キクユ語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/15 13:39 UTC 版)
キクユ語(キクユご、英: Kikuyu)またはギクユ語(ギクユご、Gikuyu)、ゲコヨ語(ゲコヨご、Gĩkũyũ; 原語名: Gĩgĩkũyũ または Gĩĩgĩkũyũ [ɣèèɣèkójó][2][注 1])はケニア周辺に住むキクユ族の言語で、大西洋・コンゴ諸語(Atlantic–Congo)の狭義のバントゥー諸語に属する。
注釈
- ^ ナイロビ方言。ただしこれは孤立した状態での発音であり、キクユ語の他の名詞と同様前後に他の単語が存在するか、存在する場合にはどのような種類のものであるかによってアクセントが変化する(参照: #アクセント)。
- ^ a b キリニャガとはケニア山のことであるが、厳密には Kĩrĩnyaga と綴られ、ケレニャガという発音である[8]。
- ^ 基本的には歯音だが、地域により歯茎音となる[12]。
- ^ 無声歯茎硬口蓋摩擦音 [ɕ] として現れる場合もある[9][13]。
- ^ この例においては {-kaa-} とこれに続く形態素 {-ũk-} の両方に /k/ が含まれているため、先に位置する /k/ が /ɣ/ に変化する子音調和も生じている。
- ^ Kagaya (1981) は Armstrong (1940) が調査を行った方言をキアンブ方言であると述べているが、実際にケニヤッタの出身地は現代ではキアンブ県となっている。
- ^ ただしこの語は Benson (1964) ではクラス1で、〈サーバル〉を意味するとされている。なお、Armstrong (1940) と 湯川 (1981) は mũgate と同じアクセントの型に分類している。
- ^ Armstrong (1940) 巻末の語彙集には見られない。
- ^ Armstrong (1940) 巻末の語彙集には見られない。
- ^ ただし Benson (1964) ではクラス3とされている。
- ^ ただし Benson (1964) ではクラス2とされている。
- ^ Armstrong (1940) 巻末の語彙集には見られない。nyamũ〈動物〉の指小形にあたる語である。
- ^ なお、前後の文脈により名詞の声調パターンが変動する現象に対して基底形を導き出すことにより説明を試みることは、ほかのバントゥー語の研究においても行われている。たとえば梶 (2003:16-19) におけるハヤ語(Haya)を参照。
- ^ 英: downstep。声調素(英: tonemes)の高さに2段階あるいは3段階の差が見られる現象[32]。ある点を境界としてそれよりも前の声調素が全て同じ高さとなるが、境界より前の声調素が全て低いものである場合その連続する声調素は一律に高いものとなる上、境界より後の声調素は元々の高さの差を保ったまま一律に低いものとなる[32]。IPAにおいてダウンステップは ꜜ あるいは ꜝ により表される。たとえばキクユ語において ti irigithathi〈長子ではない〉と言う場合の irigithathi の声調パターンは「高高 ꜝ 高低低」である[33]が、これは最も低い声調を持つ音節を「1」とした場合「33211」となるという意味である。なお、Beckman & Pierrehumbert (1986) のように日本語にもダウンステップが見られると主張する研究が存在する。
- ^ 英: floating tone。特定の音節など(より厳密には「声調を担う単位」 (英: tone-bearing unit))と結びつかない声調。アフリカの複数の言語において見られ[34]、カメルーンのバントゥー語の一つであるイェンバ語(Yemba; 別名: Dschang Bamileke)[35]などのように言語によっては独立の形態素として機能する事例も見られる[36]。
- ^ 少なくともキアンブ方言に基づく湯川 (1988b) では i- であるとされている。
- ^ 動詞の不定形に用いられる。#-a を用いる活用形を参照。
- ^ a b c ただし、分類の仕方は Benson (1964) のものに従った。#クラスを参照。
- ^ 主にリンディ州(英: Lindi Region)に暮らすムウェラ族の言語。リンディ州の南西部と接するルヴマ州(英: Ruvuma Region)でもムウェラ語 (en) (Mwera; ISO 639-3: mjh)と呼ばれるバントゥー語が話されているが、これは別の言語である。
- ^ 既に述べたように「近過去」形の否定は「近い過去」として括られるが、これは -ire ではなく -a を用いる活用形となる。
- ^ 既に述べたように「今日の過去」形の否定は「近い過去」として括られるが、これは -ire ではなく -a を用いる活用形となる。
- ^ 既に述べたように、同じく語尾が -a となる活用形をとる「たった今の過去」のほか、語尾が -ire となる活用形をとる「遠過去」や「近過去」、計3種の否定にあたるものである。
- ^ 主にニェリ方言で見られる。
- ^ 後続する音素の違いにより、様々な形をとり得る。たとえば動詞語幹と接する「今日の過去形」などの場合、語幹冒頭が子音で h・m・n・ny・th のいずれかであれば「直前の母音の延長+語幹冒頭の子音」、b であれば mb、c であれば nj、g・kのいずれかであれば ng、r・t のいずれかであれば nd として現れる(例: nĩĩmenire〈私は(今日)軽蔑した〉(< kũmena〈軽蔑する〉)、nĩndorire〈私は(今日)見た〉(< kũrora〈見る〉))[49]。語幹が母音で始まる場合は、最初の子音が m・n・ny・ng'・子音前鼻音(参照: #子音)のいずれかである場合は「直前の母音の延長+ny」、それ以外は nj として現れる(例: nĩĩnyenjire〈私は(今日)剃った〉(< kũenja〈剃る〉)、nĩnjaririe〈私は今日言った〉(< kũaria〈言う〉))[49]。
- ^ いずれも Benson (1964) の分類による。#クラスを参照。
- ^ 英: applicative。充当態(applicative voice)を参照。
- ^ この文の出典は Benson (1964:366)、ragũrĩra の項より。ragũrĩra は ragũra〈占う〉の充当態と説明されている。
- ^ 実際には rwa と綴られる場合がある。例: rũhiũ rwa njora〈剣〉
- ^ 湯川 (1984) のテーマはあくまでも動詞の活用形ごとのアクセントの違いについてのものである。
出典
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