日本のタクシー 運送引受の拒絶・旅客の禁止行為

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日本のタクシー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/15 15:07 UTC 版)

運送引受の拒絶・旅客の禁止行為

道路運送法第13条の定めるところにより、運送事業者は次の場合を除いては、運送の引受を拒絶してはならない。

  • (1) 当該運送の申込みが認可を受けた運送約款によらないものであるとき。
    • 一般乗用旅客自動車運送事業標準運送約款
    • 「運送の引受け及び継続の拒絶」(第4条)
      • 旅客は運転者その他の係員が運送の安全確保のために行う職務上の指示に従わなければならない。
      • 運送に関し、申込者(旅客)から特別な負担を求められたとき
      • 運送が法令の規定又は公の秩序若しくは善良の風俗に反するものであるとき
      • 天災その他やむを得ない事由による運送上の支障があるとき
      • 旅客が乗務員の旅客自動車運送事業運輸規則の規定に基づいて行う措置に従わないとき
      • 旅客が旅客自動車運送事業運輸規則の規定により持込みを禁止された物品を携帯しているとき
      • 旅客が行先を明瞭に告げられないほど又は人の助けなくしては歩行が困難ほど泥酔しているとき
      • 旅客が車内を汚染するおそれがある不潔な服装をしているとき
      • 旅客が付添人を伴わない重病者であるとき
      • 旅客が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律による一類感染症、二類感染症若しくは指定感染症(入院を必要とするものに限る。)の患者(これらの患者とみなされた者を含む。)又は新感染症の所見のある者であるとき
      • 禁煙車両(禁煙車である旨を表示した車両をいう)内では、旅客は喫煙を禁止する。
      • 旅客が禁煙車両内で喫煙し、又は喫煙しようとしている場合、運転者は喫煙を中止するよう求めることができ、旅客がこの求めに応じない場合には、運送の引受または継続を拒絶できる。
  • (2) 運送に関する設備のないとき
  • (6) 国土交通省令の定める正当な事由のあるとき
  • (イ)火薬類その他の危険物を携帯している者
  • (カ)食事若しくは休憩のため運送の引受をすることのできない場合又は乗務の終了などのため車庫若しくは営業所に回送しようとして回送板を掲出しているとき
  • 運送事業者は、発地及び着地のいずれもがその営業区域外に存する旅客の運送をしてはならない。

車内への持込禁止品

  1. 火薬類(ただし50発以内の実包及び空包であって弾帯又薬盒に挿入してあるものを除く。)。
  2. 100グラムを越える玩具用煙火(花火
  3. 揮発油灯油軽油アルコール二硫化炭素その他の引火性液体(喫煙用ライター及び懐炉(カイロ)に利用している物を除く。)
  4. 100グラムを越えるフイルムその他のセルロイド類
  5. 黄燐カーバイド、金属ナトリウムその他の発火性物質及びマグネシウム粉、過酸化水素、過酸化ソーダその他の爆発性物質
  6. 放射性物質(放射性同位元素、核燃料物質)
  7. 苛性ソーダ硝酸硫酸塩酸その他の腐食性物質
  8. 高圧ガス(ただし、消火器内に封入した炭酸ガス及び医薬用酸素器に封入した酸素ガスを除く。)。
  9. クロルピクリン、メチルクロライド、液体青酸クロロホルムホルマリンその他の有毒ガスを発する恐れのある物質
  10. 500グラムを越える量のマッチ
  11. 電池乾電池を除く。)
  12. 死体
  13. 動物(身体障害者補助犬、またはそれと同等の能力があると認められたや愛玩用の小動物を除く。会社によってはケージに入れることを条件にペットの同乗も許可される。)

「乗車拒否」問題

乗車拒否とは「駐停車中又は客を認めて一時停止もしくは徐行を行い、運送の申込みを受けてから、正当な理由なくその引き受けを拒否する事」である。

乗車前の旅客の態様から想起される乗車拒否の一例として、夜間、酩酊した客に対して、吐瀉物により車内を汚されることや、正常なコミュニケーションが交わせない結果トラブルが発生することを予想した拒否が行われる場合がある。泥酔者に関しては旅客自動車運送事業運輸規則第13条(運送の引受け及び継続の拒絶)において乗車を拒否できる条文がある。また、特定地域の政治・経済状況が原因の可能性がある乗車拒否の事例として、原子力発電所が立地する自治体において原発反対論者の代議士に対して配車を断った事例もある(この事例では後に当該会社が謝罪しているほか、国土交通省中部運輸局も再発防止を求めた)[25]

バブル期においては、当時の景気の良さを反映して、長距離利用の乗客が現在よりも圧倒的に多かったため、短距離利用の乗客に対する乗車拒否が多く見受けられていたが、昨今の社会状況において、乗務員が意図的に乗車拒否をすることは少なくなってきている。

なお、複数車線のある道路において、第1通行帯以外を通行しているときは、たとえ客を認めて運送の申し込みを受けたとしても、安全を考慮してその引き受けを受諾してはならないが、一方で東京タクシーセンターでは、乗車申し込みを行ったものよりクレームを受けた場合は「乗車拒否の事案」として処理している。

防犯

乗務員の安全のため、運転席と後部座席の間に透明な樹脂製の防犯板や、車内を撮影する監視カメラドライブレコーダー)の設置が進んでいる。だが、防犯板は大阪府のタクシー運転手などから、接客面のサービス低下を理由に否定的な意見もあり、監視カメラは、運転手への暴力や無賃乗車などのトラブルが起きた場合には証拠になるが、プライバシーの問題があり、普及していくには記録した映像と音声の管理体制を整えることが求められている[26][27]。防犯板に否定的な事業者を中心に煙幕発生装置を設置している場合もある。ただし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大対策としてビニールカーテンを設置したところ、乗務員と乗客の意思疎通に支障きたす事例が増えたことから、新しい生活様式に対応した乗務員の後方だけでなく側面まで覆うタイプの新型防犯板が開発され、都市部を中心に広がりを見せている。

また、人相や風体が不審な乗客を乗せた運転手が身の危険を感じた場合は、警察への通報や無線局に対する非常信号、同僚のタクシーに知らせる為の暗号を送信する場合もある。


注釈

  1. ^ (有償運送) 自家用自動車(事業用自動車以外の自動車をいう。以下同じ。)は、次に掲げる場合を除き、有償で運送の用に供してはならない。
  2. ^ それらに加えて規模の大きい都市においては、大きい幹線道路の左端にタクシーの乗り場専用レーンが設けられている場合もある。
  3. ^ 地域によっては申し出さえすれば、(条件が許す限りではあるが)順番の変更が受け入れられる場合もある。誘導係員がいない場合は、先頭から順に使えるか確認していって使用できる車まで移動する方が(トラブルを避ける意味でも)望ましい。
  4. ^ 都内の大手タクシー会社では、グループに自動車教習所や提携教習所があり、ここで二種免許取得のための教習が可能。
  5. ^ 「この期間を終える前に退職した場合、取得費用を返還しなければならない」という書面契約を行う場合がある。
  6. ^ 1970年代に個人タクシーで用いられたマークII(X10系まで)やスカイライン(C10・C110・C210系)などでは、下級グレードを中心に後部座席のヘッドレストを装備していない車種が多かったため、基準を満たすためにメーカー・ディーラーでヘッドレストの後付けが行われていたと推測される。
  7. ^ プリウス(20系:185/65R15、30系・50系:195/65R15)、ノア・ヴォクシー・エスクァイアおよびセレナ(195/65R15)、ノート(185/65R15、ただしE13系は標準だがE12系以前はオプションホイールまたは社外ホイール装着時)等の例がある。
  8. ^ 京成グループに所属するが、車体や行灯にはK'SEI GROUPロゴを掲出していない(公式サイトには明記)。
  9. ^ ウォルト・ディズニー・カンパニーとの関係により京成グループ統一行灯を使用せずK'SEI GROUPロゴの掲示もしていない。また、その関係で京成タクシーホールディングス傘下ではない(が共同配車体制は敷かれている)。
  10. ^ 京成グループであるが、独立性が高くK'SEI GROUPロゴは用いていない。
  11. ^ 京成グループであるがタクシーの車体にはK'SEI GROUPロゴを使用していない。

出典

  1. ^ a b c タクシーの再編が加速 『日本経済新聞』 平成23年6月17日東京夕刊
  2. ^ タクシー自働車広告『日本全国諸会社役員録. 第21回』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  3. ^ a b 齊藤俊彦 『くるまたちの社会史』中央公論社〈中公新書〉、1997年、119-120頁。ISBN 4-12-101346-8 
  4. ^ バス、タクシーのガソリン使用全面禁止(昭和16年8月21日 朝日新聞)『昭和ニュース辞典第7巻 昭和14年-昭和16年』p81
  5. ^ ガソリン券の闇取引根絶措置(昭和15年9月21日 朝日新聞)『昭和ニュース辞典第7巻 昭和14年-昭和16年』p81 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年
  6. ^ タクシー料金倍額に値上げ(昭和15年8月29日 朝日新聞)『昭和ニュース辞典第7巻 昭和14年-昭和16年』p82
  7. ^ 代用燃料車への改装願いが殺到(昭和16年9月3日 東京日日新聞)『昭和ニュース辞典第7巻 昭和14年-昭和16年』p82
  8. ^ 決戦に備えて旅行を大幅制限(昭和19年3月15日 毎日新聞(東京) 『昭和ニュース辞典第8巻 昭和17年/昭和20年』p783
  9. ^ 社団法人東京乗用旅客自動車協会・タッくんミニ情報2012年3月 No.230
  10. ^ a b 浅井建爾 『道と路がわかる辞典』(初版)日本実業出版社、2001年11月10日、250頁。ISBN 4-534-03315-X 
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  16. ^ 青鉛筆『朝日新聞』1976年(昭和51年)8月2日朝刊、13版、23面
  17. ^ 貨客混載 タクシーが荷物も宅配 北海道・旭川で全国初 毎日新聞(2017年11月1日)2017年11月7日閲覧
  18. ^ 「NEKO MOOK1903 特装大全」p.66 ネコ・パブリッシング 2013年3月発行 ISBN 978-4-7770-1403-3
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  21. ^ 中国人白タク 横行も検挙困難…スマホ決済で 数千人登録”. 毎日新聞 (2017年8月). 2017年11月12日閲覧。
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  28. ^ 国内初、電気自動車タクシー登場 8月にも愛媛県で 47NEWS 2009年7月13日(Internet Archiveのアーカイブ:2009年7月22日収集)
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  52. ^ ビジネス特集 波紋を呼ぶライドシェア - NHKニュース
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