粘度指数
潤滑油、作動油やグリス類の温度による粘度への影響の度合いを表示する指数を粘度指数(VI)という。このVIが高いほど、温度上昇によっても粘度変化が少なく、オイル膜圧が維持されて広い範囲の混度でオイルが使用できる。自動車エンジン用の潤滑オイルには粘度指数向上剤が添加されており、低温始動や高負荷運転など、使用環境の変化に対応できる潤滑性能を有している。
粘度指数
【英】: viscosity index
略語: VI
石油の粘度は温度によって変化し、温度が高くなるほど小さくなるが、その程度は一定ではなく、油の種類によって異なる。この油の粘度特性を示す指数として、現在最も多く利用されているのが粘度指数(VI)である。粘度指数は、粘度の温度変化が極めて小さいペンシルバニア系潤滑油を 100 とし、極めて大きいガルフ・コースト系のものを 0 として定められたもので、値が大きい油ほど粘度変化が小さい。粘度指数の計算方法は、日本工業規格(JIS)K2283(原油および石油製品の動粘度試験方法並びに石油製品粘度指数算出方法)に規定されている。それによれば、試料の 40 ℃における動粘度 (cSt) を U 、100 ℃における動粘度を Y 、100 ℃で試料と同粘度の粘度指数 0 および 100 の石油の 40 ℃における動粘度を L および H とすれば、粘度指数 VI は次式で表される。![]() L および H は、Y より表または計算式により求めることができる。しかし、最近の粘度指数向上剤(ポリイソブチレンなど)を添加した潤滑油などでは、粘度指数が 100 をはるかに超えたものが少なくなく、こうした油には従来の指数が合理的でないため、これについては別の計算式を用いるように改良が加えられている。 |

粘度指数
粘度指数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/15 21:54 UTC 版)
粘度指数(ねんどしすう、英語: viscosity index、略称:VI)は、潤滑油の粘度の温度依存性を表す物性値。数値が大きいほど温度による粘度変化が小さいことを示す。
現行の方式では指数は、40℃における動粘度と100℃における動粘度の値から計算される。
粘度指数は1929年にErnest Woodward DeanとGarland Hale Barr Davisにより考案されて以降石油業界を中心に広く用いられ、規格化されている。指数はナフテン系を多く含むガルフ・コーストの原油から作られた潤滑油を0、直鎖のノルマルパラフィン系を多く含むペンシルバニアの原油から作られた潤滑油を100としたものであるが、これはあくまで基準の数値であり0以下のマイナスとなる事も100を超える事もある。
計算方法は当初のものに精度向上や潤滑油の進歩に合わせるため幾度か改良が加えられているが、基本的な考え方は変わっていない。
似たような指数としてはドイツを中心として欧州で用いられた粘度標高(viscosity pole height)があり、こちらは粘度指数とは逆に数値が小さいほど温度による粘度変化が小さくなる。現在では粘度標高は使用されていない。
参考文献
- JIS K2284 石油製品動粘度指数算出法
関連項目
粘度指数と同じ種類の言葉
- 粘度指数のページへのリンク