リンガラ語とは? わかりやすく解説

リンガラ語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/28 00:50 UTC 版)

リンガラ語(リンガラご、Lingála)は、コンゴで用いられるバントゥー語族の言語である。コンゴ民主共和国コンゴ共和国アンゴラ中央アフリカ共和国に分布し、話者の人口は1000万強である。コンゴ川中流域において広く話され、コンゴ民主共和国の首都キンシャサ共通語もリンガラ語である[1]。19世紀後半にヨーロッパ列強がこの地方に進出し、交易が盛んになるとともにリングワ・フランカとして誕生し、ベルギー領コンゴ時代に布教や交易、軍隊用語として定着した。クレオール言語であり、ヨーロッパ諸語からの借用語も多い。特に両コンゴにおいて、共通語として広く使われ、リンガラ語によるテレビやラジオ、新聞が多く発行されている。またスークース(リンガラ音楽)と呼ばれるリンガラ語によるポップミュージックがキンシャサを中心に1970年代以降さかんになり、コンゴのみならずアフリカ各国に影響を与えた[2]。別名にバンガラ)(Bangala, bangála)があるが、これは特定の地域で話されている方言の一種を指したり(参照: #方言)、リンガラ語の話者を指したりする場合がある[3]。しかし、バンガラという名称は特定の民族集団を指すわけではない[3]


注釈

  1. ^ 梶 (1992) は具体例としてボバンギ語(Bobángi)、モンゴ語(Mongo、Lɔmɔ́ngɔ)、ンゴンベ語英語版(Ngombe、Lingɔmbɛ)、ロケレ語英語版(Lokelé)を挙げている。
  2. ^ Bokamba (2009) は具体的には以下のような言語を挙げている: Baloi語 (de、Bamwé語 (en、Bolobo語、Dzamba語、Eleku語 (en、Libinza語 (en、Liboko Likoka語、Lobála語 (en、Mabale語 (en、Ndobo語 (en、Ngelé語。このうちDzamba語については、Lewis et al. (2015) はボバンギ語の別名の一つであるとしている。
  3. ^ 方言によっては[ʒ]とも発音される。
  4. ^ たとえば第9クラスの ndáko〈家〉や、これに対応する第10クラス ndáko〈家々〉がある[5]
  5. ^ この語幹に接続する代名詞接頭辞の声調は下降声調となる[5]
  6. ^ Топорова (1973:59) は現在時制(: Настоящее время)としている。なお、translation / dictionary Lingala - English#外部リンク参照)では、これらの形は未来時制(: futur; : future)であるとされている。
  7. ^ Топорова (1973:59) は反復現在(: Настоящее повторяющееся)としている。なお、translation / dictionary Lingala - English#外部リンク参照)には、これらの形は見られない。
  8. ^ Топорова (1973:59) は反復過去(: Прошедшее многократное)としている。なお、translation / dictionary Lingala - English#外部リンク参照)では、これらの形は習慣現在(: le présent habituel)もしくは遠過去(: passé lointain; : far past)であるとされている。
  9. ^ Топорова (1973:59) は平叙的過去(: Прошедшее повествовательное)としている。なお、translation / dictionary Lingala - English#外部リンク参照)では、これらの形は現在時制(: présent général; : simple present)か近過去(: le passé récent)、あるいは現在完了(: present perfect)であるとされている。
  10. ^ Топорова (1973:59) は完了過去(: Прошедшее завершенное)としている。なお、translation / dictionary Lingala - English#外部リンク参照)では、これらの形は過去時制(: passé général; : past)であるとされている。
  11. ^ Топорова (1973:59) は未来時制(: Будущее время)としている。
  12. ^ Топорова (1973:59) は接続法(: Сослагательное наклонение)としている。なお、translation / dictionary Lingala - English#外部リンク参照)では、これらの形は不変遠過去(: passé lointain figé)もしくは祈願・接続法・意志(: souhait, subjonctif, volonté)であるとされている。
  13. ^ Топорова (1973:59) は命令法(: Повелительное наклонение)としている。なお、translation / dictionary Lingala - English#外部リンク参照)でも、これらの形は命令(: impératif; : imperative)であるとされている。

出典

  1. ^ 「多言語使用と教育用言語を巡って コンゴ民主共和国の言語問題」梶茂樹(「アフリカのことばと社会 多言語状況を生きるということ」所収 p231 梶茂樹+砂野幸稔編著 三元社 2009年4月30日初版第1刷
  2. ^ a b 「多言語使用と教育用言語を巡って コンゴ民主共和国の言語問題」梶茂樹(「アフリカのことばと社会 多言語状況を生きるということ」所収 p232 梶茂樹+砂野幸稔編著 三元社 2009年4月30日初版第1刷
  3. ^ a b c 梶 (2000).
  4. ^ a b c Bokamba (2009).
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 梶 (1992).
  6. ^ a b c 梶 (2009).
  7. ^ a b c d 梶 (1991).
  8. ^ 西江 (1987:77).
  9. ^ Meeuwis (1998:11).
  10. ^ Топорова (1973:59).
  11. ^ a b c d e f g h i j k Meeuwis (1998:39).
  12. ^ a b c d e f g h i j Meeuwis (1998:40).
  13. ^ a b c d Meeuwis (1998:41).


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