リチウムイオン電池
英語:Lithium ion battery
二次電池(蓄電池)のうち、リチウムイオンの移動を利用して充放電を行う構造の電池のこと。正極負極の間に充填された電解液の中を、リチウムイオンが、正極から負極へ移ることで充電され、負極から正極へ移ることで放電する。
リチウムイオン電池は「リチウム電池」とは別種の電池である。リチウム電池は負極にリチウムを使用した一次電池を指す。リチウムイオン電池とリチウム電池の混同を避け明確に区別するために、それぞれ「リチウムイオン二次電池」「リチウム一次電池」のような呼び名で言い分けられる場合がある。
リチウムイオン電池(リチウムイオン二次電池)は二次電池の中でも特にエネルギー密度が高く、高電圧かつ大容量を特徴とする。長寿命で充放電の繰り返しにも耐え、充電速度も比較的高速化しやすい。リチウムイオン電池は、ノートPC・スマートフォン・デジタルカメラといった、多量の電力を消費して充放電を頻繁に繰り返すモバイル機器のバッテリーとして標準的に用いられている。
リチウムイオン‐でんち【リチウムイオン電池】
リチウムイオン電池
リチウムイオン電池が原因となって携帯機器の異常発熱、発火事故が相次いでいます。昨年はノートパソコン用や携帯用のリチウムイオン電池の不具合が明らかになりました。これをきっかけに電池メーカーは安全性向上に知恵を絞っていますが、8月中旬にもまた以上発熱による回収の発表がありました。
リチウムイオン電池は、正極にリチウム・コバルト酸化物、負極にグラファイト(炭素)を使い、その間にイオンを通す膜(セパレーター)を挟み、電解液に浸した構造です。充電時には正極中のリチウムがイオンとなって負極に移り、グラファイト層の間に蓄えられます。機器を使用する放電時は負極から正極にリチウムイオンが戻ることによって電流が流れる仕組みです。
従来の電池に比べ、軽量でたくさんの電気を蓄えられる(大容量)ため、充電ができる2次電池の主流になっています。ところが充電時にリチウムが大量に抜けると、コバルト酸化物結晶が崩壊する、電池内部が150度C以上になると熱暴走して爆発に至るなどの危険も内在しています。これを制御や保護回路によって回避しています。
実際の電池はシート状の正極・セパレーター・負極の3枚を重ねて巻き上げ缶などの容器に詰めた形になります。不具合は巻き上げた終端の部分でショートして起こることが多いようです。小型、大容量という相反する要求に応えるため、各社はシート状電極をきつく巻く、セパレーターを薄くするという具合にありとあらゆる隙間を残さない工夫を必死で行っています。
しかし、その分だけ危険性は高まります。電池各社は電池内部に耐熱シートを入れて発火を防ぐといった構造上の工夫、あるいは正極をマンガン系にするといった材料の工夫などに取り組んでいます。携帯電話やノートパソコンは情報時代に欠かせない機器であり、2次電池はそのキーデバイスです。日本メーカーが強い分野でもあります。電池メーカーは安全を前提に、小型・軽量、大容量のニーズに果敢に応える技術開発を急いでほしいものです。
(掲載日:2007/08/13)
リチウムイオン電池
別名:Li-ion電池,リチウムイオン二次電池
【英】Lithium-ion battery, Li-ion battery
リチウムイオン電池とは、電池材料にリチウム金属酸化物を用い、リチウムイオンが正極と負極の間を移動することによって充放電を行う方式の二次電池のことである。
リチウムイオン電池は、リチウム電池よりも更に3.6V程度の高電圧を得ることができる他、可能な充放電の回数が1000回程度と非常に多く、また、電池残量を使い切らないまま充電を行うと充填可能な総容量が極端に低下する「メモリー効果」が発生しない、といった特徴を持っている。同じ二次電池であるニッカド電池に比べると、単位重量当たりのエネルギー密度は2倍程度、充電・放電回数もほぼ2倍である。
リチウムイオン電池は、ノートPCやデジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話など、比較的多量の電力消費を伴う小型電子機器のメインバッテリーとして多く利用されている。
リチウムイオン電池
リチウムを電解液中のイオンのかたちで用いる充電式電池。ニッケルカドミウム電池などのような有害物質を含まず、蓄電量も大きくできることから注目されている。基本電圧は3.6ボルトである。電解液の代わりに導電性のポリマーと組み合わせたリチウムイオン電池も開発されており、これはリチウムポリマー電池と呼ばれることがある。リチウムイオン電池はエネルギー密度が高く、資源リサイクルの観点からも、高価なコバルト等が再利用される。
リチウムイオン二次電池
(リチウムイオン電池 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/19 05:05 UTC 版)
リチウムイオン二次電池(リチウムイオンにじでんち、英: lithium-ion battery)は、正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで充電や放電を行う二次電池(充電可能な電池)である。正極、負極、電解質それぞれの材料は用途やメーカーによって様々であるが、代表的な構成は、正極にリチウム遷移金属複合酸化物、負極に炭素材料、電解質に有機溶媒などの非水電解質を用いる。単にリチウムイオン電池、リチウムイオンバッテリー、Li-ion電池、LIB、LiBとも言う。リチウムイオン二次電池という命名はソニー・エナジー・テックの戸澤奎三郎による[9][10]。
- 1 リチウムイオン二次電池とは
- 2 リチウムイオン二次電池の概要
リチウムイオン電池
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 14:54 UTC 版)
「日本の発明・発見の一覧」の記事における「リチウムイオン電池」の解説
吉野彰は1985年に現代のリチウムイオン電池を発明した。1991年には、ソニーと旭化成が吉野の設計を用いた初の市販リチウムイオン電池を発売した。
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リチウムイオン電池
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「電気自動車用蓄電池」の記事における「リチウムイオン電池」の解説
詳細は「リチウムイオン二次電池」および「リチウムイオンポリマー二次電池」を参照 リチウムイオン二次電池(および機械的に類似したリチウムイオンポリマー二次電池)は、当初、ノートパソコンや家電製品用に開発・実用化された。高いエネルギー密度と長いサイクル寿命を持つことから、現在では電気自動車に使用される代表的な電池となっている。最初に実用化されたリチウムイオン化学は、カソードにコバルト酸リチウム、アノードにグラファイトを用いたもので、1979年にN. Godshallが、その後すぐにジョン・グッドイナフと吉野彰が実証した。従来のリチウムイオン二次電池の欠点は、温度に敏感であること、低温での発電性能、経年による性能低下などが挙げられる。また、有機電解液の揮発性、酸化度の高い金属酸化物の存在、負極のSEI(固体電解質界面)層の熱的不安定性などにより、従来のリチウムイオン電池は、パンクや充電が不適切だと火災の危険性がある。また、初期のリチウムイオン電池は、極寒の地では充電ができないため、気候によってはヒーターで暖める必要がある。この技術の成熟度は中程度である。テスラ・ロードスター(2008年)をはじめとするテスラ社の自動車には、従来のリチウムイオン「ノートパソコンバッテリー」のセルを改良したものが使われていた。 最近のEVでは、比エネルギーや比出力を犠牲にして、難燃性、環境性、急速充電(最短数分)、長寿命化を実現したリチウムイオン化学の新しいバリエーションが採用されている。これらのバリエーション(リン酸塩、チタン酸塩、スピネルなど)は、はるかに長い寿命を持つことが示されており、リン酸鉄リチウム(英語版)を使用したA123タイプは少なくとも10年以上、7000回以上の充放電を繰り返すことができ、LG化学はリチウム・マンガン・スピネル電池(英語版)の寿命を最大40年と見込んでいる[要出典]。 研究室では、リチウムイオン電池に関する多くの研究が行われている。酸化バナジウムリチウムは、すでにSUBARUのプロトタイプG4e(英語版)に搭載され、エネルギー密度が2倍になっている[要出典]。シリコンナノワイヤー、シリコンナノ粒子、スズナノ粒子はアノードで数倍のエネルギー密度[要説明]を期待させ、複合カソードや超格子カソードも大幅なエネルギー密度向上を期待させる。 新しいデータは、リチウムイオン電池の劣化は、年齢や実際の使用状況よりも、熱への曝露や急速充電の使用によって促進され、平均的な電気自動車のバッテリーは、6年6か月の使用後も初期容量の90%を維持していることを示している。例えば、日産・リーフに搭載されている蓄電池は、テスラ車に搭載されている蓄電池の2倍の速さで劣化する。これはリーフが蓄電池の能動的な冷却システムを持っていないためである。
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「リチウムイオン電池」の例文・使い方・用例・文例
リチウムイオン電池と同じ種類の言葉
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