山邊時雄とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 山邊時雄の意味・解説 

山邊時雄

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/18 03:31 UTC 版)

山邊 時雄(やまべ ときお、1936年9月 - )は、日本化学者京都大学名誉教授長崎総合科学大学元学長、特命教授。工学博士

リチウムイオン二次電池リチウムイオンキャパシタの負極材料を理論設計し、その実現に貢献した。恩師は、フロンティア軌道理論により1981年ノーベル化学賞を受賞した福井謙一[1][2][3]である。京都大学工学部石油化学科在職時の学生に、2019年ノーベル化学賞を受賞した吉野彰がいる[4]

略歴

京都府出身。日本三景の一つ「天橋立」の麓で生まれる[5]

受賞歴・主な業績

  • 1997年 第49回(平成8年度) 日本化学会賞「π共役系の電子物性に関する研究」

それまでの経験化学から、理論化学に基づいた新材料開発への転換に広く貢献した。

合成金属の分子設計、電子材料開発における量子化学的手法の有用性の確立と、特にその手法を応用してポリアセン系材料(PAS、難黒鉛化炭素材料)を負極に用いたリチウムイオン二次電池の開発に関する基礎的研究を世界に先駆けて行った業績、新炭素クラスターの電子物性に関する理論的実験的研究に対して、日本化学会賞を受賞している。

リチウムイオン二次電池は、軽量で高容量、繰り返し充電でき、それまでの電池は使い捨てという固定観念を変えたが、負極に用いられた炭素(ポリアセン系材料)の素材が軽くて金属(リチウムイオン)を吸蔵できるようになったからであり、矢田静邦(鐘紡(株)〜カネボウ〜KRI)と 共に、その作製方法や安定的に動作させる技術を確立し高く評価されている[7][8][9][10][11]


  • 2019(令和元)年度 長崎県科学技術大賞 「新規なナノ炭素質半導体のリチウムイオン電池・キャパシタへの応用」[12]

主要著書

  • 『合成金属(編)』(1980年、科学同人、白川英樹先生と共著)
  • 『ノーベル賞科学者福井謙一:化学と私(編)』(1982年、科学同人)

出典

  1. ^ 基礎科学の創造性と役割「機関誌デジマ」NPO産業技術推進機構長崎 64号 p.4(2014年)
  2. ^ 随想「基礎科学の創造性と役割」
  3. ^ 古川安「燃料化学から量子化学へ―福井謙一と京都学派のもう一つの展開―」化学史学会編集『化学史研究』第41巻第4号 (2014/12) pp.181-233
  4. ^ ノーベル賞・吉野彰さんが科学目指すきっかけ!名著「ロウソクの科学」売り切れ続出で急きょ増刷 - ライブドアニュース 2019年10月10日、2019年12月31日閲覧。
  5. ^ 山邊時雄随想 長崎総合科学大学 バイオマス研究室 2015年3月5日、2019年12月31日閲覧。
  6. ^ [1] (PDF) 長崎総合科学大学
  7. ^ 化学と工業、第50巻、第3号 (1997)、p.257
  8. ^ P. Novák, K. Müller, K. S. V. Santhanam, O. Haas, “Electrochemically Active Polymers for Rechargeable Batteries,”Chem. Rev., 97, 217-272 (1997).
  9. ^ 「リチウムイオン二次電池研究開発の源流を語る〜負極材料の開発史を中心に」月刊化学 vol.70 no.12 (2015)、p.40-46
  10. ^ リチウムイオン電池・キャパシタの実践評価技術、矢田静邦、技術情報協会、2006
  11. ^ 続・リチウムイオン電池・キャパシタの実践評価技術、矢田静邦、技術情報協会、2009
  12. ^ 令和元年度長崎県科学技術賞受賞者の決定について, 長崎県プレスリリース(2020年3月17日), 2020年10月14日閲覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「山邊時雄」の関連用語

山邊時雄のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



山邊時雄のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの山邊時雄 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS