メキシコ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/13 13:53 UTC 版)
マスコミ
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文化
先スペイン期のアステカ族やマヤ族の文化に根を持ち、16世紀のスペイン人による征服後はスペイン文化と融合して築き上げられている。独立後しばらくはヨーロッパの文化の模倣に終始したが、革命後の1920年代から1930年代にかけてインディヘナに国民文化の根源を求めて先住民文化の再評価が始まり、インディヘニスモという一大文化運動を確立した。古くから音楽や絵画、彫刻、建築など芸術面で世界的に有名な人物を輩出している。
食文化
一般的に辛いことで知られているメキシコ料理は世界的に人気があり、特に隣国のアメリカではアメリカ風に独自にアレンジされたタコスやブリートがファストフードとして広く普及しているが、それらはテックス・メックス(Tex-Mex)と呼ばれ、国内ではそれほど普及していない。主食はマサと呼ばれる粉を練ってのばして焼いた薄いパンのようなもので、トルティーヤと呼ばれる。北部では小麦粉、中部・南部ではトウモロコシの粉を使ったものが主流である。基本的には豆やトウモロコシ、鳥肉を原材料に使ったメニューが主体になっており、ほかにも米や魚類、牛肉なども使われることが多く、一見単純に見えて繊細な味がその人気の理由とされている。
伝統料理は、修道女たちが収穫される農作物で王宮料理を作る目的で研究されたもので、プエブラという古都が有名である。代表的なものに、モーレがある。
海に囲まれているため魚介類も豊富で、魚やエビなどを使った料理も多い。特に日本にとってはエビの大きな供給元として知られている。
近年はカップラーメンが広く普及しており、中でも東洋水産の「マルちゃん」ブランドが市場シェアの約85パーセントを占めるまでに成長している。
蒸留酒であるテキーラの一大産地として有名であるが、それはハリスコ州グアダラハラ市近郊のテキーラという地域に1700年代から作られている地酒であり、国民にもっとも愛される酒となっており、近年は海外にも愛好家を増やしている。また、ビールの特産地としても知られており、コロナビールやXX(ドス・エキス)などの著名なブランドが世界中に輸出されている。
文学
作家としては、フアン・ルルフォ、アマード・ネルボ、カルロス・フエンテス、ホセ・エミリオ・パチェコ、オクタビオ・パス、アルフォンソ・レイエスなどが挙げられる。オクタビオ・パスは1990年にノーベル文学賞を受賞した。アルフォンソ・レイエスはアルゼンチンのホルヘ・ルイス・ボルヘスに大きな影響を与えた作家としても知られる。革命以降のインディヘニスモ小説としては、ロサリオ・カスティリャーノスの『バルン・カナン』などが挙げられる。
音楽
当国で生まれた伝統的な音楽様式としては、マリアッチやランチェーロ、ノリード、ノルテーニョ、バンダなどが挙げられ、メキシコのフォルクローレではパラグアイやベネズエラのようにアルパが多用される。南部のグアテマラ国境付近では、マヤ系住人によってアフリカ伝来のマリンバが用いられる音楽が盛んである。
また、1960年代以降はアメリカ合衆国に渡ったメキシコ人移民(チカーノ)によってアメリカ合衆国のポピュラー音楽が行われ、ロックはラテン・ロックになり、ヒップ・ホップはチカーノ・ラップとなって在米メキシコ人市場で消費されたものが当国にも逆流入している。メキシコ・ロック(ロック・メヒカーノ)はラテンアメリカ市場でも成功しており、特に有名な音楽家としてはカフェ・タクーバなどが挙げられる。
クラシック音楽の分野ではカルロス・チャベスの名が特筆され、メキシコ国立交響楽団はチャベスによって設立された。
美術
絵画に特化している面を持つ。メキシコ革命以前では、19世紀後期から20世紀初頭にて活躍した、政治漫画家のホセ・グアダルーペ・ポサダの版画が有名である。
革命後、インディヘニスモ運動の文脈の中で1930年代から始まったディエゴ・リベラ、ダビッド・アルファロ・シケイロス、ホセ・クレメンテ・オロスコなどの壁画家たちによるメキシコ壁画運動(メキシコ・ルネサンス)は世界の美術史の中でも特出している。ディエゴ・リベラの妻のフリーダ・カーロも女流画家として世界中で紹介されている。
映画
ブラジル、アルゼンチンとともにラテンアメリカの3大映画制作国であり、多くの映画が製作されている。
被服・ファッション
現在、一般的に認知されている古代メキシコ人の服装や衣服は、メキシコの先住民族であるナワ族の服飾の一例である。メキシコにおける女性の伝統的な服装にはラ・チャイナと呼ばれるものが挙げられることがあるが、実際にはメキシコ中南部地域の一部の都市圏にのみ存在しており、19世紀後半には消滅したものと見られている。
最も賞賛されている地方衣装としてはテワナが挙げられる。
建築
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世界遺産
国内には、ユネスコの世界遺産リストに登録された文化遺産が27件、自然遺産が6件、複合遺産が2件、暫定リストに22件存在する[37]。
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古代都市パレンケと国立公園(1987年)
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メキシコシティ歴史地区とソチミルコ(1987年)
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古代都市テオティワカン(1987年)
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プエブラ歴史地区(1987年)
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シアン・カアン(1987年)
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古都グアナフアトとその銀鉱群(1988年)
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古代都市チチェン・イッツァ(1988年)
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古代都市エル・タヒン(1992年)
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サンフランシスコ山地の岩絵(1993年)
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エル・ビスカイノ生物圏保護区(1993年)
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古代都市ウシュマル(1996年)
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ケレタロの歴史史跡地区(1996年)
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グアダラハラのオスピシオ・カバーニャス(1997年)
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トラコタルパンの歴史遺跡地帯(1998年)
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ショチカルコの古代遺跡地帯(1999年)
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カンペチェ歴史的要塞都市(1999年)
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ケレタロ州シエラ・ゴルダのフランシスコ会伝道所群(2003年)
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ルイス・バラガン邸と仕事場(2004年)
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カリフォルニア湾の島嶼および保護地区群(2005年)
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メキシコ国立自治大学の大学都市の中央キャンパス(2007年)
祝祭日
労働法第74条で定められた祝日は以下の8日(ただし大統領就任日は6年に1度なので、普通は7日)である[38]。これ以外に慣習的な祝日がある。
日付 | 日本語表記 | 現地語表記 | 備考 |
1月1日 | 元日 | Año Nuevo | |
2月5日 | 憲法記念日 | Aniversario de la Constitución Mexicana | 1857年と1917年の憲法がともに2月5日に批准された |
3月21日 | ベニート・フアレス生誕記念日 | Natalicio de Benito Juárez | もとは3月21日 |
5月1日 | メーデー | Día del Trabajo | |
5月5日 | プエブラ戦勝記念日 | Batalla de Puebla | シンコ・デ・マヨの名で知られる |
9月16日 | 独立記念日 | Día de la Independencia | ドロレスの叫び |
11月2日 | 死者の日 (メキシコ) | Día de Muertos | 死者の日 (メキシコ) |
11月の第20日 | 革命記念日 | Aniversario de la Revolución Mexicana | 1910年のメキシコ革命開始を記念する。もとは11月20日 |
12月1日 | 大統領就任日 | Transmisión del Poder Ejecutivo Federal | 6年に1回祝日になる |
12月25日 | クリスマス | Navidad |
日付 | 日本語表記 | 現地語表記 | 備考 |
5月10日 | 母の日 | Dia de las Madres |
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スポーツ
メキシコで開催された著名な国際大会としては、夏季オリンピックの1968年メキシコシティオリンピックや、FIFAワールドカップ(サッカー)の1970年大会と1986年大会が行われている。なお、2026年にはアメリカやカナダとともに2026 FIFAワールドカップの共同開催国となっている[39]。またメキシコでは伝統的に闘牛が盛んに行われており、大都市には必ず闘牛場がある。
サッカー
メキシコ国内でも他のラテンアメリカ諸国と同様に、サッカーが最も人気のスポーツとなっており、1943年にプロサッカーリーグのリーガMXが創設された。北中米カリブ海地域では最もレベルの高いリーグであり、歴代のCONCACAFチャンピオンズリーグではメキシコのクラブが優勝を独占している。
メキシコサッカー連盟(FMF)によって構成されるサッカーメキシコ代表は、これまでFIFAワールドカップには17度出場を果たしており、北中米カリブ屈指の強豪国として知られている。CONCACAFゴールドカップでは大会最多11度の優勝を達成しており、FIFAコンフェデレーションズカップでは1999年大会で優勝するなどメキシコはサッカー大国としても名高い。著名な選手としては、元バルセロナのラファエル・マルケスや、元マンチェスター・ユナイテッドのハビエル・エルナンデス(チチャリート)などが存在する。
野球
野球もアメリカ合衆国の強い影響を受け、人気スポーツのひとつに数えられる。とりわけ、メキシコにおける野球は国境に近い北部でも盛んである。しかし主要都市の多くは乾燥した高原にあるため、打球が飛びやすくプレーに適した地域は限られる。またMLB選手を多く輩出しており、2019年までに129人のメキシコ人選手がプレーしている[40]。国内には夏季リーグ(リーガ・メヒカーナ・デ・ベイスボル、LMB)と、冬季リーグ(リーガ・メヒカーナ・デル・パシフィコ、LMP)の2つのプロリーグが存在する。LMBは1925年にスタートし、現在は2リーグ16チームからなる。MLBから3A相当の認定を受けており、事実上マイナーリーグに取り込まれていたが、2021年のマイナーリーグ再編に伴いMLB機構から切り離され、現在では独立したプロ野球組織となっている。ウィンターリーグであるLMPは8チームからなり、優勝チームはLMP代表としてカリビアンシリーズに出場する。
ルチャリブレ
ルチャリブレはメキシコを代表するスポーツのひとつ(厳密にはショー)で、派手なマスクと華麗な空中戦が見もののメキシカン・プロレスであり、メキシコの象徴でもある。古くは「エル・サント、ウラカンラミレス、エル・ソリタリオ、ミル・マスカラス・ドス・カラス兄弟、エル・カネック、チャボ・ゲレロ・ジュニア、ドクトルワグナーJr、レイ・ミステリオJr、アルベルト・デル・リオ、ミスティコ」まで多くの世界的に有名な選手を生んでいる。CBLLおよびルチャリブレ選手組合によりプロレスラーライセンスを発行しており、ナショナル王座も存在する。
日本にも熱狂的なファンが多く、日本からの観戦ツアーが多数企画されるのみならず初代タイガーマスク、獣神サンダーライガー、ザ・グレート・サスケ、タイガーマスク、ウルティモ・ドラゴン、エル・サムライ、スペル・デルフィン、グラン浜田、百田光雄、CIMA、TARU、後藤洋央紀、オカダ・カズチカなど日本のレスラーが空中戦をはじめとするさまざまな技術を学ぶために、留学や遠征をするケースも多数見られる。なお、日本の全日本プロレスやアメリカのWWEなどの団体にも多くの選手を送り込んでいる。
メキシコシティ市内にある競技場、アレナ・メヒコとアレナ・コリセオは『ルチャリブレの2大聖地』と言われ、二大のルチャ団体『CMLL・トリプレ・ア』の看板スターや、フリーランスのドス・カラス・ジュニア、エル・イホ・デル・サントが繰り広げる華麗な空中戦を見るために世界中から観客がやって来る。
ボクシング
ボクシングもまた、メキシコで人気スポーツのひとつでもある。世界最大の団体であるWBCの本部が置かれており、3階級制覇を達成したフリオ・セサール・チャベスを筆頭にアメリカで活躍するマルケス兄弟やイスラエル・バスケス、日本でもなじみの深いルーベン・オリバレスやリカルド・ロペスら世界王者も数多く輩出している。なお、チャベスがエスタディオ・アステカに、グレグ・ホーゲンを迎えたWBC世界ジュニアウェルター級タイトルマッチは、世界最多の有料入場者となる13万人を記録した。
コミッションは「CBLL」であり、タイ同様にプロボクサーライセンスは存在しない。プロモーターとの契約が成立した時点でプロ活動が可能になる。ナショナル王座も管理・監督している。2000年代後半に、本部があるWBCが創設した同国内王座「FECOMBOX」と並存している。
さらに女子プロボクシングもあり、2階級制覇を達成したジャッキー・ナバを筆頭に、多くの女子世界王者も輩出している。アマチュアボクシングも盛んで、2007年のグアンテス・デ・オロには亀田和毅が出場している。オリンピックでは2021年東京大会まで13個のメダルを獲得し、競技別では飛込競技に次いで2番目に多い数字でもあるが、金メダルは自国開催の1968年メキシコシティー大会で獲得した2個のみで、女子に至ってはメダル未獲得のままである。
その他の競技
ブラジルやアルゼンチンなど他の中南米の主要国同様、富裕層を中心にモータースポーツもメキシコでは人気スポーツのひとつである。1950年代に行われた国内を縦断する公道レースのカレラ・パナメリカーナ・メヒコや、カリフォルニア半島を縦断するオフロード・レースのバハ1000は世界的に有名で、F1・メキシコグランプリがメキシコシティ国際空港の近くにあるエルマノス・ロドリゲス・サーキットにて開催されている。さらに2004年からはWRCがメキシコ北部を舞台に毎年開催され、人気を博している。
注釈
出典
- ^ CATÁLOGO DE LAS LENGUAS INDÍGENAS NACIONALES Inali.gob.mx. Retrieved July 18, 2014.
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- ^ a b 国本伊代編著 『現代メキシコを知るための60章』 明石書店 <エリア・スタディーズ 91> 2011年 74ページ
- ^ 2014 Global Cities Index and Emerging Cities Outlook (2014年4月公表)
- ^ a b c d 「メキシコ発:毎年恒例の税無効訴訟が起きるワケ」『日経ビジネスオンライン』2008年3月31日付配信、日経BP社
- ^ ビジネス特集 “肥満大国”解消なるか 希少糖が世界を救う!? - NHK
- ^ “中銀が2023年GDP予測を1.6%に引き下げ、米国経済の減速を織り込む”. JETRO. 2022年12月8日閲覧。
- ^ “経済状況”. JETRO. 2022年12月8日閲覧。
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- ^ 世界各国の平均年収(月収)
- ^ 独立行政法人日本学生支援機構[リンク切れ]
- ^ “安全対策基礎データ”. 外務省 (2012年11月27日). 2014年7月5日閲覧。
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- ^ Artículo 74, Ley Federal del Trabajo, UNAM
- ^ Canada, Mexico and USA selected as hosts of the 2026 FIFA World Cup™-国際サッカー連盟公式HP、2018年6月13日
- ^ Players Born in Mexico - Baseball-Reference.com 2020年3月27日閲覧。
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