ホワイトベース(WB)隊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 09:02 UTC 版)
「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」の記事における「ホワイトベース(WB)隊」の解説
大型艦ペガサス級の一番艦。元々は強力な武装も持つMS輸送艦として建造されたが、その活躍ぶりにより正式採用され、同型艦が数多く建造されることになった。また、ジャブローへの到着でウッディ大尉らにより「強襲揚陸艦」に改修され、その本来の役所はア・バオア・クー戦で発揮された。初代艦長はパオロ・カシアス。艦長代理を経てブライト・ノア大尉が正式に二代目艦長となる。 サイド7出航時にシャア隊との交戦で多くの負傷者・戦死者を出したため、民兵や新兵の入り交じる雑多な部隊となったが、民間人上がりの主要クルーとパイロットがランバ・ラル隊との交戦で瓦解寸前となる危機を乗り越えてジャブローで任官し、軍人となる。原典アニメ版との明確な差異はスレッガー小隊をはじめ、連邦軍人から補充兵が多く加わっていることであるが、彼ら正規兵たちはWB隊が持つ家族的な雰囲気を理解できず、戸惑う場面もある。原典アニメ版では捨て駒や陽動専門といった扱いをさせられているが、本作ではそこまで悪質な扱いはされておらず、重要局面では艦の持つ優秀さで評価され、作戦上重要なポジションを担っている。 アムロ・レイ 声 - 古谷徹 15→16歳。V作戦の責任者でアナハイム・エレクトロニクスRX計画担当部長テム・レイの一人息子。幼少期に「宇宙を体感させたい」というテムの意向で、地球に残った母カマリアとは別れて事実上父子家庭も同然の生育環境で育つ。生活力は皆無で放っておくと部屋はゴミ溜めと化し、風呂にも入らず、食事も忘れる。V作戦従事のためサイド7に移住した父に従い移住。人間関係の構築に消極的で能動的に作った友達はいない。押しかけ女房同然のフラウ・ボウや隣人のハヤト・コバヤシ、留年で同級生となったカイ・シデンに加え、フラウに開戦前から懐いていたカツ、レツ、キッカとは知り合いだがそれ以上でもない。父親の不在を良いことに未明まで自室で調べ物に没頭しており、学校でもいつも眠たそうにしている内向的で目立たない少年。テムのコンピューターから最高機密であるガンダムの情報を調べ、その設計図や仕様(おそらくは操縦方法を含めた技術情報)などを知っていた。 サイド7へのシャアの強行偵察で一年戦争に巻き込まれ、ジーンの行った無差別攻撃で多くの人々が死ぬのを目の当たりにし、ジオン軍への憎悪を募らせガンダム2号機(RX-78-02)に搭乗し、緒戦でザク2機を撃墜したことから民間人ながら正パイロットに抜擢される。しかし、軍人としての心得を教育されたわけではない為、艦長代行に抜擢されたブライト・ノア中尉への露骨な反感と実戦での恐怖体験などを理由に我が儘にふるまい、大人への不信感を強く持つひねた騒動屋として問題を起こし、ブライトにとっての頭痛の種となる。 転機となったのはマチルダ中尉との出会い、ランバ・ラル、ハモンとの邂逅と死闘、リュウの戦死。マチルダには恋心を抱き、ラルを乗り越えなければならない強い大人(理想の父親像)を意識。リュウの戦死で初めて身近な人間の死を体験。更にマチルダも戦死したことで親しい人たちを失う心理的苦痛を乗り越えての成長を遂げ、同時にそれまで兆候こそあったニュータイプ能力が覚醒する。 因縁のシャアについては終盤においてサイド6で対面するまでアムロの側で一方的に知っている(ルナツーで本人とその素顔を目の当たりにしている)関係。シャアを強敵だとは認め、彼の存在を察知するがニュータイプだとは対ジオング戦までみなしていない。実際のところシャアとの交戦では劇中2度完敗を喫している(一度目は緒戦。二度目はテキサスコロニーでのゲルググとの一戦。緒戦では手玉に取られたがガンダムの性能で命拾いし、二度目は先のシャリア・ブルとの戦いでエネルギー残量に余裕がない上に、自身の反応速度がガンダムの性能を凌駕した結果)。またガンダムがメンテナンス中で使えない最中にジャブロー侵攻戦が発生し、ジムで出撃して苦戦し、ウッディのファンファンによる支援を仰いでシャアのズゴックを撃破している。 ガンダムの私物化意識は根強く、原典アニメ版同様にラルに完敗後、パイロットから下ろされそうになった際に露呈し、ガンダムを奪って脱走という銃殺モノの軍機違反を仕出かす。二度目はモスク・ハン博士のマグネットコーティング化実験に際して露呈している。 アニメとは戦後の扱いが明らかに違い、戦争の英雄としての扱いはそれなりに受けており、シャイアン基地での幽閉ではなく作戦に従事させられることも、ある程度の行動の自由も保障されている。ただし、セイラと同様に連邦軍の護衛部隊に堅くガードされている。本人の希望としてサイド7の復興を口にしている。 なお、原典アニメ版でハロはアムロのハンドメイド品だったが、元々は幼少期にテムから買い与えられた玩具という設定で、これをベースに改造を加えた形で登場する。 また母親のカマリア・レイについてはテムとアムロの不在の間に愛人関係と思しき男性との関係をアムロ自身が回想中で直感的に疑う描写がある(「アムロ0082」)。 ブライト・ノア 声 - 成田剣 WBの二代目艦長。初登場時は中尉。後に大尉。任官したてではなく、それなりの軍歴を持ち合わせる。艦長代理として苛立ち当たり散らす性格はより顕著。艱難辛苦を乗り越えてのジャブロー到着で正式な艦長を拝命し、軍功も十分として大尉に昇進。また改装後に強襲揚陸艦への大規模改修作業を受けてからは対空防御の指揮が飛躍的に向上した。 ミライへの恋愛感情はジャブロー到着時点で強く。ゴップからフィアンセの存在を聞かされて心中穏やかでなくなる。プロポーズを意識し出したのもこの頃であるようで、ミハル潜入時にブライトの私室をかき回した際にデスクの引き出しに指輪ケースがあるのが確認出来る。サイド6寄港は正に不本意で「命令でなければ誰がこんなところに」とボヤく場面もある。 艦長代理時代は未熟さ故にアムロと衝突したり、ミライの助言で作戦立案をする、索敵を怠ってリュウが自主的に索敵を買って出て戦死するなど、周囲に支えられていたが、苦くもつらい経験の数々が彼の優れた素質を磨き上げていったことで正式拝命後は後に名提督と呼ばれるほどの器量を備えてくる。 ア・バオア・クー戦に際し、大々的な訓示を行ってパイロットたちを送り出すが、「堕とすまで帰還するな」はいくら何でも言い過ぎで、実際のところエルメス撃墜後にガンダムは換装・補給のために帰還している。 ア・バオア・クー攻略戦の最中に戦死した最高司令官たるワッケインの意を汲んで要塞への強攻揚陸作戦の指揮を担い、作戦を成功に導いたが、アムロの助言で退鑑命令を出して、ホワイトベースの爆沈を見届けた。 セイラ・マス(アルテイシア・ソム・ダイクン) 声 - 潘めぐみ 最終階級は曹長。ダイクンの遺児。『ORIGIN』では彼女の幼少期から描かれる。少女時代は子猫の「ルシファー」を可愛がっており、ランバ・ラルはアルテイシアに頼まれて自宅からダイクン邸に搬送。ジンバ、キャスバル、アルテイシアの脱出行に同行した。「ルシファー」はテキサスコロニー移住後、アストライアの死を追うように亡くなり、母の墓石近くに埋葬された。アストライアから月が百回丸くなったらまた一緒に暮らせると言われ、それを信じて手紙を送り続けていた。キャスバル(エドワウ)の出奔後、公式発表された彼の死を疑いながらも墓石を建て墓参りをしていた。少女時代から慈善活動に熱心でテアボロが連邦政府の難民高等弁務官という肩書きだったこともあり、難民救済に力を注ぐ。ジンバ襲撃に際しては伝染性疾患を疑われる病身で寝ずに看護していたエドワウが襲撃に気付いて彼女を護った。長じてからは医師の卵となり、ルウム首都バンチの学校に進学していたが、テアボロの容体悪化で帰省し、養父の死を看取った。その際に暴徒たちの銃撃に応戦し、銃撃戦を戦った。こうした経験が「女傑」という人格形成に寄与し、サイド7襲撃に巻き込まれホワイトベースのクルーとなってからは冷静かつ的確なオペレーターで白兵戦時は銃をとって勇ましく戦い、戦闘後は医師の卵として衛生兵に混じって治療や応急処置をするといったように多方面で活躍しクルーの信頼を得ており、ブライトの信用も高かった。ところが、ランバ・ラル隊との交戦で捕虜となったコズン・グラハム少尉に個人接触してシャアの動静を聞き出そうとしたことが問題視され、スパイ容疑で監査部に取り調べられた後、アムロと同様に独房入りとなる。だが、利敵行為は認められなかったため釈放され、その後はシミュレーター訓練をこなした後、コアファイター(コア・ブースター)のパイロットとなる。飛行時間40時間程度ながらオデッサ前哨戦の索敵任務中に敵機を撃墜する活躍でスレッガー中尉に認められる。その後、テキサスコロニー内での戦闘時にシャアとの個人的会話がカイに傍受され、二人の正体がジオン・ズム・ダイクンの遺児キャスバルとアルテイシアだと判明してからは自室謹慎処分となり、ソロモン戦には参加出来なかった。しかし、マグネットコーティング処理後のガンダムとのハイレベルな模擬戦をこなすなどパイロット適正は高く、ア・バオア・クー戦では新型機として貴重な装甲強化型ジムを与えられる。機体の擱座放棄後、要塞内で捕虜となるがアルテイシアだと正体を明かし、ダイクン派の将校たちを味方につけて反乱決起し、内部を攪乱。その後、アムロの危機を察して反乱部隊を離れて、アムロ、シャアの決闘場面に立ち会い、シャアが立ち去った後、アムロと共に要塞からの脱出を図るも戦闘の混乱ではぐれ、アムロのニュータイプ能力に助けられてカイ、ハヤトに発見され保護されて脱出した。 戦後は養父の資産を継承し財団を立ち上げて戦災孤児の救済活動に熱を入れる。ジオン本国への帰還を求められつつも、政治利用されるのを拒み、連邦政府の保護下で活動をしている様が描かれた。 立場上明確に出来ないものの養父のテアボロ・マスのことは実の父のように慕っており、彼に協力していたロジェ・アズナブルにも信頼を寄せていた。二人が居なくなったことで、テアボロが信頼を寄せていたシュウ・ヤシマを頼ってサイド7に渡る様子が描かれている。 母の復讐のため危険を冒してムンゾに赴いた兄キャスバルに理解を示しつつも、そのために本物のシャア・アズナブルが死ぬことになり、息子の栄達にその実苦しんでいたアズナブル夫妻や、実の息子のように愛を注いだテアボロがエドワウの死に心労で病を患ったことなど、キャスバルが恩人たちに対して行った惨い仕打ちに心を痛め、キャスバルのとった行動についても矛盾に満ちていると指摘。兄妹の悲劇とは無関係なアムロに対する憎しみなど明確に反発し、最後まで兄の助言には従わなかった。一本筋の通った女性であり、正体を明かしても仲間意識を変えないホワイトベースのクルーたちに信頼と安堵の念を抱き、やっと本当の仲間になれたと述懐する様も描かれた。 カイ・シデン 声 - 古川登志夫 ホワイトベース隊のパイロット。伍長→軍曹。不良少年団の団長として登場。「留年のカイ」(ダブリ-)として級友たちに知られる。同じ学校のハヤトやアムロを誘い出して開発区に重機を使って侵入してしまい、連邦軍に処罰されてしまう。しかし、その際はアムロだけはテム・レイの息子として寛大な処置を受けたことでアムロを「軍属の子」だと誤解することになる。 原作通り、サイド7での戦闘で避難民に対する態度を新参者のセイラに咎められ「軟弱者」とひっぱたかれる。これをフラウに愚痴っている。その後、ザクを仕留めたガンダムのパイロットがアムロだと知って民兵として志願。リュウから訓練を受ける。シャアの補給阻止作戦で初陣を飾るが、発艦時にあわや大破という危なっかしいザマを見せ、またガデムのザクIとの近接戦で損傷を負うなど「壊し屋カイ」はこのときから発揮する。民兵上がりとしては成長株(ジョブ・ジョンは兵役)でパイロットとして活躍するが出撃時から危なっかしいなどメカニック泣かせ。また年中外すと揶揄されてもいる。 性格は軽薄でニヒリスト。反面、情にほだされるタイプで男気にも溢れる。コメディリリーフとして物語を盛り上げる役。感情表情に乏しいアムロとは比べるべくもない多彩な表情を見せる。アムロ同様の騒動屋でブライトの頭痛の種。ただし反抗的ではなく「あの白目なしに殺される」などと恐れている。リュウの戦死に際してはアムロとハヤトの喧嘩を仲裁し、「悲しいのはみんな同じだ。チビたちも泣いちまった」とアムロを諭している。アムロとのやりとりに関してはほぼ原典アニメ版と同様。『ORIGIN』ならではなのがオムルたちメカニックとのやりとり。鹵獲したコズンのザクIIにガンキャノンの頭部をくっつけた「キャノンザク」はカイの発案でオムルたちに急造させた。マゼラアタック程度なら訓練に丁度良いとビームライフル装備で出撃するが、タチ搭乗のザクIとの交戦時に頭部が破壊され接近戦の末に拘束し、ガンタンクのバルカン砲で仕留めた。ギャロップの特攻阻止のため、MS隊と共に働き一応活躍した。 ミハルとのエピソードでアンチジオンの想いを強くするが、それ以前に連邦軍に対する不信感が強く、軍に対する帰属意識は低い。特にレビルに対しては「ルウムの敗戦将軍」だと毛嫌いしている。 コンボイレーサーを自称しているだけあって車両でのエピソードも多く、アムロ救出のためセイラを同伴して捜索に向かいジオン軍とカーチェイスをしたり、アムロ・セイラの収監でホワイトベース内の結束が乱れると車両を盗んでハヤトたちと共に脱走を企ててリュウの逆鱗に触れるなどしている。ジャブロー本部内でカツ、レツ、キッカ救出のために走行中の車両で子供たちの受け渡しをするなど原作に沿った活躍もある。 アムロはガンダムへの私物意識が強いが、カイはガンキャノン愛が強い。ア・バオア・クーでの出撃前はジョブから愛機を受け継いだハヤトにガンキャノンの繊細さを熱く語っている。またオデッサ・ディでは新型機のジム隊に旧式のガンキャノンが混ざっていることを指摘されるとWB隊であることを殊更強調している。 アムロがニュータイプに覚醒すると「言っていることは理解できないが、アムロの言うとおりにした方が生き残れる」という経験則から深刻な危機は免れている。配属された補充兵たちがアムロの助言に従わずに戦死する中でしぶとく生き残る結果となった。 戦後、手当で食うに困らずプータローとなっていたがミライから頼まれてセイラに密会した際に自分だけが取り残されている感を感じ取り、真剣に将来の道を模索。セイラへの極秘インタヴューを成功させた大手通信社社員とみなされたことで、本格的にジャーナリストを志す。 ハヤト・コバヤシ 声 - 中西英樹 ホワイトベース隊のパイロット。最終階級は兵長。日系スペースノイド。日本文化と精神美学に傾倒。柔道を練習する少年として登場し、カイの仲間でアムロの同級生として登場する。通称「ジュードー」。その腕前は確かで格闘訓練でリュウを相手に「背負い投げ」を決めるなどして師匠と仰がれている。また中立地帯のクスコでジオン兵たちから愚弄されると体格と人数に勝る相手をちぎっては投げの活躍で撃退し、黒い三連星の目に止まる。 第一話でアムロに対し、「アイツの親父は軍属だから」という誤解に基づく台詞は、過去にカイに連れ出されて進入禁止の開発地区に忍び込んで連邦軍から銃撃された際にアムロだけ扱いが違ったことによる。ガンダムで活躍したアムロに触発されてカイと共に民兵に志願した。訓練の教官役となったリュウから「愚図だけど憎めない可愛いヤツ」だと愛され、コンビを組んでガンタンクを操縦する。砲手専門なのでパイロットとしては下っ端だが、リュウの戦死後も引き続き愛されキャラという位置づけ。ただアムロへの対抗意識は露骨でソロモン戦では「急場凌ぎのカンオケ」と悪評高いボールで何度も出撃し、負傷リタイアした。リュウの戦死に際しては依存心を露わにしてアムロから殴られた(逆にアムロ側のトラウマとしてジャブローでの負荷実験時に露呈した)。ア・バオア・クー戦ではスプレーミサイルランチャー仕様のガンキャノンに搭乗し、カイとのコンビでホワイトベース直援任務を完遂した。 後日談である「アムロ0082」では悲願の日本旅行にアムロ、フラウ、カツ、レツ、キッカと共に赴く。主に出雲大社、鳥取砂丘といった山陰地方を旅した。キッカたちから養父として認められるようになり、フラウとの結婚も決まったことでアムロに土下座してフラウを貰うというエピソードが追加された。しかし、実はア・バオア・クーでの出撃に際し、アムロが二人の仲に気を利かせ、フラウにハヤトのガンキャノンでの出撃を教えて励ますように示唆している。 ジョブ・ジョン 原典アニメ版ではホワイトベース隊の「何でも屋」。本作ではWB隊の名パイロットでレギュラーキャラ。最終階級は曹長。ガンキャノンの正パイロットでカイ、ダニーとはキャノン隊として出撃する場面も多い。本作オリジナルキャラで後述の「ダニー」と並びサイド7出航時以来の古参パイロット。ダニー同様の「兵役組」で職業軍人のリュウほどではないが戦争の事情に詳しい。性格は慇懃で仲間たちのことは「くん」付けで呼ぶ。また仲間意識が強い「サイド7組」ということで戦闘中もアムロが気に掛けている素振りが多い。 基本的な能力も高く器用でクルーからの信頼も厚い事からアムロにかわるガンダムのパイロットとして真っ先に名前が挙がり、ジムへの機種転向訓練も受けており、スレッガーが実戦での教育を任される場面もある。戦果においてはカイと五分五分でも命中率が高くて被弾率が低く、メカニックたちの信任も厚い。 ア・バオア・クー戦ではジム隊を率いて出撃した。 リュウ・ホセイ 声 - 田中美央 ホワイトベース隊のパイロット。階級は軍曹。民兵、新兵の集まりであった「サイド7組」の鬼軍曹で精神的支柱。リュウを中心としたこのグループは結束が固く、彼の戦死後もスレッガー隊などの補充兵たちとは一線を画す。強面の血気盛んな古参兵で皮肉屋かつ事情通。「戦争屋」とまでは行かないが出撃には異常にこだわり好戦的。ブライトやアムロに当て擦りのようなことを言う場面も多く、言い様も遠慮がない。原作ではわりと寡黙でホワイトベース内でのモメ事を鎮め、ブライトを影ながらサポートする役割だったが、『ORIGIN』では彼自身がブライトの頭痛の種で騒動を起こす側。整備兵や衛生兵相手に怒鳴り散らす場面も多い。ルウム戦役にセイバーフィッシュ型の索敵機(通称カモノハシ)で参加しており、赤い彗星や黒い三連星に精通しており、彼らの実力を肌身に知っている。アムロ、カイ、ハヤトといったホワイトベース隊ではリュウによる一睨みや鉄拳制裁が恐れられており、アムロの脱走に便乗して逃げだそうとしたカイ、ハヤトらは激怒したリュウに追いつかれ、お仕置きされて連れ戻された。また、ハヤトとの関係は柔道における弟子。格闘訓練で小柄なハヤトに投げ飛ばされ、認識を改めると共に弟子入りした。ランバ・ラル隊との白兵戦時にセイラを救出しようとして負傷。クスコで退鑑しての治療を経る。その後、マチルダ隊の提案によるジャブロー所属の陽動部隊の支援でジャブローに向かう際、霧の中での航行で索敵を怠ったブライトに憤り、コア・ファイターで自主的に索敵出動。帰還時にラル仇討ち部隊と遭遇し、クラウレ・ハモン搭乗のマゼラトップと空中衝突して戦死する。戦死の経緯について関わった人物たちが悔恨の弁を述べ、依存心の強いハヤトとそれに怒ったアムロが殴り合いをすることになった。また、ジャブロー到着後の任官式で特例による3階級特進により少尉に昇格し、これに不満を感じたアムロが抗議する騒動にもなった。 スレッガー・ロウ ホワイトベース隊のパイロット。階級は中尉。ジャブローで補充“部隊”として着任した。新設されたばかりのジム小隊の指揮官。伊達男で威勢の良い性格。ブライトは初対面から苦手にしている。ジムのコクピット回りに自身のイニシャルであるSの字を描いている。シャアザクとの遭遇戦で自機が大破し小隊がほぼ壊滅した状態でオデッサ・ディを迎えると急場の白ペンキでSの字を描いて出撃した。 パイロットとしてはコア・ファイターからガンタンクまで扱える正に「なんでも屋」。技量も卓越しており、アムロも「スレッガーさんがやられるわけがない」とほとんど心配しない。ジムで着任したものの戦闘機嗜好が強く、地上戦・海上戦においてはMSよりも機動性と装備に優れるコア・ファイターを使いたがってブライトと意見がぶつかった。後にコア・ブースターが配備されると愛機とするようになり、ガンダムの搬送による機動戦術に不可欠要素となる。またガンタンクの細かい仕様まで知っている物知りで臨機応変に搭載兵器を使い分ける戦術的に柔軟な思考を持つが、作戦目的を忘れるなど間の抜けた一面も見せる。 原作通り、ソロモン戦で被弾したコア・ブースターの修理・補給のために一時帰還した際にミライと逢瀬を交わし、ビグ・ザムで出撃したドズルがティアンム主力艦隊に突入して大打撃を与えるとガンダムを搬送してビグ・ザムに肉薄。ブースター部分を損傷すると分離したコア・ファイターでメインバーニアノズル部分に特攻をかけた。あまりにも一瞬の出来事で一番近くで見ていたアムロにもなにが起きたかすぐには理解出来なかった。 ミライ・ヤシマ 声 - 藤村歩 ホワイトベースの正操舵士。階級は准尉→少尉。ヤシマ財閥当主シュウ・ヤシマの一人娘。父から後継指名されるほどの才媛で秘書替わり。時系列順での登場時期は比較的早く、ジンバ襲撃事件で巻き添えに遭ったテアボロを案じたシュウが中米にあったテアボロ邸を見舞う場面で既に登場している。同年代ながらダイクンの遺児という事情で安穏に暮らせない兄妹を憐れむなど、慈愛深い性格はこの頃から発揮している。また、病床のテアボロがミライという名にFortune(未来)という意味を見出して感動するエピソードもある。軍需にも手を出していたヤシマ・カンパニーの性格上、かつてはテム・レイもヤシマ・カンパニーの社員だったが、アナハイム社の引き抜きに遭う。その後、ヤシマ・カンパニーは軍需部門から一切手を引き、コロニー建造部門という民需に専念した。父親の事業により宇宙暮らしが長く、ほとんどスペースノイドだと述懐している。飛び級で大学卒業するなど才気煥発でスペースグライダーのライセンス取得など、将来は宇宙飛行士になるのが夢だった。ヤシマ・カンパニーがかつて軍需にも手を出していたことから連邦軍でも年配の将官をよく知っており、パオロやゴップとは面識があった。計画段階で頓挫して進まないサイド7の建設現場を視察するため親娘で移り住む。コロニー公社勤務のカムラン・ブルームとは親同士が決めた許嫁。 サイド7襲撃でシュウが死亡。避難民としてホワイトベースに入るも、操舵士の不足を補うため志願。正操舵士となる。ニュータイプとしての片鱗はこの頃から発揮し、勘が鋭く大抵の場合当たっており、それがシャアを苦戦させた。操舵士のみならず、作戦参謀的な役所をこなして艦長代理のブライトを支えた。マチルダの戦死やスレッガーの戦死についても予期していた。 金持ちの娘でインテリという割には家庭的で庶民的。また、セイラとは親同士(セイラの場合、養父)が親しかったことと無関係に信頼し合い親友とも呼べる仲。セイラのスパイ容疑についてはブライトの煮え切らない態度に幻滅している。母性本能が強く、実際に戦災孤児のカツ、レツ、キッカの面倒を見ていたり、アムロに対しても包容力を持って接する。その様をもってスレッガーがミライを「WB隊のおっかさん」と評した通り。原作通り、カムランの登場で心乱れ、事態を静観するブライトに対し、男らしい態度で接するスレッガーに愛情が傾きかけたが彼の戦死で慟哭し、一時期職務を離れる。ララァを誤殺して茫然自失となっていたアムロを気遣いフラウに声をかけさせるなど、アムロの孤立を防ぐ。ホワイトベース退鑑に際し、ブライトから事実上のプロポーズと受け取れる言葉で謝意を伝えられた。 戦後はブライトのプロポーズを受け入れて結婚し、専業主婦となる。後日譚となる「アルテイシア0083」では長男のハサウェイ・ノアを出産し育児に専念している。 フラウ・ボゥ 声 - 福圓美里 サイド7に移住後のアムロのガールフレンド。お節介なほどの世話好き。同級生のアムロの生活破綻ぶりを案じて度々、家事を請け負っている。母親不在のアムロの母親替わりを自認しているが若干疎まれてもいる。ボランティアの民兵としてホワイトベースに乗艦した避難民たちの世話役となる。後に養母となるカツ、レツ、キッカたちとはサイド7で平穏に暮らしていた頃からの知り合いであり、同級生であるカイ、ハヤトとも知り合い。委員長肌でカイやハヤトにとってもお節介な女の子だと認知されており、幼年学校生から「ボゥおばさん」と揶揄されて激昂する場面もある。サイド7での戦闘で肉親である母親と祖父母を殺されておりジオンを憎んでいる。生活能力に乏しいアムロを溺愛しており、アムロもその愛情にはなるべく応えようと努力している。芯の強さも持ち合わせ、そうした個性をアムロ、ミライやセイラからも理解されている。 避難民の世話役という立場から下艦要求を艦長代行のブライトにつきつけた際の「人質」にされるなど痛い目にも遭っているが、全く懲りてはいない。この際にアムロはフラウのことなど全く気にもかけていなかったが、その事実はハヤトの配慮で本人には伝わっていない。アムロの真意を知る立場に置かれており、大気圏突入で一人で取り残される恐怖を味わったことでアムロが出撃拒否をした事情も知り、脱走劇についてもアムロが一人煩悶し、どうにか生粋の軍人たるランバ・ラルの脅威から仲間たちを護ろうと煩悶していた様を理解しようとせず、一方的にガンダムを取り上げようとしていたブライトやミライを非難。不器用だが仲間思いであるアムロを追い詰めたことを糾弾し、一人で捜索に向かう。結果的にはそれが裏目に出て、アムロとは再会を果たすが尾行されてWBの所在が突き止められる原因となった。フラウが招いた危機を見過ごせるアムロではなく、グフの撃退を成し遂げるが、帰還後に即座に敵前逃亡罪で独房入りした。その際にそれまで溜め込んでいた自身への不当な扱いをここぞと訴えたが、誰も聞く耳を持ち合わせていないことを本人が全く理解していないことで「馬鹿な子」としてフラウも突き放す。しかし、リュウがアムロを鉄拳制裁すると勘違いして立ち塞がるも迫力に気圧されている。ラルとの白兵戦や仇討ち戦を通じ、アムロが優等生的にブライトの命令に従うようになるとかえって立場をなくす。また、年上のマチルダ中尉に入れあげるアムロの想い(初恋)に気付いて婉曲に詰っている。ジャブロー到着でWB隊のエースパイロット、連邦軍の英雄という自覚に少しずつ目覚めていくアムロを「遠くに行ってしまった」と子離れにも似た感慨を持つようになる。むしろ、そんなアムロを追いかけようと足掻くハヤトに情が移る。ジャブロー到着でパイロット候補生となったセイラにかわりオペレーターと医療ボランティアを兼務するようになる。アムロが特別な「ニュータイプ」なのだと言葉の上では理解でき、相変わらず献身的に世話を焼くが次第に言葉の真意を理解出来なくなる。やがて、その愛情はアムロの背中を無理して追うハヤトに完全に移ってしまった。そうしたフラウの心変わりをアムロから直感的に理解されており、むしろハヤトと結ばれることがフラウの幸福だと思われるようになったことで、アムロが逆にフラウが離れて行くことを甘受するようになり、むしろ後押しするようになる。だが、流石に同じニュータイプ同士として敵兵のララァと精神的交流をしながら殺めてしまったことにアムロが落ち込むと、察しの良いミライに促されてアムロを見舞う。 戦後はハヤトの純粋な想いを受け入れ、カツ、レツ、キッカを養子として受け入れる度量を示したハヤトと結ばれる。フラウ、ハヤトとの日本旅行を通じて、自身が味わった一年戦争を振り返ったアムロとはその人間的成長を認めて冷静に懐古に付き合っている(アムロ0082)。 オムル・ハング ホワイトベース隊のメカニックチーフ。原典アニメ版に比べホワイトベース隊の所属機体数があからさまに増えているので大変ではあるが、役所はしっかりこなす。アムロとの信頼関係は早い段階から抜群に良く、アムロが急遽ショルダーマグナム換装を言い出しても即応している。損傷状況でパイロットたちの腕前を判断しており、グフとの一騎討ちでわざとコクピットハッチを跳ばして直撃を防いだアムロの技量にも「正に絶妙のタイミングだ」と感心している。 歴戦で伝説の機体となったRX-78-02の専任メカニックという自負心・自尊心も強く、マグネット・コーティング化ではオムルを立ち会わせないモスク・ハンとも対立することになった。 コズン脱走事件では脱走幇助の疑いをかけられたセイラを弁護した。 また、ララァ撃墜の衝撃でアムロが茫然自失となっている様子がオムルの問いかけにも応えないという形で表現されている(このとき装備換装しようとしていたのがいわゆる、バズーカ2門の最終決戦仕様。これの確認をしていた)。 オスカ・ダブリン 声 - 江口拓也 オペレーター。 マーカー・クラン 声 - 河本啓佑 オペレーター。 カル 声 - 鈴木晴久 カイの不良仲間。 ハワド 声 - 志賀克也 カイの不良仲間。 マクシミリアン 声 - 福田賢二 カイの不良仲間。 タムラ コック長。 マサキ 看護兵。 バンマス 副操縦士。 パオロ・カシアス 声 - 沢木郁也 WBの初代艦長。老齢により予備役に退いていたが逼迫した情勢により新造艦艦長に抜擢された。老練の軍人であり、士官学校で後進育成を担っていた。教え子の一人としてルナツー司令官のワッケイン少将が挙げられる。ルウムの英雄シャアに目を付けられて新型MS受領のため寄港したサイド7で戦闘となり正規士官が迎撃戦で相当数犠牲になった。パオロ自身も突撃艇でファルメルに肉薄攻撃した際に重傷を負い、指揮官代行をブライト・ノア中尉に任せた。軍律に縛られず、才能のある人間を抜擢するという現場判断がアムロ、ミライらの活躍を生んだ。ルナツー到着後にワッケインに対し、ブライトらへの穏便な措置を願い、彼らに未来を託して逝去し宇宙葬にふされる。
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「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」の記事における「ホワイトベース(WB)隊」の解説
ダニエル・シェーンベルク ホワイトベース隊のパイロットで、階級は兵長→曹長。愛称はダニー(またはダンケなど当初は適当に呼ばれていた)。主にガンキャノン、ガンタンク隊のパイロットを務める。 ランバ・ラル隊との交戦でアコース機を仕留めた。ガンキャノンに搭乗してテキサスコロニー内での極秘プロジェクト調査作戦に挑む。相手がニュータイプと判断したアムロは仲間たちを下がらせようとハンドサインで知らせるが運悪く気付かずに前進し、シャリア・ブルのブラウ・ブロにコクピットを撃ち抜かれて戦死した。ミノフスキー粒子の濃度が濃いコロニー内での戦闘で味方のガンキャノンが撃墜されたとわかってもそれがダニー機なのか、ジョブ・ジョン機なのかまではわからず、「ダニーさん?ジョブ・ジョンさん?」とアムロが困惑する様が描かれ、生き残ったジョブ・ジョンが「即死で助けられなかった」とダニーの戦死に泣いている。この戦闘では4機投入されたガンキャノンのうち2機が撃墜され、カイ機が両足を失う大破。運の良かったジョブ・ジョン機を除いて壊滅した。サイド7組最後の戦死者ということで戦闘後にアムロがフラウにダニーの戦死を悼む台詞を口にしている。 連載当初はまだ名前が決められていなかったため、読者公募で決められた。 ラウル ホワイトベースの生き残り士官の一人で、階級は中尉。眼鏡をかけた女性士官と共に、捕虜であるコズンに接触したセイラをスパイの嫌疑で厳しく追及する。しかし直後にランバ・ラル部隊との白兵戦において銃撃され、女性士官と共に戦死。 ワッツ ホワイトベースの生き残り士官の一人で、階級は少尉。まだ若く気弱な性格。ランバ・ラル隊による襲撃で負傷し、中南米リマ基地において離艦する。 ベンジャミン・アダムス ホワイトベースの機関長で、階級は曹長。職人肌の中年男性。 キム ホワイトベース隊のパイロットで、階級は伍長。ガンタンクに搭乗し、ガルマ隊との交戦中に戦死。 ニカウ、ヤン 共にホワイトベース隊のガンタンククルー。ニカウがパイロットでヤンはガンナー。ランバ・ラル隊との交戦で戦死。 マグダレナ・ロッシ ホワイトベース隊の技術担当仕官で、階級は少尉。オムル達の上官。 リツマ ホワイトベースの乗員で眼鏡の女性下士官。階級は曹長。通信要員であるフラウ・ボゥの交代も行なう。 イ・ウンジュ ホワイトベース隊のパイロットで、階級は少尉。増加装甲型ジムに搭乗。 タカアキ・ヤジマ ホワイトベース隊のパイロットで、階級は少尉。増加装甲型ジムに搭乗。「THE ORIGIN出演権プレゼント」当選の一般読者がモデル。
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ホワイトベース隊
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ホワイトベースは元々、艦自体の所属が未決定であった。そのため所属部隊は、艦名からホワイトベース隊と便宜上呼ばれるようになる。この名称は第13独立部隊への所属が決定した後も使われる。 彼らは正規の軍人ではなく、ほとんどが民間人の少年少女である。また、サイド7入港時に正規クルーのほとんどが、シャア・アズナブル率いる部隊による攻撃とその後の追撃により負傷もしくは死亡するため、ブライト・ノアやリュウ・ホセイら経験のとぼしい士官候補生や訓練兵がメインクルーを引き継ぐ。その構成と彼らがあげた戦果から連邦・ジオンの双方から「ニュータイプ部隊」との噂が立てられる。
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