抗分裂促進因子に対する抵抗性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/22 04:18 UTC 版)
「分裂促進因子」の記事における「抗分裂促進因子に対する抵抗性」の解説
細胞増殖は多くの場合、外来性の分裂促進因子だけでなく、G1期以降の細胞周期の進行を阻害する抗分裂促進因子によっても調節されている。正常な細胞では、DNA損傷による抗分裂促進シグナルは細胞の複製と分裂を防ぐ。抗分裂促進因子に対する抵抗性を獲得した腫瘍細胞では、抗分裂促進機構によって防がれるべき状況でも、細胞周期の進行が行われる。こうした抗分裂促進因子に対する抵抗性は、分裂促進因子による過剰刺激によって生じている場合がある。他のケースでは、腫瘍細胞の抗分裂促進経路の一部に機能喪失型変異が生じている。 良く知られた抗分裂促進因子であるトランスフォーミング増殖因子(TGF-β)は、細胞表面受容体に結合し、Smadタンパク質を活性化する。Smadはその後サイクリンD1を阻害するp15(英語版)を増加させ、細胞周期の進行を防ぐ。多くのがんでは、Smadタンパク質に機能喪失型変異が生じており、抗分裂促進経路全体が無効となっている。
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