リチウムイオン二次電池とは? わかりやすく解説

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リチウムイオン‐にじでんち【リチウムイオン二次電池】

読み方:りちうむいおんにじでんち

リチウムイオン電池


リチウムイオン電池

読み方リチウムイオンでんち
別名:Li-ion電池,リチウムイオン二次電池
【英】Lithium-ion battery, Li-ion battery

リチウムイオン電池とは、電池材料リチウム金属酸化物用いリチウムイオン正極負極の間を移動することによって充放電を行う方式二次電池のことである。

リチウムイオン電池は、リチウム電池よりも更に3.6V程度高電圧を得ることができる他、可能な放電回数1000程度と非常に多くまた、電池残量使い切らないまま充電を行うと充填可能な総容量が極端に低下するメモリー効果」が発生しない、といった特徴持っている。同じ二次電池であるニッカド電池比べると、単位重量当たりのエネルギー密度は2倍程度充電放電回数もほぼ2倍である。

リチウムイオン電池は、ノートPCデジタルカメラデジタルビデオカメラ携帯電話など、比較多量電力消費を伴う小型電子機器のメインバッテリーとして多く利用されている。

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リチウムイオン二次電池

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/22 02:36 UTC 版)

リチウムイオン二次電池
封口前の円筒形リチウムイオン電池 (18650)
重量エネルギー密度 100–243 Wh/kg[1][2][3]
体積エネルギー密度 250–676 Wh/L[1][2][3]
出力荷重比 ~250–340 W/kg[1]
充電/放電効率 80%–90%[4]
エネルギーコスト 1.5 Wh/US$[5]
自己放電率 8% - 21 °C
15% - 40 °C
31% - 60 °C
(月あたり)[6]
サイクル耐久性 LiCoO2: 500-1000
LiMn2O4: 300-700
NMC: 1000-2000
LiFePO4: 1000-2000
※負極: 黒鉛[7]
公称電圧 LiCoO2: 3.6–3.7 V
LiMn2O4: 3.7–3.8 V
NMC: 3.6–3.7 V
LiFePO4: 3.2–3.3 V
※負極: 黒鉛[7]
使用温度範囲(放電時) −20 °C60 °C[8]
使用温度範囲(充電時) °C45 °C[8]
テンプレートを表示
東芝Dynabookのリチウムイオンポリマー二次電池パック

リチウムイオン二次電池(リチウムイオンにじでんち、: lithium-ion battery)は、正極負極の間をリチウムイオンが移動することで充電放電を行う二次電池充電可能な電池)である。正極、負極、電解液それぞれの材料は用途やメーカーによって様々であるが、最も多い電極としては正極にコバルト酸リチウム、負極にリチウムを内包した炭素、電解液に有機電解液を用いたものがある[9]。単にリチウムイオン電池リチウムイオンバッテリーLi-ion電池LIBLiBとも言う。リチウムイオン二次電池という命名はソニー・エナジー・テックの戸澤奎三郎による[10][11]

なお、似た名前の電池には以下のようなものがある。

識別色は青(シアン)。

歴史

背景

NASAの大型リチウムイオンポリマー二次電池
ファルタマイクロバッテリー社製リチウムイオンバッテリー。
アルトルスハイム()オートビジョン自動車博物館

1980年代、携帯電話ノートパソコンなどの携帯機器の開発により、高容量で小型軽量な二次電池(充電可能な電池)のニーズが高まった。従来のニッケル水素電池などには容量重量比に限界があり、新型二次電池が切望されていた[要出典]

1976年、エクソンスタンリー・ウィッティンガムは、正極に二硫化チタン英語版、負極に金属リチウムを使う二次電池を開発・提案した[12]。この電池は、特に負極側で安全性に問題(充電時のデンドライト問題、金属リチウムの反応性の問題)があり実用化はされなかったが、二硫化チタンは層状の化合物で、リチウムイオンを分子レベルで収納できるスペースを持ち、リチウムイオンが繰り返し出入りしても形が壊れにくい特徴を持つ物質だった。この"層状化合物にイオンが出入りする"という現象は「インターカレーション」と呼ばれており、その優れた特性から、その後にインターカレーション型の電極が盛んに研究されるようになった。

1974 - 1976年、ミュンヘン工科大学ベーゼンハルト黒鉛内のリチウムイオンの可逆的なインターカレーション[13][14]と陰極の酸化物へのインターカレーションを発見した[15][16]。1976年、ベーゼンハルトはリチウム電池での応用を提案した[17][18](ただし、黒鉛が層間にアルカリ金属などを取り込み黒鉛層間化合物英語版をつくることは1926年から知られていた)。

1978 - 1979年、ペンシルベニア大学のSamar Basuは、黒鉛内でのリチウムイオンの電気化学的インターカレーションを実証した[19][20]

しかし、負極に黒鉛を用いると、当時の一般的な電解液であるプロピレンカーボネート(金属リチウム電池に使われている)を始めとするほとんどの有機物は負極側で分解してしまう[21]ため、有機電解液を用いて炭素系材料にリチウムイオンを安定して電気化学的にインターカレーションさせることは困難と考えられていた。つまり負極に黒鉛を使う二次電池は実用化が困難とされていた。

1980年、オックスフォード大学ジョン・グッドイナフ水島公一らはリチウムと酸化コバルトの化合物であるコバルト酸リチウム (LiCoO2) などのリチウム遷移金属酸化物を正極材料として提案した[22][23]。これがリチウムイオン二次電池の正極の起源である。

1981年、三洋電機から黒鉛炭素質を負極材料とする二次電池の特許が出願された[24][25][26]

1982年、ラシド・ヤザミ英語版らは固体電解質を用いて黒鉛内にリチウムイオンを電気化学的にインターカレーションさせることを実証した[27][28]

一方、当時京都大学山邊時雄らの量子化学的設計に基づいて提唱されたポリアセン高分子型炭素材料[29]が、一次元グラファイトの名のもとに注目を集め、その作成がいろいろな所で試みられた。これに応えて1981年、カネボウの矢田静邦が、安定な難黒鉛化炭素の一種であるポリアセン系有機半導体(PAS)を作成し[30]、これを用いて2種類のバッテリーが開発され、いずれも実用化された。一つは双方ともにPASを用いたキャパシタ的電池(PAS電池)、もう一つは負極にLiイオンをあらかじめドーピングしたPASを用いたもの(リチウムイオンキャパシタ)である。後者は、正極はキャパシタと同様に、負極はリチウムイオン電池と同様に作動する。このように、PASによって炭素材でもスムーズで安定なLiドープ、脱ドープが可能であることが初めて見出され、これを機に電気化学的に安定なドープ、脱ドープが可能な難黒鉛化から易黒鉛化を含む電極用炭素材料の開発が方々でなされることとなった[31]

1983年、マイケル・メイクピース・サッカレー英語版とジョン・グッドイナフらは、スピネル構造を有するマンガン酸リチウム(LiMn2O4)を正極材料として紹介した[32]。コバルト酸リチウムと比較して安価で安全という特徴がある。1996年に正極材料として実用化され、コバルト酸リチウムと同様に一般的に使われている。

1986年、カナダMoli Energy英語版により、正極に硫化モリブデン、負極に金属リチウムを使用した金属リチウム二次電池が製品化されたが、金属リチウムの化学活性がきわめて高いため、可逆性(充電の過程で負極にリチウムのデンドライトが析出・成長してそれが正極に接して短絡する危険性)や反応性(ほんの少しでも水分に触れると激しく発熱して水素ガスを発生させて発火する危険性)に問題があった。1989年にはNTTのショルダー型携帯電話などで発火事故が相次ぎ[33]、実用化されたとは言いがたく、金属リチウムを負極に使った一次電池は市販化されているが、二次電池への応用は危険とされ広く用いられることはなかった。

1990年、ジェフ・ダーンらは、負極に黒鉛を用いた場合に、電解液としてエチレンカーボネートを用いると初期の充電で分解されるものの、黒鉛表面に保護被膜を形成することにより有機電解液の分解反応を停止できることを発見した[34]。(1994年に松下電池工業により電解液として採用され、現在に至るまでほぼ必須の溶媒として使われている。)

リチウムイオン二次電池の創出と実現

旭化成工業吉野彰(2019年ノーベル化学賞)らは、白川英樹(2000年ノーベル化学賞)が1977年に発見した電気を通すプラスチックであるポリアセチレンに注目し、1981年に有機溶媒を用いた二次電池の負極に適していることを見いだした。また、正極にはジョン・グッドイナフらが1980年に発見したコバルト酸リチウム (LiCoO2) などのリチウム遷移金属酸化物を用いて、1983年にリチウムイオン二次電池の原型を創出した[35][36]。しかし、ポリアセチレンは真比重が低く電池容量が高くならないことと、電極材料として不安定である問題があった。そこで、1985年、吉野彰らは炭素材料を負極とし、リチウムを含有するコバルト酸リチウムを正極とする新しい二次電池であるリチウムイオン二次電池 (LIB)の基本概念を確立した[37][26][38]

吉野彰が次の点に着目したことによりLIBが誕生した。

  1. 正極にコバルト酸リチウムを用いると、
    • 正極自体がリチウムを含有するため、負極に金属リチウムを用いる必要がないので安全であること
    • 4 V級の高い電位を持ち、そのため高容量が得られること
  2. 負極に炭素材料を用いると、
    • 炭素材料がリチウムを吸蔵するため、金属リチウムは本質的に電池中に存在しないので安全であること
    • リチウムの吸蔵量が多く高容量が得られること

また、特定の結晶構造を持つ炭素材料を見いだし[37][26]、実用的な炭素負極を実現した。

加えて、アルミ箔を正極集電体に用いる技術[39]、安全性を確保するための機能性セパレータ[40]などの本質的な電池の構成要素に関する技術を確立し、さらに安全素子技術[41]、保護回路・充放電技術、電極構造・電池構造等の技術を開発し、安全でかつ、電圧が金属リチウム二次電池に近い電池の実用化を成功させ、現在のLIBの構成をほぼ完成させた。

1986年、LIBのプロトタイプが試験生産され、アメリカ合衆国運輸省により「金属リチウム電池とは異なる」との認定を受け、プレマーケティングが開始された[42]

商品化とその後の動向

1991年、ソニー・エナジー・テックは世界で初めてリチウムイオン電池を商品化した。次いで1993年にエイ・ティーバッテリー(旭化成工業と東芝との合弁会社)により商品化され、1994年に三洋電機により黒鉛炭素質を負極材料とするリチウムイオン電池が商品化された。

1997年、Akshaya Padhiとジョン・グッドイナフらはオリビン構造を有するリン酸鉄リチウム英語版LiFePO4)を正極材料として提案した[43]。コバルト酸リチウムと比較して安全で長寿命という特徴がある。2009年、ソニーはリン酸鉄リチウムイオン電池を商品化した。現在では各社から販売されている。

1999年、ソニー・エナジー・テックと松下電池工業は電解質にゲル状のポリマーを使うリチウムイオンポリマー電池を商品化した。電解質が液体から準固体のポリマーに変更できたことで薄型化・軽量化が可能になり、さらに、外力や短絡、過充電などに対する耐性も向上した。外装も、従来のアルミニウムの缶ではなく、レトルト食品に使用されるアルミラミネートフィルムなど簡易な物で済むようになった。主にモバイル電子機器用として2000年代に急速に普及し、現在ではスマートフォン等の携帯電話の電池はほぼ全てリチウムイオンポリマー電池である。2010年代にはウェアラブル機器ドローンなどの新興産業にも利用が広がっている。

2008年、東芝は負極にチタン酸リチウム (Li4Ti5O12) を用いるリチウムイオン電池を商品化した。炭素材料と比べると安全、長寿命、急速充電、低温動作だが、黒鉛よりも電位が約1.5V高いため単セルの電圧が低くなる点やエネルギー密度がやや低いといった点がある。現在は、自動車用(搭載例:スズキ・ワゴンR)、産業用、電力貯蔵用など幅広い分野で利用されている。

リチウムイオン電池は自動車用としても普及が進んでおり、2009年頃から本格的にハイブリッドカーに利用され始めた。以降続々と採用車が増え、ホンダ・フィットハイブリッドトヨタ・プリウスなどの人気車種にも採用されるようになった。自動車用リチウムイオン電池は、自動車メーカーと電池メーカーの合弁会社(プライムアースEVエナジー、オートモーティブエナジーサプライ、リチウムエナジージャパンブルーエナジー)の他、パナソニック東芝などの電機メーカー、日立ビークルエナジーなどが供給している。またトヨタ日産ホンダなど自動車メーカーでも研究開発が進んでおり、開発段階ではあるが電解質に固体材料を使う全固体リチウムイオン電池が次世代二次電池として注目されている。ハイブリッドカーや電気自動車の普及に伴い自動車用リチウムイオン電池の市場規模は2010年代から2020年代にかけて拡大傾向にある。

リチウムイオン電池はかつては日本メーカーのシェアが高く、9割以上を占めた時代もあった。三洋電機、三洋GSソフトエナジー、ソニー、パナソニック エナジー社日立マクセルNECトーキンなどが主なメーカーとして知られている。一方、韓国サムスンSDILG化学)、中国 (BYDCATL)、台湾などで生産量が増えてきている[44]

社会への貢献・影響

現在、リチウムイオン二次電池(LIB)は携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラビデオ、携帯用音楽プレイヤーを始め幅広い電子・電気機器に搭載され、2010年にはLIB市場は1兆円規模に成長した[45]。小型で軽量なLIBを搭載することで携帯用IT機器の利便性は大いに増大し、迅速で正確な情報伝達とそれにともなう安全性の向上・生産性の向上・生活の質的改善などに多大な貢献をしている。また、LIBは、エコカーと呼ばれる自動車 (EV, HEV, P-HEV) や鉄道[46]などの交通機関の動力源として実用化が進んでおり、電力の平準化やスマートグリッドのための蓄電装置としても精力的に研究がなされている。航空分野では米Boeing社の大型運送用機787型は従来のガスタービンエンジンから得られる高温高圧の空気をキャビンの与圧や空調に使用していたのをやめ、これを含む機体全体の電気系統はすべてリチウム電池で賄うようにし、これによって燃費の大幅な向上を実現させ航続距離の大幅な拡大に貢献している。他には、ロケット[47][48]人工衛星[47][48]、小惑星探査機はやぶさはやぶさ2[49]こうのとり(HTV)[48]国際宇宙ステーション(ISS)[48]などの宇宙開発分野、そうりゅう型潜水艦11番艦のおうりゅう[50]、12番艦のとうりゅうたいげい型潜水艦などの艦艇にも搭載されている。

顕彰

1997年、山邊時雄は、難黒鉛化炭素材料を負極に用いたリチウムイオン二次電池の開発に関する基礎的研究を世界に先駆けて行った業績に対して、日本化学賞を受賞している[51]

リチウムイオン二次電池を発明した業績が評価され、2014年には、ジョン・グッドイナフ、西美緒ラシド・ヤザミ英語版、吉野彰の4名が「工学分野のノーベル賞」と呼ばれるチャールズ・スターク・ドレイパー賞を受賞[52]し、2019年には、ジョン・グッドイナフ、スタンリー・ウィッティンガム、吉野彰の3名がノーベル化学賞を受賞した[53]

種類

電池は正極負極電解質の材質の組み合わせによって分類されそれぞれ性能が異なる。製品化されているリチウムイオン電池の細分を以下に示す[7][54]。※電池性能は添加剤や電極の表面処理などによっても変化する。

正極 負極 電圧 エネルギー密度
① Wh/kg
② Wh/L
充放電速度
① 充電速度
② 放電速度
使用温度範囲
① 充電時
② 放電時
サイクル寿命 安全性
① 加熱での熱暴走温度
② 過充電での熱暴走温度
③ 釘刺しでの熱暴走
④ 釘刺しでのガス発生
用途 メーカー
コバルト酸リチウム
LiCoO2
黒鉛 3.6-3.7 V ① 150-240 ① 0.7-1 C
② 1 C
① 0 〜 45 ℃
② -20℃ 〜 60℃
500-1000 ① 188℃→527℃(発煙、発火)
② 110℃→317℃(発煙、発火)
③ あり
H2COCO2HF(微量)
携帯電話
スマートフォン
タブレット
ノートパソコン
デジタルカメラ
ウェアラブル機器
ドローン
村田製作所
パナソニック
他多数
1991年に商品化され、主にモバイル機器用に広く普及している。コバルトが高価で価格変動が大きいことが課題とされている。熱暴走リスクがあり、自動車用にはほとんど採用されない。
マンガン酸リチウム
スピネル構造
LiMn2O4
黒鉛 3.7-3.8 V ① 100-150 ① 0.7-3 C
② 1-10 C
② -20℃ 〜 50℃ 300-700 ① 283℃→474℃(発煙)
② 103℃→555℃(発煙)
③ なし
④ なし
携帯電話
電動工具
医療機器
自動車
NEC
サムスンSDI
LG化学
オートモーティブ・エナジー・サプライ
リチウムエナジージャパン
日立ビークルエナジー
サフト
1996年に商品化され、近年は特に自動車用として広く普及している。結晶構造が比較的強固なため熱安定性が高い。材料のマンガンはコバルトの1/10以下の価格である。サイクル寿命と高温でのマンガンの溶出が課題だったが、近年は改良されている。
リン酸鉄リチウム
オリビン構造
LiFePO4
黒鉛 3.2-3.3 V ① 160-190[55][56][57] ① 1-10C[58]
② 1-25 C
② -20℃ 〜 60℃ 5000-12000[55][56][57] ① 186℃→267℃(発煙)
② 109℃→179℃(発煙)
③ なし
HF(微量)
自動車
蓄電システム
CATL
BYD
近年、アメリカや中国で採用が増えている。材料費が低く製造費がやや高い。結晶構造が強固で熱安定性が高い。電気伝導性が低いことが課題とされ、活物質の微細化や電極表面の炭素コートにより改善されてきている。BYDなどの中国メーカーに採用、充電サイクル寿命が安定で長い為、バス・トラックで好評。日本メーカーでは、スズキ自動車がインドで工場を立ち上げ生産をすると発表した。
三元系(NMC系)
LiNixMnyCozO2
黒鉛 3.6-3.7 V ① 150-220 ① 0.7-1 C
② 1-2 C
② -20℃ 〜 60℃ 500-2000 ① 242℃→429℃(発煙、発火)
② 105℃→606℃(発煙、発火)
③ あり
H2COCO2HF(微量)
電動自転車
医療機器
自動車
産業
パナソニック 日産自動車 三洋電機
リチウムエナジージャパン
ブルーエナジー
三元系は、ニッケルマンガンコバルトの3元素を使用するもので、2000年に日本とアメリカで開発された。日産自動車、トヨタ自動車に採用されている。
ニッケル系(NCA系)
LiNixCoyAlzO2
黒鉛 3.6 V ① 200-260 ① 0.7 C
② 1 C
② -20℃ 〜 60℃ 500 医療機器
自動車
産業
プライムアースEVエナジー
元々、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)がコバルト酸リチウムをエネルギー密度で上回ることが知られていた。安全性に難があり実用化が遅れた。NCA系では、ニッケルのベースに、構造安定化のためにコバルトを、耐熱性向上のためにアルミニウムをそれぞれ添加し、また負極にもセラミック層をコーティングすることにより耐熱性を高め、安全化している。
マンガン チタン酸リチウム
Li4Ti5O12
2.3-2.4 V ① 70-80 ① 1-5 C
② 10-30 C
② -30℃ 〜 60℃ 7000-20000 ① 300℃まで熱暴走なし
③ なし
自動車
産業
蓄電システム
東芝
2008年に東芝により商品化。東芝のSCiBは、外力などで内部短絡が生じても熱暴走が起きにくい、充放電10000回以上の長寿命、6分間での急速充電、キャパシタ並みの入出力密度、寒冷地(-30℃)でも使用可能、などの特徴が謳われている。スズキの軽自動車のエネチャージに採用。

構造

代表的な構成では、負極に炭素、正極にコバルト酸リチウムなどのリチウム遷移金属酸化物、電解質に炭酸エチレン炭酸ジエチルなどの有機溶媒 + ヘキサフルオロリン酸リチウム (LiPF6) といったリチウム塩を使う。しかし一般には、負極、正極、電解質それぞれの材料は、リチウムイオンを移動し、かつ電荷の授受により充放電可能であればよいので、非常に多くの構成をとりうる。

リチウム塩には LiPF6 の他、LiBF4 などのフッ素系錯塩、LiN(SO2Rf)2・LiC(SO2Rf)3 (ただしRf = CF3,C2F5)、などの塩も用いられる。車載用リチウムイオン二次電池では、F2LiO2Pが主流である[59]

また、通常、電解液に高い導電率と安全性を与えるため、炭酸エチレン炭酸プロピレンなどの環状炭酸エステル系高誘電率・高沸点溶媒に、低粘性率溶媒である炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル等の低級鎖状炭酸エステルを用い、一部に低級脂肪酸エステルを用いる場合もある。

リチウムイオン電池内の電気化学反応は正極、負極、電解質によって構成される。正極と負極はどちらも材料内にリチウムイオンがもぐり込むことが出来る。リチウムイオンが正極や負極内部に移動する事を「インサーション(挿入)」あるいは「インターカレーション」と呼び、逆にリチウムイオンが出て行く事を「エクストラクション(抽出)」または「デインターカレーション」と呼ぶ。電池内では充電時にリチウムイオンは正極から出て負極に入る。放電時には逆にリチウムイオンは負極から出て正極に入る。作動時に外部の回路へ電子が流れる。

両極での半反応は、以下の通りとなる[60]


リチウムイオン二次電池

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/13 10:17 UTC 版)

チタン酸リチウム」の記事における「リチウムイオン二次電池」の解説

Li2TiO3は、水系バインダーおよび導電と共にリチウムイオン二次電池のカソードとして用いられることもある。Li2TiO3により、高容量カソード導電剤LiMO2 (M=Fe, Mn, Cr, Ni) を安定化することができる。Li2TiO3と (LiMO2) を積層してカソード材料作られる。この層状構造によりリチウムイオン拡散可能となる。

※この「リチウムイオン二次電池」の解説は、「チタン酸リチウム」の解説の一部です。
「リチウムイオン二次電池」を含む「チタン酸リチウム」の記事については、「チタン酸リチウム」の概要を参照ください。

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