清浄分散剤
エンジンオイルはエンジン燃焼室からの不完全燃焼生成物やオイル自身の酸化劣化により汚損する。この汚損原因物質はシリンダー内をはじめエンジン各部にスラッジ、ワニスとなって付着、修着しエンジン性能を著しく阻害するようになる。そこでオイルに界面活性剤を加えておき、オイルの汚損原因物質がエンジン各部に付着、膠着しないように分散、懸濁させる。このような作用をする添加剤を清浄分散剤という。清浄分散剤にはバリウム、カルシウム、マグネシウムなどの金属を含んだスルホネート、フィネート系などがあり、これらは高温スラッジに強い。これに対し、低温時に発生する水分を多く含んだ低温スラッジに効果を発揮し、金属を含まない無灰清浄分散剤があり、これにはコハク酸イミド系、ベンジルアミン系などの化合物がある。
清浄分散剤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 07:11 UTC 版)
エンジンなどの運転で生成する有害な不純物を潤滑面から取り除き、エンジン等内部を清浄に維持する。また、焼き付きや故障を防ぐ。一般的に清浄分散剤を使用するとエンジン等の寿命が長くなる。主にエンジンオイルに用いられる。通常、添加量は2~10%であり、他の添加剤と比べて基油に対する配合量が高い。米国や日本では添加剤需要量における清浄分散剤の比率が50%前後に達すると考えられている。 不純物とは不溶性金属粉(スラッジ)であり、金属表面が摩擦すると微少ながら金属が削れて溶解性金属分子のスラッジ前駆体(スラッジプリカーサ)が現れる。スラッジ前駆体が油中に蓄積していくと多数の前駆体が重合して高分子量の不溶性成分となる。不溶性成分が凝集若しくは沈殿してスラッジとなる。潤滑面に存在すると摩擦や摩耗の原因となり、潤滑油に混入すると潤滑油の酸化や劣化の原因となる。すると、機械の焼き付きや故障につながる。 清浄分散剤は多機能であり、スラッジの分散作用、スラッジ前駆体の可溶化作用、燃料の燃焼生成物や潤滑油の劣化生成物に由来する酸性物質の中和作用を持つ。さらに、スルホネートは防錆作用も、フェネートは酸化防止作用も有する。 清浄剤:スラッジ前駆体を化学的に中和してスラッジの発生を防止するための有機酸金属塩化合物。金属清浄剤とも呼ばれる。ディーゼルエンジンオイルの場合、カーボンデポジットが高温により生じ、清浄剤はカーボンデポジットのエンジン内の付着を防ぐ。中性/過塩基性金属(Ba,Ca,Mg)スルホネート、過塩基性金属(Ba,Ca,Mg)フェネート、過塩基性金属(Ca,Mg)サリシレートなど。 分散剤:低温時でスラッジや煤を油内に分散させ、摩擦や磨耗を防止する。コハク酸イミド、コハク酸エステル、ベンジルアミン(マンニッヒ化合物)など。
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