監査とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > ビジネス > 経営 > 監査 > 監査の意味・解説 

かん‐さ【監査】

読み方:かんさ

[名](スル)

監督し検査すること。

特に、会計監査業務監査のこと。→法定監査任意監査


監査

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/28 08:39 UTC 版)

監査(かんさ、audit または auditing)とは、ある事象・対象に関し、遵守すべき法令や社内規程などの規準に照らして、業務や成果物がそれらに則っているかどうかの証拠を収集し、その証拠に基づいて、監査対象の有効性を利害関係者に合理的に保証すること。

監査人が誰であるかによる分類として、外部監査内部監査監査役監査などがある。監査する対象による分類として、会計監査財務諸表監査など)、業務監査、システム監査、情報セキュリティ監査、個人情報保護監査、環境監査などがある。

ここでは、主に日本における各種監査の概要について説明する。また、歴史については、「監査の歴史」で説明する。

会計
主要概念
簿記 - 時価会計
現金主義 - 発生主義
環境会計
売上原価 - 借方 / 貸方
複式簿記 - 単式簿記
後入先出法 - 先入先出法
GAAP / US-GAAP
概念フレームワーク
国際財務報告基準
総勘定元帳 - 取得原価主義
費用収益対応の原則
収益認識 - 試算表
会計の分野
原価 - 財務 - 法定
基金 - 管理 -
財務諸表
貸借対照表
損益計算書
キャッシュ・フロー計算書
持分変動計算書
包括利益計算書
注記 - MD&A
監査
監査報告書 - 会計監査
GAAS / ISA - 内部監査
SOX法 / 日本版SOX法
会計資格
JPCPA - ACCA - CA - CGA
CIMA - CMA - CPA - Bcom
税理士 - 簿記検定
テンプレートを表示

行政機関における監査

行政機関に対して行う監査は広義の行政監査行政活動の監査と呼ばれる[1]地方自治法第199条第2項の行政監査以外もそれに含まれる。

国における監査

国の機関における会計監査は、行政機関の一つである会計検査院が行い、これは特に会計検査と呼ばれる。一方、業務監査は総務省行政評価局(以前は総務庁行政監察局)が行政評価(以前は行政監察)の観点から実施する。

地方公共団体における監査

それぞれの地方公共団体に置かれる執行機関のひとつである監査委員が行う。なお、地方公共団体に置かれる監査委員は、地方公共団体により人数は異なるが、各監査委員が個別の権限で監査を行う(独任制)ため、監査委員会ではなく単に監査委員という。一般監査特別監査とがある。また一部の地方公共団体では外部監査が義務付けられている。

一般監査

  • 定期監査(地方自治法第199条第1項、4項)
  • 行政監査(地方自治法第199条第2項)
  • 随時監査(地方自治法第199条第5項)

特別監査

  • 直接請求に基づく監査(地方自治法第75条第1項)
  • 市議会の請求による監査(地方自治法第98条第2項)
  • 市長の要求による監査(地方自治法第199条第6項)
  • 財政援助団体等監査(地方自治法第199条第7項)
  • 住民の請求による監査(地方自治法第242条第1項)
  • 職員の損害賠償責任に関する監査(地方自治法第243条の2第3項、地方公営企業法第34条)
  • 指定金融機関の公金取扱に関する監査(地方自治法第235条の2第2項、地方公営企業法第27条の2第1項)

企業その他の団体における監査

会計監査業務監査に区分される。前者は財務諸表監査とも呼ばれる。

公認会計士が行う監査、会社法上の監査役(または監査役会監査委員会。以下「監査役等」)が行う監査、そして企業の内部監査人が行う監査の三種類があり、総称して三様監査制度と呼ばれる。

公認会計士が行うのが会計監査であり、監査役等は、会社法において業務監査と会計監査の責任を負っているが、公認会計士も監査を行う会計監査人設置会社と他の会社においては、監査の方法に差異がある。

公認会計士監査

公認会計士、あるいはその集まりである監査法人によって実施される監査を総称して、公認会計士監査と呼ぶ。

公認会計士監査の目的は、企業の財務情報の信頼性の保証にあり(公認会計士法1条)、企業の経営者が作成した財務諸表が、企業の実態をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについて監査し、その結果を意見として表明することにある(監査基準第一)

公認会計士監査は、法律によって実施が求められている法定監査と、法律に規定はない任意監査に分けられる。

  • 法定監査
    法定監査の主なものは、会社法に要求される会社法監査、金融商品取引法に要求される金融商品取引法監査である。また、その他の法令によって要求される法定監査も存在する(例えば、私立学校振興助成法による私立学校の監査、政党助成法による政党の監査など)。法定監査の目的は、利害関係者の利益保護にあり、公的組織の監査の場合は公益の保護にある。
  • 任意監査
    任意監査は、年金基金監査、ファンドスキームを構成するファンド監査、銀行借入時に要求される監査証明や、諸団体の規定、定款、基準などによる監査である。

監査役監査

会社の機関のひとつ、監査役または監査委員会等によって行われる監査である。監査役等は、取締役や執行役の職務執行に不法な点がないかを監督、指導する立場にある。目的は会社の出資者たる株主の保護にある。

内部監査人監査

内部監査人監査は、社内に設置された監査部門など[注釈 1]によって行われ、経営管理の一環として行われる内部監査である。従業員の業務内容全般について、合理性、能率性、適法性などを、経営者のニーズによって任意に監査する。

監査の対象による分類

会計監査

業務監査

受査組織の業務のうち、会計業務を除いた業務を対象とする監査を業務監査と称する。企業においては監査役または監査委員会、企業以外の団体においては監事等、ある程度の独立性を保証された者が監査人となる。「#監査役監査」を参照。

システム監査

「専門性と客観性を備えたシステム監査人が、一定の基準に基づいて受査組織の情報システムを総合的に点検・評価・検証をして、監査報告の利用者に情報システムのガバナンス、マネジメント、コントロールの適切性等に対する保証を与える、又は改善のための助言を行う監査[2]」をシステム監査と称する。システム監査は監査を行った範囲について適切か否かの保証を与える保証型監査と、今後の改善を目的とした助言を与える助言型監査とに分類することができる。

情報セキュリティ監査

受査組織の「情報セキュリティに係るリスクのマネジメントが効果的に実施されるように、リスクアセスメントに基づく適切なコントロールの整備、運用状況を、情報セキュリティ監査人が独立かつ専門的な立場から検証又は評価して、もって保証を与えあるいは助言を行うこと[3]」を情報セキュリティ監査と称する。情報セキュリティ監査は監査を行った範囲について適切か否かの保証を与える保証型監査と、今後のセキュリティ対策の改善を目的とした助言を与える助言型監査とに分類することができる。情報セキュリティ監査は契約条項の遵守についての監査の他、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の適合性審査、脆弱性診断及びペネトレーションテストなどで行われる。

監査人の立場による分類

内部監査

第一者監査

受査組織の内部者(内部監査人)による監査、または、経営者による委託を受けたコンサルタント等(代理人)による監査を内部監査または第一者監査と称する。詳しくは「内部監査」を参照。

外部監査

受査組織の外部者(外部監査人)による監査を外部監査といい、外部者の立場によって第二者監査と第三者監査に分類される。

第二者監査

受査組織と監査者との間に受発注関係または資本関係などの利害関係が存在する場合、第二者監査と称する。例えば、契約時に情報セキュリティに関する条項を取り決めたときに発注者が受注者または下請事業者の契約遵守状況について行う監査や、親会社が子会社に対して行う内部統制状況の監査がこれに当たる。

第三者監査

受査組織と監査者との間に受発注関係及び資本関係などの利害関係が存在しない場合、第三者監査または第三者審査と称する。例えば、上述の#公認会計士監査マネジメントシステム規格の審査登録制度において審査登録機関が実施する適合性審査、内閣官房内閣サイバーセキュリティセンターサイバーセキュリティ基本法に基づき各政府機関に対して実施するマネジメント監査がこれに当たる。

脚注

注釈

  1. ^ 監査部門の名称は、監査部、検査部、監察部、監理部、品質保証部、品質管理部など様々であり、場合によっては管理部門内の一部署(課)として置かれる場合や、代表取締役直属の室とされる場合もある。

出典

  1. ^ 『日本の行政監察・監査』法政大学出版局、2001年9月発行、5頁
  2. ^ システム監査基準” (PDF). 経済産業省 (2018年4月30日). 2021年11月16日閲覧。
  3. ^ 情報セキュリティ監査基準V1.0” (PDF). 経済産業省 (2003年). 2021年11月16日閲覧。

関連文献

  • 鳥羽至英『財務諸表監査 理論と制度 基礎篇』国元書房 (2009/04) ISBN 4765805506
  • 鳥羽至英『財務諸表監査 理論と制度 発展篇』国元書房 (2009/04) ISBN 4765805514

関連項目


監査

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 01:36 UTC 版)

公認会計士」の記事における「監査」の解説

監査・証明業務ともよばれる。この場合Audit&Assuranceと英語で表記され、監査と(会計証明業務という関連する二つ業務を指す。監査(かんさ、auditまたはauditing)とは、ある事象対象に関して一定の規準照らして証拠収集し、その証拠基づいて何らかの評価行い評価結果利害関係者伝達すること。これが会計学においては財務会計基準てらして行われる監査証明業務と、管理会計基準てらしておこなわれる業務監査内部監査)に分かれる会計証明業務とは、他人求め応じ報酬得て特定の基準沿って財務書類の監査および証明を行うことである。ほとんどの国でこの業務公認会計士が行なければならない法律定められているだけでなく、株式市場上場している企業においては公認会計士による会計監査を受けることが法律義務付けられている。また日本公認会計士は、独占業務として財務書類監査・証明業務通称1項業務)を行える。 一方業務監査とは「組織体経営目標効果的な達成に役立つことを目的として、合法性合理性観点から公正かつ独立立場で、経営諸活動遂行状況検討評価し、これに基づいて意見述べ助言勧告を行う監査業務、および特定の経営諸活動支援を行う診断業務」がその本とされるのであるこの中で一般会社員に最も身近なものは社内での不正・背任行為に関する調査である。証券業においては末端社員数百億円の資金毎日動かすことができるため、業務監査怠った企業数千億円の損失をかぶるなどして倒産するなどのことが時折おこる。またコンプライアンス徹底し不祥事を防ぐなどその役割がある。日本では業務監査社内人員が行うが日本国外では業務監査会計事務所などの第三者委託して客観性高め場合もある。 監査・証明業務公認会計士キャリア基礎となる業務である。公認会計士の卵はたいてい大規模な会計事務所勤務して監査証明業務を行うのが普通である。この場合最終的に監査法人従業員から社員パートナー)になることをキャリアとして目指す業務内容としては、どの業界企業の監査を行うのか、さらに監査対象企業規模によって異なる。東証一部上場企業でも、日本国内活動するだけの企業多国籍企業の監査は規模大い違いが出る。 監査法人社員になると、単に監査を指揮するだけでなく、監査契約獲得営業大きな部分占めてくる。かつては営業能力有無社員出世分け目となることもあった。近年このような監査営業によって監査法人独立性損なわれているのではないかとの批判なされており、受注審査などの品質管理強化されるようになった。これにより、社員としての営業能力有無はかつてほど重要視されなくなったと言われている。 公認会計士は監査だけでなく経営全般に関する深い見識顧客に示すことが要求される

※この「監査」の解説は、「公認会計士」の解説の一部です。
「監査」を含む「公認会計士」の記事については、「公認会計士」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「監査」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

監査

出典:『Wiktionary』 (2021/08/06 08:02 UTC 版)

名詞

  1. 監督検査すること。


関連語

翻訳


「監査」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



監査と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「監査」の関連用語

監査のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



監査のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
投信資料館投信資料館
Copyright(C) 2025 Tokyo Investor Network Limited. All rights reserved.
ISO用語辞典ISO用語辞典
2025 (C) JMC Corpyright All Rights Reserved
株式会社ジェイエムシーISO用語辞典
Supplement Kuchikomi RankingSupplement Kuchikomi Ranking
(C)2025 All Rights Reserved. 健康食品のあり方を考える日本サプリメント評議会の運営です。
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの監査 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの公認会計士 (改訂履歴)、Windowsのセキュリティ機能 (改訂履歴)、事業報告 (改訂履歴)、特定目的会社 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryの監査 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS