庶民院とは? わかりやすく解説

庶民院

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/13 08:44 UTC 版)

オタワのパーラメント・ヒルに所在するカナダ庶民院の議場。
アイルランド庶民院(1780年頃画)。この議場が入っていた議事堂は世界で最初に庶民院議事堂として建てられた。

庶民院(しょみんいん、英語: The House of Commons)は、両院制議会における公選制の下院の名称のひとつ。イングランド王国の下院に由来する「庶民院」の名を持つ議院は現在はイギリスカナダに存在し、またかつてはグレートブリテン王国との合同以前のアイルランド王国1920年アイルランド統治法下の北アイルランド自治政府・ノースカロライナ植民地およびノースカロライナ州政府にも存在した。そのほかの旧イギリス植民地やイギリス連邦加盟国ではおおむね対応する議院として、アメリカ合衆国代議院オーストラリア代議院ニュージーランド代議院インドローク・サバーがある。

イギリスとカナダでは、庶民院は上院(イギリスでは貴族院、カナダでは元老院)より多くの立法権を持ち、庶民院の多数党の党首が通常首相に指名される。2010年以降のイギリス庶民院は650議席、2015年以降のカナダ庶民院は338議席からなる[1]。庶民院の権能には法律の制定・改廃、課税の認可、政府の政策や歳出の調査があり、さらに政府に対する不信任案を決議することができる。

歴史と名称

イングランド王国の庶民院は、議会から(郡、county)と都市(borough)の納税者代表が分離して成立した。州からは州騎士英語版郡騎士議員英語版)として地主層が、都市からはBurgess英語版として商人層が選出された。彼らは国王(The Crown)の臣民のうち、自ら貴族院に議席を持っていた世俗貴族(Lords Temporal)または聖職貴族(Lords Spiritual)以外を代表していた。なお「庶民院」(The House of Commons)の名称は、彼らが共同体(communities)あるいは自治体(communes)の代表であったことに由来する[2]

庶民院議員は、常に選挙で選出された。これは貴族院において、世俗貴族は保持者が死去した場合君主が爵位を継承した人物を召集し、聖職貴族はイングランドおよびウェールズの教区主教宗教改革後はイングランド国教会の主教)が指定されていたこととは対照的である。しかし中世から18世紀に至るまで、さまざまな方法で選挙権は制限される傾向にあり(制限選挙)、そのため18世紀までに多数の腐敗選挙区が生じていた。19世紀以降、イギリスとカナダでは選挙権が拡大され、庶民院は代議制議院の性質を強めていった。両国の庶民院議員は現在、成人による完全普通選挙によって選ばれている。

すべての国で、選挙等の理由での庶民院の閉会は国王(イギリス連邦では総督)によって行われる。

庶民院の一覧

「庶民院」はウェストミンスター・システムと関連付けられることが多いが[要出典]、現在この名称の議院は2か国にのみ存在する。

この他イギリスの旧植民地ではないが、両院制を採用していた大韓民国第二共和国における民議院朝鮮語版(下院に相当)は英語で「House of Commons」と訳されていた。

関連項目

出典

  1. ^ http://www.parl.gc.ca/information/about/process/house/partystandings/standings-E.htm
  2. ^ A. F. Pollard英語版, The Evolution of Parliament (Longmans, 1920), pp. 107–108.

庶民院(下院)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/20 07:47 UTC 版)

イギリスの政治」の記事における「庶民院(下院)」の解説

詳細は「庶民院 (イギリス)」を参照650人の普通選挙直接選挙)によって選ばれ議員からなる選挙権18歳上の国民国内に住むアイルランド人男女被選挙権21歳上の国民男女にある。議員定数イングランド524人、ウエールズ38人、北アイルランド17人、スコットランド72人である。これら4地域は、人口均等に近くなるように境界委員会定めた選挙区分割されそれぞれの選挙区代表する議員一人ずつ選出する。つまりイギリス小選挙区制である。小選挙区制のみによる選挙のため政権交代起きやすく、二大政党化が進みやすい。庶民院では、過半数一つの党が確保することがほとんどである。 1911年制定され議会法イギリスの憲法1つ)によって、慣習となっていた「庶民院の優越」が法律明記された。庶民院は、貴族院比べ大きな権限有している。庶民院は、例え貴族院反対する法案でも、時間かければ最終的に成立させることができる。 庶民院は、首相決め政府内閣)を監視する場でもある。庶民院は首相指名し儀礼的にそれを承認するのは国王だが、庶民院は国王演説政府施政方針国王朗読する)の後の採決や、内閣不信任決議案審議などで首相信任するかどうか決定する不信任とされた場合首相辞任するか庶民院を解散しなければならず、首相過半数占め政党党首であることが要求される。この例外は、選挙の結果半数超える政党無かった場合と、戦時下などで挙国一致内閣をつくる場合限られる近年では首相野党党首が庶民院議員でなかったことはない。貴族院議員首相に任命されたのは1902年第3ソールズベリー侯ロバート・ガスコイン=セシル最後で、1963年第14代ヒューム伯爵アレック・ダグラス=ヒューム首相就任に際してヒューム伯爵位自分一代限り返上したその後1974年には一代貴族ヘイゼルヒューム男爵叙され貴族院議員復帰。なお嫡男デイヴィッド・ダグラス=ヒューム第15代ヒューム伯爵となっている)。 議会解散される場合除き議員任期5年である。

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