クランクシャフト【crankshaft】
読み方:くらんくしゃふと
クランクシャフト
クランク軸とも呼ぶ。接合する部品との複合語の場合には単にクランクと略される場合が多い。ピストンエンジンの主運動系の中心的な部品で、ピストンの往復運動をコネクティングロッドを介して回転運動に変える。主運動系の中心をなす。シリンダーブロックに支持されるクランクジャーナル、コネクティングロッドの大端部が取り付けられるクランクピン、クランクアーム(クランクウェブ)およびカウンターウエイトからなる。前端部にはクランクプーリーを装着できるようになっており、後端部にはフライホイールを締結するフランジが設けられる。ねじれ剛性や曲げ剛性を高く保つことが重要であり、軸部分の耐摩耗性が重要なファクターになる。内部にクランクジャーナルとピンをつなぐ油路を設けて、クランクとコネクテイングロッドベアリングに給油している。材質には特殊鋼、炭素鋼、特殊鋳鉄などが用いられ、軸部には高周波焼入れ、浸炭、窒化(タフトライド)が施される。クランクシャフトの剛性と軸部分の耐摩耗性はきわめて重要であり、応力集中を避けるため、クランクピンやジャーナル部の肩部には隅アールをつけたり、フィレットロール加工を施したり、疲労強度を上げることが大切である。また、設計上は振動低減のため、カウンターウエイトの重量や形状に配慮が必要である。スチールの鍛造品または鋳造品である。また、レーシングエンジンではクロムモリブデンなどの特殊鋼が使われる。
クランクシャフト
クランクシャフト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/25 13:10 UTC 版)

内燃機関などでは ピストンの往復運動を回転力に変え、圧縮機などでは逆に回転力を往復運動へ変換する。図は直列4気筒の例。
クランクシャフト(英: crankshaft)は、クランク機構によって駆動されるシャフト(軸)である[1]。一連のクランクと、エンジンのコネクティングロッドが連結されたクランクピンから成る。ピストンの往復運動を回転力に変えるための軸。曲軸、曲柄軸、クランク軸、エンジンの主軸となる屈曲軸。自動車エンジンの例では、現在、世界のほとんどのメーカーがクランクシャフトの回転方向を『出力軸側から見て反時計回り』としている(右のアニメーションはそれとは逆)。
クランクシャフトが文献に現れるのはアル=ジャザリの1206年の著作が最古である[2]。
概要
エンジン側の軸受に保持されている軸の部分をクランクジャーナルといい、ピストンのコネクティングロッドとつながっている所をクランクピン、その2つをつなぐ部分をクランクアームと言う。
ピストンおよびコンロッドの運動により生じる慣性力を軽減するためのバランスウエイトがつけられている。近代的なエンジンではクランクアームとバランスウェイトが一体化して板状のクランクウェブを形成している。このバランスウエイトはカウンターウエイトとも呼ばれ、クランクピンの両側にカウンターウエイトが装着されているものをフルカウンターウエイト、片側にのみ装着されるものをセミカウンターウェイトと呼ぶ[3]。一般的にはフルカウンターの方がクランクの振動低減と高出力化に有利とされているが、製造コストが掛かり重量も重くなりがちなため、市販車両に採用する場合にはエンジンの気筒数によるエンジンの振動特性の違いや、後述のバランサーシャフトとの併用も考慮しながら用途と出力に応じた形式が採用される。
一般的には前述のバランスウエイトと共にバランサーシャフトが用いられることが多いが、アメリカ車で主流であった90度バンクV型8気筒エンジンでは振動をバランスさせるために4気筒分のクランクピンを90度位相で配置するクロスプレーンと呼ばれるクランクシャフトが用いられてきた。近年[いつ?]では一部のオートバイ用直列4気筒でも不等間隔点火順序と併用してこのクロスプレーンが採用されている。こちらは振動の軽減というよりも、より高出力を得るためにこのような形式が用いられている。
水車、風車、プレス機、レシプロ式圧縮機、ミシンではこの変換を逆に利用し、自然エネルギーや電動機などでクランク軸を回転させ、必要なストロークの往復運動を得ている。
脚注・出典
- ^ “Definition of CRANKSHAFT” (英語). Merriam-Webster Dictionary. 2019年8月1日閲覧。
- ^ Sally Ganchy, Sarah Gancher (2009), Islam and Science, Medicine, and Technology, The Rosen Publishing Group, p. 41, ISBN 1435850661
- ^ Webカタログ > クランクシャフト - 東名パワード(2003年版)2017年10月 18日閲覧
外部リンク
関連項目
- クランク(曖昧さ回避ページ)
- クランク (機械要素)
- スターティング・ハンドル
クランクシャフト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/19 02:05 UTC 版)
石臼を回すために中心から離れたところにハンドルを装備する方式は、スペインで紀元前5世紀に考案され、ローマ帝国全土に広がりクランクの基になった。クランクは漢でも知られており、バヌー・ムーサー兄弟も知っていたが、クランクとコネクティングロッドを使った機構の記述は3世紀のローマ帝国のヒエラポリス-パムッカレの文献が最古とされている。1206年、ジャザリーの著作に世界初のクランクシャフトが登場している。その中で、2つのシリンダーをクランクとコネクティングロッドでクランクシャフトに繋いだポンプが描かれている。現代のクランクシャフトと同様、ジャザリーの機構には可動のクランクピンがいくつかセットされたホイールがあり、ホイールが円運動をするときピンは直線状に行ったり来たりする。 ジャザリーが描いたクランクシャフトは、連続的な円運動を直線的な往復運動に変換し、蒸気機関や内燃機関、さらには自動制御といった現代の機械でも中心的役割を果たしている。彼はこれをコネクティングロッドと共に2台の揚水機で使った。クランク駆動のサーキヤと複式往復運動ピストン吸い上げポンプである。
※この「クランクシャフト」の解説は、「ジャザリー」の解説の一部です。
「クランクシャフト」を含む「ジャザリー」の記事については、「ジャザリー」の概要を参照ください。
「クランクシャフト」の例文・使い方・用例・文例
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