こう‐りょく〔カウ‐〕【抗力】
抗力
クルマが走行するとき、クルマが受ける前後方向の空気力をいう。クルマの走行を妨げる抵抗として働き、平坦路の走行抵抗の主要な要素である。車速の2乗に比例して増加し、多くのクルマで、車速80km/h付近で、それまで主体の転がり抵抗を超え、高速走行時のクルマの燃費、加速性能、最高車速などに大きく影響する。間接的に操縦安定性にも影響する。抗力は、クルマ前後の圧力差による圧力抵抗と、空気の粘性による摩擦抵抗によって生じるが、前者が大部分を占める。抗力の低減には、抗力係数の低減のほか、エアダムなど空力付加装置も有効である。用語として空気抵抗もよく使われる。抗力を動圧と前面投影面積で割って無次元化した値を抗力係数といい、抗力の発生しやすさを示す。
抗力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/13 02:10 UTC 版)
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抗力(こうりょく、英: drag)とは、流体(液体や気体)中を移動する、あるいは流れの中におかれた物体にはたらく力の、流れの速度に平行な方向で同じ向きの成分(分力)である。流れの速度方向に垂直な成分は揚力という。
追い風で水面をかき分けて進んでいる帆船は、空気から進行方向の抗力を、逆方向の抗力を水から受けている。また、レーシングカー等ではマイナスの揚力でダウンフォースを発生させている。抗力も揚力もケースバイケースで、その方向が字義通りではない場合がある。
数学的表現
抗力は物体の相似比の2乗(あるいは投影面積)に比例する。また、レイノルズ数が小さいときは速度に、大きいときは流体の密度と流速の2乗に比例し[1]、後述する抗力係数 CD を用いて以下のような数式モデルで表されるのが一般的である。このモデルは係数が異なるだけで揚力と同形式である。
-
誘導抗力発生の原理: 図は翼周りの流れ場を a は前方、b は左翼側から見ている(非粘性流れを想定)。1. 翼端渦, 2. 吹き下ろし, 3. 気流, 4. 吹き下ろしによる下向きの気流, 5. 下向きの気流により発生した揚力, 6. 気流により発生した揚力(いわゆる揚力), 7. 誘導抗力 - 翼端を持つ三次元翼(つまり、一般の翼)において、揚力の発生に伴って発生する抗力。
- 無限翼(二次元翼)に気流が翼に当たった場合には、翼を通過した気流は当たる前の同じ方向に流れ、揚力は流れる気流に対して垂直に発生する。ところが翼端を持つ三次元翼は、翼上面はベルヌーイの定理により翼下面よりも圧力が低くなっているため、翼端では下から上へと回り込む渦(翼端渦)が発生している。この渦の持つ下向きの速度(吹き下ろし downwash)によって、気流が翼に当たった場合には、翼を通過した気流は下向きに傾いて流れる。これにより、流れる気流に垂直に対して発生する揚力は下流方向に傾くことになり、その傾いた分が誘導抗力となる。また、翼によって下向きに傾かれた気流により、翼と下向きに傾かれた気流とのなす角度の迎角が発生するため、これを誘導迎角と呼んでいる。[3][4].
- 主翼がより細長く、つまりアスペクト比が大きくなる(二次元翼に近づく)につれて、翼全体に対して翼端が占める割合は小さくなり、吹き下ろしの影響も小さくなる。したがって、誘導抗力を低減することができる。亜音速の飛翔体では、十分に流線形をしている限り圧力抗力は小さく、一方で摩擦抗力の大幅な低減は難しい。そこで、誘導抗力を減らすためにアスペクト比 (AR) を大きく(翼を細長く)する努力が払われることが多い。この極端な例がルータン ボイジャーやヘリオス、あるいはグライダーや人力飛行機といった機体であり、AR = 40 近いものまで存在する。
- 主翼において誘導抗力は主翼の抗力の1つとなるため、主翼翼端にウィングレットを取り付けて、主翼の翼端で発生する翼端渦を抑えることで誘導抗力を減らし抗力を減少させることができる。
- 有害抗力(parastic drag, parasite drag)
- 揚力の有無には無関係に存在する抗力。干渉抗力と形状抗力とに大別される。
- 造波抗力(wave drag)
- 衝撃波による抗力。
力の向きによる分類
- 摩擦抗力
-
物体表面に沿った力に起因する抗力。粘性抵抗とも呼ばれる。せん断力による形状抗力に等しい。半径
脚注
- ^ 望月修; 市川誠司『生物から学ぶ流体力学』養賢堂、2010年、63頁。ISBN 978-4-8425-0474-2。
- ^ 牛山泉『風車工学入門』(2版)森北出版、2013年、50頁。 ISBN 978-4-627-94652-1。
- ^ 東昭『流体力学』朝倉書店、1993年、pp. 103-104頁。 ISBN 4-254-23623-9。
- ^ Anderson, Jr., John D. (2001). Fundamentals of Aerodynamics, 3rd International ed.. New York: McGraw-Hill. pp. pp. 354-355. ISBN 0-07-118146-6
関連項目
抗力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 06:58 UTC 版)
翼に生じる空気力のうち、流れと平行な成分。数式では D と表記されることが多い。
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抗力
出典:『Wiktionary』 (2021/07/23 00:55 UTC 版)
名詞
発音(?)
- こ↘ーりょく
関連語
翻訳
「抗力」の例文・使い方・用例・文例
- 感染への身体の抵抗力
- 不可抗力
- 喫煙による短期的な影響には、体調が悪いこと、ぜいぜい息をすること、病気に対する抵抗力の全般的な低下、口臭、肌荒れなどが含まれる。
- これらの植物は除草剤に抵抗力がある。
- 【法律, 法学】 不可避的事故, 不可抗力.
- 【法律, 法学】 天災, 不可抗力.
- 不可抗力.
- 不可抗力的災害.
- 病気に対して抵抗力を養う.
- 健康な食生活は体にいっそうの抵抗力をつける.
- 母乳が誕生後の感染に対する抵抗力を高めるといわれている.
- 昆虫の中には農薬に対する抵抗力ができてくるものがある.
- 寝不足のため風邪への抵抗力が弱まっていた.
- 当局はこの惨事を不可抗力であると主張している.
- 一度誘惑に負けると抵抗力がだんだん弱くなる
- 火災保険会社は不可抗力より生ずる損害に対しては賠償の責任無し
- 皮膚には病に対する抵抗力がある
- 抵抗力
- 病に対する抵抗力がある
- 人が病に冒されるのは抵抗力が無いからだ
抗力と同じ種類の言葉
- >> 「抗力」を含む用語の索引
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