エネルギー‐あんぜんほしょう〔‐アンゼンホシヤウ〕【エネルギー安全保障】
エネルギー安全保障
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エネルギー安全保障(エネルギーあんぜんほしょう、英: energy security)とは、国民生活、社会経済活動のために、環境への影響を考慮しつつ、必要十分なエネルギーを合理的な価格で継続的に確保することである[1][2][3]。エネルギーの需要と供給は各国の最重要政策の一つであり、その安定的な確保のために資源獲得競争が行われている[4]。短期的視点から見ればエネルギー安全保障とは突発的なエネルギー需給の変化に即時的に対応することのみを指すが、長期的視点から見るとエネルギー安全保障とは経済発展や環境保全を考慮に入れた上でエネルギー供給のために必要な投資を適宜行うことまでを目指すものである[2][3]。国際エネルギー機関はこれを主要な目的の一つとしている[2]。
日本
日本は、世界第4位のエネルギー消費大国である[5][6][7]。日本のエネルギー自給率は、わずか8%である[5][8]。エネルギーの80%以上を外国に依存し、その約半分を占める石油は99%以上を輸入しているため、その安定供給の確保(エネルギー安全保障)は、日本の外交政策の重要な課題である[9]。ウランは輸入に頼るがエネルギー密度が桁違いに高く、石油や石炭のような化石燃料よりも長期間にわたる備蓄が可能である。そのため、国産エネルギーとして計算が可能だとされている。原エネルギー自給率(原エネルギー自給率て何?)が石油危機以後から原子力発電によって2010年に20%まで上昇した。2011年以降に相次いで停止したが、原発を再稼働した後において8%台であり、衆目に注視されやすい食料自給率の割合値よりも低いままである[10]。
ウクライナ
ウクライナはロシアからのパイプラインにエネルギーを依存している。そのため、ウクライナ東部やクリミア併合を認めないのは反抗的だとして報復措置として2018年の真冬に天然ガス供給を停止してウクライナ国民が凍える事態になっている[11]。
脚注
- ^ http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonmondai/12th/12-12.pdf
- ^ a b c “Energy security” (英語). 国際エネルギー機関. 2013年1月5日閲覧。
- ^ a b “エネルギー安全保障についての参考資料” (PDF). 資源エネルギー庁. p. 3 (2012年2月). 2013年1月5日閲覧。
- ^ “ERINA REPORT 106” (PDF). 環日本海経済研究所. p. 1 (2012年6月15日). 2013年1月5日閲覧。
- ^ a b “エネルギー資源の乏しい日本”. 関西電力. 2019年2月8日閲覧。
- ^ ワークシート9 日本と世界の国をくらべてみよう
- ^ 青森県エネルギー問題懇談会連絡協議会 世界と日本のエネルギー事情
- ^ 4.エネルギー自給率の動向(2013年)
- ^ 外務省 日本のエネルギー自給率について (PDF)
- ^ 自給率はわずか8%、意外と知らないエネルギー源の調達国 日本工業新聞、2018年1月13日
- ^ 震えるウクライナ国民 ロシアがガス供給再開拒否
関連項目
エネルギー安全保障
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「真珠の首飾り戦略」の記事における「エネルギー安全保障」の解説
香港からポートスーダンまでの海上交通路は中国の未来のエネルギー安全保障に関する論争の原因となっている。中国は世界最大級の石油消費国・石油輸入国である。中央アジアでは新グレート・ゲームと呼ばれる、米英やNATO諸国と、中露陣営による中央アジアの油田やガス田の利権をめぐる争いがある。西部大開発を掲げた中国は2009年にカザフスタン・中国間石油パイプライン(英語版)と中央アジア・中国間ガスパイプライン(英語版)の建設を完了している。このパイプラインは中国カザフスタン国境から北カスピ海まで伸びている。このパイプラインの建設によって中央アジアの油田やガス田から石油が送られるようになった。中央アジアの地形が険しく、アクセスしにくい領域やアルカイダなどのテロリストの存在は石油やガスのパイプライン輸送に障害となっている。9・11以降、中央アジアには米軍が駐留する一方で中央アジアは上海協力機構加盟国でもあり、アフガニスタンでの米軍の数の増強は中露にとって安全保障上懸念材料であり、ロシアとグルジアの南オセチア紛争はバクー・トビリシ・ジェイハンパイプラインを危機に陥らせている。中央アジアの軍事的成長の障壁に対抗するために、中国はパキスタンのグワーダルに大規模深水港の建設を始めており、これは中国がインド洋やペルシャ湾での海軍作戦の戦略的な足がかりを得るために期待されている。この港はアフガニスタンを通る中央アジアのガス田へのパイプラインの下流ハブとしても働く。 また、アフリカ西部から15%の石油を輸入しており、スーダンにとっては2つの石油生産企業の最大株主で石油の最大輸出相手国であり、イランでは油田やガス田を開発するために長期契約を行っている。 2007年にダルフール紛争でアフリカ連合とスーダンのオマル・バシール政権に影響力を持つ中国の主導により国際連合アフリカ連合ダルフール派遣団が編制され、2008年にはソマリア沖の海賊に対して中国人民解放軍海軍の艦隊を派遣して建軍以来初の実任務外洋遠征(中華人民共和国のソマリア沖海賊対策)を行い、中国の外交方針はより直接的なアプローチへとシフトしており、2011年には中国に打診してきたセーシェルにも軍事拠点を設けることを検討し始め、2016年にPKOの補給を理由にジブチに初の海外基地を設置することになった。
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