民主主義 民主主義の概要

民主主義

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/23 14:11 UTC 版)

エコノミスト民主主義指数による2020年の世界の民主主義のデ・ファクト(事実上)の状態[1]。濃い緑が最も民主的(指数10)、濃い赤が最も非民主的(指数0)
2020年の世界の民主主義のデ・ジュリ(法律上)の状態。民主主義と自称していないのは、サウジアラビアアラブ首長国連邦カタールブルネイバチカンのみ。中国や北朝鮮、ラオスは自国を人民民主主義国家と憲法で主張している。

古代ギリシャに由来し、近代では市民革命によって一般化した政治の形態・原理であり[3][4][注 1]、民主主義に基づく社会は《市民社会ブルジョア社会・近代社会》などと呼ばれる[5][6][7]。民主主義では支配権威民衆由来であり[2]近代現代国民主権では一般に、政治的権威は国民に由来すると見なされている[8][注 2]日本国憲法前文にも「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し」ているとある[11][注 3]

民主主義は「君主政治」や「貴族政治」と区別されており[14][注 4]、「君主制」や「神政政治」などと対照的であるとされている[2][注 5]

民主主義や民主制を、国の基本的な原則として重視する国家のことは民主国家と呼ばれている。


注釈

  1. ^ デジタル大辞泉』原文:
    みんしゅ‐しゅぎ【民主主義】
    人民が権力を所有し行使する政治形態。古代ギリシャに始まり、17、18世紀の市民革命を経て成立した近代国家の主要な政治原理および政治形態となった。[3]
    ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』原文:
    民主主義

    政治一般,政治原理,政治運動,政治思想などの形態の一つ。語源は demos (人民) と kratia (権力) とを結びつけたギリシア語の demokratiaで人民が権力を握り,みずからそれを行使する政治を意味した。 … 民主主義は,古代においては愚民政治ないし暴民支配を意味するものとして,しばしば嫌悪され,望ましい政治形態として受入れられるにいたったのは近代においてである。[4]
  2. ^ 法学修士社会科学科教授の荻野雄[9]学術論文によると、リンカーン大統領の「人民の政府(government of the people)」という言葉はその表現例であり、人民が権威を委任した政府を意味している[10]。このような民主的体制は立憲主義下にあり、すなわち憲法は「最高権力者である国民の意志の表れ」として絶対的に尊重されねばならないと荻野は言う[10]
  3. ^ 法学部教授芦部信喜[12]法学書『憲法』によれば、法の前文はその法の目的精神を述べる文章であり、憲法前文は憲法制定の由来と目的・決意などを表明する例が多い[13]
  4. ^ 『精選版 日本国語大辞典』原文:
    みんしゅ‐しゅぎ【民主主義】
    人民権力を所有するとともに、権力をみずから行使する政治形態。権力が単独の人間に属する君主政治や少数者に属する貴族政治区別される。狭義には、フランス革命以後に私有財産制を前提とした上で、個人の自由万人の平等法的に確定した政治原理をさす。[14]
  5. ^ 百科事典マイペディア』原文:
    民主主義【みんしゅしゅぎ】

    支配の権威民衆に由来し,その意味で支配者と被支配者が同一であるという主義,あるいはその原則にたつ政治体制(民主制)。君主制神政政治などと対照的。〈民衆の福祉のために〉という啓蒙君主制民本主義も民主主義ではない。[2]
  6. ^ 条文番号は編別ではなく通番。
  7. ^ 意訳を含め、良い政体を民主政、悪い政体を衆愚政治とする出典も存在する(浅羽 p57、など)。

出典

  1. ^ Democracy Index 2017 – Economist Intelligence Unit”. EIU.com. 2018年2月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月17日閲覧。
  2. ^ a b c d e f 平凡社 2019, p. 「民主主義」.
  3. ^ a b c d e 松村 2019c, p. 「民主主義」.
  4. ^ a b c d e ブリタニカ・ジャパン 2019, p. 「民主主義」.
  5. ^ 松村 2019a, p. 「近代社会」.
  6. ^ 松村 2019b, p. 「市民社会」.
  7. ^ 小学館国語辞典編集部 2019a, p. 「近代社会」.
  8. ^ 荻野 2021, p. 79,76.
  9. ^ 荻野 雄 (Takeshi Ogino) - マイポータル - researchmap”. 2022年9月25日閲覧。
  10. ^ a b 荻野 2021, p. 79.
  11. ^ 荻野 2021, p. 81.
  12. ^ 芦部 & 高橋 2019, p. 奥付.
  13. ^ 芦部 & 高橋 2019, p. 35.
  14. ^ a b 小学館国語辞典編集部 2019b, p. 「民主主義」.
  15. ^ Demokratia, Henry George Liddell, Robert Scott, "A Greek-English Lexicon", at Perseus
  16. ^ 杉田 p14
  17. ^ 統一日報 : 歴史を変えた誤訳-‘民主主義’”. 統一日報. 2022年7月3日閲覧。
  18. ^ Democratism : Explaining International Politics with Democracy Beyond the State (New Horizons in International Relations series)” (日本語). 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア. 2022年7月3日閲覧。
  19. ^ この項、陳力衛「「民主」と「共和」」(成城大学経済研究 2011.11)[1][2]から、「民主」という語の履歴について解説する目的で引用した。
  20. ^ a b c d 宇野p194-195
  21. ^ 草の根民主主義 - コトバンク
  22. ^ 佐瀬昌盛 『西ドイツ戦う民主主義 ワイマールは遠いか』PHP研究所、p167、1979年。ISBN 978-4569203171
  23. ^ a b 宇野p28-29
  24. ^ a b 宇野p15-43
  25. ^ 浅羽 p60-61
  26. ^ 浅羽 p64
  27. ^ 浅羽 p65-66
  28. ^ 浅羽 p66-67
  29. ^ a b 浅羽p68-71
  30. ^ 山本浩三、「一七九一年の憲法(一)訳」『同志社法學』11巻 4号、同志社法學會、124-136頁、1960年1月20日、NAID 110000400935
  31. ^ 山本浩三、「一七九三年の憲法(訳)」『同志社法學』11巻 6号、同志社法學會、103-112頁、1960年3月20日、NAID 110000400948
  32. ^ The Polity IV project
  33. ^ United Nations General Assembly Session 62 Resolution 7. Support by the United Nations system of the efforts of Governments to promote and consolidate new or restored democracies A/RES/62/7 page 3. 8 November 2007. Retrieved 2008-08-23.
  34. ^ a b 佐々木 p15-21
  35. ^ トゥキディデス『戦史』(久保正彰訳、岩波文庫)第2巻37、41より
  36. ^ a b 野上p30-46
  37. ^ 民主主義が独裁政治へ転落する道とは 2400年前に指摘されていたシナリオ:朝日新聞GLOBE+” (日本語). 朝日新聞GLOBE+. 2022年4月11日閲覧。
  38. ^ a b 佐々木 p31-36
  39. ^ a b 宇野p15-22
  40. ^ a b 野上p148-150
  41. ^ 野上p131-132
  42. ^ a b 宇野p32-36
  43. ^ 野上p12
  44. ^ a b 佐々木 p40-44
  45. ^ 浅羽 p62-63
  46. ^ 『ジョージ王朝時代のイギリス』 ジョルジュ・ミノワ著 手塚リリ子・手塚喬介訳 白水社文庫クセジュ 2004年10月10日発行 p.8
  47. ^ a b 浅羽 p63-65
  48. ^ #中里 p185-201
  49. ^ a b 佐々木 p45
  50. ^ #中里 p206-211
  51. ^ a b 浅羽 p65-66
  52. ^ 野上 p66-69
  53. ^ 浅羽 p75
  54. ^ 浅羽 p75-76
  55. ^ a b 野上p55-58
  56. ^ 野上p95
  57. ^ 『国家と革命』 - 日本大百科全書(ニッポニカ)、世界大百科事典、他
  58. ^ ウラジーミル・レーニン『国家と革命』第3章
  59. ^ ウラジーミル・レーニン『国家と革命』第1章
  60. ^ a b 浅羽 p80-81
  61. ^ a b c d e f g h 浅羽 p80-89
  62. ^ a b c 浅羽 p86-89
  63. ^ a b c d e f g h i j 浅羽 p89-97
  64. ^ a b c d e f 浅羽 p122-143
  65. ^ 浅羽 p149-158
  66. ^ a b 佐伯 p103-109
  67. ^ a b c 宇野p20
  68. ^ 国連憲章の改正 - 国際連合広報センター
  69. ^ a b 浅羽『右翼と左翼』 p88-92
  70. ^ 第2版,世界大百科事典内言及, 日本大百科全書(ニッポニカ),精選版 日本国語大辞典,旺文社世界史事典 三訂版,百科事典マイペディア,デジタル大辞泉,世界大百科事典. “人民民主主義とは” (日本語). コトバンク. 2022年8月20日閲覧。
  71. ^ 小項目事典, 日本大百科全書(ニッポニカ),ブリタニカ国際大百科事典. “自由からの逃走とは” (日本語). コトバンク. 2022年8月20日閲覧。
  72. ^ ドイツ連邦共和国における政党禁止の法理 早稲田大学
  73. ^ a b シュミット p114-125
  74. ^ a b c 浅羽 p159-164






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