硬性憲法
硬性憲法(リジッド・コンスティチューション)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 22:10 UTC 版)
「硬性憲法」の記事における「硬性憲法(リジッド・コンスティチューション)」の解説
ブライスによれば、硬性憲法は歴史的に新しいものであり、19世紀からは多くの国で採用されてきた。始まりは17世紀北米の植民地である。硬性憲法が生まれるのは、政治的権利を持つ市民がそれを守ろうとする動機で立法するとき、または連邦が作られるときがある。他には、 君主により、君主の都合のため、あるいは権力の乱用を防ぐために 解放された国で 新しい集団 連合をよりタイトな連邦にするとき(United States of North America等) がある。 硬性憲法の改正には、主に次の四種類の方法がある。 議会で、特殊な方法で 改正のための特殊な会議体により 各州の代表で決める 直接投票 多いのは1に4をプラスした方式である。 硬性憲法の安定性は、相対的な改正の難しさによる。硬性憲法を、それ以外と明確に区別できる特徴は、通常法に対する優越である。すなわち変更不可性である。また硬性憲法は定義が明確であり、安定している。硬性憲法は、それに対する違反を見つけやすい。 硬性憲法は普通の市民が理解できるものであり、政府に関することが書かれている。しかし、硬性憲法に全てが予期され網羅されることは無理であり、省略または曖昧さがあるものである。それらは次の三種類に大別できる。。 立法府が行政、司法、州の領域を侵すか? →これに対しては、改正が必要となる。 立法府の権限を越えることか? →これに対しては、立法するか、行政に任せるか 意味が疑わしい場合 →これに対しては、解釈、立法で対応される。それらは、実際のところ、硬い幹に生じたフレキシブルな、「やどりぎ」である。 ブライスによれば、硬性憲法は鉄橋のように堅固ではあるが、風雨を受け限界を超えてしまうと壊れて、革命・内戦となる可能性がある。風雨に相当する状況の変化への対策として、改正が必要になるものである。しかし、硬性憲法の場合、必要とされる多数を得るのは難しい。改正に対する反対派は、手の込んだ手続きという城壁の向こうで守りを固め、コミュニティの安全に必要な変更を避けることに成功するだろう。結果として、安全のための規定が危険なものとなる。 硬性憲法では、緊急のため拡大解釈(Extensive Interpretation)が必要であり、それは実際、言い抜けに等しいようなものとなる。それは衆望には軽い衝撃を与えるだろう。そのような拡大解釈が必要であるため、解釈権が誰にゆだねられるかが重要である。解釈はイギリス、アメリカでは法廷にゆだねられ、ローマ系では立法府にゆだねられる。スイスの最高裁は(19世紀に)純粋に政治的な事項(purely political cases)であるとして判決を拒否したことがある。 歴史の経験が示すところによれば、世論(public opinion)が強く立法の先導する方向を好むならば、法廷もそれを受けて、立法の結果を有効とする。このような状況は、新しい行政課題において発生しやすい。そこに危険はあるが、世論と確立した伝統だけが危険を防ぐ。コンスティチューションが硬性憲法であるならば、フレキシビリティは裁判官の心(the minds of the Judges)から、補充しなければならない。
※この「硬性憲法(リジッド・コンスティチューション)」の解説は、「硬性憲法」の解説の一部です。
「硬性憲法(リジッド・コンスティチューション)」を含む「硬性憲法」の記事については、「硬性憲法」の概要を参照ください。
硬性憲法と同じ種類の言葉
- 硬性憲法のページへのリンク