あっしゅくき 圧縮機 compressor
圧縮機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/06 04:31 UTC 版)
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圧縮機(あっしゅくき)とは羽根車若しくはローターの回転運動又はピストンの往復運動によって気体や液体などの流体を圧送する機械のことである[1]。コンプレッサともいう。有効吐出し圧力が200 kPa以下の圧縮機をブロワという。なお、改正前のJIS定義では圧力比によって送風機・圧縮機を分類していたが、ISOなどの国際規格との整合性を保つため2005年(平成17年)に改正された[2]。これにより送風機扱いであったブロワが圧縮機となり、送風機とファンが同義となった。
概要
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圧縮機は流体機械に分類され、機械エネルギーを流体の持つエネルギーに変換する機械である。したがって気体にエネルギーを与え低圧から高圧へ送り出す送風機、圧縮機、排風機、真空ポンプは本質的に同じ機械である。それぞれ用途に応じた呼び方であり、圧送か排出か、低圧力比か高圧力比かの違いである。尚、ブロアは送風機と圧縮機の中間的な存在である。特徴としては気体の熱と圧力により機械の各部に大きな応力が生じること、圧力比が大きくなるほど圧送するためには大きな動力が必要になるなど気体の圧縮性を考慮した設計が必要になることがあげられる。流量は質量流量か体積流量で表されるが、体積の特殊な表し方にノルマル立方メートル(Nm3)があるので注意が必要である[3]。
ターボ圧縮機
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気体に働く運動エネルギーにより圧力を与えるもの。一般に容積圧縮機よりも大容量である。
遠心式圧縮機
軸方向に吸い込んだ流体を外周部へ吐き出すことで圧力を与えるもの。
特徴
- 1段で比較的大きな圧縮比が得られる。このため小型化に向く。
- 多段構成を取る場合、流路が複雑になり効率が低下する。
主な用途
- 大型冷凍機
- レシプロエンジンの排気タービン過給機(ターボチャージャー)
- ガスタービンエンジン(ジェットエンジン含む)の空気圧縮機
軸流式圧縮機

軸方向から吸い込み軸方向に圧力を与えるもの。
軸から伸びる動翼と、ケーシングに固定された静翼の翼列とで一組の段となる。動翼は揚力を用いて気体を圧縮し、静翼は後方の翼列の流入角方向に気体の流れを整える。
特徴
- 遠心圧縮機に比しても大容量である。また多段構成の効率がよい。
- 単段では圧縮比を大きくとれないが、多段構成を利用して比較的容易に高圧縮比を得ることができる。
主な用途
- ガスタービンエンジン(ジェットエンジン含む)の空気圧縮機
- 高炉送風用圧縮機
容積圧縮機
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機構内の体積の変化により圧力を与えるもの。
往復動圧縮機(レシプロ圧縮機)


ピストンの往復運動によるシリンダーの容積変化で圧縮するもの。
特徴
- 高圧縮が可能。高圧を得るために多段圧縮を行う場合があり、低圧ピストンと高圧ピストンの間に中間冷却器を設けることで気体の温度を下げることができる。
- 多段圧縮では空気漏れなどのロスにより、前段と後段の流量がアンバランスとなる不具合要因がある。
- 機種が豊富。
- 大容量に適さない。
- ピストンの往復や弁の開閉による振動と騒音が大きい。
- 密閉式でないならば修理が容易
主な用途
- 低温用冷凍機
- 高圧用空気圧縮機
- 家庭用噴霧器
斜板式

ピストンの往復運動で圧縮する原理はレシプロ式と同様であるが、構造は大きく異る。ボアの小さなピストンを円周上に多数備え、回転軸に取り付けられた斜板をカムとして、ピストンをストロークさせる。ピストン配置は斜板の片側だけのもの(画像参照)と両側のものとがある。
特徴
- 軽量・コンパクト
- 往復部品が小さく、圧縮時のトルク変動も少ないため、振動と騒音を抑えられる。
- 回転数の他、斜板の角度を可変とすることでも吐出量の増減が可能。
主な用途
ダイアフラム式圧縮機
往復圧縮機のバリエーションで、ピストンの代わりにダイアフラムを用いたもの。往復動圧縮機と特徴が似ているが、ダイアフラムが主に金属性材料の場合、高圧用・危険なガスを取り扱える利点がある。
またこれとは別の用途として、簡便な低圧用圧縮機や危険なガス用の圧縮機として、直接ピストンでダイアフラムを動かし、このダイアフラムにゴムやエンジニアリングプラスチックを用いたものもダイアフラム式圧縮機と呼ぶ。
主な用途
ツインスクリュー圧縮機

2つのスクリュー型の回転体の溝を利用し体積変化させるもの。開発者のアルフ・リショルムにちなんでリショルム・コンプレッサともいう。
特徴
- 遠心型と比較して高圧縮比が可能である。
- 往復圧縮機と比較して振動が少ない。
- 無給油のものも製作可能。
- 給油式では大量の潤滑油を圧縮部に噴射させながら運転することで、吐き出しガスの温度を下げることが可能。最近[いつ?]では潤滑油の代わりに水を利用した水潤滑方式が伸びている。無給油式では隔離して機構冷却を行うが、ガス温度の冷却性はさほどよくない。
主な用途
- 食品・半導体素子製造プラントなどの清浄圧縮空気製造 : 無給油のものが使用される。他の用途でも近年[いつ?]の環境保全や製品の品質向上を狙う場合は、無給油が主流になりつつある。
- 中型冷凍機
- 大型空気圧縮機
- 過給器
- 建設工事に用いる空気源用圧縮機(騒音振動が公害になるため)
シングルスクリュー圧縮機
1つのスクリュー型の回転体と2つの樹脂製ゲートローターを利用し体積変化させるもの。 1960年にフランスのベルナール・ジメルヌ (Bernard Zimmern)[4] によって発明された[5]。
特徴
- ゲートローター部が水平対向で平衡しているため、理論上は軸受けにスラスト荷重が発生しない。
- 遠心型と比較して高圧縮比が可能である。
- 往復圧縮機と比較して圧縮機本体の振動が少ない。
- 往復圧縮機と比較して吐き出し圧力の脈動が少ない。
- 大量の潤滑油を圧縮部に噴射させながら運転することで、吐き出しガスの温度を下げることが可能。
- 水潤滑式の制作が可能(水を使わない完全無給油構造は樹脂製ゲートローターの耐久性から作成困難である)。
主な用途
- 中型冷凍機
- 中型空気圧縮機
スクロール圧縮機

周辺から圧縮し中央から吐出する
1対の同一形状の渦巻き体を、一方を固定し、もう一方を円運動(相対的には揺動運動)させることにより、圧縮室の体積を小さくし、圧縮するもの。 1900年代にはヨーロッパ・アメリカで特許出願されていた。材料・加工技術の進歩により製品化が可能となり、一般空調用は1980年代に日本の日立製作所が最初に、また同年、自動車空調用として日本のサンデンが実用化した。
特徴
主な用途
- エア・コンディショナー
- 車両用冷凍機
- 自動車用過給器(スクロール式過給器〈英語版〉、フォルクスワーゲン・Gラーダ〈英語版〉 )
- 小型空気圧縮機 鉄道用空気圧縮機
欠点
- 吐出圧力が常に高い運転状態で使用すると逆止弁が破損しやすくなる
- 常に連続して金属面同士が擦れるので、構造によっては金属粉・樹脂粉が出やすく、音も甲高い性質の物となる。但し比較的低周波のため、音響低減はツインスクリュー構造と比較するとかなり容易である。
ロータリー圧縮機
回転するピストンとシリンダーの組み合わせにより圧縮するもの。
ロータリーピストン型

高圧側と低圧側とを仕切る羽根がシリンダー側に取り付けられピストン側と接しているもの。発明者のPhilander Roots と Francis Marion Roots(ルーツ兄弟)の名をとって、ルーツ式・ルーツ・ブロワとも言う。効率が良いため一般に使用されている(出典:ロータリ・ブロワ(ルーツ式) 日本産業機械工業会)。
特徴
- スクロール圧縮機と比較して小型軽量で製作が容易なため、より小容量に適する。
- 圧縮機にはガス温度が高めになるため無給油式の場合アフタークーラーが必要。
- 圧縮比が高く取りにくい。
主な用途
- 家庭用エア・コンディショナー
- 小型除湿機
- 自動販売機用冷凍機
- 携帯型空気圧縮機
スライドベーン型

ローター側面に複数取り付けられた羽根(ベーン)が、ハウジング内壁と接しているもの。 ロータリーベーン型、回転翼式とも言う。
特徴
- ロータリーピストン型と同様に小型軽量で製作が容易なため、小容量に適する。
欠点
- 内部の弁板の精度が悪いと引っかかりが生じてロックする(永久破損)
- 非常に高い精度が要求される
主な用途
- ロータリーピストン型に同じ
- パワーステアリング用ポンプ
ヴァンケルロータリーエンジン機構を空気圧縮機に使用したもの。
原動機との接続
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全密閉型
電動機が圧縮機とともに溶接された一体型の容器に密閉されているもの。通常の方法では内部の部品の補修・取替えが不可能である。 モーターの冷却は動作流体を使用する。 大量生産される汎用の冷凍機のほとんどをしめる。 冷凍サイクルに水が入り込むとすぐに漏電する。
半密閉型
モーターが圧縮機とともにボルト締めされた分割型の容器に密閉されているもの。ボルトを取り外すことにより、モーター・軸受などの補修・取替えが可能である。 実際の所、部品交換は弁板、オイルレベル窓、ガスケットぐらいしか出来ない。
単段のものは冷蔵用途(全冷媒で)一部の冷媒(CFC-502やHFC-404Aやハロン1301)では冷凍用途で使われる。 R22など比較的低圧冷媒で冷凍温度域まで冷やす時は2段圧縮方式で使われる。 これは初段(吸い込み圧力は負圧)で一旦正圧まで圧縮したあとインタークーラーと液インジェクションで冷たいガスを混合して温度を十分下げてから後段で1.5 - 2MPa程度まで圧縮するものである。
開放型

原動機が同じ容器内に無いもの。軸シール装置が必要である。 軸シール側に低圧(吸入)側を構成し、ガス漏れが最小限で済むようにしてある。 冷凍機器ではサーモオフ停止時にポンプダウンを行い、吸入圧力が飽和蒸気圧力まで上昇しないよう使用する。 このため、カーエアコンは使用しないと圧縮機の吸入側圧力が高い状態で放置されるので僅かずつガス漏れする(環境保護の観点から密閉型の採用かポンプダウン制御を行うべきである)。
モーター以外の原動機の使用が可能である。また、大型化も可能である。
出力側タンクのメンテナンス
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圧縮機の二次側にはタンクが装備されることが多いが、空気の圧縮を連続的に行うことから、圧縮後は空気中の湿気が液化して水となってタンク基部に溜まることがある。このためタンク容量が圧迫されて非効率となる。これを避けるために一定の稼働時間に従ってタンクの底部にあるドレン抜きバルブを開いて溜まった水分をタンクから排除して整備する必要がある。
主なメーカー
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脚注・出典
- ^ JIS B 0132 2005 送風機・圧縮機用語
- ^ JIS B 0132 2005 送風機・圧縮機用語 解説
- ^ 基準状態(温度0 ℃、絶対圧101.3 kpaの時の乾燥空気の状態)の体積
- ^ http://www.lequatriemeroimage.com/pages/zimmern.html
- ^ “Masterclass:Compressors - Part 7”. web.archive.org (2009年2月5日). 2025年1月23日閲覧。
- ^ “三國重工業株式会社 | レシプロ コンプレッサ・真空ポンプの専門メーカー MIKUNI”. www.mikuni-group.co.jp. 2025年1月23日閲覧。
参考文献
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出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。
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- 村上光清、部谷尚道 『流体機械』 森北出版[要文献特定詳細情報]
- 大橋秀雄 『流体機械 改訂・SI版』 森北出版[要文献特定詳細情報]
- ターボ機械協会編 『ターボ機械 入門編』 日本工業出版[要文献特定詳細情報]
関連項目
外部リンク
- ジョンソンコントロールズ/産業用冷凍機・空調冷熱機器 - レシプロ式、スクリュー式、ターボ式圧縮機。
- MIKUNI/三國重工業 技術講座 - 往復式の圧縮構造。
- アネスト岩田 技術講座 - コンプレッサーについて判りやすく解説されている。
- 日立産機システム 空圧機器
- 三井精機工業 コンプレッサ技術資料
- whipple社 資料
- IHI コンプレッサー - ターボ式、水潤滑式、レシプロ式の構造。技術講座もあり。
- 田邊空気機械製作所 - 高圧コンプレッサ。金属部品洗浄機も歴史あり
- 川崎重工業 空力機械 - ブロワ、多段遠心圧縮機、天然ガス圧送設備
- 日本エマソン株式会社 エマソン・クライメイト・テクノロジーズ事業部 - 空調・冷凍用スクロール式コンプレッサー
圧縮機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/12 15:07 UTC 版)
吸気口を通過した空気は燃焼室へ送り込まれる前に圧縮機により加圧される。初期のジェットエンジンの圧縮率は大気圧の数倍という小さいものであったが、F-15に搭載されているF100では約30倍、ボーイング777に搭載されているGE90では約40倍という高圧を生み出している。ジェットエンジンに使われる圧縮機には遠心圧縮式と軸流圧縮式の2種類がある。通常、圧縮機は複数設けられ、その数は「段数」で数えられる。また、軸流圧縮機の後段に遠心圧縮機が設置されるような場合もある。 遠心圧縮式 (centrifugal compressor) 詳細は「遠心式圧縮機」を参照 流入空気を羽根車(インペラー、impeller)によってエンジン回転軸の遠心方向に90°偏向させ、その遠心力と圧縮機出口に設置されたディフューザーで空気の速度エネルギーを圧力エネルギーに変換することで空気圧力を高める方式である(インペラーとディフューザーの組を1段と数える)。その後高められた加圧空気はマニホールドから燃焼室に送られる。製作が容易で安価であり、構造が簡単で1段当りの圧力比が高く、比較的効率が高い、丈夫で異物の吸入に強い、安全運転範囲が広い、回転数がある程度変動しても効率が落ちないといった利点があり、小出力ならば軸流圧縮式に比べて軽量化が可能である。このような特徴からオハインやホイットルが製作した初期のターボジェットはこのタイプの圧縮機を使用している。ただし、軸流式と組み合わせなければ段数を増やすことが難しく、圧縮比を大きくするためにインペラーの直径を増すと前面投影面積が大きくなる(機体に搭載した場合空気抵抗が増加する)という欠点を持つ。したがって今日の航空機用大推力エンジンにはほとんど用いられない。しかしながら、中型輸送機用ターボプロップや中・小型ヘリコプター用ターボシャフトなどの比較的低出力のエンジンには、その構造の単純さ故に今なお使われている(その場合、軸流式との組み合わせであることも多い)。また、ホンダジェットに搭載されたターボファンエンジンHF120の高圧圧縮機(最終段の圧縮機)にもチタン合金製の遠心式圧縮機が使用されている。ちなみに航空用レシプロエンジンのスーパーチャージャーもインペラーとディフューザーを備える遠心圧縮式である。 軸流圧縮式 (axial compressor) 詳細は「軸流式圧縮機」を参照 軸流圧縮機は回転軸と平行方向に空気流路を持つ圧縮機である。大きくわけて、圧縮機ロータ(Compressor Rotor)と圧縮機ステータ(Compressor Stator)の2つの主要部品から構成されている。圧縮機ロータと圧縮機ステータはそれぞれの各段の動翼と静翼が交互になるように設置されており、軸方向の後方に進むにつれて、通路断面積が小さくなっている。また、軸流圧縮機では一列の動翼と一列の静翼の組み合わせを段(Stage)と呼んでおり、これがいくつあるかで「段数」と呼んでいる。流入空気は圧縮機ローターが回転することで動翼と静翼によって空気流の拡散作用により空気圧力の増加が得られて、何段もの動翼と静翼を通過させることで次第に体積が減少して高圧となっていくが、拡散作用で減少した流入空気の速度は回転する動翼により回復するようになっている。大量の空気が処理できること、圧縮機の効率が高く多段化が容易であるため高圧力比を得られる、エンジン直径を小さくすることができる利点があるが、構造が複雑で製作費が高く、異物の吸入で動翼や静翼が損傷を受けるほか、圧力比が回転数と流入空気温度の変化で大きく影響を受ける欠点を持つ。これは、軸流圧縮機の空気流路断面積が圧縮機効率が最高となる設計点に合わせて固定されているためである。動翼(ブレード)と静翼(ベーン)の製作にはコストがかかり、特に動翼はディスクに片端支持のみで固定されるため加工精度いかんでブレードによるフラッターを起こしやすいという欠点がある。このフラッターは静翼の角度を調節することである程度まで対応できるが、回転数は限られる。近年の大型、高出力ターボジェット、ターボファン、ターボシャフトのほとんどはこの軸流圧縮式を用いている。小型のものでは圧縮機の後段の動翼・静翼が小さくなり製造が困難となる。加工精度も高いものでないと空力的悪影響を引き起こし、設計時に想定した要求性能を到達させるのが困難なので、最終段のみ遠心式とする場合もある。 圧縮機ロータは、円盤状のディスク(Compressor Disk)の円周に動翼(Rotor Blade)を取り付けたブレード・アンド・ディスク(Blade and Disk)を回転軸方向に何段も重ねて一体化させたものであり、構造としては、ブレード・アンド・ディスクをスペーサー(Spacer)を使用して重ね合わせた後に、タイロッド(Tie-rod)とハブ(Hub)とで一緒に結合した構造が一般的であり、ブレード・アンド・ディスクとスペーサーを一体構造とし、タイロッドを使用せずに、ボルトを使用して結合した構造のウイング・ディスク(Wing Disk)や何段ものディスクとスペーサーを一体化して、それに動翼を取り付けた構造のドラム・ローター(Drum Rotor)がある。 圧縮機ステータは、圧縮機外側ケースに静翼(Stator Vane)と静翼の支持構造を回転軸方向に何段も重ねて取り付けたものであり、静翼の支持構造としては、固定式ステータ・ベーン構造と可変式ステータ・ベーン構造の2つがある。固定式ステータ・ベーン構造とは、内側はインナ・シュラウド(Inner Shroud)と外側はアウタ・シュラウド(Outer Shroud)と呼ぶ大小2つのリングの間に固定された静翼を取り付けたベーン・アンド・シュラウド(Vane and Shroud)と呼ばれる構造を、圧縮機外側ケースの内面にロータ回転軸方向に何段も取り付けられている。可変式ステータ・ベーン構造とは、内側の支持リンクと外側の圧縮機外側ケースとの間に回転軸を取り付けた静翼があり、回転軸は、圧縮機外側ケースに設けられた孔を介して外部に取り付けられた作動アームと作動リンクで構成された可変ベーン機構と繋がっており、それにより静翼を動かす構造であり、それがロータ回転軸方向に何段も取り付けてられており、エンジンの回転数に応じて可変ベーン機構により静翼の取り付け角度が変わるようになっている。これは、軸流圧縮機において圧力比を高めるためには、段数を増やす必要があるのだが、段数を増やすと安全運転範囲が狭くなり、ストールと呼ばれる動翼の失速現象が頻繁に発生して、始動性や加速性が低下するためであり、軸流式圧縮機の前段部の数段を可変式ステータ・ベーン構造にすることで、ストールを防止するとともに、圧力比をより高めることができる。ほかにも、ストールを防止や圧力比をより高める方法としては、タービンで圧縮機を駆動する1軸式から低圧タービンで低圧圧縮機を駆動し、高圧タービンで高圧圧縮機を駆動する2軸式とした多軸エンジンの採用や、軸流圧縮機の中段や後段部に抽気弁を取り付け、それが始動時や低出力運転時に自動的に開いて、圧縮された空気がこの弁を介して外気に放出されることでストールを防止する抽気がある。また、圧縮機の高圧部から取り出した抽気の空気(ブリードエア)は、防氷や空調、燃焼室に直接火炎が触れることを防いだり、タービンなどの冷却に利用される。
※この「圧縮機」の解説は、「ジェットエンジン」の解説の一部です。
「圧縮機」を含む「ジェットエンジン」の記事については、「ジェットエンジン」の概要を参照ください。
圧縮機
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