オンライン電気自動車とは? わかりやすく解説

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オンライン電気自動車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/13 23:50 UTC 版)

麗水国際博覧会エネルギーパーク内にある実験コースを走るオンライン電気自動車
路線バスで運行されているOLEV

オンライン電気自動車(オンラインでんきじどうしゃ、Online Electric Vehicle、OLEV)は地下に埋設した電力線から電磁誘導により電力を供給して走行できる電気自動車である。架線架空電車線)がない点が従来のトロリーバスと大きく異なる。

概要

部分的に電力線を埋設する場合は、走行中にバッテリー充電することにより、電力線のない区間をバッテリーで走行する。間断なく電力線を埋設する場合には走行にバッテリーを必要としない。停車中のみのコイルと、走行時も使えるレール状給電線との使い分けが必要。

韓国のオンライン電気バスの場合、バッテリー容量が二次電池式自動車の2割程度に抑えられ、運用コストは1/3程度に抑えられる[1]。充電装置を埋め込むのはバス停留所駐車スペース、交差点など、路線全体の20%。

軌道走行中に充電し、軌道外を電池式EVとして走行する自動車は「2モード電気自動車」と呼ばれており、ドイツでは高速道路リニアモーターを組み込み、自動車走行中に非接触給電により二次電池へ充電する構想がある。これらの設備がない市中では通常のEVとして走行する[2]。完全に給電場所と走行モードを分ける考え方である。

歴史

韓国科学技術院(KAIST)が開発し、2010年ソウル大公園内の循環バスで世界で初めて実用化された[3]。KAISTのオンライン電気自動車(Road-Embedded Rechargers)はタイム誌「2010世界最高の発明品50選」(The 50 Best Inventions of 2010)に選ばれることにより韓国初の自然科学でのノーベル賞候補であるとも言われている[4][5]

2014年1月19日にはイギリスミルトン・キーンズでもアラップとeフリート・インテグレーテッド・サービス(三井物産の欧州子会社)によって無線充電可能な電気バスの実証実験が開始された。このプロジェクトにはアリーヴァライトバスも参画している[6][7]

長所

二次電池式電気自動車との比較

  • 非接触給電設備の備わった道路であれば、電池容量に制約されずに走行できる。
  • 充電スタンドでの渋滞を解消できる。
  • 車載蓄電池の小型化
    • バッテリー容量が少なくて済むため、車両価格が安くなる。
    • 蓄電池の交換コストが安くなる。
    • 軽量化によって運動性能の向上と低消費電力化が期待できる。
    • 運用コストが抑えられる。

短所

二次電池式電気自動車との比較

  • 停電時に走行に支障が出やすい。
  • 電力供給地下架線のあるルート付近でしか走行できない。
  • 電力伝送効率が70%程度と、電池式電気自動車に直接充電する場合に比べ、エネルギー効率が低い[8]
  • 変電所の建設や給電線の埋設など、インフラ整備に時間と費用がかかる。
  • 給電システムの保守に費用がかかる。
  • 給電サービスへの課金システムが必要となる。
  • 電気代の安い深夜電力で蓄電し昼間に走行するといった使用法ができない。
  • 常時誘導電流が流れている場合、誘導電流によって車両が加熱される可能性がある。
  • 給電線付近の住民への電磁波の悪影響の可能性が否定できない。
  • システムの国際標準化がなされなければ乗用車の普及は難しい。
    • もっとも、これはBEV/PHEVに関してもチャージャーと車体の互換性という形で存在する問題である。
      (CHAdeMOが主流の日本で例えるならNACS(テスラ車など)を運用する場合や韓国[9]など規格の違う他国に渡航した場合。)

脚注

  1. ^ “「充電する道路」を利用した交通システム、試験運行開始 韓国”. AFP. (2010年3月9日). https://www.afpbb.com/articles/-/2707467?pid=5466315 2011年2月16日閲覧。 
  2. ^ 高速道路自体がリニアモーター:未来の電気自動車システム(動画) 2009年8月11日
  3. ^ “世界初の“オンライン”電気自動車を実用化”. 産経新聞. (2010年3月21日). http://stj.sankei.jp.msn.com/world/korea/100321/kor1003211201000-n1.htm 
  4. ^ 趙虎鎮 (チョ・ホジン) (2010年11月15日). “「世界最高の発明品」にKAIST開発のオンライン電気自動車”. 朝鮮日報. 2010年11月15日閲覧。
  5. ^ Rachelle Dragani (2010年11月11日). “Road-Embedded Rechargers - The 50 Best Inventions of 2010 - TIME”. タイム. 2010年11月15日閲覧。
  6. ^ Neil Bowdler (2014年1月9日). “Wirelessly charged electric buses set for Milton Keynes”. BBC News. 2014年4月2日閲覧。
  7. ^ 無線充電の電気バス、英営業路線で実証実験開始[社会]”. NNA (2014年1月13日). 2014年4月2日閲覧。
  8. ^ 「オンライン電気自動車」開発めざす韓国の勝算 シャトルバス試運転の次はソウル市内バス試験導入へ”. 日経ビジネスオンライン (2009年10月5日). 2011年2月16日閲覧。
  9. ^ もっとも日韓航路を手掛ける関釜フェリーパンスターフェリーはEV乗船拒否対応を取っており、特に関釜はLi-ION全般に対して船舶火災防止の観点から持ち込みを制限すると明言している。だが、この話においてはその点は無視するものとする。

関連項目


オンライン電気自動車

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電気自動車」の記事における「オンライン電気自動車」の解説

詳細は「オンライン電気自動車」を参照 電磁誘導共振現象利用して接触給電する自動車駐車場道路下に埋設した地下架線コイルまたは路上設置した架線から、車両駐車中・停車中・走行中に車両受電装置に対して接触電力供給する方式である。走行中や停車中に充電できるため車載電池容量少なくてすみ車両コスト低下軽量化実現できる道路給電設備普及すれば長距離走行が可能となる。決められ道路を走る路線バスには有効で、走行頻度の高い都市での採用期待されている。 大韓民国では、すでに地下給電線用いたシステム試験しており、ソウル大公園内の2.2kmの循環バス路線内の3か所に合計400m渡り給電線埋設されている。試験結果問題なければ路線バスへの導入計画されている。日本では今のところ道路側の給電装置配置間隔給電技術はまだ研究段階軌道走行中に充電し軌道外を電池式EVとして走行する自動車は「2モード電気自動車」と呼ばれており、ドイツでは高速道路リニアモーター組み込み自動車走行中に非接触給電により二次電池充電する構想がある。高速道降りた市中では通常のEVとして走行する。完全に給電場所と走行モード分け考え方である。

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