ニッケル・水素充電池とは? わかりやすく解説

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ニッケルすいそ‐じゅうでんち【ニッケル水素充電池】

読み方:にっけるすいそじゅうでんち

ニッケル水素電池


ニッケル水素電池

読み方ニッケルすいそでんち
別名:ニッケル水素充電池,ニッケル水素蓄電池
【英】Nickel-Metal Hydride battery

ニッケル水素電池とは、電極ニッケル、および水素吸蔵合金使用した二次電池である。

ニッケル水素電池は、それまで二次電池として主に利用されてきたニカド電池比べて有害物質であるカドミウム使用していない点、2倍以上の電気容量を持つなどの特徴がある。ノートPC携帯電話などのバッテリーとしては、既にニッケル水素電池からリチウムイオン電池リチウムイオン二次電池)への置き換え進んでいるが、乾電池タイプ二次電池としては、ニッケル水素電池が主となっている。ニッケル水素電池の代表的な製品として、三洋電機eneloopエネループ)がある。

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ニッケル水素充電池


ニッケル・水素充電池

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/03 23:40 UTC 版)

ニッケル・水素充電池
三洋電機(現・パナソニック エナジー社)製単3形NiMH電池
重量エネルギー密度 60 - 120 Wh/kg
体積エネルギー密度 140 - 300 Wh/l
出力荷重比 250 - 1000 W/kg
充電/放電効率 66%[1]
エネルギーコスト 2.75 W·h/US$[1]
自己放電率 30%[2] (2%[3])/(温度による)
サイクル耐久性 500 - 1,000 c
公称電圧 1.33 V
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ニッケル・水素充電池(ニッケルすいそじゅうでんち)は、二次電池の一種で、正極酸化水酸化ニッケルなどのニッケル酸化化合物、電極水素を含んだ水素吸蔵合金または水素化合物を用い、電解液に濃水酸化カリウム水溶液 (KOH (aq)) などのアルカリ溶液を用いる二次電池(充電可能な電池)である。

負極の水素源として水素ガス(分子水素、H2)を用いる狭義の(本来の)ニッケル水素電池 (Ni-H2) と、水素吸蔵合金を用いるニッケル金属水素化物電池 (Ni-MH) とがある。

なお、本項目名「ニッケル・水素充電池」の中の「充電池」は一般に商用上用いられている名称(商標)に追従しているが、電気工学電気化学等の分野で用いられている学術用語として「充電可能な電池」は「二次電池」「蓄電池」であり、「充電池」とは表記されないため、商用以外の場合は、「ニッケル・水素電池」あるいは「ニッケル・水素蓄電池」などと呼称すべきであることに注意。(→二次電池を参照のこと。)

Ni-H2

狭義のニッケル水素電池 (NiH2 or Ni-H2) は、ニッケルと水素ガスを基にした充電可能な電気化学的電力源である[4]。ニッケル金属水素化物 (Ni-MH) 電池との違いは水素を8.27 MPa (1200 psi) の高圧タンクに貯蔵する点である[5]

化学系

正極は乾式焼結によって製造される[6]水酸化ニッケルを含む多孔質ニッケル酸化物である。負極の水素電極はテフロン結合の白金黒触媒が用いられ、セパレーターにはZircar tricot knit zirconia布であるlink titleZYK-15title.が用いられる[7]

NiH2セルは26%の水酸化カリウム (KOH) が電解質として用いられ寿命は80%の放電深度 (DOD) で15年を見込む[8]エネルギー密度は75Wh/kg・60 Wh/dm3[9]、比出力 220 W/kg[10]開放電圧は1.55 V・放電期間中の平均電圧は1.25 Vで[11]負荷時の電圧は1.5 V以下である。セルは2万回以上の充電サイクルで[12]85%のエネルギー効率である。

用途

NiH2充電池はエネルギー貯蔵装置として人工衛星[13]や宇宙探査機に使用される。例として国際宇宙ステーション[14]、2001年のマーズオデッセイ[15]やマーズグローバルサーベイヤー[16]に搭載された。ハッブル宇宙望遠鏡は打ち上げ後19年以上経つ2009年5月に元の蓄電池を交換した。低軌道で最も多くの充放電サイクルを経たNiH2電池を交換した[17]

歴史

Ni-H2の開発は、1970年代のコムサットから始まり[18]、最初の使用は1977年、アメリカ海軍の航法衛星 (NTS-2) である[19]。つまり元々は、高出力、高容量、長寿命の人工衛星のバッテリーとして開発が進められていたわけである。当初はタンクに圧縮された水素を貯蔵していた[20]。(現在[いつ?]でも、宇宙用等、一部では水素の貯蔵にタンクを用いる種類も残っている。)

種類

個別圧力容器型
個別圧力容器型 (IPV) は圧力容器がNiH2セルの最小単位として構成される[21]
共通圧力容器型
共通圧力容器型 (CPV) は2個のNiH2セルのスタックを直列に共通圧力容器に入れる。CPVはIPVよりも重量エネルギー密度がやや高い。
単一圧力容器型
単一圧力容器型 (SPV) は22セルを単一の圧力容器へ入れている。
両極型
両極型はSPV内で厚い(密集した?)電極が正極から負極背中合わせに配置されている[22]
圧力容器依存型
圧力容器依存型 (DPV) セルはより高い重量エネルギー密度とコスト削減をも目的としている[23]
共通/依存型圧力容器
共通/依存型圧力容器 (C/DPV) は共通圧力容器 (CPV) と圧力容器依存型 (DPV) の組み合わせで高い体積効率である[24]

Ni-MH

リサイクルマーク(リサイクル法による)
富士フイルム製のNi-MH、武田コーポレーション製の充電器
充電器に装着したNi-MH(eneloop単3形)

日本工業規格 (JIS) 上の名称は、「密閉形ニッケル・水素蓄電池」(JIS C 8708)。一般的には、「ニッケル水素電池」や「Ni-MH」と表記されることが多い。

なお、一般に商用上用いられている名称の「ニッケル・水素充電池」は、「Ni-MH」と同じ物を表す。

識別色は オレンジ)。

充放電の反応式は以下のように表される。


ニッケル・水素充電池

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/28 07:16 UTC 版)

電気自動車用蓄電池」の記事における「ニッケル・水素充電池」の解説

詳細は「ニッケル・水素充電池」を参照 ニッケル水素電池は現在、比較成熟した技術考えられている。充放電効率鉛蓄電池よりも低い(60 - 70%%)が、比エネルギー鉛蓄電池よりもはるかに高い30 - 80 Wh/kgである。適切に使用すればニッケル水素電池は非常に長持ちするハイブリッド車や、10万マイル16km走行して10年上の使用期間経て問題なく動作する第1世代ニッケル・水素電池搭載したトヨタ・RAV4 EV英語版)が現存していることからも、そのことがわかる。欠点としては、効率悪いこと自己放電大きいこと、充電サイクルが非常に細かいこと寒冷地での性能が低いことなどが挙げられるGM Ovonic社は第2世代EV-1採用されニッケル・水素電池製造し、Cobasys社もほぼ同じ電池製造している(Ovonic社の電池11セルであるのに対し1.2 V 85 Ahニッケル・水素電池10セル直列配置)。この電池EV-1では非常によく機能したが、近年特許の壁(英語版)に阻まれ使用制限されている。

※この「ニッケル・水素充電池」の解説は、「電気自動車用蓄電池」の解説の一部です。
「ニッケル・水素充電池」を含む「電気自動車用蓄電池」の記事については、「電気自動車用蓄電池」の概要を参照ください。

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