規制緩和とは? わかりやすく解説

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きせい‐かんわ〔‐クワンワ〕【規制緩和】

読み方:きせいかんわ

主に経済活性化するために、政府自治体認可届け出などの規制緩めること。


規制緩和(きせいかんわ)

自由な経済活動阻害している規制取り払うこと

民間経済活動は、行政権限である許認可によって大きな制約受けている。特に、自由な経済活動妨げられている規制については、経済活性化する目的見直し求められている。

戦後の日本では、産業保護するという観点から、数多く規制があった。しかし、経済急成長する中で、産業構造変化し、必要のなくなった規制経済発展阻害する規制出始めることになった

そこで、1980年代入って、第2時臨時行政調査会中心にして、規制緩和の議論高まった1995年9月村山内閣は規制緩和推進計画閣議決定し、11分野1091事項におよび規制見直しおこなった

その後毎年、項目を絞った規制緩和が閣議決定され、行政事前規制型から事後チェック型への転換進められている。最近では、特定の業務独占する資格制度関連する規制から、IT産業発展妨げ要因となっている規制まで、幅広い改革実行移されている。

(2001.04.16更新


規制緩和

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/18 04:31 UTC 版)

規制緩和(きせいかんわ、: deregulation)は、経済学公共政策などの文脈で、ある産業や事業に対する政府の規制を縮小することを指す。市場主導型の産業のあり方が望ましいと考えられる際にとられる基本的な政策手段のひとつで、市場競争を促進し経済活性化を果たすために採用されるが、導入による弊害の解決のため、セーフティーネットなどの構築が必要とされている。

概要

もともとの英語 deregulation は本来、規制「緩和」ではなく規制撤廃の意味が強い言葉であるが、日本では規制撤廃に反対する官僚が意図的に意味をずらして翻訳した(ダブルスピーク)ため、そのまま国内に広まったという。

規制は安全基準・技術規格・所有・事業範囲など企業活動のさまざまな側面を扱うものであるため、規制緩和の形もさまざまである。一般に、どのような場面でどのように規制緩和が行われるべきであるかについての実践的な指針は、体系的な形では存在せず、政策は過去の事例研究を通して形成されるのが普通である。

有用性

世界的には、金融・航空・電話・電力・ガスなどのいわゆるネットワーク産業の自由化を促し、自由主義経済を広げる物として規制緩和は先進国でも途上国でも重要な検討課題になっている。世界貿易機関(WTO)や国際通貨基金(IMF)などの国際機関もそうした動きを積極的に支持している。

政府による産業の規制は、基本的には潜在GDP成長率にマイナスにしか働かないとされている[1]規制改革は、既得権益を崩す作用を持つため、規制によって守られてきた既存の事業者にとっては不利益をもたらすこともあるが、新規参入の拡大・価格競争の促進などにより、消費者が得られる利益は大きいとされている[2]。また、規制緩和が進んだ地域、競争が激しい産業の就労者ほど他人を信頼する傾向が高いという研究がある[3]

経済学者の大竹文雄は「市場への参入規制が強いと、競争は少なくなり、市場参加者全員が高い利潤を得られる。一方で規制が緩和されると、競争が厳しくなり市場参加者間の格差が大きくなる。参入規制が強いと、市場参加者と参加できない者との格差が大きいが、その格差は実感されない」と指摘している[4]

規制改革は総論で大方の支持が得られても、各論になると関連事業の消極姿勢から実施が進まないケースがしばしばみられる[2]

経済学者の野口悠紀雄は「規制緩和によって経済活動を活発化させる必要があるという点では、多くの人が賛成するだろう。しかし、個別のテーマになると、賛成と反対が対立する」と指摘している[5]

経済学者の田中秀臣は「貿易自由化や規制緩和の効果が実際に現れるのは、長いスパンが必要であり、5-10年で見ないと良し悪しは言えない」と指摘している[6]。田中は「1980年代の日本はそれ以後よりも規制の多い経済であったが、1990年代から2000年代よりも高い成長を達成している。それは適切なマクロ経済政策の成果ゆえにあった」と指摘している[7]

経済学者のジョセフ・E・スティグリッツコロンビア大学教授)は、規制緩和の誤りについてこう述べている。「目指すべきは規制緩和などではない。議論すべきは、適切な規制とは何かということである。規制なしで、機能する社会はありえない。問うべきなのは、どんな規制が良い規制なのかということである。規制緩和が世界金融危機を引き起こした。規制緩和がバブルを生成させた。もちろん、そんなバブルのような好景気は持続可能なものではない。アメリカが率先して金融部門で規制緩和をして、その結果、世界全体が打撃を受け、この大不況に突入した。」[8]

経済学者のラグラム・ラジャンは「規制を設けずにすべてを市場に任せるのは論外であるが、規制でがんじがらめにするのも間違いである。要するに、競争を阻害しないように注意を払いながら、適切な規制を導入すべきである。安全性確保という大義のために規制を強化するにしても、競争条件の公平性を歪めてはいけない」と指摘している[9]

誤解

  • カリフォルニア電力危機において、規制緩和が原因で住民の生活に支障を与えたとされているが2000年の夏の猛暑やITブームなどによる電力需要の増加や渇水による水力発電の不良が根本的な問題とされている。
  • 各国の政策

    日本

    日本ではいわゆる「親方日の丸」の官僚主義の非効率性が経済成長を阻害しているという議論がここ30年ほど盛んに行われており、グローバリズムの進展と合わせて規制緩和や自由化を唱える声は特に経済界に根強く、小泉政権以後の自民党政権や民主党政権も規制緩和に積極的である。また1999年から2012年まで東京都知事であった石原慎太郎や大阪府知事・大阪市長であった橋下徹、そして宮城県知事の村井嘉浩のように地方自治体の首長にも規制緩和に積極的な人物が増えた。

    1980年代以降の規制緩和・民営化・自由化の例を以下に挙げる。

    内閣府は電気通信分野での民営化・料金規制の緩和によって2000年度に4兆円を上回る消費者の利益が得られたという試算結果を示している[2]。 内閣府の試算によると、2005年度における1990年代以降の規制改革の経済効果は、約18兆3452億円となっている[10]

    経産省経済産業政策局長の飯田祐二は、2023年に過去30年の新自由主義規制緩和策を振り返って、結果的にただのコストカットと国内投資減を招く結果になってしまったと述べている[11]

    脚注

    1. ^ 飯田泰之『世界一シンプルな経済入門 経済は損得で理解しろ! 日頃の疑問からデフレまで』エンターブレイン、2010年、112-113頁。
    2. ^ a b c みずほ総合研究所編著『3時間でわかる日本経済-ポイント解説』日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2002年、146頁。
    3. ^ 大竹文雄『競争と公平感-市場経済の本当のメリット』中央公論新社〈中公新書〉、2010年、123頁。
    4. ^ 大竹文雄『競争と公平感-市場経済の本当のメリット』中央公論新社〈中公新書〉、2010年、68頁。
    5. ^ 野口悠紀雄「日銀が引き金を引く日本崩壊」 古い産業を保護して成長はありえない--成長戦略を評価する視点」ダイヤモンド・オンライン2013年5月9日
    6. ^ 麻木久仁子・田村秀男・田中秀臣『日本建替論 〔100兆円の余剰資金を動員せよ!〕』藤原書店、2012年、137頁。
    7. ^ 田中秀臣『デフレ不況 日本銀行の大罪』朝日新聞出版、2010年、177頁。
    8. ^ ジョセフ・E・スティグリッツ「TPPと規制緩和を問い直す」『kotoba』2013年夏号、集英社。 
    9. ^ 【インタビュー】ラグラム・ラジャン(米シカゴ大学経営大学院教授) 市場任せも過剰介入も間違いだ「適切な規制」で自由な市場経済を守れ」Foresight(フォーサイト)2009年4月1日
    10. ^ 岡部直明『ベーシック日本経済入門』日本経済新聞社・第4版〈日経文庫〉、2009年、136頁。
    11. ^ なぜ「失われた30年」を止められなかったのか…経産省が「結果を出せなかった」と反省するバブル崩壊後の誤算 "新機軸"で日本復活の「最大で最後のチャンス」を生かす | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

    参考文献

    関連項目

    外部リンク


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