オルメカ文明とは? わかりやすく解説

オルメカ

(オルメカ文明 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/31 04:01 UTC 版)

サン=ロレンソ記念碑1号。代表的な巨石人頭像

オルメカ(Olmeca)は、紀元前1200年頃から紀元前後にかけ、先古典期メソアメリカで栄えた文化・文明である[1]アメリカ大陸で最も初期に生まれた文明であり、その後のメソアメリカ文明の母体となったことから、「母なる文明」と呼ばれる[2]

概要

オルメカ文化が栄えた領域
への字に曲がった口は、ジャガーを象徴している。ハラーパのベラクルス州立人類学博物館蔵。[3]

「オルメカ」とは、ナワトル語で「ゴムの人」を意味し、スペイン植民地時代にメキシコ湾岸の住民を指した言葉である。巨石や宝石を加工する技術を持ち、ジャガー信仰などの宗教性も有していた。その美術様式や宗教体系は、マヤ文明などの古典期メソアメリカ文明と共通するものがある。

オルメカの影響は中央アメリカの中部から南部に広がっていたが、支配下にあったのは中心地であるメキシコ湾岸地域に限られた[4]。その領域はベラクルス州南部からタバスコ州北部にかけての低地で、雨の多い熱帯気候のため、度々洪水が起こった。しかし、河川によって肥沃な土地が形成され、神殿を中心とした都市が築かれた[2]

オルメカの文化は、出土する様々な石像に現れている。人間とジャガーを融合させた神像は、彼らにジャガーを信仰する風習があったことを物語っている[2]

祭祀場では儀式としての球技が行われ、その際には人間が生贄として捧げられた[4]。また、絵文字や数字を用い、ゼロの概念を持つなど、数学や暦が発達していた[2]

美術

特徴的な美術としては、巨石人頭像やベビーフェイスと呼ばれる石像が挙げられる。大きな石彫だけでなく、ヒスイのような宝石を使った小さなものもあった[3]

巨石人頭像は、大きいもので3メートルもの高さがある巨大な石像である。胴体は存在せず、頭部だけが作られたものと考えられている。左右に広がった低い鼻や厚い唇といった顔立ちは、ネグロイド的ともモンゴロイド的ともいわれる[3]

ギャラリー

サン・アンドレス遺跡英語版から発掘された円筒印章を印刷したもの。鳥がオルメカ文字英語版を話しているとされる図。

脚注

  1. ^ ナサニエル・ハリス『古代マヤ 密林に開花した神秘の文明の軌跡をたどる』BL出版、2014年、59頁。ISBN 978-4-7764-0560-3 
  2. ^ a b c d 国本伊代『メキシコの歴史』新評論、2002年、37-39ページ。
  3. ^ a b c 加藤薫『ラテンアメリカ美術史』現代企画室、1987年、18-20ページ。
  4. ^ a b ブライアン・ハムネット『メキシコの歴史』土井亨訳、創土社〈ケンブリッジ版世界各国史〉、2008年、35-39ページ。

関連項目

外部リンク


オルメカ文明

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/21 07:04 UTC 版)

先コロンブス期」の記事における「オルメカ文明」の解説

詳細は「オルメカ」を参照 最も初期のものとして知られる文明オルメカである。この文明メキシコその後続いた文明全て引き継ぐことになる文化青写真作った。オルメカ文明は紀元前2300年大量に土器造ることから始まった紀元前1800年から同1500年権力首長集中させベラクルス南東部海岸近く今日サン・ロレンソ・テノチティトラン呼ばれる地にその首都建設したその影響力はメキシコはおろか中央アメリカメキシコ湾岸にも及んだ彼等人々思考新し統治法、ピラミッド型神殿書物天文学芸術数学経済および宗教方向に向けさせた。彼等成したことは東はマヤ文明、西は中央メキシコ文明に至る、偉大な足跡への道を拓くことになった

※この「オルメカ文明」の解説は、「先コロンブス期」の解説の一部です。
「オルメカ文明」を含む「先コロンブス期」の記事については、「先コロンブス期」の概要を参照ください。

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