日本のタクシー 車両

日本のタクシー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 08:47 UTC 版)

車両

日産・クルー(車内)、中央に料金メーターとカーナビ、左側のダッシュボード上に乗務員証
タクシーのトランクルーム。LPGタンクがあることが分かる
 
電気自動車のタクシーの例。熊本市の水前寺タクシーに配備されている日産・リーフ
経年車を社内教習車に転用する例(京王自動車

1990年代以降、タクシー向けの排気量2リッター級セダンであるトヨタ自動車クラウンコンフォートクラウンセダンコンフォート日産自動車クルーセドリック営業車が主に使用されているが、日産では2010年にミニバンNV200のタクシー仕様車を発売してクルーを2009年6月に、セドリック営業車を2014年12月1日にそれぞれ生産終了し、トヨタは2017年にトールワゴンジャパンタクシーを発売して同年内にクラウンコンフォート・コンフォート・クラウンセダンを生産終了したため、小型・中型タクシー向けセダンがすべて生産・販売終了となった。また、NV200のタクシー仕様車も2021年3月で生産を終了したため、以降はジャパンタクシーの1車種のみがタクシー専用車として販売されている。

タクシー専用車は法人需要を考慮して、低コストでの販売のために内装装備を簡素かつ凡庸なものにしているため、他社との差別化のためあえて高価な上位グレードであるクラウンセダンやセドリックのクラシックSVなどのハイグレードタクシーを選択する会社もある。

タクシー専用車以外に、市販のセダンやステーションワゴン、ミニバンを改造したタクシーもある。以前は1.5 - 2リッター級FR方式の市販車をベースに若干の設計変更を施した車両を使っていたが、現在ではそのクラスの市販車がFRからFFに切り替えられ、またタクシーとしての快適性の追求と合わせて、1990年代にトヨタ・日産がFR駆動のタクシー専用車を開発した。

軽自動車は安全性、耐久性の問題があり介護用以外で使用されることはなかったが、2009年6月より電気軽自動車が認められるようになった[28]

1980年代までのタクシー車両は、燃費の関係上、AT(オートマチックトランスミッション)車よりも、MT(マニュアルトランスミッション)車が多く用いられていたが、現在では、AT車の改良により燃費も改善されMT車との格差が少なくなってきたことと、ベース車自体がMT車の設定がなくなりAT車のみになりつつあったことと、乗務員の疲労低減のため、タクシー専用車はATのみの設定となっている。特に2000年代後半以降、後述のハイブリッド車が普及するまでは車格の関係もありATの中でもトルクコンバータ式が主流だったが、ハイブリッド車の普及により広義のATであるCVT(無段変速機)車(特に、電力・機械併用式無段階変速機)への移行が進んでいる。

後部座席に旅客を乗せて営業するためそれ相応の安全性・乗降のスムーズさが求められることから、車両が国土交通省の道路運送車両の保安基準(以下、保安基準と略)に適合していなければ運用できないことになっている。例えば、後部座席には必ずヘッドレストが設けられており(価格の安い自家用車には設けられていない場合が多い)、他にも前後の間隔やドアの開口部についても、基準以上の数値を満たすことが義務付けられている[注 6]

地球温暖化に対する意識の高まりを受けてハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)を導入する事業者も見られる[2]。ハイブリッド車ではトヨタ自動車のプリウスが多く採用されている。しかし、2代目以降のプリウスは空気抵抗軽減重視ボディのため、クラウンコンフォートやクルーに比べて後席の頭上空間やトランクスペースの余裕が少ない。それらの弱点を回避するため、近年は同じプリウスでもワゴンタイプのプリウスαを採用するケースが増えつつある。また、同じハイブリッド車である本田技研工業インサイトはドア開口部の幅が道路運送車両法に基づくタクシー車両の保安基準を満たさないため使用できなかったが、2011年4月から使用できるようになった[29]。平成27年6月12日、タクシー車両の基準緩和が国土交通省より発表された[30]

電気自動車は三菱自動車工業i-MiEVや日産自動車のリーフを、プラグインハイブリッド車はプリウスPHVを、燃料電池自動車はトヨタ・MIRAIホンダ・クラリティ フューエル セルを導入する事業者がある。

一方で、積雪地ではFR車は走行しにくいため、アリオン等のFF車をベースにしたタクシーもまれに見られる(かつてはマツダカペラや三菱自動車のギャランΣにFF・LPGのタクシー専用車が設定されていた)。4WD車は燃費が悪いため、導入している会社は積雪地でも少ない[31]。なお、前述のハイブリッド車等の普及により積雪地以外含めFF車へシフトしつつある。

燃料としては、税金の関係でLPG(オートガス)を使用する車両が多いが、LPG仕様がメーカーで設定されている車種はわずか2車種に限られているので、ガソリンエンジンやハイブリッドカーをLPGに改造するケースも個人タクシーや大都市圏のハイヤー、地方の小型タクシーやジャンボタクシーで見られる。また、2011年に登場したマツダ・アクセラLPGを小型タクシーに採用する動きもあるが、一方で、トヨタがクラウンコンフォート系のLPG車を2016年頃をメドに廃止するとの新聞報道もあったが、その後2017年5月25日を以てクラウンコンフォート系自体が販売終了した。2015年10月26日付けのトヨタの発表によると、2017年に販売を開始したジャパンタクシーにはLPGハイブリッドシステムが新開発され搭載されている[3]

LPGスタンドの設置がない地域や、タクシー事業者がガソリンスタンドも経営している場合などでは、ディーゼルエンジンの車両を使用しているところもある。また、24時間営業のLPGスタンドの数が少ないため、閉店間際は混雑しやすい。これを避けるべく、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンを使用する個人タクシーも多い。

なお、LPGを充填する場合に法人タクシーの場合は車載されたカードを使って充填するが、基本的には各事業者あるいは所属する無線協同組合等と契約のあるスタンドでの充填となる(ガソリンや軽油と違い、元売りの看板が同じだからといって共用できるわけではない)。法人タクシーでもガソリン車やディーゼル車の場合で掛売カードの場合は給油可能箇所は掛売カードの条件による。

また、法人タクシーの多くはフェンダーミラーである(近年はセドリックも含めて元々からフェンダーミラーの設定のない車種が多い)。理由として、視認時の視線移動が少量で済むこと、ドアミラーと比較して車幅が狭くなるため、狭い路地に出入りし易いなどが挙げられる。またドアミラーでは左のミラーを視認する際に運転手が客の方を向いていると誤解される場合があり、それを避ける意図もある。2010年代以降もこのようなフェンダーミラーへの根強い需要から汎用商用バンのタクシー仕様である日産のNV200とは異なり、純然たるタクシー専用車種であるトヨタのジャパンタクシーは原型となったシエンタと異なりフェンダーミラーを採用した。

タクシーは、停止や方向転換、乗客の乗降車などでのウインカーやハザードランプの点灯を周囲に認知させる必要性が高い。東京仙台市など、地域によっては屋根の上、社名表示灯両脇への補助ウインカーの装備が標準化されている(義務化ではないため、装着していない事業者も存在する)。ただし、標準化されている地域でも義務ではないため、例としてハイグレードタクシーに分類される車両である場合やミニバン等車高が高い車両である場合は装着されないことが多い。

ミニバンを使用する場合は保安基準で3列目シートの乗客が避難できるように、2列目のシートはキャプテンシートの車が多く使われている。2列目がベンチシートの車を使う場合、3列目シートを撤去し5人乗りとして用いる場合が多い。また、ベース車両に2列シート車と3列シート車の設定がある場合は前者が採用されることが殆どである。

タクシー専用車種向けにタイヤメーカーはタクシーラジアルと呼ばれるタクシー用タイヤを製造している(ブリヂストン:MILEX(マイレックス)シリーズ、住友ゴム工業:SP TX-01(ダンロップブランド)・TAXI-MILER(タクシー マイラー)シリーズ(グッドイヤーブランド)、横浜ゴム:TAXI TOURING(タクシー・ツーリング)シリーズ、TOYO TIRE:LIZA(ライザ)シリーズ、J60等)。タクシーとして用いられる車両の走行距離に対応するため耐摩耗性が高められているが、反面グリップ性能(特にウェットグリップ)は一般タイヤには劣る。タクシー用スタッドレスタイヤも存在するが、降雪地帯でなければ駆動輪のみに装着されることが多い。タクシー専用車種でない場合でもサイズが合えばタクシー用タイヤを装着させている事業者もある[注 7]。また、降雪地帯でない場合で冬期とそれ以外で履き替える手間やタイヤの保管スペースの消費をなくしたり、履き替えによるタイヤとホイールのセットの収納スペースを削減するためにオールシーズンタイヤを通年利用する事業者もあり、2020年代に入ってタクシー向けニーズの増加から住友ゴム工業(ダンロップブランド)と横浜ゴムからはタクシー用オールシーズンタイヤも発売されている。

なお、かつてはタイヤは仕様上の関係で、スペアタイヤ(応急用タイヤも可)は常備しなければならなかった。パンク修理キットが標準装備の車種の場合、オプション設定のスペアタイヤを選択するか、標準のタイヤと同等品のものを積載する必要があった。

このほか、タクシーの塗装をしておりタクシー会社の名前が入っているが白ナンバーを装着している車両がある。これは営業用としては引退した車両を社内教習用や業務用車両として使用しているものである。タクシー会社が運転代行業を兼業している場合、随伴車として使用するケースもある。この車両はメーターなどの装備品の基本操作の教習を目的に使用され、当然ながら本物の客を乗せることはできない。こちらの車両での教習の後、本物のタクシー車両で教官役の上司と本物の客を乗せて実務教習を行う(どちらかの教習を省略する会社もある)。変わった例としては、広島県に拠点を構えるつばめ交通では営業中の自社タクシーの監視用車両が存在する。また、メーター等も撤去し複数の営業所間の職員の移動用や新人が走って道を覚えるといった用途に用いられる車両もある。

車体のカラーは緑(東京無線など)やオレンジ(チェッカーキャブなど)、黄色(東京四社など)、水色、白といった明るい色を使うところが首都圏を中心に多いが、逆に京阪神、北関東北陸、四国のタクシーには少なく、黒や紺の割合が多い。

車内装備

  • タクシーメーター
    • 料金を表示するメーター。実空車表示器と連動している。深夜料金適用時間になると自動的に深夜料金に切り替わり、適用時間が終わると通常料金に戻る。これに対し割引料金はメーター本体では計算できず、備え付けのボタンを押したり、外部ユニットとカードリーダー端末を設置して計算する場合がある。個人タクシーにおいて、タクシー用車両を自家用車として使う場合は、「自家使用」と書かれたフードを表示機の上から被せる。メーターは計量法により1年毎の検査(正確には有効期限が1年間の検定)を受検することが義務付けられている。メーター内部を調整するなどの不正が行われないよう、メーターにはの封印(検定証印)が施される。領収書を発行するプリンタと連動しており、支払い操作を行うと領収書が印字される。1980年代頃までのものは、長さ20センチメートル程度で、先端に直径10センチメートル程度の「空車」文字入り円板がついたレバーを回してモードを切り替えていたが、実空車表示器と連動した電子式に切り替えられた。
    • (注 : 「タキシー」という表現がされていた時代があった(昭和初期頃まで)ため、計量法に基づく解説書の中で比較的古いものにはその経緯から「タキシーメーター」との表記がなされている場合がある)
実空車表示器


上:車外側
下:車内側
(日立興業製キャッチHK-05)
歩道からの視認性を上げるため左前に傾けてある点に注目。
  • 実空車表示器
    • スーパーサイン、ウインドウサイン、またはタリフともいう。車両の状態を表す。かつては、タクシーメーターのレバーが上部にあれば空車と判断できたが、電子式に切り替えられたために登場。初めて設置された頃は「空車」と「回送」しか表示しない物しかなかったが、「回送」では分かりにくいので「迎車」や「予約車」、更に最近では「賃走」「支払」「割増」「高速」「無線予約」などが表示される物もある。以前は電照式や幕式が多かったが、最近はLED表示タイプの物が多く、緊急時に社名表示灯と連動して「SOS」や「助けて」と表示されるものもある。3色表示タイプの場合は「空車」が赤、「割増」が緑でそれ以外の表示は橙で表示され、フルカラーの場合は文字色か背景色が幕式に準じたものになっていることが多い。地域や事業者によっては後方窓から空車実車が認識できるものもある。
  • カードリーダー
    • クレジットカードの支払いに対応する機械。後部左側窓ガラスに使用可能なカード会社のステッカーが貼られているので、客は乗る前に確認が必要。搭載されていない車では当然カード払いができない。デビットカードが使用できるものもあり、電波が届きデータの通信が可能であれば使用できる。ただし手数料は乗務員が負担する会社があるなど問題も多い。また支払い手段別のキーやテンキーがついているものもあり、領収書印刷専用のプリンターと連動する。ここ数年では交通系ICカードやおサイフケータイに対応する、非接触ICカードリーダーを搭載している車両も増えている。広告を流すための液晶画面に併設されている機種や、そうでなくとも液晶画面上で行われる電子決済とも連携可能な機種もある。
  • 速度記録計(タコグラフ)
    • 法令によって速度記録計の設置が義務付けられている営業区域では、円盤状の紙に速度・時間・距離が記録されるタコグラフが装着されている。
    • 形状はメーターパネルに埋め込まれた錠前付きの大きなアナログ時計(バスやトラックと違い、メーターパネルの構造上速度計にタコグラフを内蔵できない。車種によってはトランク内、ボンネット内、コンソールボックス内)。最近はデジタルタコグラフを用いる事業者もある。
    • また最近ではメーターパネル内にタコグラフ用のスペースのない車両が増えたことから、タクシーメーター一体型のデジタルタコグラフも増えてきている。乗車場所と降車場所や運賃・営業距離などが記録されたものをメモリーカードに記録し、ひと出番の営業内容を乗務員が日報に記録せずとも終業時、営業所のパソコンにメモリーカードを読み取らせれば、納金指示書と業務日報が作成される。後述のドライブレコーダーと連携する機能を持つものも存在する。
  • 社名表示灯
    • 俗に言う「行灯(あんどん)」。天井灯、屋上灯、防犯灯などとも呼ばれる。空車時は点灯して実車時は消灯する地方、夜だけ点灯する地方、夜間の空車時のみ点灯する地方など、点灯方法には地域差がある。強盗など緊急時には、赤色に点滅させることができる。最近では社名表示灯と連動して実空車表示機に「SOS」や「助けて」と表示するものもある(街中でこのような状況を見かけた場合にはすぐに110番通報する事が望ましい)。無線機器が連動して、防犯スイッチを押すと自動的に車両の位置情報と救難信号が送信され、無線のマイクがONとなり、車内のやり取りが無線室に聞こえるシステムを採用している会社もある。最近では広告付きのものを使用する事業者も出てきた。形は蒲鉾型、ラグビーボール型、球型、星型、太鼓型などがあり、渦巻き型(一般にデンデン型と呼ばれる)や提灯型は個人タクシー専用となる。なお、行灯の装着が見受けられないタクシーもある。(ハイヤーがない地域に多い)
てこ式オートドアのドア部分
助手席横のリンク
運転席側のレバー
  • オートドア
    • てこ式や負圧式、圧縮空気(エアコンプレッサー式)や電動式などを利用して後部左ドアを運転席で操作することができる[32]。世界的に見てオートドアが標準になっている国は少なく、外国人客が驚くことも多い。顧客サービスの側面だけでなく、安全管理の面で利点がある(ドア開けに伴う事故は基本的に行為者の何れに係わらず、運転手の過失となるため)。日本でも運転手が車の外側から開けるドアサービスを実施する会社もある。元々は大阪府枚方市にあるトンボ交通が、乗客が降車した際に閉め忘れたドアを閉める際、小型車では車内から運転手が手を伸ばし閉めていたのが、1950年に中型車が導入されると車内では容易に手が届かず指詰めの事例が出た為、車内から運転手が安全かつ容易に閉められるようにと開発したのが最初と言われている。
  • カーナビゲーション
    • 最近は事業者が運行開始前に設置する場合もあるが、乗務員が私物で取り付けている場合もある。事業者が設置したカーナビゲーションは、無線局と連動しており、GPSポーリングで原則として配車先に近い車両から配車される、無線局は車両位置を把握している。
  • 無線
    • 法人タクシーや無線組合に加盟する個人タクシーでは専用の無線機が搭載され、配車係が乗務員へ客のいる所へ案内するのに使用する。一部には無線機の使用料を乗務員から徴収する会社がある。
    • 屋根に無線用のアンテナを装備する。パトカーなどのアンテナは、屋根に直接、専用の物が取り付けられているが、タクシー用は、ほぼすべて後付け(マグネット、シール貼付、雨どいにネジ締め)であり、アンテナケーブルも露出している。配車係が最寄の車を調べるには、乗務員に無線ナンバーと現在地を報告させる、GPSで検索するなどがある。乗務員同士の会話はできるものと、できないものがあり、事業者の方針により異なる。会話できないものは半複信方式といい、配車係(基地局)の送信周波数を乗務員(陸上移動局)の受信周波数と、陸上移動局の送信周波数を基地局の受信周波数としている。大都市では周波数の有効利用と安定した通信のために集中基地局方式(営業区域内の複数事業者の基地局を特定の場所に集中設置すること[33])が取られている。この方式の場合、基地局の電波は常に送信されており、配車係がマイクの送信ボタンを離したときの「ザッ」と言う音(スケルチのテールノイズ)が聞こえないため判別可能である。ほとんどの会社が無線営業を独自にしているが、大都市では混信を避けるため、いくつかのグループにまとまっている。
    • 沿革
      • 1953年 - 札幌の北海道交通株式会社が150MHz帯でタクシー無線を開始[34]
      • 1957年 - 60MHz帯と150MHz帯に専用波を割当て[35]
      • 1965年 - 移動無線センターが集中基地局事業を開始[36]
      • 1966年 - 400MHz帯に周波数間隔50kHzで専用波を割当て[35]
      • 1969年 - 周波数間隔が20kHzに狭帯域化(ナロー化)[35]
      • 1982年 - 12.5kHzに再ナロー化[35]
      • 2002年 - 全日本自動車無線連合会は「平成28年6月1日をもって完全デジタル化する」との方針を決議[35]
      • 2003年 - 総務省は400MHz帯を周波数間隔6.125kHzでデジタル化するものとし、2011年6月以降はアナログ無線の新規開設は認めないものとした。そして関東の4社に初のデジタル無線が免許された[37]
      • 2015年 - 総務省電波利用ホームページに、タクシー無線のデジタル化についてのページ[40]ができた。この中で「平成28年5月31日」を有効期限とするアナログ無線について、終了計画確約書を添付することにより再免許できることとした。使用期限までに移行できない事業者に対する救済措置として行うものである。
    • 主に大都市ではタクシーが多過ぎること、予約せずに飛び込む客や駅待ちの客がそれほど少なくないこと、携帯電話の普及によるタブレット端末による配車システムの登場などにより、無線機を取り付けずアンテナの設置もしない車もある。また、携帯電話回線を用いたIP無線である場合は無線機があっても車外に露出したアンテナは持たない場合がある。
    • 個人タクシーではアマチュア無線機を装備している人もおり(“タクシー業者でハム”という人が集まって、「無線クラブ」を作ったり、クラブの名義で社団局を開設している場合もある。)空車中は雑談を楽しんでいる。しかしながら、一部にはアマチュア無線を使って業務上のものと思われる通信(道路の混雑や、客待ちの情報など)を行う者もいる。このことは電波法第52条の「目的外使用」にあたる違法行為であり、一般のアマチュア無線家から批判されることがある。
  • 乗務員証・運転者証
    • 乗務員証はそのタクシー会社の社員証。運転者証は東京・名古屋・大阪・札幌・仙台・さいたま・千葉・横浜・京都・神戸・広島・北九州・福岡(東京・大阪以外は、2008年6月から適用)についてはタクシーセンター発行となる。顔写真(寸法も法令で規定がある)を貼り付けて実空車表示器の室内側表示部分に、客室に見えるように提示しなければならない。もし写真と運転手の顔が一致しなければ、車両強奪の犯罪行為が疑われる。なお、顔写真のある身分証明書面は「裏」であって「表」ではない(その裏側、すなわちガラス側に向けるほうが「表」である)。
  • ドライブレコーダー
    • 装着する事業者が増えてきている装備のひとつ。ルームミラー周辺に装着し、常に前方の状況を撮影してHDDSSDもしくはSDカードに記録しているが、不要部分は自動的に消去されている。予め決められた一定の条件(急ブレーキ、振動など)を感知すると、前後数秒の映像が保存されるほか、運転席付近にあるボタンを押して映像を保存することができる。当初は、タクシーの事故後の解決・交渉をスムーズに進めるために導入されたが、副次的な成果としてドライバーの運転マナーの向上や、タクシーが当事者ではない事件や事故の証拠、事故原因の解析による事故予防などに活用されている。このほか強盗や接客などのトラブル防止のため室内を撮影するものもある。
  • ETC車載器
    • 都市部を中心に、最近装備する事業者が増えている。深夜時間帯や休日などに高速道路を通行した場合、ETC割引制度を受けられる場合が多い。通常はタクシー会社の保有するETCカードを利用して、運賃と合わせて領収書を発行する。
  • エコーカード
    • 利用者が意見や感想、苦情等思ったことを書いて利用会社宛に送ることが出来るハガキ。殆どは切手不要、料金受取人払いで、ポストに投函するだけでよい。カードにはドライバー名(号車番号)が記されているので、担当ドライバーの接遇改善を促すきっかけにもなる。
  • その他
    • ブースターケーブル(仲間等がバッテリーが上がったときに救援するため、ただしハイブリッド車は救援受け入れのみ)、ゴムバンド(トランクルームに蓋が閉まらなくなるほどの大きな荷物を積載したときの落下防止用)、救急箱、傘(雨の日の迎車のため。宣伝になるので社名が大きく入ったオリジナル傘をそろえている会社もある)、消火器、毛布、バケツやブラシなどの洗車道具(会社によっては各自で持参しなければならない)などを搭載している場合もある。
    • 結婚式において和装した新婦が乗降しやすいように、左側後部の天井を垂直に展開出来るようになっている「花嫁タクシー」が存在する。

車両広告

車両は不特定多数の乗客が乗降し、一日中街中を走行しているため広告媒体としても利用されており、タクシー広告専門の広告代理店も存在する。

  • 車体広告
    • ラッピング広告 - 車体の両面ドア4枚に広告を印刷したフィルムを貼り付けるもの。車両全体に施される場合もある。
    • 後部ドアにマグネットで広告を貼り付けるもの。
    • 後部左側ドアのウィンドウにステッカーを貼り付けるもの。
    • リアウィンドウにフィルムを貼り付けるもの。車内からは透視でき、外部からは広告面が見える。
    • 大型の社名表示灯に商品広告が施されているもの。
    • ホイールに静止ホイールを取り付けるもの。
  • 車内広告
    • 助手席背中部分にケースを取り付け、チラシ広告をおくもの。車中への忘れ物に備えて社名とナンバー、車番(会社での車両登録番号)が明記された名刺風カードが設置されていることもある。
    • 液晶ディスプレイを設置し、広告や文字多重放送を使った文字ニュースを流していることもある。特に助手席の背後に設置されるタイプでは電子決済などを行えるようにしたものもある。事業者によっては画面広告に完全移行しチラシを廃止した例もある。

注釈

  1. ^ (有償運送) 自家用自動車(事業用自動車以外の自動車をいう。以下同じ。)は、次に掲げる場合を除き、有償で運送の用に供してはならない。
  2. ^ それらに加えて規模の大きい都市においては、大きい幹線道路の左端にタクシーの乗り場専用レーンが設けられている場合もある。
  3. ^ 地域によっては申し出さえすれば、(条件が許す限りではあるが)順番の変更が受け入れられる場合もある。誘導係員がいない場合は、先頭から順に使えるか確認していって使用できる車まで移動する方が(トラブルを避ける意味でも)望ましい。
  4. ^ 都内の大手タクシー会社では、グループに自動車教習所や提携教習所があり、ここで二種免許取得のための教習が可能。
  5. ^ 「この期間を終える前に退職した場合、取得費用を返還しなければならない」という書面契約を行う場合がある。
  6. ^ 1970年代に個人タクシーで用いられたマークII(X10系まで)やスカイライン(C10・C110・C210系)などでは、下級グレードを中心に後部座席のヘッドレストを装備していない車種が多かったため、基準を満たすためにメーカー・ディーラーでヘッドレストの後付けが行われていたと推測される。
  7. ^ プリウス(20系:185/65R15、30系・50系:195/65R15)、ノア・ヴォクシー・エスクァイアおよびセレナ(195/65R15)、ノート(185/65R15、ただしE13系は標準だがE12系以前はオプションホイールまたは社外ホイール装着時)等の例がある。
  8. ^ 京成グループに所属するが、車体や行灯にはK'SEI GROUPロゴを掲出していない(公式サイトには明記)。
  9. ^ ウォルト・ディズニー・カンパニーとの関係により京成グループ統一行灯を使用せずK'SEI GROUPロゴの掲示もしていない。また、その関係で京成タクシーホールディングス傘下ではない(が共同配車体制は敷かれている)。
  10. ^ 京成グループであるが、独立性が高くK'SEI GROUPロゴは用いていない。
  11. ^ 京成グループであるがタクシーの車体にはK'SEI GROUPロゴを使用していない。

出典

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  7. ^ 代用燃料車への改装願いが殺到(昭和16年9月3日 東京日日新聞)『昭和ニュース辞典第7巻 昭和14年-昭和16年』p82
  8. ^ 決戦に備えて旅行を大幅制限(昭和19年3月15日 毎日新聞(東京) 『昭和ニュース辞典第8巻 昭和17年/昭和20年』p783
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