魔術結社〈薔薇の師団〉
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「機巧少女は傷つかない」の記事における「魔術結社〈薔薇の師団〉」の解説
約2000年前に設立された最古の魔術結社。ネロ皇帝の弾圧から逃れるために地下に潜ったキリスト教徒の集まりが始まり。10数人の〈薔薇〉と呼ばれる幹部が議決権を持つ。結社の目的は権力の抑止であり、現在は世界大戦の回避を目的としていた。しかし、〈薔薇〉の数人が金薔薇たちによって粛清され、世界大戦を引き起こす側に移った。 エドマンド 大英帝国の王位継承候補筆頭たる第一王子。髪・瞳・服装共黒で統一された妖しい美貌の青年。通称「黒太子(こくたいし)」。 機巧魔術万歳の当世を快く思っておらず、国内にありながら、王室に自治権を持つヴァルプルギス王立機巧学院とその主ラザフォードを「邪魔」と断じて憚らない。それを看過する父王や、英国との軍拡競争に明け暮れる各国も侮蔑と共に敵視しており、「英国の王権奪取を足掛かりに世界制服を成し遂げる」と嘯き、エヴァンジェリンの「絶対王権(マルチコントローラー)」で「自動人形エクスポ」に集結した数多の自動人形を手駒とし、機巧都市を血の海に変える大規模テロを巻き起こす。ブリュー家取り潰し事件の当事者でもあり、テロに先駆け、シャルの父・エドガーを利用し、「陸上戦艦」ダイダロスを建造、フランスの出展作品として機巧都市に運び込んでいた。誇大妄想じみた底知れぬ野望と自信に溢れながら、毛嫌いする機巧魔術にも造詣深く、使える物は抜け目なく利用し尽くす周到さを併せ持つ。雷真達の奇策により一度は目論見を潰され逮捕されたが脱走し、現在も暗躍を続けている。 敵味方含めて誰よりも雷真の実力を高く評価しており、惚れ込んでいる(本人曰く、「俺の雷真」)。〈絶対王権〉の事件以来何度も雷真の前に姿を現しては自身の側へ引きこもうとしており、その度に断られては悪質なちょっかいを出し続けている。「陸上戦艦」ダイダロス ブリュー伯爵設計による空中戦艦型自動人形。硬式飛行船のように浮力はガス嚢で推力はプロペラ。エドマンドは機巧都市鎮圧のための武力および拠点とした。強力な艦砲は勿論、「イヴの心臓」の知覚能力を利用した高度な魔術プログラムによる、遠方の映像投影や無線傍受の機能を持つ。空間の魔術回路「空間歪曲(フォースディメンジョン)」を搭載しており、一度発動すれば、次元の壁であらゆる砲撃・侵入者を寄せ付けない文字通りの不沈艦と化すが、「絶対王権(マルチコントローラー)」発動中のエヴァンジェリンが乗っていたことで、雷真達に「魔活性不協和の原理」による隙を突かれ、ケルビムの斬撃と夜々の「吹鳴絶衝〈ひさぎ太刀影〉」によって撃沈された。 イカロス 西洋甲冑を思わせる流線型の装甲に覆われた、コバルトブルーの人型ボディを持つ自動人形。ダイダロスの本体であり、魔術回路も同じ「空間歪曲(フォース・ディメンジョン)」。次元の壁による回避能力に加え、次元の断層によってどんな強固な物体も切り裂く攻撃力を発揮する。テロ収束後も脱走したエドマンドと行動を共にしている。シグムントがイカロスのことを知っていたことから、本来はブリュー家の所有する自動人形であった可能性がある。 朧富士/七號 花柳斎ブランドの乙女型自動人形。花柳斎の雷名を天下に知らしめた、富士演習場の地形を変えるほどの「怪物」だが、硝子からは美しくないという理由で失敗作扱いされている。 作品初期より日本陸軍近衛師団の所属としてその存在が仄めかされてきたが、なぜかエドマンドの自動人形として登場した。エドマンドのことを盲愛しており、その様は雷真に過激なアプローチをし続ける夜々を彷彿とさせるものがあり、さらにそれを凌駕するような変態的な発言を繰り返す。エドマンドからの扱いはかなりぞんざいである。また、エドマンド以外の者はどうでもよく、そのため指示に従わないことも多々あるなど人形としての性能はともかく性格に難がある。 魔術回路は〈天手力(あまのたぢから)〉。魔竜の〈魔剣〉と同じく宇宙の真理に関わる秘宝にあたる魔術で、重力を自在に操る。 ネイサン・ライコネン 十二年前の夜会を制した魔王。通り名は「焼却の魔王(ザ・クリムゾン)」 金髪に貴公子を思わせる整った顔立ちをもつ三十代の男性。若くして中将の地位にいる軍の将軍。同時に、英国の国外専門の諜報機関の設立に携わり、機関の初代長官に目される情報のスペシャリスト。通り名に相応しく炎に関係する魔術を操り、町一つを焼き尽くすことも容易い。また、小紫の高度な幻術を即座に見破る、雷真とグリゼルダの連携でもわずかな手傷を負わせるのがせいいっぱいだったなど桁はずれな実力を持つ。 英国軍の中枢にいながらエドマンドとつながりがあり、脱走したエドマンドとよく会っている。しかし、自身の意志でエドマンドに忠義し、その覇道を手伝っている。 グリゼルダが学生の時には、彼女の家庭教師を務め、グリゼルダが魔王になるのに貢献した。グリゼルダを軍に入れるために彼女のもとを訪れ、イプシロンを破壊するなどして脅しをかける。しかし、雷真の策とグリゼルダの抵抗によって不利な状況に追い込まれ、撤退する。 シグムント曰く、シャルロットは彼のファンであり、彼の記事を欠かさずスクラップしているらしい。 十巻にて『流星騒動で来賓に避難勧告を出さなかった』として査問を受けたエドワード・ラザフォードに代わり、学院に新学院長として乗り込み、マグナスの『戦隊』の一体・火垂を捕獲するが、雷真に奪還され、学院長の地位からも引きずり落とされる。学院からの帰りに雲雀に不意を打たれ、重傷を負った。フリスヴェルグ「すべてを呑み込む者」 ライコネンの自動人形。ルネサンス後期に製造された伝説級のアンティーク・ドール。固体のボディを持たず、不定形の炎そのもののような存在。 熱の魔術回路を搭載しているようで、強力な炎を操ることができる。ただし、ライコネンの身体を炎に変化させるなど単純に熱を操る能力ではないらしく、回路の詳細は不明。 アストリッド・セト / 金薔薇 オルガの実の祖母で育ての親。エドマンドとライコネンの義理の親。腐毒を操るセトの魔術を使用する。 神性機巧を手に入れるために戦争を起こし、その頂点に立とうと企んでいる。 最終的に雷真に体を斜めに切り裂かれて逃げた後、エドマンドに頭部を踏み砕かれて死亡したと思われたが、自らの身を瘴気としてエドマンドに憑き、復活の機を窺っていたことが16巻・下にて判明した。 穢土の瘴気で復活しエドマンドを殺害しようとするがアスタロトを連れてきたエドガーとライコネンに妨害され、最後にはアスタロトによって彼女の生体部品として封印された。完全なる獣(バハムート) 獅子型自動人形。「万物流転(パンタレイ)」の魔術回路を蔵しており、使用者の時間を加速させることができる。 クルーエルの狙撃を受けて大破する。 ローレライ 腹に女性が埋め込まれた鷲型自動人形。魔術回路はエヴァと同じく「絶対王権(マルチコントローラー)」。 女性はオルガの母親で金薔薇の実の娘。フレイとガルムたちによって「絶対王権(マルチコントローラー)」を無効化され、ロキによって破壊される。 セフィラ・バルゼル・アプラクサス / 黒薔薇 ドロシーの祖母(しかし、彼女は自身をお姉さまと呼ばせている)であり、彼女と同じく死霊術を使用する。 死にかけていた夜々やフレイの命を繋ぎ留めるなど、謎の行動を取っている。 アストリッドとは互いにババアと罵り合い喧嘩が多い。 グローリア / 銀薔薇 英国王妃でありながら軍の将軍職に就いており、第一機巧師団の司令官を務める。エドマンドにとっては継母に当たる。なにかにつけては、「このグローリア、社交界では四つの形容で知られています。若く、麗しく、情熱的で、何より○○(気短、厳格など)である、と」と自らを評している。 グリゼルダがかつて所有していた魔具である佩剣ストラトキャスターを所有している。イージス 女性型自動人形。 魔術回路は「魔防」。通常の防御壁としての使用のほかに、壁を敵と人形の間に築いて魔力伝導を遮るといった応用もできる。 土門 綺羅(どもん きら) / 紫薔薇 土門日輪の祖母。土門家の家長にして、いざなぎ一門の総元締め。 一門の大凶兆を避けるため『日輪を雷真の許嫁にする代わりに赤羽撫子を殺害する』約束を赤羽一門と交わした。しかし第3次世界大戦にて日本軍の開発した人形を使って赤羽一門が武勲を上げることを恐れ、赤羽一門が撫子を生かそうと謀ったことを口実に赤羽一門を全滅させた。さらにいざなぎ一門の権力を使い事件をもみ消した、雷真にとっては一族の直接の仇。
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