問題行動・事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 04:27 UTC 版)
「日本における2019年コロナウイルス感染症による社会・経済的影響」の記事における「問題行動・事件」の解説
新型コロナウイルスに関する誤情報・デマに関しては、「2019年コロナウイルス感染症流行に関連する誤情報」も参照。 感染拡大の影響でマスクが品薄となったことから、小売店で購入したマスクをECサイトやフリマアプリなどで高額で転売する事例が多発した。このため、政府は3月10日に国民生活安定緊急措置法施行令の改正により、マスクの転売を禁止する方針がとられ、15日から施行された。 勤務先でコロナウイルスへの感染を疑われ、露骨に避けられたり、部署の異動を命ぜられるなどの「コロナハラスメント」が広がっている。 感染拡大の影響で外出自粛となっているのに乗じて、在宅の高齢者などを狙った「訪問盗」が多発している。 生活苦からの、コンビニエンスストア強盗や神社での賽銭泥棒が続発。[要出典] 2020年2月頃に「トイレットペーパーは中国で製造・輸入しているため、新型コロナウイルスの影響でこれから不足する」といった誤情報がSNSを通じて拡散し、全国各地の小売店でトイレットペーパーやティッシュペーパーなどの紙製品が品切れになる店舗が相次ぎ、政府や業界団体が「トイレットペーパーは殆どが(日本)国内で製造しており、在庫は十分にある」と否定する事態になった。「トイレットペーパー騒動#新型コロナウイルスの流行」も参照 2020年3月4日、愛知県蒲郡市で陽性と判定された市内在住の50代男性が、県からの自宅待機要請に応じず、他人にコロナウイルスに感染させる目的で飲食店を2軒来店し、居酒屋に15分、フィリピンパブに40分滞在していた。この男性は後に県内の医療機関に入院している。12日、50代の男性とフィリピンパブにて濃厚接触した30代女性が、新型コロナウイルスに感染していることが分かった。男性は18日に入院先で死亡した。 2020年3月15日、東京都渋谷区道玄坂二丁目のライブハウス「VUENOS」で開催された、女性アイドルグループ26組が出演するイベント「S-FES」に、同月中に新型コロナウイルスに感染しているとの書き込みをTwitterに行った30歳の男が、Twitterにて訪れることを予告し、安全確認のためイベントや物販が中断になったり、換気を行ったりすることを余儀なくされた。男は出演していた一部のアイドルグループのファンクラブのメンバーで、別のファンが主催者に通報し、主催者が場内放送で呼び出しまた一旦イベントを中止させたところ、警察官が駆けつけた後に感染が虚偽であったと告白した。警視庁は男を偽計業務妨害で逮捕しており、また出演したアイドルグループ「Revival:I」も法的措置をとると明らかにしている。12月、不起訴処分。理由は不開示。 2020年3月16日、高崎駅発小山駅行きの両毛線下り列車に乗車していた男性が、午後4時43分頃、桐生駅停車中に「俺はコロナだ」と新型コロナウイルスに感染しているかと思わせる虚偽の発言をし、他の乗客とトラブルになった。男は酒に酔った様子だった。保健所が検査を行ったところ、感染は確認されず、群馬県警察は男性を偽計業務妨害の現行犯で逮捕した。この影響で乗客を他の車両に移すなどの対応が行われ、両毛線の下り列車3本に最大57分の遅れが出るなどの影響が出た。上記の他にも「私はコロナ患者」「コロナをばらまく」と言い周囲の業務に支障を起こし、警察が駆け付ける騒ぎになったり、警察に検挙されたりするケースが愛知県をはじめとして全国各地で多発している。 2020年3月21日、静岡県袋井警察署は、「コロナウイルスの患者が出た」と虚偽の発言をしてコロナウイルスの検査名目で現金をだまし取ろうとした袋井市在住の会社員を詐欺未遂の容疑で逮捕した。 2020年3月27日、消費者庁はウエルシア薬局とダイレックスに対し、マスクが無いのにあるかのようにチラシで宣伝した行為が景品表示法違反(おとり広告)に当たるとして、再発防止を求める行政指導をしたと発表した。 2020年3月31日、警視庁生活環境課は、新型コロナウイルスへの予防効果があると称し、医薬品として未承認のサプリメントをインターネット上で広告したとして、健康食品販売会社の社長と社員および法人としての同社を医薬品医療機器法違反の容疑で書類送検した。新型コロナの対策をうたう販売業者の摘発は、全国で初めてである。 2020年4月以降、感染拡大の影響でインターネットカフェなどの休業が相次いでいることに便乗し、SNS上で「コロナで困ってるネットカフェ難民の子、力になるよ」などと家出少女らに無料の宿泊先の提供を呼び掛ける投稿が急増していたことが、愛知県警察と文教大学の調査で判明した。 2020年4月6日、東京で、夫婦喧嘩から傷害致死事件に発展する事例が起きた。妻はコロナウイルス感染症が収入減につながったことを愚痴っており、これが口論のきっかけになったという。在宅勤務が推奨されたことによるドメスティック・バイオレンスの被害相談が外出規制地域で相次いでいる。 2020年4月7日、集団感染が確認された京都産業大学に誹謗中傷の電話数百件やメールがあったり、関係者や家族が日常生活で他人から差別的な扱いを受けたりしていることが分かった。中には「感染した学生の住所を教えろ」「大学に火をつけるぞ」などの脅迫や「殺すぞ」といった殺害予告も含まれており、大学は刑事告訴も視野に対応を検討している。インターネットの掲示板やSNSにおいても、感染者に対する誹謗中傷などが発生した。中傷を恐れて検査を受けず感染がさらに広がる可能性があるとの意見があり、弁護士らは「書き込みの内容次第では脅迫や名誉棄損の罪に当たる可能性がある」と指摘している。朝日新聞の長期連載企画『「みる・きく・はなす」はいま』第45部が「許せない 許さない」と題してこれらの“特定しようとする動き”を採り上げる。 2020年4月7日、Twitterで山形県山形市の飲食店に新型コロナウイルス感染者がいる嘘の情報を複数回投稿し、店の営業を妨げたとして、山形県警察が28歳の作業員男性を業務妨害の疑いで逮捕した。同じく山形県内で同年4月10日、インターネットの掲示板で米沢市の飲食店に新型コロナウイルス感染者がいるという虚偽の情報を流したとして、山形県警察が36歳のインターネット関連会社役員男性を偽計業務妨害の疑いで逮捕した。 2020年4月9日、緊急事態宣言中に営業を続けていた東京都港区のスポーツクラブに立腹し、スポーツクラブのガラス製の入り口のドアを蹴って壊したとして、警視庁三田警察署は43歳の会社員男性を器物損壊の現行犯で逮捕した。 愛媛県新居浜市の小学校がトラック運転手の子供に自宅待機を求め始業式や入学式に参加できなかったことが発覚、後に学校側は謝罪した。 2020年4月12日、愛知県警察が広報課の公式Twitterで、2019年新型コロナウイルスに関して「深く息を吸って10秒我慢し、 咳や息切れが無ければ、感染の可能性は低い」など誤った内容を投稿していたことが判明。投稿の3時間半後には「不正確な情報をつぶやいてしまい、申し訳ありませんでした」などと謝罪文を掲載したものの、元の投稿は広範囲に拡散されている。 緊急事態宣言を受けて大阪府が出した休業要請に応じなかったとして府が店名を公表したパチンコ店に対し、電子掲示板に爆破予告の書き込みが行われていたことが判明し、大阪府警察が威力業務妨害容疑で捜査を行っている。 2020年5月3日、登山などレジャーを自粛してもらうため東京都奥多摩町が林道に設置した鎖の錠前が壊されたり、バリケードが撤去されるなどしているのが見付かった。 2020年5月4日、靖国神社内のトイレに、世界で最初にコロナウイルスの感染者が出た武漢市を中傷する落書きが見付かったが、6月3日に器物損壊容疑などで逮捕された容疑者の供述によると、落書きへの批判をネット右翼に向かわせるための狂言だった。 2020年5月31日、神戸市兵庫区内の駐車場で、25歳の男性が、近所に在住する65歳の男性から、マスクを着用していないことを注意されて立腹し、65歳男性の首を絞め地面に背中を打ち付けるなどの暴行を加え、65歳男性は首に重傷を負い、後遺症で下半身不随となった。25歳男性は翌2021年12月7日に傷害容疑で兵庫県警察に逮捕された。 2020年7月8日、鹿児島中央警察署は、鹿児島市役所の窓口で、新型コロナウイルスに感染した人の個人情報を開示しろと要求し、断られたことに腹を立て、対応した職員との間に設置されたアクリル板を殴り、職員の職務を妨害した公務執行妨害の疑いでサービス業の60代の男を逮捕した。 感染拡大に便乗した特殊詐欺事件が続発している。緊急事態宣言の発令で、不安な心理につけ込んだものと見られており、警察は注意を呼び掛けている。 三重県では感染者の家に投石でガラスが割れたり、壁に落書きされた。 感染拡大に伴うマスクの品薄に乗じて、注文した覚えのない送り主不明のマスクが多数送り付けられる事例が相次いでおり、消費者庁や国民生活センターは「送り付け商法」の可能性が高いとして注意を呼び掛けている。 感染拡大に伴う自粛要請に応じず営業を継続する店や、他府県ナンバーの自動車、及び感染者やその家族、医療従事者などに対する嫌がらせが頻発しており、「自粛警察」などとメディアが名付け問題視している。 詳細は「自粛警察」を参照 愛媛県松山市の精神科病院でコロナウイルスの患者が集団発生したが、この病院の患者の一部が利用していた同市内の精神障害者福祉施設の郵便受に「(この福祉施設の運営主体のNPO法人は)運営を辞めろ」などと書かれたビラが投げ入れられていたことが判明した。 感染拡大の影響で、宅配便の荷物を玄関前に置く「置き配」が普及しているが、その置き配の荷物を狙った窃盗事件が相次いでいる。 2020年7月11日に逮捕されたYouTuberのへずまりゅうは、新型コロナウイルスに感染していたにも関わらずマスクを着用していなかった。結果、複数の人間に濃厚接触が発生し、拘留先の愛知県(岡崎警察署)や滞在先の山口県などで、彼に関連した感染者が複数確認された。 長野銀行は2020年7月20日に、小諸支店の職員が感染していることを公表したが、23日未明に同支店の正面入口横のガラスが、コンクリート片で破壊されているのが発見された。長野県警察は器物損壊容疑で捜査を行っている。同行には、感染公表後、対応を批判する電話が掛かっていた模様である。 愛媛県今治市では、市内の飲食店に於いて、個人の姓を顔写真付きで名指しした上で「この顔にピンと来たらコロナ注意」などと中傷する内容のビラが複数枚置かれていたことが明らかになった。有識者からは「名誉棄損に該当する」との指摘が出ている。 感染拡大に伴う緊急事態宣言が発出されていた2020年4月から5月頃に掛けて、自民党の秋本真利衆議院議員の秘書が、自らの選挙区内で有権者らにマスクを配布していたことが明らかとなり、公職選挙法に抵触するとの指摘が出ている。 東日本大震災の津波被害を受けた宮城県南三陸町にオープンした商店街に、2020年8月に、コロナウイルスに関連したと見られる落書きがされているのが発見された。 2020年8月21日、新潟県燕市の遠藤浩教育長は、定例教育委員会での教育長報告で「コロナ禍を短時間で解消する方法は、どこかで戦争が発生することではないだろうか。中国とアメリカが自国以外の地域で戦争を始めれば、お金は動く」と述べていた。教育長は8月31日と9月1日にお詫びコメントを市ホームページに掲載、釈明。 2020年9月7日、釧路発関西行きのPeach Aviationの旅客機の機内で、感染症対策としてマスクをつけるように求められた茨城県取手市在住の明治学院大学非常勤講師の男性が着用を拒否し、乗客や客室乗務員を威嚇したため、機長は航空法に基づく安全阻害行為と判断し、男性を臨時に新潟空港で降ろした。その後、飛行機は予定より2時間15分遅れて関西国際空港に到着した。男性は翌2021年1月19日、威力業務妨害と傷害、航空法違反の容疑で大阪府警察に逮捕された。同年9月12日にも、奥尻発函館行きの北海道エアシステムの旅客機で、感染症対策としてマスクをつけるように求められた男性(福岡市在住)が着用を拒否したため、機長により男性を旅客機から降ろした。この影響で、出発が定刻より約30分遅れた。 自由民主党の竹本直一元IT政策担当大臣が、感染拡大に伴い5人以上の会食の自粛が呼び掛けられているにもかかわらず、政治資金パーティーを強行開催していたことが明らかになった。なお、竹本は後にこのパーティーとは別要因で新型コロナウイルスへの感染が判明し、入院している。 感染拡大による経済的影響への緊急経済対策として2020年から実施された持続化給付金について、不正受給が相次いで発覚している。 詳細は「持続化給付金#不正受給」を参照 2021年1月16日、東京都内で大学入学共通テストの試験中に鼻をマスクで覆っていなかった受験生の49歳男性が、試験監督に鼻を覆うように6回注意されたにも関わらず従わなかったため、不正行為として失格・退場の処分となった。その後男性は会場内のトイレに籠城したため、同日午後10時頃に警視庁に建造物不退去の現行犯で逮捕され、送検後の1月19日に釈放された。今後は任意で捜査が続けられる。 2021年1月中旬、政府による緊急事態宣言が東京都に発出されている最中、深夜の外出や会食の自粛が求められている中で、自由民主党の松本純元国家公安委員会委員長や公明党の遠山清彦衆議院議員がそれぞれ東京・銀座のクラブなどを深夜に訪問していたことが週刊誌の記事で発覚し、緊急事態宣言で国民に外出を控えるよう求める中での軽率な行動に対して批判が続出。遠山は別の記事で資金管理団体が 2019年度のキャバクラなどの飲食費を政治資金から支出していたことが判明。また、松本は当初「ひとりで行った」と発言していたが、後に同じ自民党の大塚高司国会対策副委員長、田野瀬太道文部科学兼総理府副大臣が同席していたことも発覚。批判を受けて、それぞれの党役職を辞任した(田野瀬は菅首相より副大臣を更迭された)うえで、遠山は衆議院議員辞職、松本・大塚・田野瀬は自民党からの離党に追い込まれた。さらに、2月には同じく自民党の白須賀貴樹衆議院議員も緊急事態宣言発令中の夜間に東京・港区の会員制高級ラウンジを訪問していたことが週刊誌の記事で明らかになり、白須賀も自民党から離党し、与党議員の緊急事態宣言下での問題行動が相次いで批判を浴びている。 2021年2月27日、コロナの治療を実施している川崎市立川崎病院に勤務する看護助手が、強盗致傷に遭う事件が発生した。 2021年2月上旬、コロナ感染者の出た福岡市内の専門学校が、感染の影響で寮を閉鎖したため、PCR検査で陰性と判断された学生数人が同市内のホテルに宿泊していたが、数日後に学生5人が延泊を申し込んだ際に、ホテル側が「あなた達が感染しているなら、清掃代10万円を請求する」と学生らに説明し、学生らが延泊を断念していたことが明らかになり、感染者への差別だとしてホテルの対応が問題視されている。 厚生労働省の老健局老人保健課に勤務する職員23人が、2021年3月24日に東京・銀座の居酒屋で深夜まで「送別会」として会食を行っていたことが判明した。政府による緊急事態宣言は終了していたが、東京都が飲食店に対し21時までの時短営業を要請していた中で、23時を越えて多人数での酒席を開いていたことに対し「信用を失墜する行為」として与野党から批判が続出。厚生労働省は当該職員に対して処分を実施する方針を固め、同月30日、会を開いた真鍋馨老健局老人福祉課長を減給10分の1カ月の懲戒処分としたうえで、大臣官房付とし事実上更迭した。さらに参加22人のうち課長補佐ら14人を訓告、5人を注意・指導とした(自治体からの研修生3人は処分せず)。また、田村憲久厚生労働大臣も閣僚給与2カ月分を自主返納し、管理監督責任を問う形で樽見英樹厚生労働事務次官を厳重注意に、土生栄二老健局長を訓告処分とした。なお、この送別会の参加者から後日、複数名の感染者が判明している。 2021年4月2日、東海道新幹線京都駅 - 名古屋駅間を走行中の列車内で、検札に来た車掌が、乗客の50歳の男性に対しマスクの着用を求めたが、この男性客は拒否した上、トイレなどに居座り、「他の乗客を人質に取り暴れてもいいのだ」などと発言したほか、名古屋駅到着後に下車するよう求められても従わず、列車の発車が23分遅れた。また、この乗客は「コロナウイルスを持っている」とも発言したため、名古屋駅では防護服姿の警察官も駆け付ける騒ぎとなった。愛知県警察はこの乗客を威力業務妨害の現行犯で逮捕した。 2021年5月9日、経済学者で内閣官房参与を務める高橋洋一嘉悦大学教授が自身のTwitterアカウントに、ジョン・ホプキンス大学による日本の100万人当たりの新型コロナ新規感染者数をインドやアメリカ、イギリスなどの諸外国と比較したグラフを引用しながら、「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」とツイートした。このツイートに対し、この時点で1万人を超える新型コロナによる死者や医療逼迫の状況を認識せず、さらに「笑笑」と揶揄するような趣旨と捉えて大炎上し、識者や世論の猛反発を受けた。高橋が非常勤ながら内閣に関与する人物であることから「参与の更迭」を求める声も上がった。菅首相は翌10日の参議院予算委員会でこの件について問われ、「個人の主張についての答弁は控える」と発言の是非について言及を避けた。高橋はその後、同月11日の自身のツイートで「世界の中で日本の状況を客観的に分析するのがモットーなので、それに支障が出るような価値観を含む用語は使わないようにします」と釈明したものの、謝罪や撤回はしなかった。 さらに高橋は5月21日のTwitterで「欧米から見れば、戒厳令でもなく『屁みたいな』ものでないのかな」とツイート。再び批判の声が上がっていたが、同月24日のTwitter投稿で「不適切表現」と認めて「各位におわびする」と陳謝し、同日、政府は高橋の内閣官房参与退職を発表した。 新型コロナウイルスワクチン集団接種の予約を巡り、全国各地で予約の電話やサイトへのアクセスが集中し受付しづらい状態が続く中、愛知県西尾市の副市長が同市内に居住している杉浦広一スギホールディングス会長(スギ薬局創業者)夫妻の予約枠を優先確保するよう、市の担当部署に指示していたことが判明した。市の説明によれば、4月初旬ごろ、同社社員から市健康課に「夫妻がいち早くワクチンを打てないか」と相談があった。社員は杉浦夫妻が薬剤師で医療従事者に当たると主張したが、市の担当者は当初、医療従事者への接種は県が担当のため「対応しかねる」と断った。その後スギ側から再三にわたり要望の電話があり、これを受けて健康課を統括する健康福祉部長から相談を受けた副市長が「何とかならないのか」と指示。市は高齢者の集団接種開始日の5月10日に、杉浦夫妻のワクチンの予約枠を仮押さえしたという。結果的に外部からの指摘があり市は同日、夫妻の接種予約を取り消した。副市長はスギ側からの問い合わせに関して「会長が接種を楽しみにしている」との話から執拗に便宜を要求するものと捉え「強い要望に毅然と断ることができなかった」「市民に不信感を抱かせるようなことをした。最前線で働く市職員にも申し訳ない」と謝罪している。市側は副市長などの処分を検討している。 一方のスギ側は当初は事実を否定していたが、記事が出された5月11日に文書で「一日も早いワクチン接種をと慮った当社秘書が西尾市役所に問い合わせ」した事実を認めて謝罪する一方で、杉浦会長は「過去にアナフィラキシーショックを経験しており、ワクチン接種は希望していない」ことを釈明しているが、その一方で杉浦夫妻が接種当日に会場に移動中であったとの情報もあり、市側の説明と齟齬が見られる。 同様に千葉県鴨川市の亀田総合病院では、システム関連会社オービックの野田順弘会長夫妻に医療従事者用のワクチンを接種していたことが判明している。病院側は会長夫妻が関連法人の役員だったことを理由に挙げ「長年地域の看護教育を支えてもらった。夫妻の存在なくして、地域医療を守ることはできないと考えている」とし、職員への接種の残りの分を使って接種したことを認めている。 有力者への医療従事者枠の流用接種が見られる一方で、各自治体の首長が「医療従事者」として先行接種した事例が各地で散見されており、公平性の観点から批判の声がある一方で、感染対策の陣頭指揮を執る自治体トップの優先接種は合理的であるとする観点やキャンセル分などのワクチンの有効利用を促す観点から賛同する意見もあるなど、賛否両論の状態となっている。 新型コロナウイルスワクチン担当の河野太郎行政改革担当大臣は、自治体首長などへ対する流用接種に関して、5月21日の会見で「貴重なワクチンが廃棄されているのは極めて許しがたい状況だ。町長が先に打ったとか、いろんなことで批判され、批判を恐れて廃棄するようなことがないように、自治体の裁量で有効活用してほしい。批判があれば、私が責任をとる」と、ワクチンの有効利用の観点から接種を容認する見解を述べている。 2021年5月11日、『週刊文春』の取材で日本医師会(日医)の中川俊男会長が、同年4月のまん延防止等重点措置適用期間中に自ら発起人となり、東京都内で行われた日医傘下の「日本医師連盟」の組織内議員である自見英子自由民主党参議院議員の政治資金パーティーに参加していたことが判明した。中川は日医会長就任以降、メディアを通して国民へコロナウイルスの危機感を強く訴え、緊急事態宣言の拡大を主張するなど会見を繰り返し行い、その言動が一部では「上から目線」「傲慢」などと批判を集めており、政治家の会食などには全面自粛を行うよう厳しい姿勢を見せてきた立場でありながら、感染リスクの高い政治家のパーティーに参加したことで世論や識者、日医内部などから批判を集めている。中川は翌12日の定例会見で記事の事実を認め、自身を始め14人の常勤役員が出席していたことも明らかにし、「全国で多くの皆さまが我慢を続けている中で、慎重に判断すれば良かった」と陳謝しうえで、「会長職を退くつもりは全くない。これまで以上に責務を果たす」と会長辞任については否定した。 また、5月19日配信の『週刊新潮』では、中川は前年8月に「我慢のお盆休み」と国民に不要不急の外出・会食自粛を訴えていたにもかかわらず、同月下旬の夕方に都内の高級寿司店で女性とともに食事をしていたという記事が掲載されており、一連の中川の行動については同様に識者や世論の批判を集めており、会長辞任を求める声も多い。 2021年5月3日から5日にかけて静岡県浜松市で行われた「浜松まつり」に、同市に事務所を置いている自由民主党の塩谷立衆議院議員(静岡県第7区選出)、片山さつき参議院議員(参議院比例区選出)が、緊急事態宣言発令地域からの参加が禁止されていたにもかかわらず、宣言発令中の東京から同市を訪れ、凧揚げなどのまつり行事に参加していたことが明らかになった。2020年の「浜松まつり」は新型コロナウイルス拡大の影響で中止になったが、2021年は無観客開催、夜間の屋台引き回し中止、凧揚げ会場での飲食禁止などの制限を設け、開催していた。塩谷事務所は「参加禁止は承知していたが、事前にPCR検査や抗原検査などで陰性確認した」と釈明。片山事務所はPCR検査を受けて陰性確認したとしつつ、「凧揚げへの参加は問題があったかもしれない。慎重に判断すべきだった」と答えている。また、静岡県内を拠点とする立憲民主党の源馬謙太郎、日吉雄太両衆議院議員(ともに比例東海ブロック選出)も凧揚げには参加しなかったが、まつりには出席したことが一部報道で明らかになっている。 茨城県の潮来保健所が、外国人が働いている農家に対して新型コロナウイルスの感染対策を呼び掛けた文書で「外国人とは一緒に食事をしないように」との文言について「行政が外国人と明示して差別を助長させかねない不適切な表現」と指摘があり、県感染症対策課と保健所は「不適切な内容だった」として文書を撤回した。 経済産業省のキャリア官僚2人が、コロナ禍で影響を受けた事業者・事業主を支援する「家賃支援給付金」を騙し取ったとして、詐欺罪で逮捕・起訴されている。 京都府伊根町では、2021年6月6日から12歳以上の児童・生徒へのCOVID-19ワクチンの接種を開始し、6月下旬以降に伊根町立伊根中学校で集団接種を実施する予定にしていたが、子供への接種に反対する抗議の電話やメールなどが6月7日から8日までに約200件寄せられたため、町は中学校での集団接種を止め、個別接種に切り替えることにした。また、抗議の電話・メールには職員を脅迫するような内容のものがあったとして、町は警察への被害届の提出も検討している。 新型コロナウイルスワクチンの接種予約を騙り、偽装サイトへ誘導し個人情報を盗み取るフィッシングが相次いでいることが明らかになった。 2021年6月下旬、北海道札幌市でマスク未着用の15~20人の団体が札幌市役所を訪問し、アポイントなしでの秋元克広市長への面会を求めトラブルとなり、感染症対策室の職員らが地下1階の会議室で応対した。応対時に職員はマスクの着用やパーテーションの設置を提案したが、相手が拒否した状態で長時間が話し合いが持たれたが、その結果同市の職員3名が新型コロナウイルスに感染が判明した。同団体は前日には北海道庁も訪れており、職員12名が対応。その後、因果関係は不明であるが職員数名の感染が判明している。今回の事態を受け北海道庁は7月7日、マスクを着用しない来庁者の入庁制限を始めた。札幌市も正当な理由がなくマスク着用を拒否した来庁者には対面を断り、退去を求めることとなった。 2021年7月、国税庁課税課に勤務する職員7名が新型コロナウイルス感染が判明したが、当該職員は同月上旬、まん延防止等重点措置が適用されていた東京都内で都の要請に反して3人以上での送別会などにそれぞれ参加していた。国税庁は関係者から事情を聴き、厳正に対処するとしているが、折しも国税庁はコロナ感染症対策推進室と連名で、酒類を販売する事業者に対して飲食店への酒類の取引を停止を要請する文書を出しており、その渦中での問題発覚で批判を集めている。 2021年8月、2020年東京オリンピックの閉会式後の夜に2020年東京オリンピックに関係した仕事をしていたテレビ朝日の番組スタッフが東京都の渋谷のカラオケ店で10人の飲酒会合を開催していたことが判明した。テレビ朝日では新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、宴席等を禁ずる社内ルールを設けていたにもかかわらず飲酒会合を行った上、会合に参加したテレビ朝日のスポーツ局社員の1人が、翌日未明に誤って店の外に転落して負傷し救急搬送された。その後、テレビ朝日は参加した直属の社員6名に対して謹慎10日間の懲戒処分を科している。 緊急事態宣言下である2021年8月17日、自民党の二階俊博幹事長と公明党の石井啓一幹事長など政権与党幹部5名が、政府から「会食は4人以下とするよう」呼びかけが出ているにもかかわらず東京都内の日本料理店で昼食しながら会談した。参加した幹部は「不要不急の会合ではない」「5人とも1回目のワクチン接種を終えており、感染リスクが従来低下していることも考慮して、広い個室で距離を置いて黙食した」などと弁明しているが、二階は前年12月にも菅義偉首相らと著名人が参加して都内のステーキ店で会食を行い批判を浴びていたため、再び自制を破る所業にSNSを中心に世論からの批判を招いた。 立憲民主党の石川大我参議院議員が、新型コロナウイルスに感染した秘書の男性知人の救急搬送要請を巡り、「保健所の判断」で直ちに搬送する状態ではないと判断されたことに際し、秘書とともに『搬送しなければ、この動画をSNSでさらすぞ!』と救急隊員を恫喝していたとされる記事が、2021年8月17日の『文春オンライン』が公開された。石川は文春の取材に対し「この画像をSNSで晒す」とした発言は否定し、「危機的状況を事後ご本人や秘書に共有する観点から要所要所で記録は取りました。救急隊とは患者の容体については意見交換をした」と弁明している。 全国に新型コロナウイルス感染が拡大し、医療体制が逼迫する中で2021年8月に「フジロックフェスティバル」(新潟県湯沢町)や「NAMIMONOGATARI」(愛知県常滑市)といった大規模な野外音楽イベントが各地で相次いで開催され、主催者側から感染防止対策が呼びかけられていたものの、多く集まった観客の密集がみられたり、酒類の販売や持ち込みがあったり、マスクを外して歓声を上げるなどの問題行為が一部で常態化しており、開催した主催者側に対し大きな批判が集まっている。特に「NAMIMONOGATARI」に関しては、常滑市の伊藤辰矢市長が「国や県の要請、ガイドラインも全く守られていない、極めて悪質なイベント」と糾弾し、主催者に対し抗議文を送付したうえで「今後二度と市の施設であるりんくうビーチを使用させない旨を記した」と明言。また、愛知県の大村秀章知事も記者会見で「再三、指示や要請したことが守られていない。主催者と展示場運営会社に厳重に抗議する。今後この業者には県所管施設でのフェス開催は許可しない」と糾弾した。また業界内からも、コンサートプロモーターズ協会、日本音楽制作者連盟、日本音楽事業者協会、日本音楽出版社協会の音楽4団体が「音楽業界が過去1年半に渡り、国や自治体などと築いてきた信頼関係を破壊し、医療従事者や関係当局の苦労を台無しにする暴挙」と主催者を非難する共同声明文を出している。その後に同イベントに参加した複数人の新型コロナウイルス感染が判明しており、愛知県はクラスターと認定している。 「飲食店への協力金1500万円が税金により支払われている」などと、コロナウイルスの影響で休業している飲食店などを非難するような内容のビラが、東京都内の各所で貼られていることが明らかになる。 通天閣のネオン広告を巡り、「(コロナワクチンを)射っちゃダメ」などのメッセージに書き換えたデマ画像が、TwitterやInstagramなどのSNSで拡散されていることが判明。通天閣を運営する通天閣観光に対し、これらの投稿を信じたと思われる者から抗議が殺到しており、同社は業務に支障が生じているとして、今後さらにデマ画像が拡散された場合、法的措置を検討するとしている。 医薬品の個人輸入の代行を謳うウェブサイトに於いて、日本国内で未承認のコロナ治療薬の販売が横行していることが明らかになった。医薬品医療機器法上での禁止行為であることと、健康被害に繋がる怖れがあることなどから、厚生労働省や専門家らが注意を呼び掛けている。 厚生労働省は2020年5月に新型コロナウイルス感染者が療養を終了し、職場復帰あるいは登校再開する際に 「感染していない」「治っている」ことを証明する目的でのPCR 検査の実施や陰性証明書の提出を求めない指針を示しているが、それに反して会社・学校側からPCR検査の受検や陰性証明書の提出を求めるケースが後を絶たず、指針が徹底されていない事業所などが散見される。また、陰性証明を求める人が相次いでいることで、医療現場の負担が増大している。 2022年1月13日、コロナウイルス感染症による国内の死者が18,428人となり、東日本大震災による死者・不明者の計である18,426人を上回った。 2022年2月22日、コロナウイルス感染症による国内の死者が22,294人となり、東日本大震災による関連死を含む死者・不明者の計である22,207人を上回った。 「コロナウイルスは存在しない」などの主張を繰り返す団体「神真都Q」の存在が明らかになっている。この団体は、デモ活動の他、コロナワクチンの接種会場に押し掛けて不法侵入したりしており、逮捕者も出ている。「神真都Q」も参照 山口県阿武町が、コロナの影響による困窮世帯に10万円を給付する臨時特別給付金を、同町在住の24歳男性に4,630万円に亘り誤給付し、この男性はうち一部を別の口座に振り替えて不当に利益を得た。山口県警察は2022年5月18日にこの男性を、電子計算機使用詐欺容疑で逮捕した。 コロナ禍で苦境に立つ卸会社や飲食業者などを狙い、大量に商品を受け取った後、代金を支払わず行方をくらます「取り込み詐欺」が相次いで発生している。飲食店の営業自粛などで余った食材などが狙われることが多く、警察当局が注意を呼び掛けている。
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