歴史背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 09:22 UTC 版)
1980年代から1990年代初頭にあっては、パソコンは家庭向け・ホビーユースの物と、事務や製図・各種制御用に用いられる物とにはっきりと分かれており、家庭向けを意識した製品では、高性能なCPUによる高速な計算能力や、潤沢なメモリやハードディスク装置の搭載といった多くの記憶容量よりも、FM音源による豊かな音楽表現や、多くのVRAMやスプライト機能・ハードウェアスクロール等による表示機能を強化したものに人気が集まった。 8ビットパソコンの時代では、中でもコンピュータゲームでの表現力の強化がユーザーに強く望まれていたため、それに特化した製品はよく売れている。これらの中にはパソコン御三家と呼ばれたパソコンの中でも、FM音源を標準的に搭載した後期機種が人気を集め、日本でのパソコン市場の寡占化を発生させた。 この時代には家庭用ゲーム機は、子供の玩具と見なされ、あまり高価な製品を買う人もおらず、また子供の玩具にはさほど市場性もないと考えられていたため、メーカー側も敢えて高価で高性能な機種は開発せず、安価で低機能な製品を発売、消費者もそれに満足していた。中には今日以上に高価な製品を投入したメーカーも在ったが、それらは大きなブームを興せず終わっている。 この時代を通して、特に高価で高性能なゲーム機を求める、経済的にも余裕のある向きは、おおむね家庭向けのパソコン=ホビーパソコンを購入することで満足していた。またこれらホビーパソコンには、個人経営の小さな所から、今日の家庭用ゲーム機向けゲームソフト制作メーカーの興りとなった企業まで、さまざまなソフトハウスより、多種多様なゲームが発売されていた。この時代にはこれらホビーパソコンが、青少年向けの高価な玩具だったことからエロソフトと呼ばれる性的興奮を目的とした物も発売されるにいたって、家庭用ゲーム機との明確な市場性の違いも発生した。 その一方で、今日では普遍的に利用されているDTMにも、早い段階からその可能性に注目し、利用する人もあって、メーカー側から同種の用途に即した機種も発売されている。 長らくは「そこそこの低価格」で「家庭用ゲーム機を凌ぐ性能」を持っていれば売れたため、8ビットパソコンであることが多かったが、後に家庭用ゲーム機も高性能化が始まった辺りから、16ビットパソコンへの変更が始まった。この時代には、8ビットパソコン時代の資産が完全に切り捨てられたため、古い機種の愛好者等は、従来のソフトウェア資産を利用するために、旧式な機種をいつまでも保管しておくなどの対策に走った。 今日では、これら旧時代の資産を活用するために、現在のWindowsやMacintoshのパソコンなどでこれら資産を実行するエミュレータの開発が、一部マニア間で盛んである。 8ビット機全盛時代には雑誌や入門書に各機種向けBASICや機械語のプログラムソースコードが掲載され、ユーザーが自分で入力して楽しんでいたが、8ビットパソコンにフロッピーディスクドライブが標準搭載され、やがて16ビットパソコン時代を迎える頃にはBASICではまったく性能を活かせず、機械語のプログラムソースコードは膨大な量となり、それを入力するという行為自体が成立しなくなった。その頃にはパソコン通信が普及し、プログラムは電話回線を通じて送受信されるようになった。
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