フクとは? わかりやすく解説

ふく【伏】

読み方:ふく

常用漢字] [音]フク(漢) ブク(呉) [訓]ふせる ふす

[一]〈フク〉

地にふせる。「伏拝起伏倒伏俯伏(ふふく)・平伏

隠れて表面現れない。ひそむ。「伏在伏線伏兵伏流伏魔殿雌伏潜伏埋伏

つき従う服従させる。「圧伏畏伏(いふく)・帰伏屈伏降伏承伏・信伏・説伏

夏の最も暑い時期。「伏日三伏初伏

[二]ブク仏法の力で人を服従させる。「降伏(ごうぶく)・折伏(しゃくぶく)・調伏

名のり]ふし・やす


ふく【副】

読み方:ふく

[音]フク(呉)(漢) [訓]そう そえる すけ

学習漢字4年

主たるものにつき添うもの。控え。「副業副将副賞副食副審副本正副

添える。「副葬副木

余計につけ加わる。「副作用副産物

名のり]すえ・つぎ・ます


ふく【副】

読み方:ふく

主なもの伴って補佐となること。また、そのものや人。副知事副委員長など。

書物書類原本写した控え写し。「正—二通申請書」⇔正。


ふ・く【吹く/噴く】

読み方:ふく

[動カ五(四)

㋐(吹く)空気流れ動く。風が起こる。風が通ってゆく。「そよ風が—・く」

内部から蒸気などが勢いよくとび出す。ふき出す。「血が—・く」「鍋(なべ)が—・く」

今まで見えなかったものが外や表面現れ出る。「新芽が—・く」「粉が—・いた干し柿

相場上がる。「小豆相場が—・く」

㋐(吹く)口をすぼめて強く息を出す。また、そのようにして物に当てる。「風車(かざぐるま)を—・いて回す」

㋑細い口から勢いよく出す。ほとばしり出す。「銃が火を—・く」「エンジン白煙を—・く」

㋒息と一緒に口から出す。「タバコの煙を—・く」

㋓(吹く)出す息で音をたてる。「口笛を—・く」

今まで見えなかったものを外や表面現し出す。「を—・く」「緑青を—・いた銅像

㋕(吹く)出まかせ大げさなことを言う。「ほらを—・く」

㋖(吹く)鉱石を溶かして金属分離させる精錬する。「を—・く」

㋗(吹く)鋳造する。「鐘を—・く」

息をする。〈名義抄

[補説] (1) 風が吹きわたるときの音、または口をすぼめて息を出すときの音がもとになってできた語という。(2) 1㋒と2㋔とは、結果は同じ状態を意味するが、2㋔は内部からの力や勢いそのような状態にするという観点に基づくもの。(3) 2㋕は「また、調子に乗ってふいている」のように自動詞的にも用いる。

[可能] ふける

[下接句] 明日(あした)は明日の風が吹く・羹(あつもの)に懲(こ)りて膾(なます)を吹く・勝手な熱を吹く・粉(こ)を吹く・熱を吹く火を吹く一泡(ひとあわ)吹かせる法螺(ほら)を吹く・喇叭(らっぱ)を吹く


ふく【幅】

読み方:ふく

常用漢字] [音]フク(呉)(漢) [訓]はば

[一]〈フク〉

はば。「幅員拡幅恰幅(かっぷく)・紙幅車幅振幅全幅満幅

へり。ふち。「辺幅

掛け軸。「画幅条幅三幅対

[二]〈はば〉「幅広大幅肩幅値幅

難読二幅(ふたの)・三幅(みの)


ふく【幅】

読み方:ふく

【一】[名]床の間掛けて飾りとする軸物掛け物。「山水の—」

【二】接尾助数詞掛け物軸物などを数えるのに用いる。上に来る語によっては「ぷく」「ぶく」となる。軸。「二—の掛け軸


ふく【復】

読み方:ふく

[音]フク(漢) [訓]かえる かえす また

学習漢字5年

同じ道を引き返す。かえる。「復路往復

もとの状態にもどる。もどす。「復活復帰復旧復元回復克復修復整復本復来復

同じことを繰り返す。「復習復唱反復

返事をする。「復啓復命拝復

仕返しする。「復仇(ふっきゅう)・復讐(ふくしゅう)/報復

名のり]あきら・あつし・さかえ・しげる・なお・もち

難読復習(さら)う


ふ・く【拭く】

読み方:ふく

[動カ五(四)紙や布などで物の表面をこすり、汚れ水分などを取り去ってきれいにする。ぬぐう。「ハンカチで涙を—・く」「ぞうきん廊下を—・く」

[可能] ふける

[用法] ふく・ぬぐう——「汗をふく(ぬぐう)」「涙をふく(ぬぐう)」では、両語とも使える。◇どちらも汚れ水気などを取り去るために布や紙などを表面当てて動かすことだが、「窓をふく」「食器をふく」のように、隅々までこすって全体きれいにする意では「ぬぐう」は使いづらい。◇「ぬぐう」は部分的な汚れ水気取り去るという意が強い。「ハンカチで口もとをぬぐう」「ガラス汚れをぬぐう」◇右の特徴から「ぬぐう」は、汚点よくない印象などマイナス面取り去る意にも用いられる。「劣等感ぬぐい去る」「疑念ぬぐいきれない


ふ・く【振く】

読み方:ふく

[動カ四]振る。ふるう。

十拳剣(とつかつるぎ)を抜き後手(しりへで)に—・きつつ」〈記・上〉


ふ・く【更く/深く】

読み方:ふく

[動カ下二「ふ(更)ける」の文語形


ふく【服】

読み方:ふく

[音]フク(漢) ブク(呉)

学習漢字3年

[一]〈フク〉

身につけるもの。着物。「服装衣服元服私服制服粗服被服平服法服喪服洋服礼服和服

身につける。体や心に受け入れる。「服毒服用服膺(ふくよう)/着服頓服(とんぷく)・内服

つき従う。「服従畏服(いふく)・感服帰服屈服敬服降服克服承服心服征服叛服(はんぷく)・不服

つとめにつく。従事する。「服役服務服喪(ふくも)」

[二]ブク〉喪にこもる。「服忌(ぶっき)/忌服除服(じょぶく)」

名のり]こと・はとり・もと・ゆき・よ

難読服部(はとり)


ふく【服】

読み方:ふく

【一】[名]からだに着るもの。着物衣服。特に、洋服。「木綿の—」「—を着る」

【二】接尾助数詞。上に来る語によっては「ぷく」となる。

粉薬などの包み数えるのに用いる。「二—」

タバコなどを飲む回数をかぞえるのに用いる。「タバコを一—吸う」


ふぐ【河豚/×鰒】

読み方:ふぐ

《「ふく」とも》フグ目フグ科総称海産のものが多い。体はふつう太っていて腹びれがなく、体表にとげ状のうろこをもつものや、うろこのないものがある。口は小さく、歯は癒合してくちばし状を呈し、よく飲んで体を膨らませる多く内臓に毒をもつ。肉は淡白美味。トラフグ・マフグ・キタマクラなど、日本近海に約40種が知られるフグ目にはハコフグ科ハリセンボン科なども含まれる。ふくべ。かとん。《 冬》「—の面世上の人を白眼(にら)む哉/蕪村


ふく【福】

読み方:ふく

[音]フク(漢) [訓]さいわい

学習漢字3年

豊かな幸運。さいわい。「福祉福相福徳禍福・幸福・至福祝福浄福清福多福追福万福冥福(めいふく)・裕福

名のり]さき・さち・たる・とし・とみ・むら・もと・よ・よし


ふく【福】

読み方:ふく

【一】[名]

運のよいこと。幸運。幸い。しあわせ。「—を授かる」「—の神」⇔禍。

神仏への供え物おさがりまた、それをいただくこと。おふく。ごふく。

「このすず鞍馬の—にて候ふぞ」〈著聞集一八

【二】[名・形動ナリゆたかなこと。裕福なこと。また、そのさま。

「—な旦那取り放してはと」〈浮・禁短気・五〉


ふ・く【老く】

読み方:ふく

[動カ下二「ふ(老)ける」の文語形


ふく【腹】

読み方:ふく

[音]フク(呉)(漢) [訓]はら

学習漢字6年

[一]〈フク〉

はら。「腹腔(ふくこう)・腹痛腹部割腹空腹鼓腹口腹私腹切腹捧腹(ほうふく)・満腹

母胎母親。「異腹同腹

物の中ほど。「山腹中腹

心。胸のうち。「腹案腹心腹蔵剛腹心腹

[二]〈はら(ばら)〉「腹芸裏腹業腹(ごうはら)・自腹蛇腹(じゃばら)・水腹脇腹(わきばら)・太鼓腹


ふ・く【×葺く】

読み方:ふく

[動カ五(四)

板・(かや)・瓦(かわら)などで屋根をおおう。「スレート屋根を—・く」

草木などを軒に挿して飾る。

「あやめ—・く軒場涼しき夕風に」〈玉葉集・夏〉

[可能] ふける


ふ・く【蒸く】

読み方:ふく

[動カ下二「ふ(蒸)ける」の文語形


ふく【複】

読み方:ふく

[音]フク(呉)(漢)

学習漢字5年

二つ上のものが重なっていること。「複合・複雑・複式複数複線複文重複単複

同じことを重ねて行うこと。「複写複製


ふく【複】

読み方:ふく

複試合(ふくしあい)」の略。⇔単。

複勝式」の略。


ふく【覆】

読み方:ふく

常用漢字] [音]フク(呉)(漢) フウ(漢) [訓]おう くつがえす くつがえる

[一]〈フク〉

ひっくり返るくつがえるくつがえす。「覆水覆轍(ふくてつ)・覆没覆滅転覆

もとにもどってする。繰り返す。「覆刻覆製反覆

おおう。かぶせる。「覆面被覆

[二]フウ〉おおう。「覆載被覆


ふく【×輻】

読み方:ふく

[音]フク(呉)(漢) [訓]や

車のや。スポーク。「車輻」

車のやのように一か所に集まる。「輻湊(ふくそう)」


ふく【×馥】

読み方:ふく

[音]フク(漢) [訓]かおり

かんばしいゆたかな香り。「馥郁(ふくいく)」


読み方:フク(fuku

課役免除すること。


フク

魚津弁(☆印は「ス」と発音する 意味
フクふぐ

フク

読み方:ふく

  1. 女ヲ隠スコトヲ云フ。〔第一類 言語及ヒ動作之部・徳島県
  2. 婦女誘拐シ、又ハ姦婦同伴シテ被害者発見ヲ妨ゲンガタメ、他所潜伏スルヲ云フ。〔第三類 犯罪行為

分類 徳島県

隠語大辞典は、明治以降の隠語解説文献や辞典、関係記事などをオリジナルのまま収録しているため、不適切な項目が含れていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

読み方:フク(fuku

所在 千葉県白井市


読み方:フク(fuku

所在 福井県福井市

地名辞典では2006年8月時点の情報を掲載しています。

読み方:フク(fuku

所在 大阪府(阪神電気鉄道西大阪線)

駅名辞典では2006年8月時点の情報を掲載しています。

もつ

(フク から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/28 07:29 UTC 版)

もつは、鳥獣肉の臓物(ぞうもつ=内臓)のこと。「ホルモン[注釈 1]、「畜産副生物[注釈 2]、「内臓肉」、「バラエティミート」、「ファンシーミート」とも呼ばれている。

広義には、臓物全般を指す。この場合、肝臓心臓を「赤もつ」、を「白もつ」と呼んでいる。狭義には「小腸」を「もつ」「ホルモン」と呼ぶ。「Offal」は、食料に使う動物の各種臓物を指し、「Organ Meats」は消化器系の内臓を指す。

もつの分類

  • 心臓:「ハツ」「ハート」「ココロ」「ヘルツ」
  • 動脈:「コリコリ」「ハツモト(心臓付近の動脈)」「タケノコ」「ヨメナカセ
  • 気管:「ウルテ」「フエガラミ」
  • 肺臓:「フワ」「フク」「プップギ」「バサ」「ホッペ」「ヤオギモ」
  • 食道:「シキン」「ネクタイ」「ガリ(豚食道)」
  • 肝臓:「レバー」「キモ」「血肝(鶏の肝臓)」
  • :「ミノ(牛の第一胃)」「ハチノス(牛の第二胃)」「センマイ(牛の第三胃)」「ギアラ(牛の第四胃、赤センマイ、ビチとも)」「ヤン(ハチノスとセンマイの繋ぎ目)」「ガツ(豚の胃)」「砂肝(砂嚢。砂ズリと呼ぶ地方もある)」
  • 脾臓:「タチギモ」「チギモ」「チレ」
  • 膵臓:「シビレ(牛の胸腺を含む)」
  • 腎臓:「マメ」
  • 乳房:「チチカブ」「オッパイ」
  • 横隔膜:「ハラミ(=アウトサイドスカート Skirt steak、腹側の肋骨に接する部分)」「サガリ(=ハンギングテンダー Hanging tender steak、背側の腰椎に接する部分)」
  • 小腸:「コプチャン(小腸)」「ホルモン[注釈 3]」「コテッチャン」「マルチョウ(小腸の一種)」「シロ(牛の小腸)」「ヒモ」「ホソ」
  • 大腸:「テッチャン(大腸)」「ホルモン」「シマチョウ」「オオビャク」「シロ(豚の大腸)」
  • 直腸:「テッポウ
  • 子宮:「コブクロ」
  • 卵巣:「キンカンの腹卵)」
  • 精巣:「ホーデン」「タマ」
  • 卵管:「タマヒモ(鶏の卵管と腹卵)」

以下は日本畜産副産物協会では畜産副生物として扱っているが、厳密には臓物ではないので、もつとは区別される場合もある[2]

栄養価

タンパク質脂肪分、11種類のビタミンと8種類のミネラルを豊富に含んでいる。コラーゲンも豊富に含まれており、経口摂取すると、消化器官で消化分解されてアミノ酸として吸収されたのち、血流に乗って全身に輸送されていき、身体づくりの材料として使われる。なお、コラーゲン自体は動物性食品全般に豊富に含まれており、もつ肉に限った話ではない。

流通と保存性

内臓肉は常温では腐敗速度が速いので、正肉と比較して保存が悪く廃棄物とされていた。牛の正肉の場合、「死後硬直を経て1週間から3週間くらい経過してからのほうが美味となる」とされている[3]が、それに比較して内臓肉は、上記のとおり保存性が悪い。これを食用とするためには基本的には新鮮なうちに食べるのがよく、店で売ったりある程度の期間保存したりする場合には冷凍をする。肉食動物が獲物を捕らえて食べる際には、その獲物の内臓から食べ始める。

食肉卸売業のセリを通らずに供給されることや、保存性が低いことから[4]安価である。

食品衛生的観点

屠殺から解体までの間に、牛の消化管内の細菌や解体作業環境中に存在しているサルモネラ、糞便系大腸菌群、腸管出血性大腸菌、カンピロバクター (C. jejuni , C. coli)のような食中毒の原因となる細菌が付着しているが、加熱調理が必須であるため、内臓肉はそのまま流通している[5]

もつを食べたことが原因と思われるE型肝炎の症例が報告されており、十分な加熱調理と調理器具や手・指の消毒・洗浄が重要である[6]

日本におけるもつ

歴史

日本においては7世紀に内臓を食する料理が存在しており、肝臓は肝(きも)、胃袋は胘(みげ)と呼ばれ、塩辛にして食べられていた。

78世紀頃に編まれた『万葉集』には「我が宍(しし)は御膾(みなます)はやし、我が肝も御膾はやし、我がみげ(胃)は御塩のはやし」と、鹿の肝臓をに、胃袋を塩辛にして食べたことが記されている[7]。また、9世紀頃の字書『新撰字鏡』には食用であるかは分からないが「胘/肚也、牛百葉、三介又三乃」と書かれている。

935年(承平5年)に編纂された辞書『和名類聚抄』には、「屠児が牛馬を屠(ほふ)り肉を取り鷹雞の餌とする」との記述がある[8]

1933年、戦時の食糧難対策として発行された『非常時に於ける栄養食に就いて』には、牛の心臓を短冊形に切ってバターでよく炒り、ブラウンソースの中で野菜と一緒に長時間煮込み、コショウで味付けする方法が提示されている[9]。また、大阪市道頓堀弁天座にあったフランス式料理店で今藤長太郎は、家畜内臓料理を提供している[9]

1935年に発行された『国民百科大事典』には、鶏の内臓を鍋にして食べる方法が記されているが、「獣類の臓物も近来漸く知られ、之等の特殊の栄養価値が認められるに至った」とあり、あくまでも西洋料理として紹介されている[10]

第二次世界大戦が終わって間もない頃は、内臓肉は精肉より劣化が早く、独特の外見や匂いがあることから消費者の好みが分かれるものであり、一般の人々が口にしたり店頭で見かける機会は少なかった。しかし、居酒屋のメニューとしてしばしば用いられるようになり、各地に特徴のあるもつ料理が開発されるようになる。一時期はもつ料理・もつ鍋がブームとなったが、2000年代初めにBSE問題が発生して以降、(特に牛もつ系について)ブームとしては急速に衰退した。

料理

もつ各種
もつ焼き
もつ煮込

ヨーロッパにおけるもつ

チェンバース辞典英語版によるモツ( Offal )の定義は、「もっぱら屠体(屠畜された動物の体)の、くず、または廃棄された部分。屠体をさばく際に切り落とされた食用になる部分(はらわた、心臓、肝臓、腎臓、舌)。価値のない、あるいは利用に向かないもの」とされている[13]。器官以外にも骨髄脂肪血液もモツに含まれる。

ヨーロッパの一部の地域では、陰嚢、豚の小腸、脚、心臓、(ブタや牛、羊、子羊の)頭、腎臓肝臓胸腺脾臓睾丸や様々な哺乳類の胃を使ったさまざまなモツ料理がある。

モツは屠体のある市場で普通に手に入るが、流通に乗っていない部位が多く、精肉店でモツを手に入れるには駆け引きや取り引きといった交渉が必要となる場合がある[13]。また、直接的な表現を避けるため、隠語やあいまいな表現で呼ばれる場合もある。

イギリス・アイルランド・スコットランド

伝統的なスコットランド料理ハギスは、羊の胃に、肝臓や心臓、肺、ロールドオーツ(つぶしたオート麦)やその他の材料を詰めて煮たものである。

イングランド中部地方に伝わる「ファゴット」(Fagot)は、肝臓と肉からなる豚のミンチと、すりつぶしたパン、ハーブ玉ねぎをブタの大網で包んだものである。ステーキ・アンド・キドニー・パイは、イギリスで広く知られ、楽しまれている。ヘッドチーズHead Cheese)は、動物の頭蓋骨(通常は豚)の肉や組織を刻んで煮込み、ゼラチンで冷やして固めたものである。

  • トライプ・アンド・ドリシーン(Tripe and Drisheen)- アイルランドコークの伝統料理。胃とドリシーン(ヒツジの血とオートミールと牛乳のソーセージ)のスープ。
  • トライプ・アンド・オニオン - イングランド北部。胃袋とたまねぎのスープ。
  • ハギス - スコットランドの伝統料理。ヒツジの内臓を胃袋で包んだもの。

北部・中部・西部

アイスランドには、独自のハギスやブラウンがある。アイスランドにおけるハギスは、スラウトゥルと呼ばれ、2つのタイプがある。ブロウズミョール(ブラッドラード、血脂)は、羊の胃に、羊の血とロールドオーツ、刻んだ少量の羊の脂を詰めたものと、「Lifrarpylsa」(肝臓のソーセージ)は、羊の胃に、子羊の肝臓を潰したものとロールドオーツと刻んだ羊肉を混ぜて詰めたものである。アイスランドのブラウンであるSviðは、焼いた羊の頭から作られ、熱い料理としても冷たい料理としても供され、骨のままやゼラチンで固めてから食べる。

ドイツ南部においては、郷土料理としていくつかの内臓料理が出される。バイエルンでは横隔膜を用いた料理や、ミルツヴルスト(Milzwurst)と呼ばれる細かくした脾臓のソーセージ、乳房を使った料理が食されている。シュヴァーベンは、フライドポテトともに出される酸味のある牛の胃の料理(牛の胃の煮込み)であるザウレクッテルン(Saure Kutteln)で有名である。ヘルツグーラッシュ(Herzgulasch)は、心臓を使ったグーラッシュ(肉のシチュー)の一種である。肝臓はいろいろな料理で使われており、クネーデル(スープに入れる団子)やシュペッツレ(刻んで塩茹でにしたもの)、レバーソーセージに用いられる。メインディッシュとしては、スライスしたリンゴとタマネギの輪切りと肝臓をいっしょにして料理したレーバー・ベルリーナー・アールト(Leber Berliner Art, 肝臓のベルリン風)がベルリンの有名料理としてあげられる。ヘルムート・コールが好んだザウマーゲン(Saumagen)はブタの胃袋に具材を詰めてゆでた郷土料理で、彼が連邦首相として在任していた間に、さまざまな政治的な理由で来訪した者たちにとっては試練となっていた。マルククレースヒェン(Markklößchen)は、骨髄から作られた小さな団子で、結婚式のスープとしてドイツの一部の地域で出される。バイエルンでは、肺のシチューが出される。細切りにした腎臓を浸け焼きにしたザウレニーレン(Saure Nieren)も各地で見られる。

カーン風もつ煮

フランスマルセイユでは、子羊の足や胃が「pieds et paquets」という名前で、伝統的な食品となっている。フランスでは、腸のソーセージが珍味とされている。トリプーはヒツジの胃に内臓や野菜を詰めて煮た物である。アンドゥイユAndouille)は胃袋を具にした冷製ソーセージ、アンドゥイエット(Andouillette)は胃袋を具にした温製のソーセージである。カーン風もつ煮は、ウシの胃袋を煮込むカーン地方に伝わる料理である。

東部

ルーマニアには、イースターに出される、drobと呼ばれるハギスに似た料理がある。ルーマニアの農民は、「Caltabos」と呼ばれる、豚の内臓から作る伝統的なソーセージの一種を作る。一般的な料理であるチョルバ・デ・ブルタ (Ciorba de Burta) は、シュケンベ・チョルバ(トルコのイシュケンベ)と似ている。

アルメニアの伝統料理として知られるハーシは、安価な材料で作られ、シラク地方で考案された。ハーシの主な材料は、豚や牛の足で、耳や胃も使われる。以前は貧しい人々にとって冬に食べるものであったが、今では冬のお祭りの料理として楽しまれている。

南部

トリッパ・アラ・リヴォルノ

イタリアでは、内臓の消費がかなり広まっている。最も大衆的なものは、脳のフライかシチュー、ハチノス(第2胃)の煮込み(トリッパ)、ランプレドット(牛の第四胃、パセリとチリソースで味付けしたフィレンツェの煮込みスープ)、肝臓(強火でタマネギと炒める、もしくは焼く)、腎臓、心臓やその血管、頭や目、ブタの精巣、鶏の内臓である。「パイヤータ」(「Pajata」)は、ローマの伝統的な料理である。パイヤータは、離乳していない牛(すなわち母乳だけで育った牛)の腸を指す。子牛は、授乳後すぐに殺される。腸はきれいだが、牛乳が中に残っている。調理時には、熱と胃内の酵素のレンネットによって牛乳を固め、厚く、クリーミーでチーズのようなソースを作る。パイヤータとトマトは、リガトーニ(管状のショートパスタ)の一般的なソースとして使われる。シチリアでは、脾臓とカチョカヴァッロチーズを挟んだ、「Pani Ca Meusa」と呼ばれるサンドウィッチの一種が楽しまれている。ニューヨークブルックリンでも一般的に食べられ、ヴァステッダの名前で通っている。トリッパ・アッラ・ロマーナ( Trippa Alla Romana)はローマ風トリッパの煮込みで、白ワインとトマトで煮た物である。

スペインでは、内臓は多くの伝統料理で使われているが、若い世代では好まれなくなっているものもある。伝統的な料理には、カジョス(牛の胃、マドリードアストゥリアス州で非常に伝統的に食べられている)、肝臓(多くの場合、タマネギやニンニクパセリとともに調理される)、腎臓(多くの場合、シェリーと調理されるか、焼く)、羊の脳、牛の睾丸、牛タン、豚の頭や足(カタルーニャでは、豚足は伝統的にカタツムリとともに食べられている)、豚の脳(グラナダの伝統的なサクロモンテのトルティーヤ)、豚の耳(ほとんどがガリシア)がある。ブティファラButifarra)はカタロニアのソーセージ。

ポルトガルでは、伝統的に全動物の内臓が多くの料理に使われている。足(Chipse)や、胃、豚の耳は、豆のスープで煮込まれる。ポルトのもつ煮は有名でトリパス・ア・モーダ・ド・ポルト(Tripas à moda do Porto)と呼ばれる。フラキ(Flaki)は香草マジョラムと煮込んだスープである。牛の脳 (Mioleira) は、クロイツフェルト・ヤコブ病の発生以来、消費が減少している。豚の血は、小麦粉と調味料を入れた非常に特異な形の黒色のプディング (farinhato) を作るのに使われる。

ギリシャトルコマケドニア共和国では、肝臓、脾臓そして小腸を焚火で焼いた「Splinantero」、祭りの料理として「ココレッチ」(トルコでは「Kokoreç」、マケドニアでは「Kukurek」)がある。子羊の内臓(肝臓、心臓、肺、脾臓、腎臓や脂肪)を串で刺し、洗った小腸で覆い、管状に巻きつけたものである。ココレッチは炭火で焼かれる。他の伝統的なイースターの料理として、羊の内臓・レタス・ホワイトソースから作るスープ「Mageiritsa」(「マギリッツァ」)がある。

Tzigerosarmas」(トルコでは「Ciğer Sarması」、「ジーエリ・サルマス肝臓包み」の意)や、「Gardoumba」は、大きさを変えたり、味を良くするために特別な香辛料を加えた2種類の「Splinantero」とココレッチのこと。

ブルガリア、マケドニア、トルコではシュケンベ・チョルバがあり、これは胃から作るスープである。

ギリシア料理におけるパツァス

その他

脚注

注釈

  1. ^ 語源についてはホルモン焼きの記事を参照。
  2. ^ 畜産業界が定めた呼称で、生肉処理の段階で副次的に産出される肉類を指す学術的な観点から作られた造語である[1]
  3. ^ 一般的には小腸をホルモンと呼ぶ
  4. ^ スジ肉にはハラミの一部も使われているが、本来はの部分を指すことから、もつとは区別される場合もある。日本畜産副産物協会ではアキレス腱も畜産副生物として扱っている。

出典

  1. ^ 日本畜産副産物協会 畜産副生物とは
  2. ^ 社団法人 日本畜産副産物協会 副生物の呼び名
  3. ^ 食肉の熟成について
  4. ^ 副生物がお店に並ぶまで 中央畜産会
  5. ^ 下島優香子、井田美樹 ほか、「東京都内に流通する牛内臓肉からの糞便系大腸菌群,ベロ毒素産生性大腸菌,Campylobacter jejuni/coli, SalmonellaおよびListeria monocytogenes検出状況」『日本食品微生物学会雑誌』 32巻 4号 2015年 p.209-214, doi:10.5803/jsfm.32.209
  6. ^ 矢崎弘志, 平野浩, 富田薫 ほか、「北海道北見市に於ける散発性E型肝炎の5症例」『日本内科学会雑誌』第95巻第11号、2006年、2295–2297頁、doi:10.2169/naika.95.2295ISSN 0021-5384 
  7. ^ 『万葉集』3885
  8. ^ 牛肉・食肉の歴史 奈良・平安時代の牛肉食”. 相州牛推進協議会. 2023年1月21日閲覧。
  9. ^ a b 長濱宗佶『非常時に於ける栄養食に就いて』、1933年12月29日発行、日本児童協会
  10. ^ 『国民百科大辞典』、1935年、冨山房
  11. ^ 佐々木道雄『焼肉の文化史』明石書店、2004年、ISBN 4-7503-1956-2
  12. ^ 岡田哲『とんかつの誕生』、2000年、講談社、ISBN 4-06-258179-5
  13. ^ a b エドワーズ 2015, pp. 19–26.

参考文献

  • ニーナ・エドワーズ 著、露久保由美子 訳『モツの歴史』原書房〈「食」の図書館〉、2015年。 ISBN 9784562051748 

関連項目

外部リンク


フク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/01 23:54 UTC 版)

親愛なる殺し屋様」の記事における「フク」の解説

サチ片想いしていたものの、ついちょっかいを出していた。

※この「フク」の解説は、「親愛なる殺し屋様」の解説の一部です。
「フク」を含む「親愛なる殺し屋様」の記事については、「親愛なる殺し屋様」の概要を参照ください。

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