じゅんかつ‐ゆ〔ジユンクワツ‐〕【潤滑油】
潤滑油
エンジンや変速機、差動装置などを潤滑するための液体状のオイル。また、ホイールベアリングやウオーターポンプの潤滑などに用いられるグリースも含まれる。エンジンオイルとしては、鉱物油あるいは合成油を基油とし、酸化防止剤、防錆剤、発泡防止剤などの添加剤を加える。エンジンオイルの作用としては、減摩作用、密封作用、緩衝作用、冷却作用、防錆作用などがある。
参照 エンジンオイル潤滑油
【英】: lube oil / lubricating oil
同義語: lubricating oil
いろいろな機械やエンジンの摩擦部分の潤滑剤として使用される油を広く潤滑油というが、このうちには石油系、動植物油系の潤滑油、さらに合成潤滑油が含まれている。しかし、大部分は石油系炭化水素から作られる。潤滑油を使用する目的は、摩擦係数の低減、摩擦部の冷却、応力の分散、密封(コンプレッサーのシールに用いる場合のように)、防錆(せい)などであるが、これらの作用を果たすために要求される主な性状は、(1) 粘度が運転速度、温度、荷重などの使用条件に適合していること、(2) 使用温度範囲の広い潤滑油では、温度による粘度変化が小さい、すなわち粘度指数が大きいこと、(3) 残留炭素分が少ないこと、(4) 酸化安定性が大きいこと、(5) 引火点が高いこと、(6) 流動点が低いこと、(7) 色相が良いこと、(8) 添加剤の添加効果が良いことなどである。 潤滑油は燃料油と比べて製造量は少なく、わが国では処理原油量の 1 %程度を占めているにすぎないが、機械と名の付くもので潤滑油を使用していないものはないくらいで、その種類は極めて多く、特に近年、内燃機関や産業機械の高性能化に伴い、非常に厳格な条件で長期間使用でき(ロングライフ)、省エネルギー特性の高い潤滑油の需要が増加してきた。石油系潤滑油を用途別に分類すると、電気絶縁油、スピンドル油、ダイナモ油、冷凍機油、マシン油、タービン油、モーター油、航空潤滑油、マリン・エンジン油、ディーゼル・エンジン油、コンプレッサー油、シリンダー油、工作油、油圧作動油などに大別できる。潤滑油の製造においては、特に原料とする原油の種類が製品性状に大きく影響する。製造法としては、原油タイプおよび製品の品質によって異なるが、減圧蒸留法、溶剤脱瀝{ようざいだつれき}法、溶剤抽出法、溶剤脱蝋{ようざいだつろう}法、硫酸洗浄法、白土処理法、水素化精製法などの各種工程が使用目的によっていろいろ組み合わされて製造される。潤滑油の原料は減圧留出油留分であるが、減圧残油から溶剤脱れき法により SAE-50 、ブライトストックのような粘度の高い潤滑油原料も得られる。潤滑油には、清浄分散剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、流動点降下剤、さび止め剤、泡止め剤、極圧添加剤などいろいろな添加剤がその使用目的によって添加されている。 |
潤滑油
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/22 17:07 UTC 版)
潤滑油(じゅんかつゆ)(Lube ルーブ、Lubricant ルブリカント)とは、機械の歯車などを効率よく潤滑するための潤滑剤として使われる油であり、時には冷却にも益する。エンジンオイルもこの一種。 また、この化学的性質を例えとして、物事が円滑に運ばれるための仲立ちとなる物や人を指す言葉。
- ^ 岡本純三・中山景次・佐藤昌夫 1993, p. 53.
- ^ “各種潤滑油の製造に使われるベースオイルの品質性状”. ジュンツウネット21. 2017年3月28日閲覧。
- ^ a b c 岡本純三・中山景次・佐藤昌夫 1993, p. 56.
- ^ ジェイテクト「ベアリング入門書」編集委員会. 図解入門よくわかる最新ベアリングの基本と仕組み
- ^ 岡本純三・中山景次・佐藤昌夫 1993, p. 57.
- ^ “エステル系合成潤滑油の使い方”. ジュンツウネット21. 2017年4月6日閲覧。
- ^ “潤滑油の分野で利用されている動植物油の現状と将来性”. ジュンツウネット21. 2017年4月7日閲覧。
- ^ a b “潤滑油添加剤の種類・用途”. ジュンツウネット21. 2017年1月16日閲覧。
- ^ “添加剤の種類と使用目的”. ジュンツウネット21. 2017年1月16日閲覧。
- ^ “内燃機関のオイル劣化判定装置”. j-platpat. 2022年3月10日閲覧。
- ^ 豊口満. 潤滑油酸化防止剤について. doi:10.5059/yukigoseikyokaishi.13.512 .
- ^ 同時に添加剤を配合したものは「軸受油 JIS K 2239」として規格化された
- ^ 岡本純三・中山景次・佐藤昌夫 1993, p. 70.
- ^ 岡本純三・中山景次・佐藤昌夫 1993, pp. 70–71.
- ^ 岡本純三・中山景次・佐藤昌夫 1993, p. 71.
潤滑油
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/18 20:28 UTC 版)
潤滑油分野においては極めて流動点の低い合成油も存在するものの、全体からの割合は少なく大部分はパラフィン分を多く含む鉱油が用いられている。これらの鉱油では低温でワックス分が析出して流動性を失うため流動点は重要な項目となる。一般的に粘度指数が高い鉱油はパラフィン分が多くなるため低温流動性は低い。鉱油でもナフテン系と呼ばれるものは低温でも高い流動性を持つため冷凍機油など特殊用途で使用されるが、粘度指数が低くなるため一般用途ではほとんど使用されない。
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潤滑油
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/18 20:28 UTC 版)
パラフィン系鉱油では低温流動性の低いノルマルパラフィンを減らし、低温流動性の高いイソパラフィンを主体とすることで良好な粘度指数を得た上で流動点を下げるなど精製を行っている。グループIII基油などはこれらを行っており一般的な鉱油と比較すると高い粘度指数と低温流動性を持っている。しかしパラフィンをベースとする以上はPAOなどの低温流動性に優れた合成油と比較すると高い流動点を持つ事になる。これに対してパラフィン系鉱油(GTL基油を含む)に対してはワックスの結晶化を阻害するなどの効果のある流動点降下剤(PPD)を添加し流動点を下げる処方が一般的に行われており、低温での使用を考慮したパラフィン系潤滑油では欠かせないものとなっている。流動点降下剤は流動点を大きく下げることが出来るが一定の添加量で効果が飽和、過剰に添加した場合はPPDにより粘度があがり流動性が低下する。流動点をどの程度下げられるかは組成やPPDにもよるが、最大限最適化した処方を行った場合は合成油に近い流動点を得る事も可能となっている。ナフテン系鉱油の場合はもとから流動点が低く一般的にはPPDは使用される事は少ない。
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潤滑油
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/29 10:01 UTC 版)
詳細は「潤滑油」を参照 一般に良く使われる潤滑油は石油精製物である。目的に応じて粘度・精製度・添加物等の異なるグレードが市販されている。潤滑油の粘度はVG値で表されるが、これは40℃における動粘度(cSt)センチストークス値に相当する。低速のウォームギヤ用のVG460はねっとりとした油であり、油圧用に使われるVG46の粘度は大豆油に近い。潤滑油として最も低粘度のVG2は低荷重・高速用に使われ、サラサラの油である。 また潤滑油の粘度は温度に依存し、温度が高くなると粘度が低下する。潤滑油としては温度による粘度変化が少ない方が望ましい。温度による粘度変化の大きさを粘度指数と呼び、この数値の高い方が粘度変化の少ない良い油である。一般の潤滑油は粘度指数80以上であるが、一般油圧作動油は粘度指数106~113、航空機用の作動油は120~140のものもある。 添加剤としては、エンジンオイルに使われる極圧添加剤は亜鉛やモリブデンなどの金属系化合物を主体とした添加物であるが、シリンダーやピストンリングの表面に吸着して潤滑膜を形成し、境界摩擦状態でも母材を保護する。上記の粘度指数を改善する目的で粘度指数向上剤が使われる。
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潤滑油
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/30 07:08 UTC 版)
潤滑油の90 %以上は鉱油である。鉱油系潤滑油の成分のほとんどは芳香族系炭化水素、パラフィン系炭化水素、ナフテン(シクロアルカン)系炭化水素である。一般的に、環分析(n-d-M法)でパラフィンの炭素数が50以上の潤滑油をパラフィン系、ナフテンの炭素数が30 - 45をナフテン系と呼ぶ。 安価である。粘度範囲は広く、様々な粘度の鉱油が存在する。 精製では不純物を完全に除去することはできない。一般に、この不純物により、熱安定性が低く、流動点が高い。低くとも-20 ℃で凝固するこのため、不純物がない合成油に比べると使用温度範囲は狭い。
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「潤滑油」の例文・使い方・用例・文例
- チェーンに少し潤滑油を差す
- お茶は仕事をスムーズに運ばせるための潤滑油のようなもの。
- ユーモアは日常生活をなごやかにする潤滑油の働きをすることが多い.
- 何かに潤滑油を差すこと
- 潤滑油をつける
- 潤滑油が不足しているエンジンに特有の雑音を立てる
- 彼の好きな偽悪語法は、バターが欲しいときに、車軸の潤滑油を求めることだった
- 菜種から採る明るい黄色から褐色の食用油で、潤滑油や照明用にも使われる
- ラードから搾り出されるオレインを主成分とする油で、特に潤滑油、切断用油、または発光体として用いられる
- 木のパルプから取れる油で、石鹸または潤滑油の製造に用いられる
- ネズミイルカから取れる黄色の脂肪油で、上質の潤滑油として用いられる
- マイルカから取れる不飽和脂肪油で、上質の潤滑油として用いられる
- 油壷という潤滑油を給油する機械部品
- 自動車において,潤滑油
- スピンドル油という機械用潤滑油
- 潤滑油の精製工程で蝋分を取り去ること
- マシン油という潤滑油
- 潤滑油を交換する
- 流動パラフィンという潤滑油留分
- オイルシールという,潤滑油の漏れを防ぐ装置
潤滑油と同じ種類の言葉
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