彦『増補「徒然草」の歴史学』角川ソフィア文庫、2014年、p308
  3. ^ つれづれ種(徒然草) - 乱鳥の書きなぐり”. goo blog. 2025年1月11日閲覧。
  4. ^ 「徒然」『日本国語大辞典』第二版(オンライン版)、2000‐2002年
  5. ^ 新日本古典文学大系『方丈記・徒然草』岩波書店、1989年
  6. ^ 廣田哲通「徒然草常縁本系統の一考察―章段配列を中心に―」『文学史研究』13、1972年、p49
  7. ^ 『ふるさと再生 日本の昔ばなし』第58回第1話(2013年5月12日放送)
  8. ^ 島内裕子「徒然草屏風の研究―「熱田屏風」と「上杉屏風」を中心に―」『放送大学研究年報』23、2006年、p18-19
  9. ^ 内海弘蔵「兼好が趣味論としての徒然草」[1](『徒然草評釈』1911年)
  10. ^ 三木紀人「徒然草研究史」『徒然草講座3』p33
  11. ^ 小林秀雄『モオツァルト・無常という事』新潮文庫、1961年、p64-65
  12. ^ 加藤周一『日本文学史序説(上)』p371
  13. ^ 清水義範 2009, p. 67.
  14. ^ 清水義範 2009, p. 68.
  15. ^ 橋本治『絵本徒然草』河出書房新社、290頁。ISBN 4-309-00632-9 
  16. ^ Transactions of the Asiatic Society of Japan. 39;1911 - 国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2022年10月10日閲覧。
  17. ^ 国立国会図書館オンライン | National Diet Library Online”. ndlonline.ndl.go.jp. 2022年10月10日閲覧。

参考文献

関連文献

書籍

単著
編著

雑誌論文

  • 重松信弘「徒然草研究史」『國語と國文學』第6巻6号、1929年6月。
  • 重松信弘「徒然草研究史(2)」『國語と國文學』第6巻7号、1929年7月。
  • 中村幸彦「徒然草受容史」『国文学・解釈と鑑賞』第22巻12号、1957年12月。
  • 住田千穂子「徒然草受容史の一考察」『中世文芸論稿』第2号、1976年4月。
  • 小沢良衛「徒然草と連歌師たち:受容史の視点から」『文学研究』第78号、1993年12月。

講座

  • 有精堂編集部編『徒然草講座』有精堂出版
    • 第1巻〈兼好とその時代〉1974年9月
    • 第2巻〈徒然草とその鑑賞(1)〉1974年7月
    • 第3巻〈徒然草とその鑑賞(2)〉1974年10月
    • 第4巻〈言語・源泉・影響〉1974年11月
    • 別巻〈徒然草事典〉1977年7月

関連項目

外部リンク

原文
現代語訳

徒然草

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 20:31 UTC 版)

ちりとてちん (テレビドラマ)」の記事における「徒然草」の解説

喜代美が好きな古典作品としても登場する『徒然草』(喜代美の高校時代古典授業と、喜代美が草原落語家復帰説得した際にこの設定登場)の冒頭部分の「徒然なるままに日暮らし」とヒグラシをかけている。ちなみに一家本名吉田で『徒然草』の作者である吉田兼好あわせている。

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