財務会計の概念フレームワーク
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財務会計の概念フレームワーク(ざいむかいけいのがいねんフレームワーク、Conceptual Framework of Financial Accounting)とは、企業会計基準委員会の発表した討議資料である。
概念フレームワークは、企業会計(主に財務会計)の基礎となる前提や概念を体系化したものである。財務報告の目的や資産・負債などの重要概念を設定し、そこから演繹的に個々の会計基準を開発していく方針を導出するという目的を有する[1]。
背景
会計基準を体系化するための方針としての概念フレームワークは、1970年代の米国において、財務会計基準審議会(FASB)によって初めて導入された[2]。その後、国際会計基準審議会(IASB)においても概念フレームワークを用いる方式が採用されている[2]。会計基準の国際的統合化にともなって、概念フレームワークについてもコンバージェンスが進み、IASBが単独で概念フレームワークの検討を行うこととなった[3]。
日本においても、企業会計基準委員会は2004年7月に討議資料として概念フレームワークを発表し、2006年12月に改訂版を発表した[4]。なお、FASBとIASBが概念フレームワークの共同開発を行っていたという国際的な流れを考慮し、企業会計基準委員会の「財務会計の概念フレームワーク」はあくまで会計基準ではなく討議資料であるという位置づけに留まった[4]。
意義
従来の日本においては、会計基準の設定方法は、企業会計の実務慣行のなかから一般に公正妥当と認められたところを要約するという帰納的アプローチに基づいていた。その代表が企業会計原則である[1]。
しかし、帰納的アプローチでは、現状の会計実務に問題があってもそれを改善することが難しく、また今まで存在しなかったような取引・事象について対応することができないという問題が存在した。また、会計基準全体の整合性・首尾一貫性が維持されない可能性があることも問題視されていた[1]。
こうした問題を克服するため、会計基準を理論的に体系づけて開発すること(演繹的アプローチ)が求められるようになった。そのための手段として、概念フレームワークは会計公準論と並んで重要な位置を占めている[5]。また、日本の「財務会計の概念フレームワーク」は、IASBの開発する国際財務報告基準に対する日本の立場を主張するための論拠としても使用されている[4]。
特色
日本の「財務会計の概念フレームワーク」は、アメリカの財務会計基準審議会(FASB)発表の概念フレームワークと類似した体系を有している。一方で、包括利益だけでなく純利益を定義してその意義を認めたこと、公正価値会計を金融投資にのみ求めること、リサイクリング(組換調整)を行うべきであるとしたことなど、米国の概念フレームワークとは大きく異なる点もある[4]。
「財務報告の目的」については、日本の概念フレームワークでは、「投資家による企業成果の予測と企業価値の評価に役立つような企業の財務状況の開示」としている。そして、「投資のポジション」という概念を重視している点に特色がある。これに対して、IASBの「概念フレームワーク」では、経済的資源・請求権やその変動を表す「財政状態」という概念を重視している[3]。
脚注
参考文献
- 伊藤邦雄『新・現代会計入門』日本経済新聞出版社、2014年
- 斉藤静樹 『企業会計入門 考えて学ぶ 補訂版』有斐閣、2016年。ISBN 9784641164772。
- 桜井久勝『財務会計講義 第16版』中央経済社、2015年
関連項目
外部リンク
- 討議資料 「財務会計の概念フレームワーク」 (企業会計基準委員会:財務会計基準機構)、2016年1月30日閲覧
概念フレームワーク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/28 04:02 UTC 版)
「財務会計基準審議会」の記事における「概念フレームワーク」の解説
FASBと国際会計基準審議会(IASB)は共通の概念フレームワークを開発するために、両輪となって作業を行った。目的適合的で、内的整合性があり、内面的に収斂されている基準の開発が、その目的である。現在の財務会計概念書(SFAC)第8号「財務報告のための概念フレームワーク」は合衆国で使われている。概念フレームワークには、(1)財務諸表作成において、経済的取引や経済事象、資金調達などを測定、記録するために用いられる測定属性(2)会計原則(3)認識や認識の中止、情報開示などの手引きとなる基本的前提、そしてそれらだけでなく(4)財務諸表における情報の区分・表示、が含まれている。 基本的な質的特性である目的適合性と表現の忠実性は意思決定有用性を支える。 財務諸表利用者が行う意思決定に変化を生じさせ得る情報は、目的適合的である。目的適合性の3つの構成要素は下記の通りである。 予測価値 - 財務諸表利用者の価値予測に役立つ情報 確認価値 – 事前に行った予測を確認、修正するためのフィードバックを与える情報 重要性 – 会計情報における省略事項や不実表示などの性質及び重要さ 表現の忠実性とは、ある測定値または記述と、それらが表現しようとする現象とが対応または一致することを言う。表現の忠実性の3つの構成要素は下記の通りである。 完全性 – ある経済現象を描写するにあたって、描写しようとしている現象を利用者が理解するために必要なすべての情報を含んでいること 中立性 – 財務情報の選択または表示に偏りがなく、財務情報が利用者に有利または不利に受け取られる確率を増大させるための、歪曲、ウェイト付け、強調、軽視、その他の操作が行われていないこと 誤謬の不存在 – 利用可能な最善のデータ入力が反映されたプロセスを用いて、可能な限り正確に情報が測定、記述されていること その他補強的な質的特性として、比較可能性、検証可能性、理解可能性、適時性が存在する。 現在はIASBとは異なる方向で概念フレームワークの改訂が進んでおり、FASBは測定・表示・開示に関するフレームワークを新たに作成している。
※この「概念フレームワーク」の解説は、「財務会計基準審議会」の解説の一部です。
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