十字教
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 09:07 UTC 版)
「ヘヴィーオブジェクト」の記事における「十字教」の解説
『信心組織』内でも最大の勢力を占める宗教団体。2000年以上前から続く唯一神教であり、他宗教圏の土地へ広く布教し拡大した歴史を持つが、それ故『信心組織』の掲げる「古い宗教の復古」によって弱体化することを懸念している。
※この「十字教」の解説は、「ヘヴィーオブジェクト」の解説の一部です。
「十字教」を含む「ヘヴィーオブジェクト」の記事については、「ヘヴィーオブジェクト」の概要を参照ください。
十字教(じゅうじきょう)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 18:48 UTC 版)
「とある魔術の禁書目録の用語」の記事における「十字教(じゅうじきょう)」の解説
作中における世界最大の宗教。唯一神教。作中で主に登場するのはこの十字教である。架空の宗教だが、宗旨・用語・歴史背景や、衣装・道具・施設等のデザインなどはキリスト教がモデルとなっている(あくまでモデルであり、差異も多い)。 2000年以上昔に「神の子」によって始まり、当初はローマ帝国など多数派に迫害される側だったが、その後広く布教され一大勢力となり、逆に異教・異端を厳しく弾圧した歴史を持つ。「神の子」が自分の口で説法していた内容が、使徒の手によって書き記された事で「聖書」が生まれ、その聖書の解釈の仕方によって意見が分かれ、やがては国の風土や民族の事情などを汲み取り、様々な宗派へと発達していった。現在ではヨーロッパを中心に全世界に信徒がおり、旧教(カトリック)と新教(プロテスタント)を始めとしてネストリウス派・アタナシウス派・グノーシス派など、様々な教派に分かれている。中でも旧教に属する「イギリス清教」「ローマ正教」「ロシア成教」の3つが十字教三大勢力と呼ばれる。 本来、十字教としては魔術は禁止されているが、魔術師や魔女に対抗して戦うために、各宗派の実働部隊やトップは魔術を用いている。その場合の魔術は主に聖書の内容や偶像崇拝の理論などが用いられる(「必要悪の教会」など、元来の魔術師もいる)。また、聖書を利用する魔術は「大いなる存在」の足跡をなぞるが故に、奇跡の種類があらかじめ定められているという弱点がある。 「神の教えを信じる者を殺めてはならない」というルールがあり、これに則った「神の教えに背く者は罰しても構わない」という例外を言い訳として、過去には多くの虐殺を正当化してきた。罪人、魔女、背信などのルール違反を犯した人々は、「試された者は必ずレッテルを貼られるように決まっている」神明裁判を受けることになり、教会から縁を切られると同時に「神の敵」としてのレッテルを貼り付けられる。また、追放準備が済むまでの拘束期間は不用意に命を奪えないが、「殺さない限りは何をやっても大目に見る」という暗黙の了解が存在する。 死んだ人間の魂は天国、煉獄、地獄のいずれかに向かうとされるので、この世に留まる魂など存在しないことになっている。「神の子」や聖人の中でも歴史上トップクラスである十二使徒などの手によって生き返った人間の話は例外であり、ジャック・オー・ランタンのようにごく稀に(本物の)さまよえる魂が出現することもあるが、それらは「天国へ行く資格もなく、地獄からも締め出された」罪人の魂であると判断される。最後の審判では肉体が必須なので、体を燃やしてしまえば神に救われないという理屈から、火は昔から遺体損壊と名誉剥奪に用いられてきた。 相容れなかった様々な古い宗教の神々は、悪魔の一分類である邪神や、無力化・矮小化され人間に寄り添う妖精として登録し直されている。逆に異教の英雄を十字教の守護聖人として取り込む事もあった。 宗派 イギリス清教(イギリスせいきょう) イギリスに拠点を置く十字教の一派。イギリスの国教。「必要悪の教会(ネセサリウス)」などの内部機関を擁する。詳細は「イギリス清教」を参照 ローマ正教(ローマせいきょう) バチカンに拠点を置く十字教の一派。十字教最大勢力。詳細は「ローマ正教」を参照 ロシア成教(ロシアせいきょう) ロシアに拠点を置く十字教の一派。ロシアの国教。トップは総大主教のクランス=R=ツァールスキー。現実世界のロシア正教会(正教会)に相当する。 「幽霊狩り」に特化し、心霊現象の解析や解決を専門とする団体。十字教の死生観をもとに、地上で「生者を語る何者か」は全て「死の哀しみに付け入る偽物」であると考え、ジグソーパズルの欠けたピースのように「消失する事で出現する作用」などと定義し、生者を騙る者はすべからく死すべき者という結論から、本物だろうが偽物だろうが、地上をさまよった時点で悪として「一緒にまとめて処分する」。特殊部隊「殲滅白書」や、心霊現象の発現場所を原寸大に再現する「現象管理縮小再現施設」などを有する。 三大勢力の1つだが、規模としては他の2派に劣る。学園都市とローマ正教の抗争では、利を得るためにローマ正教側に与した。殲滅白書(Annihilatus) ロシア成教が誇る魔術戦闘特化部隊。ワシリーサがまとめ役をしている。専攻分野は人間以外の「あらざる者」の殲滅で、ロシアでは一切禁じられている魔術の行使もためらわない。しかし、対象出現エリアを遺跡ごと吹き飛ばし、地形を大きく変化させる事も珍しくないため、文化財を守ろうとする一部の国家からは入国を制限されている。魔術師同士の単体戦闘能力では「必要悪の教会」に劣る。 現象管理縮小再現施設 ロシア成教が「問答無用で敵を倒す」ための捜査情報を手に入れるために作り上げた建造物の集合体の名称。事件が起きた際には、「容赦がない」とされるほどの徹底的な緻密ぶりで現場と全く同じ施設を原寸大で作り上げる。当初は1件2件の物件だったものが、その周りに次々と新たな「参考物件」を築き続けたせいで、現在は街の2つ3つが丸々収まるほどの広さに膨らんでいる。 一番の古株にあたるとある宮殿を模した建物には、施設の小道具として完璧に再現された「写本」が存在しており、魔導書図書館でもないのに「写本」の数が多い事でも有名。 リミッターを外せば、人間が扱うロシア成教の魔術に対しても適用させられる事から、第三次世界大戦終盤ではフィアンマが利用した術式を逆算するシミュレートに使われた。 完全なる知性主義(グノーシズム) 十字教最初の異端宗派(マーヴェリック)。セフィロトの樹の概念における「神の領域」が人間に理解できないのならば、人間を超えた肉体を手に入れれば良いという教義を持つ宗教体系で、人間は精製途中の神であり、己を鍛え上げる事で神の肉体を手に入れ神の業を自在に操る事ができると謳う。錬金術における「大いなる業」も系統としては同じ。道を外れたオカルト側の人間に好まれやすく、古くは十二使徒ヨハネさえも危険視した。 天草式十字凄教(あまくさしきじゅうじせいきょう) 日本にある十字教の一派。現在はイギリス清教傘下。詳細は「イギリス清教#天草式十字凄教」を参照 関連用語 神の子(かみのこ) 十字教の創始者であり、十字教における唯一神と同一の存在とされる信仰対象。キリスト教におけるイエス・キリストに相当する。2000年以上前に生まれ、全人類に与えられた「罪」を一手に引き受け、たった1人で抹消するために、十字架で磔刑となり復活した逸話が有名。 生まれつき人と神と聖霊の子である。厳正な世界のルールそのものであり、信じる者は救われるが、規律を破る者には相応の厳罰を与える存在でもある。 聖人(せいじん) 生まれながらにして神の力の一端(「天使の力」)を宿した人間。世界に20人程度しか存在しない。社会への貢献度をベースとした順位が存在する。 「偶像崇拝の理論」によって、「神の子」に似た身体的特徴や魔術的記号(聖痕)を持つ事で発現する先天的体質。身に宿す力を引き出すことで超人的な力を使うことができ、素手で建造物を破壊する程の怪力、音速以上で動くことができる高速運動、その他反射神経・耐久力・精神力等も異常に高いなど圧倒的な身体能力を持つ。また卓越した魔術の技能も有し、平常時でも幸運などの加護が付加される。 ただし、これらは単純な馬鹿力のような安易に行使できる力ではなく、あくまで「天使の力」を使った肉体強化の魔術に過ぎず、制御の為に高度な精密作業を必要とする。さらに、得ている力を100%引き出すと莫大な過負荷がかかり肉体が粉砕するため、部分的にしか扱うことができない。また、「神の子」の力と共に「神の子」の弱点も受け継がれているため、処刑・刺殺の要素を含む魔術とは相性が悪い、集団に囲まれて捕まる、仲間に裏切られる、人の手で殺される、嘘が苦手、といった脆い面もそのまま継承しているとされる。なお、聖人は単に魔術的資質を持っただけの人間でしかないので、能力者のような「才能ある人間」とは異なる。 その戦力と希少性ゆえに、魔術サイドの組織間においては核兵器に匹敵する戦略価値を持つと言われる。ただし、あまりに強大過ぎる戦力ゆえに組織に入る必要性は薄く、大半の聖人は無所属で活動している。現在までに登場した聖人は神裂火織、アックア(ウィリアム=オルウェル)、シルビア、ブリュンヒルド=エイクトベルの4人。 「神の子」以外にも、その生みの親であり史上最大の聖人とされる聖母の力も同様の原理で得ることが可能で、アックアは神の子と聖母、両方の特徴を兼ねた二重聖人である。聖人となる人間はランダムのため、ブリュンヒルドのように十字教徒でない者がなる場合もある。また、聖人の可能性がある人物は「聖人判定」という、その資質を見極めるための監視の対象とされる事もある。 アレイスターによれば、十字教各宗派が「聖人」に重きを置くのは常人より「神の子」に近づいたからではなく、過去の文献の中で明確に処刑・死の手法が示されているため。個人の信念が組織の思惑を超えたとみなされた時、迅速にブレーカーを落としてドロップアウトさせることができる「都合の良い奇跡」だからとしている。聖母 「神の子」を生むという最大の奇跡を起こした聖人。キリスト教の聖母マリアに相当する。十字教のナンバー2で、史上最大の聖人だけあって強大な力を持つ。 その特徴は「厳罰に対する減衰」で、正真正銘の人の子でありながら、神の領域に深く踏み込んだ稀有な存在であることから、「圧倒的な慈悲の心をもって、厳罰に苦しむ人の直訴を神に届ける役割」を得、厳正にして的確なる最後の審判すら歪め、魂を天国と地獄に送り込む道標をも変更させるとされる。聖母に祈り聖母が叶えた「奇跡の報告」も多く、ローマ正教上層部が聖母崇拝だけで独立する事を懸念するほどの信仰を集めている。 また、「神の子」を産む媒体として聖霊と深く接触したことで、いわゆる「無原罪の宿り」によって例外的に「原罪」が消えている。この「信仰を貫く」以外の裏技的な術式を利用して、「神の右席」は不完全とはいえ「罪」を可能な限り薄める事に成功した。 聖ペテロ 十二使徒の一人。キリスト教における聖ペトロに相当し、聖ピエトロや聖ピエールの別名でも呼ばれる。 主から十字教の行く末を直接その手で授かった最初のローマ教皇であり、天国の鍵を預かった者だと伝えられる。遺産である広大な土地の上に遺体を埋めて十字架を立て墓とする事によって、教皇領バチカンを作った事から、バチカンの所有者とも言える。また、「悪魔の力を借りて空を飛ぶ魔術師」シモン=マグスを主に祈るだけで撃墜した逸話を持ち、その伝承から十字教圏で発達したのが「撃墜術式」である。 聖痕(スティグマ) 純化した肉体が「神の子」とシンクロした際ひとりでにつけられる、2000年前の磔刑で負ったものと同種の傷。聖人の証とされる印でもある。 天使(てんし) 十字教における神の使い。異種高次生命の一種で、高濃度かつ膨大な「天使の力」で構成されたエネルギーの塊。人格や自意識は持っておらず、神の命令や目的を機械的に遵守するよう行動し、作中ではプログラム通りに動くラジコンのように説明されている。混線して命令を受け付けなくなると暴走し、いわゆる「悪魔(堕天使)」となる。 「神の子」の死後に人の前に現れなくなった「神」の代わりに、その手足としてかなりの頻度で人の前に出現している。総数は結構なものがあるらしく、とある神学者は9つのグループに分ける必要に迫られたほど。また、神の子を無視して天使崇拝が過熱していた時代があり、教皇ザカリアスが歯止めをかけるまで、聖書に一度も登場した事のない天使が人の手で粗製濫造された歴史がある。 その暴威は天災以上であり、その気になれば世界全土を容易に滅ぼせるほどの絶大な力を持つ。作中でも最強クラスの戦力を誇り、天使に対抗できる実力を持つ人物はごく僅かしかいない。それゆえ作中では、しばしば途轍もない強大さを示す目安として引き合いに出されたり、天使や天使に準じた力を目標とした魔術も登場している。 作中で実際に登場したのは「神の力(=ミーシャ)」だけだが、他の四大天使を始めとして無数の天使の存在が言及され、その名称や役割、伝承における活躍などは、下記に示す通り現実の宗教で語られている天使と同様である。なお、AIM拡散力場で構成されたヒューズ=カザキリも人工の天使と表現され、また他にも天使に類似した存在や天使と似た力を振るう者がおり、天使やそれらは共通してノイズが混じった人外の言語を話す。神の力(ガブリエル) 四大天使の一つ。後方と青色を司る水属性の大天使。月の守護者でもある。天使の中では神話上で唯一女性形で描かれる存在。 ソドムとゴモラを火の矢の豪雨で焼き尽くした攻撃的な面を持ち、聖母に受胎告知を行った伝令の天使であるため、扱う攻撃もそれらの伝承に則っている。 作中では「御使堕し」やフィアンマの召喚により、ミーシャ=クロイツェフとして不完全な形でこの世に顕現した。 神の火(ウリエル) 四大天使の一つ。前方と黄色を司る風属性の大天使。 聖書に記されていなかったため、ザカリアスによる糾弾を受けて破門され、悪魔として地の底へ落とされたことがある。 神の薬(ラファエル) 四大天使の一つ。左方と緑色を司る土属性の大天使。 神の如き者(ミカエル) 四大天使の一つ。右方と赤色を司る火属性の大天使。全ての天使の中で最も強く、天使の軍団を率いる天使長でもある。「光を掲げる者」の対として生み出され、右手の武器で「光を掲げる者」を打ち倒し、最大級の堕天使を1000年縛ると伝えられる。また、大天使であると同時に、守護聖人としても登録されている。 光を掲げる者(ルシフェル) かつて神の右側に座った唯一の天使にして、天界にて戦争を引き起こし「神の如き者」に倒された最大級の堕天使。 十字教で「右側」は「対等」を意味している事から、一部の異端宗派では唯一無二の神と対等の座に下僕である天使を置く事には何らかの意味があると考えている。 悪魔 「天使の力」とは似て非なるエネルギーで構築される異種高次生命。作中では「妨げる者(サタン)」「蠅の王(ベルゼブブ)」などが挙げられる。その本質は囁く者、妨げる者であり、闇雲に人を遠ざけるのではなく、招き、誘い、役に立って、成功と繁栄を思う存分与えてから、目の前で全てを奪って一気に地獄へ落とす存在。悪魔という言葉には、人の心の暗い側面、堕ちた天使、異教の神といったいくつかの意味が内包されている。 適切な作業を施す事で、小分けして矮小化できるという性質がある。また、悪魔を引き剥がし、災いを取り除き、平穏が帰ってきた事の「象徴」である、十字架に祈る聖マルガリタ伝承の「踏みつける」行為を受けると、超重力にも似た「封」をねじ込まれてしまうほか、西旗のような追儺の象徴武器にも弱い。 原罪(げんざい) 旧約聖書で語られる、アダムとイヴが知恵の実を食べた事によって得た「罪」。世界全人類がアダムとイヴの子で、彼らが「原罪」を背負う以上、その性質は子にも受け継がれている。新約聖書では「罪」を抹消するために、「神の子」が処刑されたとしている。この事から、十字教では信仰を貫く事で「原罪」を打ち消し、「最後の審判」の後に神の手によって作られた「神聖の国」へ導かれる事が真の幸福であり、人間の最終目標だとしている。
※この「十字教(じゅうじきょう)」の解説は、「とある魔術の禁書目録の用語」の解説の一部です。
「十字教(じゅうじきょう)」を含む「とある魔術の禁書目録の用語」の記事については、「とある魔術の禁書目録の用語」の概要を参照ください。
- 十字教のページへのリンク