電気自動車 電気自動車の概要

電気自動車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/31 09:23 UTC 版)

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目次

概要

電気モーターを動力源とする電気自動車は、車載電池から電力を得る電池式電気自動車と、走行中に電力を外部から供給する架線式電気自動車とに大きく分けられる[3]

電池式電気自動車は、外部からの電力供給によって二次電池(蓄電池)に充電し、電池から電動機に供給する二次電池車が一般的である。車両自身に発電装置を搭載する例としては、太陽電池を備えたソーラーカー燃料電池を搭載する燃料電池自動車がある。発電専用エンジン(レンジエクステンダー)を搭載する物については、内燃機関と二次電池を併用する事からプラグインハイブリッドカーに分類される。

電池を用いた方式は構造が単純であるため、自動車の黎明期から今日まで遊園地遊具フォークリフトゴルフカートなどに多く使用されてきた。日本では東京都中央卸売市場などで運搬に利用される、ターレットトラックでもその数を増やしている。しかし、従来の二次電池は、出力やエネルギーあたりの体積と質量が大きく、コストも高く、寿命も不十分であった。また、急速な充電を避ける必要もあり、稼働時間に対し長い充電時間も短所であった。そのため、交通機関の主流たりえなかった。近年、出力・エネルギー密度が高く、繰り返しの充放電でも劣化の少ないリチウムイオン二次電池の発展により、電気自動車が注目されている。

架線式電気自動車としては、架線架空電車線)に接触させて電源を得る方式はトロリーバスとして古くから用いられているほか、架線を地下に埋設して、誘導電流によって走行中に充電できるオンライン電気自動車などがある。

特徴と種類

ガソリンエンジンディーゼルエンジンなどの内燃機関による動力源と比較すると、適切に選ばれた電動モーターの起動トルクは大きく、高速回転領域まで電力の変換効率がそれほど変化しないので、電気自動車はほとんど変速機を必要としない。また、自身で始動できるため始動用の補助動力装置も不要である。電動モーターは内燃機関に比べると騒音が少ないが、それゆえに歩行者に気づかれにくく事故につながる状況もあるため、歩行者へ車両の接近を知らせる発音装置の搭載を標準化することが検討されている[4]

二次電池式電気自動車

車体に電気プラグを繋いで充電可能な二次電池をエネルギー源とし、その電気で電動機を回して走る自動車。自動車としては蒸気自動車ガソリンエンジン自動車(ガソリン車)と並んで最も古くからある形態の一つである。

二次電池式電気自動車の利点を活かしながら、内燃機関も持つプラグインハイブリッドカーなども存在する。

長所

  • 内燃機関に比べエネルギー効率が数倍高く、エネルギー費用が大幅に抑えられる(1km走行で電気代は深夜電力利用で約1円、非課税なら石油走行の10-15%、1km走行でガソリン代は約15円:燃費が10km / Lの場合)。
  • 一般家庭の100Vまたは200V電源でも充電が可能であるため、ガソリンスタンドエコ・ステーションなどの専用の補充設備なしでも運用が可能である。
  • 内燃機関、クラッチ変速機スターターなどが不要で、部品点数が内燃機関車に比べ大幅に少なく、ASSY交換も容易で故障の際の修理コストも抑えられる。電池の価格さえ大幅に下がれば、ハイブリッド車はもちろん、ガソリン車より安く作ることが可能。
  • モーター、二次電池を持つため、運動エネルギーを再び電力に変換して蓄える、いわゆる回生ブレーキが実現できる。
  • 内燃機関特有のアイドリングが存在しないため、車両一時停止時も無駄なエネルギー消費がない。
  • 電動機は駆動力と制動力の双方を生み出すため、電子制御で高性能のトラクションコントロールABSを実現することが容易。
  • 走行時のCO2やNOxの排出が無い。
  • 電気自動車に蓄えられた膨大な電力は一般家庭2日分に相当し、停電が発生した際の緊急用の電源として用いることが可能であり、近年注目されている[5]
  • 衝突時などに爆発や炎上の原因になりやすいガソリンや軽油、LPGがない。
  • 内燃機関は高度が高くなると大気圧の低下の影響を受け出力が低下するのに対し、高度の変動による影響を受けず一定の出力を保つことができる[6]

短所

  • 現在の二次電池は、体積重量あたりのエネルギーが化石燃料に比べて小さいため、同一体積、同一重量あたりの、カタログ値ではない実際の航続距離が内燃機関車に比べてはるかに短い。
  • エアコンの使用で航続距離はさらに短くなる。
  • 急速充電器による充電では80 %完了まで約20分と、ガソリンスタンドでの給油と比較すると長い。充電スポットが少ない場合は他車の充電完了を待つ時間も加算される。
  • 電池の温度が上昇すると充電時間が伸びる。
  • 高圧大電流の電源設備を用いれば5分程度で充電が完了するが、充電装置の規格が電力スタンド、電気自動車ともに各社対応がバラバラで、電力スタンドがビジネスモデルとして成立していない。
  • 衝突時などの事故処理、通常のメンテナンス時に内部の高電圧回路による感電事故や高電流による火傷などのリスクがある。

水素燃料電池自動車 (FCV)

水素を燃料タンクに蓄え、水素燃料電池で発電して電動機を駆動する電気自動車。水素を直接燃焼させる内燃水素自動車とは異なる。

水素燃料電池車は一回の充填時間が3分とガソリン車と同等の早さであり電池式電気自動車に比べ優れ、航続距離も二倍ほど長い。

水素燃料電池自動車の Well to Wheelエネルギー総合効率はガソリンハイブリッド車と同等であり、電池式電気自動車の方が効率とCO2排出量も4割良い[7]。「5-2-1 標準ケース 図5-3 標準ケースにおけるWtW エネルギー消費量・CO2 排出量(J-MIX;JC08 モード)」。

燃料電池車の利便性を十分に発揮するには水素ステーションの整備が急務であるが、整備費用が高価なことなどから整備は遅れ気味である。また、現時点ではまだ生産量が少ないため高価である。

2014年12月にトヨタがMIRAIを日本で発売し、2015年秋からは北米とヨーロッパでも発売している。ホンダも新型車を2016年3月よりリース販売する予定。

現状で自動車に使える燃料電池は低温で機能する固体高分子形燃料電池 (PEFC) だけとされている。PEFCは他の方式の燃料電池より効率が15% - 35%低いが、効率の高い高温動作燃料電池は24時間連続運転用で、停止するのは1か月に1度だけ、頻繁に起動・停止すると、熱膨張と収縮のため壊れてしまうので自動車に使えない。

  • PEFCは低温反応のために白金を用いた触媒を不可欠とする。
    • 2010年現在の白金使用量を1/10以下に下げないと、現存する全ての白金を使っても全世界の自動車生産に全く足りない。
    • 白金は排ガス浄化触媒としても使われているので安易に量産すれば自動車産業自体が崩壊する。
    • 白金は高価な貴金属であるため燃料電池が高価となり、水素燃料電池車の価格は1千万円を越える。
  • 電解質を通すためのイオン交換樹脂の劣化による性能低下があり、信頼性・耐久性に問題がある。
  • PEFCは白金触媒の反応性のために、ほぼ純粋な水素を必要とし、改質における未改質ガスやCOを除去しなければならない。改質器は高価で複雑なものになり車載は困難となる。

効率の面では定置型の固体酸化物形燃料電池 (SOFC) などの高効率燃料電池で発電してBEVを走らせたほうが良いことは明らかである。

長所

  • 自然エネルギー発電が普及すれば、化石燃料を用いることなく水を原料にして電気分解で生産できる。
  • 走行時にCO2NOxを出さない
  • 充填時間は約3分で電池式電気自動車の充電よりも早い。
  • 内燃水素自動車よりはるかにエネルギー効率が良い。水素の原料となるCNG内燃機関と比べても1.5倍以上。

短所

  • 日本には安価で大量な水素源がなく、輸入天然ガス改質が最も効率が良く、化石燃料から水素を生産するとガソリン自動車と大差ない環境負荷となる
  • 電気分解で水素を生成する効率は電気を二次電池に充電するより悪く、また、高圧水素タンクに気体水素を充填するだけで大きなエネルギーロスになる
  • 水素供給インフラの整備に莫大な費用と時間が掛かる
  • 水素脆化により車両全体に及ぶ金属劣化に対する対策が必要
  • 実用的な水素吸蔵物質がなく水素吸蔵合金は重量あたりの充填量が少なく非常に高価
  • システムが複雑なため車上有効スペースの減少と重量の増加

金属燃料電池(金属空気電池)自動車

新しい材料と構造の金属空気電池を使い電動機を駆動する自動車。エンドユーザーにとっては空気電池を一次電池のように電池パックごと交換して使い、バックエンドの再生場で金属燃料と正極電解液を交換して燃料電池として再利用する。金属空気電池は燃料密度が大きく、容量が非常に大きいので、1回の交換あたり1000km以上を走行できる。金属燃料として金属リチウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、亜鉛などが検討されている[8][9]

長所

  • 電池をストックでき、ある程度停電に強い。
  • 車載用として最も適した燃料電池
    • 構造が簡単でスペースが最も小さい燃料電池である
    • 最もライフサイクルコストの安い燃料電池である
    • 航続距離が水素燃料電池や内燃機関より長い
    • 金属空気電池用の再生インフラが必要だが、水素燃料インフラより取り扱いと構築が容易である
    • 金属空気電池用の再生システムを確立すれば電池の劣化を気にする必要が無い
    • 走行時にCO2NOxを出さない
  • 金属空気電池を二次電池として使う可能性もある
    • 燃料電池のフィールドでの燃料補給は困難だが、二次電池にして充電できる可能性はある

短所

  • 電池本体の問題
    • 車載型燃料電池にできそうな金属空気電池は新しすぎて実績が無い
    • 燃料電池のフィールドでの燃料補給は困難で、電池交換と再生工場が必要
    • 交換式金属電極の規格化が必要
    • 放電したあとの金属電極を精錬して再び金属電極とするために多大なエネルギーが必要となる
      • (金属を再生する必要エネルギーが大きくエネルギー収支上問題があるだけでなく、工業レベルで安価に再生する技術的な目処も立っていない状況である)
    • 燃料電池としては最もコスト安だが、既存の二次電池より安くなるか不明
  • 二次電池を併用する複雑性
    • 総合効率の向上のため回生ブレーキ充電用の二次電池が必要とされる
    • 寒冷地の起動用にも二次電池が必要とされる

アルコール燃料電池自動車

アルコールを燃料タンクに蓄え、燃料電池で発電して走る電気自動車。アルコールを直接燃料電池に供給するものと、アルコール改質器を用いてアルコールから水素を得て、水素燃料電池に供給するものがある。発電用の燃料としてアルコールを利用するため、アルコールを直接内燃機関で燃焼させるアルコール燃料自動車とは異なる。

長所

  • 他の方式のアルコール燃料自動車と同じ長所
    • 火災の際は消火できる
    • アルコールは既存のガソリンスタンドで給油可能
    • 燃料価格は比較的安い
  • 燃料電池自動車と設計の共通化が図れる

短所

アルコール改質型は最も複雑なシステムのため、許容できないほどの車上有効スペースの減少と重量の増加とコスト高になる

  • 他の方式のアルコール自動車と同じ短所
  • アルコール燃料電池自動車固有の短所
    • アルコール中の水素を利用するため燃料電池内は水素燃料電池と同様水素脆化による金属劣化の問題が発生する
    • 燃料改質器にスペースとコストをとられる
    • 改質の際、CO2と熱が発生する
    • 燃料電池が高価である
    • アルコール直接供給式燃料電池は水素燃料電池よりも寿命が短い(腐食性が原因)[10]
  • 二次電池を併用するハイブリッド車となる複雑性
    • 総合効率の向上のため回生ブレーキ充電用の二次電池が必要とされる
    • 改質器のために更に大容量の寒冷地の起動用に二次電池が必須とされる

トロリーバス(架線集電式ハイブリッド車)

架線を設けた幹線では架空電車線から集電して電動機で走行しつつ二次電池に充電し、架線のない支線で電池式EVとしての走行が可能な2モード電気自動車が構想されている。

トロリーバス都市部の交通機関として古くから実用化されていたが、架線のある所以外では走れないことなどから普及が限られている。しかし近年、ハイブリッドバスに集電装置を取り付け、架線のない所でも長距離を走れるトロリーバスが開発され、公共交通機関として見直されている。

長所

  • 電池が少容量(小型)ですみ、重量・コスト面で有利。(電池式 = 純電気大型自動車の場合、電池代だけで1600万円といわれている)
  • 大出力が可能であるため、CO2排出・石油消費で大きな比率を占めるバス・トラック等の大型自動車輸送の電動化に適用可能
  • 持続的に大出力を発揮可能
  • 車両コストはハイブリッド式と大きく変わらず、数百万から数千万円ですむ
  • 架線のある幹線はガソリンより安価な電気が使え、車両からのCO2排出も無い
  • 架線集電では航続距離の制限が無い。
  • 電池式電気自動車に比して電池が小さいため車両が軽くなり、エネルギー消費とCO2排出が低減できる
  • 架線集電はトロリーバスで十分実績がある
  • 走行エネルギーコストが非課税ベースで電力は石油の10-15%である

短所

  • 停電に弱い。
  • 架線の問題
    • 道路上の架線を社会が受容する必要あり、美観への影響と安全性が問われる
    • 架線敷設の為、どんなに低く見積もってもkmあたり2-3億円のイニシャルコストが必要
    • 通常の架線で交通集中に見合う電気容量が確保できる保証が無い
    • 架線保守要員が必要
    • 溶断、破断による新たな危険
    • 整備不良車による他車や設備へのリスクが大きい
  • 架線なしの末端道路ではエンジンを動かすのでCO2やNOxが排出される。

現状

  • 従来は架線建設費回避のため「電池式」電気自動車の開発に注力されてきた。しかし、「電池式」の電池取得費が「架線式」架線建設費より遥かに高額なため、豪州米国欧州の一部で公共バスを中心にトロリーバスが見直され、ハイブリッドバスと影響融合しながら拡大している
  • 都市間道路に架線が無いというインフラの問題で(ハイブリッドトラック/乗用車が実用化されているにもかかわらず)集電式ハイブリッドバスによる大型自動車輸送電化は、2008年現在トラック/乗用車に応用されていない。しかし、既に架線されている鉄道を活用してデュアル・モード・ビークルの一種であるデュアル・モード・トレーラーで都市間自動車輸送を電化しようという試みはなされている。ただし、トラック事業者から言えば道路を自社の(架線ハイブリッド)車で運ぶ場合と違い、デュアル・モード・トレーラーの場合、全区間を自社で運ぶ事が出来ず、JR運賃を払わねばならない、車検鉄道車両検査を受けねばならななどの問題があり、石油価格の上昇にもかかわらず大型自動車貨物輸送の電化は進んでおらず、インフラ整備が待たれる状況である[要出典]
  • トロリーバス
  • デュアルモードトレーラー
  • ボストンのハイブリッドトロリーバス

間欠給電式電気自動車

Charger Pole
Contactor

この電気自動車は、まず搭載バッテリーの寿命を飛躍的に伸ばしたことにある。これを実現するため、80m走行分ほどの小さなキャパシタC1を搭載する。このキャパシタは、走行中に起こるブレーキ時の発電を充電し、つぎの発進時に放電する。この充・放電をバッテリーの代りに行う。これにより、バッテリーの充・放電回数を1 - 2/日に抑えられるため、10年以上の電池交換が不要になる。さらに、この動作により走行距離も増加する。以上は中型車以下の電気自動車またはハイブリッド車に有効である。

また、大型の電気自動車などでは、さらに搭載電池量を少なくするには、停留所などで間欠的に外部給電を利用する方法もある。まず、停留所歩道端上部に給電線または1 - 2本の給電ポール (Charger Pole) を、車両側面上部に受電板 (Contactor) を設ける。車両が接近した時、給電ポール (Charger Pole) 上部に取り付けてある給電ロッド (Contactor) が車道側に回転し受電板 (Contactor) に接触して、停車中および発進時に車両のキャパシタ2に充電する。走行時にはまず、ブレーキにより充電されたキャパシタ1からの放電で発進し、次にキャパシタ2よりの放電、最後に電池の放電で次の停留所まで走行する。以上のパターンで停留所間を次々と走行する。渋滞や交差点の一時停止・発進にはキャパシタ1を利用する。登り坂では給電ポール (Charger Pole) よりの給電を優先的に利用する。以上により、給電状況によっては、従来の電池自動車の電池の小容量化(1/10以下)及び長寿命化(15年以上)を可能にした電気自動車システム[11][12]である。

長所

  • 重量面、コスト面、環境面(CO2、NOx、核ゴミ等)で有利である。
  • 車道上に架線(突出物)を張らなくてよい、純電気自動車である。
  • 市内バス、宅配便、巡回車など停留所間が800m前後の間欠的な場合、300停留所走行するのに要する電池量は1/10以下も可能となる。停車・発進時の受電板からの外部給電、キャパシタからの内部給電、走行中の受電板からの外部給電が得られるためである。
  • 渋滞等による回生はキャパシタ1が担うので、他の方式に比べ電池の消費・劣化が少ない。
  • バス停に設ける給電ポール (Charger Pole) は分散給電のため小容量で、比較的安価である。
  • 登り坂に給電ポール (Charger Pole) を設ければ、登攀能力は倍増する(または電池消費が少なくなる)。
  • トラックなどで、屋根のない車両にも適用可能である。

短所

  • 長距離(ノンストップ)走行には効果が少ない(市街地など短距離・繰返し走行によい)。
  • (バックアップ電池がない場合)停電に弱い。
  • 給電ポール (Charger Pole)、給電ロッド・受電板 (Contactor) の実績は少ない。
  • 全幹線道に給電ポール (Charger Pole) を取付けると、保守要員も少なからず必要となる。
  • 近くに商用高圧線 (600 - 1200V) がない場合、送電線が必要となる。

非接触充電自動車

東京都交通局に貸し出されて試験走行されていた非接触充電ハイブリッド車(日野・ブルーリボンシティハイブリッド

電磁誘導や共振現象を利用して、接触なしに道路下に埋設した地下架線から走行中に給電・充電できるオンライン電気自動車や、コイルから停車中のみ給電・充電できる電気自動車がある。

非接触充電自動車は道路下に埋め込まれた地下架線コイルにより走行中や停車中に車載電池に充電することで電池容量(重量とコスト)を抑えつつ、長距離の電池走行を可能とする。内燃機関も積んだハイブリッド車は非接触式プラグインハイブリッド車として機能する。 市内走行向けの路線バスの電化に最初の適用が期待されている。地下給電線や充電コイルの市街地への設置が進めば、電気自動車の普及に貢献すると目されている。

次の出典元の実験では、路線バスなら非接触充電の電池バスでかまわないことが判ってきた[13][14]。日産の次世代電池乗用車にも非接触充電車が計画されている[15]

軌道走行中に充電し、軌道外を電池式EVとして走行する自動車を2モード電気自動車と呼ぶ。

大韓民国では Online Electric Vehicle (OLEV) という地下給電線を用いたシステムがあり、ソウル大公園内の2.2キロの循環バス路線内の3か所に合計400mに渡り給電線が埋設されている。試験結果に問題がなければ路線バスへの導入が計画されている[16]

ドイツの概念では軌道走行をEVモードと完全に分離したリニアモーターとする2モード自動車の構想がある。高速道路自体にリニアモーターを組み込み、自動車を一体的に駆動しながら非接触給電により二次電池に充電し、高速道を降りた市中では通常のEVとする構想である[17]。2モードの軌道走行中は大幅に走行自由度が制限されるため、完全にモードを分ける考え方である。

長所

  • 非接触給充電装置のある区間内では航続距離の制限がなくなる
  • 軽量化が図れるため大型電気自動車に有利
  • 電池を節約できるため重量を軽く、価格を安くできる。1充電あたりの電池自動車の走行距離も15km程度で十分である。また、エネルギー消費とCO2排出が節約できる
  • 非接触給充電装置のある区間は化石燃料より安価な電気が使え、車両からはCO2排出がない
  • 充電に伴う渋滞を解消できる
  • 架線が無いため景観・美観上優れる

短所

  • 充電頻度が高いと電池寿命が短くなる
  • 変電所の建設や給電線の埋設など、インフラ整備に時間と費用がかかる
  • 災害等で破壊された場合復旧に時間と費用がかかる
  • 給電システムの保守要員が必要
  • 給電サービスへの課金システムが必要となる
  • 昼間充電する場合安い夜間電力が使えない(給電システムへの政治判断次第だが、通常の電池式は夜間蓄電・昼間走行)
  • 停車中のみのコイルと、走行時も使えるレール状給電線との使い分けが必要なため、通行車両を考慮し計画的に埋設しないと無駄が生じやすい。
  • 埋設されているコイルや地下給電線により走行形態が制限を受ける。(例 : 長距離トラックがコイル充電のため頻繁に停車するなど)
  • 常時誘導電流が流れている場合、誘導電流によって車両が加熱される可能性がある
  • 誘導電流によってペースメーカー等の医療機器に悪影響を与える可能性がある
  • 磁場の強度は距離の二乗に反比例する為、路面の凹凸等で地上の一次側と車上の二次側のコイルの間隔の変動により伝達効率が変動する

改造電気自動車

ディーゼルエンジンの路線バスを改造した電気バス(九州産交バス、ベース車:日産ディーゼル・スペースランナーRA

ガソリンエンジンやディーゼルエンジンの自動車からエンジンやマフラー、燃料タンクなどを取り除き、モーターや電池を取り付けた電気自動車。EVコンバート、EVコンバージョン、コンバージョンEV、コンバートEV英語版とも呼ばれる。広義のエンジンスワップに該当するため、電気自動車として公道を走行する場合は書面審査と構造等変更検査を受けて検査に合格する必要がある[18]

長所

  • 旧車や絶版車を用いるため、使いまわしができ、メンテナンスが楽。
  • 個人や小規模な事業所でも改造できる。
  • MT車からクラッチやギアボックスを取り外してAT車にすることもできる。また、MT車のままでなおかつエアコン、パワーステアリング非搭載車の場合は改造も簡単にでき、費用も安価である。

短所

  • ベース車が普通車、大型車、AT車、エアコン、パワステ搭載車の場合は構造が複雑であり、改造費用が高価となる。
  • 航続距離が基本的にエンジンより短くなる。
  • 改造を行える事業所が少ない。

駆動系の配置による分類

1.通常のガソリンエンジン車 (FR)
2.エンジン部分を積み替えた車
3.後輪横に2つ別々にモーターを配置し、減速ギヤを介して接続した車
4.インハブ・モーター車
5.ガソリンエンジン
6.クラッチ・変速機
7.電動モーター
8.減速ギア

電気自動車は電動モーターを含む駆動系の配置によりいくつかに分類できる。通常のガソリンエンジン車に最も近く、比較的簡単な改造によってエンジン部分を積み替え、プロペラシャフトデフなどをそのまま使用するものから、駆動タイヤ近くにモーターを配置し、場合によっては減速ギヤを介して駆動輪に接続するもの、そして、最も従来の自動車とは異なる駆動系の配置となるインハブ・モーターを持つものなどがある。図では簡単のために後輪のみの二輪駆動で示したが、前輪駆動やエリーカのような総輪駆動も可能[19]である。




  1. ^ 電気自動車とは - 意味/解説/説明/定義 : 新語時事用語辞典”. 2009年9月30日閲覧。
  2. ^ 日産自動車株式会社. “日産 | ゼロ・エミッション | ゼロ・エミッションとは” (日本語). www.nissan-global.com. 2018年12月6日閲覧。
  3. ^ 日本の法令上、トロリーバスは無軌条電車と呼ばれる鉄道として扱われ、自動車として扱われないため、電気自動車には含まれない。
  4. ^ 報道発表資料:「ハイブリッド車等の静音性に関する対策について(報告)」の取りまとめ等について”. 国土交通省. 2011年9月17日閲覧。
  5. ^ @IT MONOist. 2日分の家庭用電力をEVから引き出す. http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1108/02/news085.html. 
  6. ^ パイクス参戦の増岡「ドラッグを上回るパワー」 - オートスポーツ・2014年6月26日
  7. ^ 総合効率とGHG排出の分析 報告書 日本自動車研究所 (PDF) 平成23年3月
  8. ^ 新しい構造の高性能「リチウム-空気電池」を開発 - 産業技術総合研究所 2009年2月24日発表
  9. ^ トヨタ、電池研究部を新設…金属空気電池などを研究 - レスポンス 2008年6月11日 (水) 22時52分発表
  10. ^ エタノール改質燃料電池車の問題点
  11. ^ 川島研究室ホームページ 8.間欠給電式バスシステムに関する研究(太陽エネルギー研究開発センター関連) http://www.me.kanagawa-it.ac.jp/kawashima/Study.html
  12. ^ 実用新案 第3156251(日本);第1427632(中国)
  13. ^ 非接触充電技術の車載化加速―各地でバス走行実験相次ぐ ガズー 自動車業界ニュース 「2009 年5月14日 16時21分 日刊自動車新聞」
  14. ^ ワセダのEV…短距離、非接触にこだわる電動バス - レスポンス 2010年2月18日 (木) 09時00分
  15. ^ 日産、12年以降のEVに非接触式充電システム対応モデル投入 日刊工業新聞 掲載日 2009年10月27日
  16. ^ 「Korea OLEV concept vehicle sees the future, and it's magnets」 - The Christian Science Monitor - March 12, 2010 発表
  17. ^ 高速道路自体がリニアモーター:未来の電気自動車システム(動画) 2009年8月11日
  18. ^ 電気自動車への改造に当たっての留意点 (PDF)”. 国土交通省. 2018年11月8日閲覧。
  19. ^ 船瀬俊介著 『疾れ!電気自動車』 築地書館 2004年7月14日初版発行 ISBN 4806712906
  20. ^ a b c 電中研ニュースNo.433, 2006年9月 (PDF) 電力中央研究所
  21. ^ 22.5インチホイール組込形大型バス用インホイールモータシステムの開発 (PDF)東洋電機技報 第113号(2006年3月)P.9
  22. ^ 藤井英敏 リチウムイオン電池の価格を下げる「脱コバルト」レースの勝者は? 2009年8月18日公開
  23. ^ 日経BP TechOn 用語 リチウムイオン2次電池用電極材料 2007/01/11 11:56公開
  24. ^ 産業技術総合研究所 プレスリリース リチウムイオン電池用高容量正極の安価な新材料を開発 2006年11月6日 発表
  25. ^ 日立らが希土類磁石を使わないモータを試作、効率は5ポイント向上
  26. ^ 自動車の高効率化と電気自動車ファミリーの技術動向 (PDF)
  27. ^ 電気自動車の駆動系-どんなモータが最適か- (PDF)
  28. ^ 社名テスラと誘導モーター
  29. ^ 【インプレッション・リポート】テスラ・モーターズ「モデルS」内の写真を参照
  30. ^ かながわ電気自動車普及推進方策 策定調査結果報告書 <概要版> (PDF)”. 2009年9月3日閲覧。
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  32. ^ 日本経済新聞2010.5.11.38面
  33. ^ 100Vより200V給電の方が電力ロスが少ない。
  34. ^ 一般に蓄電池の容量上限近くは内部抵抗が高くなり温度上昇と充電効率も悪化して時間も掛かるため、満充電ではなく80%ほどで充電を終える方式が採られる。
  35. ^ 数分程度で充電が完了する急速充電器も開発されている。充電器側はキャパシタなどを内蔵することで短時間に大電流を供給できるが、このような急速充電による車載蓄電池側の発熱などが問題とならないか不明であり、一般には十数分程度の充電時間とされている。
  36. ^ 十数分程度の充電時間が短縮できないなら、液体燃料の給油に比べて店舗内に留まる車両台数が増えて顧客回転率が低下する。充電サービス事業の収益性の確保や自動車台数への対応を考えればより多くの停車空間と充電ターミナルの確保が求められる。
  37. ^ 電気料金-国際比較- (PDF)
  38. ^ http://jp.autoblog.com/2014/12/24/tesla-real-world-beta-testing-model-s-battery-swap/
  39. ^ History of Railway Electric Traction
  40. ^ Inventors - Electric Cars (1890 - 1930)
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  59. ^ レース結果 - JEVRA
  60. ^ ラリークロスにも電動化の波。世界ラリークロスが2020年にフルEVシリーズへ変貌か





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