酪農科学科1年D組 → 2年 → 3年
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「銀の匙 Silver Spoon」の記事における「酪農科学科1年D組 → 2年 → 3年」の解説
八軒 勇吾(はちけん ゆうご) 声 - 木村良平 / 演 - 中島健人(Sexy Zone) 本作の主人公。新札幌中出身。実家は札幌市西区にある。クラスの実習班はA班。 眼鏡をかけたごく平凡な少年。学生服の下にパーカーを着用するのが基本スタイル。一部の友人からは「ハチ」と呼ばれる。農業とは縁のないサラリーマン家庭。推薦入学での進学者が多いエゾノーでは珍しい、一般入学試験を受けて入学した生徒の一人。 通っていた新札幌中は有名な中高一貫の進学校だったが、激しい学力競争に敗れ、ノイローゼ気味になるほど自信を喪失し、成績の良い兄・慎吾に強いコンプレックスを持ち、成績でしか評価されていないと思い込んでいたため、家族と距離を置くようになった(本人曰く常識が通じない父と気持ちが通じない母と話が通じない兄)。さらに捨て鉢になって、内部進学をせずに外部の学校に進学希望である旨を担任・白石に告げた際、大らかな校風のエゾノーを薦められて受験した。周囲には「家に帰らなくて済むから(全寮制のエゾノーに入学した)」との理由を口にしている。特に農業関係の職に就きたいといった夢があるわけではなく、明確な夢を持つ周囲の生徒達に引け目を感じている。しかし、農家ではない家庭で育ったために農家での常識に疑問を持ち、それが同級生とのディスカッションや教師による特別授業のきっかけとなるなど、エゾノー1年生のキーパーソンとなっていった。 数学などの一般科目における学力は他のエゾノー生徒たちより遥かに優秀であり、クラスメイトから「勉強を教えてほしい」と頼られるほどだが、農業の専門知識、関連する学科では他の生徒たちには僅差でおよばないことも多い。1年1学期の中間考査では各学科別では全て2位以下であったものの、総合ではぶっちぎりで1位を取り、本人としては釈然としない結果を招いた。総合1位は3年の2学期まで続くことになる。 入学当初は身体能力が他の生徒に比べるとやや劣っていたが、日々の実習や部活等で否応なく鍛えられ基礎体力が向上してきている。それでも、1年時の文化祭の当日の朝には、様々な仕事を抱え込む余り過労で入院してしまった。ただし、積雪量の多い札幌で育ったこともあり雪かきは他の生徒より得意である。 本人は気にも留めていなかったが、幼いころから親が「ちゃんとしたもの」を食べさせていたため、気づかないうちに非常に良い味覚が育まれており、その味覚の鋭さや繊細さは、稲田真一郎やアキの祖父も認めるほどである。また字も綺麗でノートまとめが上手く、文化祭当日に倒れた時も第三者がノートを見るだけで八軒が計画していた通りの仕切りができる状態になっていた。 第一話で仔牛を捕まえようとしたら逃げられて、森に入り迷ってしまうなど、余計なことをして窮地に陥る典型的な不運の持ち主。要領が悪く少々捻くれており競争に勝つことへ拘る反面、弱者に感情移入しやすい素直で心優しい性格。お人好しで頼みごとを安請け合いする面があり、周囲からは「人にかまって損をするタイプ」「いい人」「断らない男」と評される(ただしアキの勉強を見ることを理由に一度大森の頼みを断っている)。また、妥協が許せず何事にも納得できるまで真摯に追求する性分が、エゾノーにおいては概ね良い方向へ発揮されているものの、友人たちからは「面倒臭い」とも思われている。 中学時代は学力競争に偏重した価値観の持ち主だったため、エゾノー入学当初も頑ななまでに学業成績や順位に縛られていたが、世の中には数値に換算できないことや「答え」が一つだけではないことが多く存在し、先入観で物事を穿って見たり判断したりしてはいけないということを身をもって経験して、学び始めている。その一方で、家畜動物などは生産率重視であり、数字が悪ければ早々に屠畜の対象になる現実を目の当たりにする機会も多く、前述との矛盾に疑問を感じて葛藤することもある。それらの体験を重ねていくごとに自ら考えることを覚え、学び、少しずつ成長している。しかし、中学時代に学力競争に敗れ周囲から孤立したトラウマは根深く、無茶な努力へ走ろうとする危うさと、何らかのトラブルに対し自己否定からスタートする悪癖は未だ抜けていない。 クラスメイトの御影アキに密かに想いを寄せており、より距離を縮めようと彼女の所属する馬術部に入部する。上級生(3年生)が引退した2学期からは馬術部の副部長に抜擢され、上級生の引退後も引き続き副部長を務める。さらに駒場家の離農を機にアキに自らの夢を家族に話すよう後押ししたことから、彼女の勉強を教えることになる。アキとは相思相愛で周囲も半ば公認しているが、アキの父親にプレッシャーをかけられていることや周囲の妨害もあり、なかなか告白できずにいたが、ようやく13巻で、「大学に合格したら、俺と付き合ってくれませんか?」と言おうかしたところ大川に妨害されるもアキには伝わっている模様。アキへの性格などを考慮した的確な勉強の教え方を見た豊西からは「教師に向いてるのでは」と言われるが、それを聞いたアキは八軒が教師になったら「クラスの生徒全員に全力でぶつかって過労死する」と自身も納得する返答をした。 アキの勉強を教える過程で、兄・慎吾が勉強のコツをまとめたノートを取りに行くことになり、不本意ながらも久々に帰省。久々に両親と食事を共にする。その席で父親・数正が発した「失敗した人」を全否定する罵倒発言に激怒し、初めて父に反抗する。その後母・美沙子が自らの生活振りを気にしてエゾノーを訪れたことを機に、自らに気を回した言動の真意にも気付き彼女と和解を果たすことができた。 2年への進級直前、なかなか就職先の決まらない大川にかけた「いっそ自分が社長になればいい」という言葉をきっかけに、卒業後の進路を進学せず起業する事と決め、そのために下宿を決意しアキの叔父・優志の知り合いに紹介してもらった下宿先に引っ越して一人暮らしを始めた。しかし、その後に訪ねてきた大川が差し入れに持ってきたジンギスカンを古いガスコンロで行い、途中で火が消えたため大川がライターで再度点火したところ、ガス爆発させて部屋を荒らされてしまい、コツコツと積み上げてきた御影家の信用を殆ど失ってしまう。それでも、自身の勉強をこなしつつ御影の勉強を見つつ起業の準備を行うという過酷なスケジュールをこなし、帯広競馬場での御影豚ピザ販売は黒字、御影の推薦試験も合格という最良の結果となった。その余勢を駆って好きだったと告白、一度は御影の父の邪魔が入るものの、イエスの返答を得て二人は正式に恋人となった。 クリスマスになって大川から会社で食肉加工も行うために必要な、食品衛生管理者の資格を取得するために大川からの命令で、急遽資格が得られる大蝦夷畜産大学の畜産科学科を受験するよう命じられる。センター試験の出願は前もって、八軒が慎吾からのバイトの手伝いでセンター試験を受けることになっていたため事前に出願をしており、センター試験は出来るが、エゾノーでの3年間のテストが特殊だったのと、受験勉強から離れていた状態のため、自身の今の学力が世間一般から見てわからない状態となってしまっていた。大晦日に実家で父に大蝦夷畜産大学を受験することを伝えると、父からは畜産大学を受けることには賛成を貰い、父が調べた様々な情報などを話し合った。 大学の合格発表時には、大川がテレビや新聞への宣伝用にと前もって作っていた、自社の宣伝用の豚の着ぐるみを着ており、警備員に止められるも、大川からの電話で自身が合格したのを聞くと、合格を聞いたリアクションで、その日の地元の新聞とテレビを総ナメにした。 畜産大学では豚の着ぐるみの一件で大学内では有名人になっており、学生からは八軒の様々な噂話による誤解によるデマで、周りとは距離を置かれてしまう状態からのスタートとなってしまう。 エゾノーを卒業して4年後、髪型をオールバックにしており、変わらず養豚事業を行い、御影との交際も続いていたが、駒場から「面白いビジネスの話がある」と言われ、彼のいるロシアのアムール州に飛ぶ。その土地の広大さからエゾノーに来たばかりの頃の様に遭難しかけるも、駒場と再会。彼や地元の少年達と草野球をしながら、自身の会社で豚を寒冷地の北海道の地でも増やす事が出来た地道な実績から、需要に対して畜産家の少ないロシアのその地で養豚をやる様、提案される。採算を取れる保証が無い事から渋るも、「八軒とやったら面白そう」と話を持ち掛ける駒場に「俺、人の夢を否定しない人間になるって決めたんだよ」と語り、草野球で駒場の投げる球を打てなければ、前向きに検討すると、条件付きで了承。経験者の駒場には本気で投げられる事となった。 御影 アキ(みかげ アキ) 声 - 三宅麻理恵 / 演 - 広瀬アリス 本作のヒロイン。清水第一中出身(推薦入学)。実家は上川郡清水町で酪農を一家で営んでいる。部活は馬術部。 気さくな笑顔とショートカットが特徴の、明朗で社交的な少女。スタイルも良い。人当たりもよく素直な性格であるが、周囲に迷惑を掛けないようにとの思いが強く、自我を抑えて独りで抱え込んでしまう傾向がある。それ故にどこか心に一線を引いて踏み込ませない雰囲気を醸している。 実家には農耕馬がおり、祖父の影響もあって幼いころから乗馬クラブに通うなど乗馬に慣れており、高い乗馬技術の持ち主。入学早々八軒が校内で迷子になった際、学校所有の巨大な黒馬(ブラックキング号)に乗って八軒を捜しに行き、その姿は八軒に「世紀末覇者」を連想させ恐怖させた。 将来の夢は大好きな馬に関わる仕事に就くことであるが、一人っ子であるため後継ぎとして無言のうちに期待され本人も家族からの期待を知っているため、そのことは家族に語ることなく胸に収めていたがそれがややプレッシャーとなっていた。駒場家の離農をきっかけに八軒の後押しでついに自身の本心を家族に打ち明け、ばんえい競走馬厩舎を営む叔父の下で働きたいと叔父に懇願し、「大学を出ること」を条件として認可されるが、自他共に認めるほど勉強が苦手で、学校の成績も同じクラスの常盤ほどではないがあまり良くない(八軒曰く常盤よりずっといい)ため、八軒に勉強を教えてもらうことになった。その後成績は徐々に伸び、担任の桜木から推薦入試での受験を勧められるまでになった。依田の引退時には次期馬術部部長に指名され尻ごみするものの、桜木の「推薦に有利になることは何でもやっておけ」という助言と、八軒の(かつての自分も持っていた)「先の見えないことに挑戦する姿」に影響され引き受けた。八軒の個人授業の甲斐もあり、3年秋には推薦を得られるだけの評価点を(ギリギリではあるが)得ることに成功。さらに推薦入試の面接においては圧迫面接によって窮地に陥るも、揺らいだ心を立て直して難局を乗り越え合格を果たした。その電話上で八軒から告白されるも電話を取り上げた父の罵倒によって返答はうやむやに。種々のストレスに苛まれていた八軒がストレス解消のため馬での遠乗りに付き合い、告白の返答として八軒と唇を重ねた。 一般受験で入学した八軒に興味を持ち、何かと気に掛ける。八軒が吉野と不純異性交遊を噂された時や他の女子生徒から告白されるかのような状況を目撃した際に、動揺する素振り(無表情になったり、持っていた物を落とすなど)をみせるなど、八軒を好ましく思っている描写がされている。駒場家の離農が決まった時には、思わず好意を八軒本人の前で告白しかけているものの、失敗に終わる。幼馴染の駒場と家族同然の付き合いをしてきたため男女の機微には疎く、周囲からは「ひどい女」「ニブい」「バカなの」「八軒に同情する」などとさんざん言われてから八軒のモーションに気づいて動揺する様が度々描写されている。それでもなお、今まで恋愛に興味がなかったため、的外れな言動も多い。 4年後、エゾノーの頃と同様に大蝦夷畜産大学では馬術部に入っており、八軒との交際も続いている。 駒場 一郎(こまば いちろう) 声 - 櫻井トオル / 演 - 市川知宏 短髪に鋭い目つき、大柄な体格が特徴の少年。 アキと同じ清水第一中出身。エゾノーには推薦で入学した。クラスの実習班は八軒と同じA班。アキには「いっちゃん」と呼ばれている。 武骨な物言いと、やや無愛想な表情であるが、実直で男気のある性格の持ち主で礼儀正しい一面も持つ。また、不器用な優しさ故に一度決めたことは曲げず、周囲からの気遣いを拒み続ける頑固な面も。アキとは幼馴染で互いの実家も近く(隣接しているというが片道約8km)、家族ぐるみで付き合う仲。実習以外の授業中はほとんど寝ており、国語・数学など一般教科の成績は芳しくないが、「作物」など専門教科の成績は優秀である。毎日の実習授業と部活を物ともしない豊富な体力と持久力を有しており、腕っ節も強い。ことあるごとに牛乳を好んで飲んでいる。 部活は野球部で、ポジションはピッチャー。幼少期から野球少年であり、実家の敷地内には父の作ってくれたピッチング練習場もある。しかし数年前に父を亡くしたため、高校卒業後は実家の酪農業を継ぎ、独りで切り盛りしている母親の力になりたいと考えている。その一方で甲子園に出場してプロ野球選手になり、あまり裕福ではない実家の経営を立て直したいという夢も抱いていた。 エゾノー野球部では1年生ながら秋季大会で幾度か登板しており、将来を期待されていたらしい。しかしエゾノー祭が終了してしばらく経ったころに実家の借金が原因で離農することが決まり、借金返済と家計を助けるために学校を中途退学した。その後しばらくは免許取得やバイトに明け暮れるが、八軒はその姿をかつての自分に重ねて「空っぽになったから、とりあえず目標を見つけて気持ちを繋いでいるだけ」と感じていた。その後、八軒をはじめとするかつてのクラスメイトたちの前を向く姿に徐々に影響を受け、母親の叱責もあって「一番やりたいこと」である「自分の牧場を持つ」という目標に向かう決意をする。そして稼ぎのいい仕事を見つけるため単身上京し引越業者で働いている。 勇吾らのすすめで、3年の秋より、慎吾が行っているインターネット家庭教師で勉強を始めた。後にロシアで温暖化の影響で使えるようになった土地を利用した、道内の銀行が行っている日露協力の農業ビジネスの合弁会社で働いており、自身はロシアで自分の牧場を持つのを目標にしている。八軒とはエゾノー卒業の四年後にロシアに呼んでおり、ロシアで豚の畜産をやらないかと誘った。 常盤 恵次(ときわ けいじ) 声 - 庄司将之 / 演 - 矢本悠馬 大きな三白眼の少年。入学当初は長めの髪を一つ結びにしていたが、1年の夏季休暇明けにはっちゃけた格好をしたために処罰を受けて、以降は坊主頭になっている。クラスの実習班は八軒と同じA班。部活は空手部。 中札内南中出身。鶏農家の長男で、家業を継ぐために推薦入学した。教わったことを3歩歩いただけで忘れるほど頭が悪く(八軒曰く「トリ頭」)、特に数学はテストで二桁の点数を取ったことがなく、小学1年生レベルの算数の足し算の問題すら間違えるほど壊滅的である。後に八軒の猛特訓を受け、ようやく一桁の壁を越える(それでも10点)。しかし鶏の生態や飼育法などの知識は豊富で、一学期中間考査では「畜産」で満点を取り、八軒を驚愕させる。また、勉強以外の面では知恵が回ったり、意外な才能を発揮する部分もあり、周囲に感心されたり「その頭を勉強の方に回せ」と呆れられたりすることもしばしば。エゾノー卒業時には運転免許を取得しており、学科は本人曰く「勘」で乗り越えており、周りからは「お前の車、絶対に乗らないと」言われた。 悪気はないが考えが浅く、配慮に欠けた行動や発言でクラスメイトたちの神経を逆撫でしたりと、何かと騒動を起こす。そのためクラスメイトたちからは、「いつ退学させられても不思議ではない」と思われている。また、八軒の兄・慎吾と同レベルの悪筆だが、それゆえに慎吾が残した虎の巻を解読できる才能があり、クラスのテスト点数向上に貢献したりもしている。 浪費癖があり、豚肉ファンドの発案者でありながら当初は金欠で加入を見合わせていた。後に副ぶちょーのおやつ代から加入資金を借用し周囲から反感を買うも、唯一自分の味方をしてくれたタマコのいうがままに、本人の無知と軽々しさからとんでもない金利の借用書をアッサリと書いてしまい、豚肉加工日の時点で利息がかなりの額になっているようである。実家を継ぐために早期の結婚を考えており、クラスメイトも婚活対象として見ている。 エゾノー卒業後は実家の後を継ぐつもりである。常磐の両親からはエゾノーを無事に卒業できたのは、八軒のおかげであると思っており、八軒の両親に感謝していた。エゾノー卒業後の四年後の夏には海外実習生への猛アタックの末に結婚しており、まもなく2人目が生まれる予定。 作者・荒川はこのキャラクターを気に入っており、『サンデー』2013年第18号の巻末で、自分の作品の中では常盤位置にいたいと発言している。 相川 進之介(あいかわ しんのすけ) 声 - 島﨑信長 長身で目が細く穏やかな風貌の少年。クラスの実習班は八軒と同じA班。 幕別東中出身。幼少期から獣医を目指しており、少しでも早く獣医学研究に携わるため、研究設備の整っているエゾノーに入学した。部活は授業外でも家畜を見たい(学びたい)ため、ホルスタイン部に入部。「生物」や「畜産」、「バイオテクノロジー」を得意教科とし、一般教科の成績もおおむね優秀である。 同級生も「君」「さん」付けで呼ぶ(常盤だけは苗字を呼び捨て)など性格は至って温和だが、西川の無断外出の企みに積極的に加担したり、その際に出くわしたスイカ泥棒に対して駒場・西川と共に容赦の無い制裁を加えたりと熱い一面も持っている。一般人の感性に理解を示す数少ない生徒の一人で、八軒とは実習時以外でも2人で連れ立っていることが多い。 幼少期から獣医志望であるが、小学生の時にひどい牛の手術を見たトラウマで、多少にかかわらず血(特に生体から流れる血)が苦手になってしまい、授業で行われる家畜の手術や屠殺の現場で失神するという醜態を晒すことが度々ある。獣医師を目指す者としては致命的な欠点だと自覚しており、克服しなければならない課題であると発奮するものの難儀である。しかし、動物を助けるだけではなく苦しめずに絶命させることもまた獣医師の使命であると考え、豊富な知識と正確な技術を身につけたいと前向きな姿勢を垣間見せている。その後駒場の離農退学と大蝦夷畜産大の屠畜場見学を経て「動物だけでなくそこに関わる人達も救いたい」という思いから家畜獣医になろうという意思を持った。進級と同時に寮を出て下宿し、受験勉強のため予備校もしくは塾に通う計画を立てている。その後担任の桜木の勧めで、アキとともに大蝦夷畜産大への推薦入学を目指し、3年秋に見事推薦枠を勝ち取ったものの、推薦入試は不合格となり一般入学に望みを託すこととなった。一般入試でも不合格となってしまい、後期合格発表も落ちてしまい私立の札幌農業大学に進学するかと思われたが、ギリギリで追加合格枠に選ばれた。 レギュラーの中では、唯一実写版に登場していない。 稲田 多摩子(いなだ たまこ) / タマコ 声 - 高垣彩陽 / 演 - 安田カナ 全体のシルエットが卵のような肥満体型の少女。名前をもじり「タマゴ」と呼ばれることもある。クラスの実習班は八軒と同じA班(紅一点)。部活は柔道部。 帯広川西中央中学校出身。実家は共同経営型の大規模な牧場。「お金が大好き」と明言し、金銭や利益に関することには大人顔負けの一面を見せるしっかり者。いずれは実家の牧場に就職して、経営に口を挟み、実父から社長の座を奪おうと考える野心家でもある。将来は、安全・信頼は勿論、そこに生産性や合理性を兼ね備え、さらに高い収益をもたらす農業経営を学び、世界と渡り合える農業を築くことを目指している。そのため効率的な大量生産よりも無添加で安全性を最重視するべきと考える兄・真一郎と意見がぶつかることも少なくない。得意教科は「農業経営」と「情報処理」で、一学期中間考査では数学を含めた3教科で満点の成績を収めている。 その体型から、クラスの男子たちに女性としては殆ど意識されていない。しかし、肌艶や髪質、目鼻などのパーツ自体は美形の条件を満たしており「トリミングしたら美人」と八軒たちを驚愕させた。また、体調を崩したり、本気でダイエットに取り組むと短期間で大幅に痩せることがあり、標準体型まで痩せた姿はかなりの美少女である(痩せた姿がパッケージに描かれたソーセージは、多くの男子が買い上げた)。ただし本人は「肌が荒れる」「貧血になる」など健康上の理由から痩せた姿を好んでいない(作者曰く「あの体形を維持するのに結構努力している」)。また、所作や言葉遣いがエレガントである。表情のバリエーションは少ない。 体型に似合わず身体能力は高く、体力自慢の駒場と卓球勝負で互角に打ち合うなどスタミナも豊富である。しかし、空腹になると力が出ず、朝食前の早朝実習では朝のおやつが欠かせない。 かなりのリアリストで、八軒にしばしば現実を見るよう忠告を行っている。年末を前に、八軒の依頼で常盤が発案した「豚肉ファンド」の経理を任されることになる。その後、起業をめざす八軒の企画書の添削を行うようになる。また、(株)GINSAJIでの帯広競馬場ピザ販売に際し予算管理を担当しており、経理能力に磨きをかけている。 エゾノー卒業後は札幌農業学園大学の経営学部に進学が決まっている。 吉野 まゆみ(よしの まゆみ) 声 - 井澤詩織 / 演 - 岸井ゆきの そばかす顔とツインテールの髪型が特徴の少女。部活はバドミントン部。兄がおり、漫画やDVDをよく借りてくる。 下浦幌中出身。酪農家である実家の牛乳を使ったチーズ工房を立ち上げることが夢。そのためチーズの知識に長け、また「食品製造」を得意教科としており、一学期中間考査でも満点の成績を収める。カマンベールチーズが好物。 常に明るくはっきりした性格だが、中島先生を脅迫して秘蔵のチーズを無断で持ち出すなど、チーズに関することでは手段を選ばない面もある。八軒の生真面目さや義理堅さを評価する人物の一人だが、八軒がアキをデートに誘った件で恋愛対象としてどうかを同級生に問われた時は「(他人のことで悩んだりして)面倒臭そうだから嫌」と完全否定している。 進級後チーズ研究会の会長に就いているが、金に糸目をつけない方針のため中島を悩ませている。 卒業後はチーズ関係の仕事について勉強し、のちに独立することを考えている。しかし就職面接に行った会社が典型的なブラック企業であり、どうやって面接時に即時与えられた内定を蹴るかで頭を悩ませた。最終的に内定辞退に成功し、チーズ職人として修業するべく単身フランスに渡ることを計画中。エゾノー卒業式直後は内定を蹴った事で無職の状態だったが、中島先生の尽力によって、フランスのチーズ関係者を紹介してもらい、西川からフランス語を学ぶ教材としてアニメ『くのいちシスターズ クール&キュート(以降、くのしす)』のDVDを餞別として渡された上で、フランスへチーズの修行をするためにフランスに留学した。 エゾノー卒業後の四年後の夏には日本に一時的に帰国しており、ボーイフレンドのアンドレを連れており、御影らに紹介していた。一方で、夢だったチーズ工房が、実家が肉牛育成に鞍替えした事で叶わなくなった事を嘆いていた。 同クラスの男子生徒 西倉 亮(にしくら りょう) 声 - 白井悠介 バレー部。東藻琴が丘中出身。 御茶の水 太郎(おちゃのみず たろう) 声 - 村田太志 卓球部。岩見沢光中出身。メガネをかけたインテリ風の外見のため、「ハカセ」とあだ名される。八軒をライバル視している。 アニメでは、偶然から脱走しようとする西川らを発見してしまい、口封じのために拘束された。また、「完全限定生産盤DVD」では付属品である「エゾノー新聞」の発行者として、八軒の言動に対して根も葉もない噂のような伝聞を広めている。 エゾノー卒業後は東京国際農家大学に進学するも、のちに稚内キャンパスにとばされる。二又 幸次(ふたまた こうじ) 声 - 田丸篤志 ホルスタイン部。津別川中出身。バイオテクノロジー研究に興味があり、高校としては最先端の研究施設があるエゾノーを志願した。 太田西 力(おおたにし ちから) 声 - 蓮岳大 柔道部。厚岸トライベツ中出身。 豊田 直樹(とよだ なおき) 声 - 中澤まさとも サッカー部。音更元町中出身。 勢雄 速見(せお はやみ) 声 - 小林直人 剣道部。上更別中出身。北海道流百人一首が得意。 泉川 しげる(いずみかわ しげる) 声 - 小野友樹 空手部。別海中風連中出身。実家は乳牛を飼っており、自家繁殖のために「家畜人工授精師」の資格取得を目指している。その一環としてホルスタイン部入部を考えていたが、先輩たちにドン引きして諦めた。 尾田 順(おだ じゅん) 卓球部。大樹晩成中出身。 目黒 海斗(めぐろ かいと) 声 - 山本兼平 ラグビー部。えりも岬中出身。 登和里 英策(とわり えいさく) 声 - 徳本英一郎 ラグビー部。士別岩尾内中出身。 近藤 豊(こんどう ゆたか) 声 - 小林直人 バスケ部。ニセコ東山中出身。 坂の上 真二(さかのうえ しんじ) 陸上部。芽室東中出身。 三条 拓(さんじょう たく) サッカー部。新得トムラウシ中出身。 丸い目と右側だけ伸びた前髪が特徴の少年。他の男子生徒と比べ小柄である。クラスメイトの太田西とよく行動を共にしている。 豚の肉質改良に興味を示しており、二年次のプロジェクト研究では「あらたなブランド豚をめざして」に参加。 進路相談では農業以外の道に進むことも考えていることを明らかにした。 松山 雄一(まつやま ゆういち) 声 - 山下大輝 野球部。大樹中央中出身。駒場とは違い補欠にも入れない程度の力量。ガールフレンド欲しい派。 音調津 陣(おしらべつ じん) 空手部。広尾紅葉通中出身。 巴沢 和真(ともえざわ かずま) 声 - 高橋伸也 柔道部。女満別東陽中出身。アニメでは、実家が養豚をしていることから八軒に豚丼を太らせるための秘策を教えた。 卒業後は海外で畜産を学ぶつもりだったが、体育大学に行って柔道でどこまでいけるか試してみたいとも考えている。 川合 隼人(かわい はやと) 声 - 渡辺拓海 バドミントン部。とかち池田中出身。実家はブランド牛を飼育している。 柏ヶ丘 剛弘(かしわがおか たけひろ) 空手部。中鹿追中出身。 白糸 鷹志(しらいと たかし) 陸上部。足寄螺湾中出身。ベッカムヘアを連想させる独特の髪型をしており、髪のセットに毎朝30分かけている。 渋山 達也(しぶやま たつや) バレー部。芽室東中出身。 桂木 翼(かつらぎ つばさ) テニス部。釧路町若葉中出身。 宮舞 晴彦(みやまい はるひこ) バドミントン部。奥別海中出身。 東 道久(ひがし みちひさ) 陸上部。帯広大正中出身。 白銀 鉄平(しろがね てっぺい) バスケ部。忠類本町中出身。かなり横着な性格で、「政府からの補助金たっぷりで、金の苦労を考えずに済むものを作って暮らしたい」と考えている。 多和 泰樹(たわ やすき) 陸上部。北標茶中出身。 居辺 卓弥(おりべ たくや) 陸上部。上士幌ナイタイ中出身。 二宮 英多(にのみや えいた) サッカー部。豊頃町はるにれ中出身。 山田 旭(やまだ あさひ) バスケ部。倶知安西陵中出身。 出席番号40番 本名も顔も不明。クラスの実習班はD班で、後姿を見る限りでは短髪に茶筅髷のような髪形をしている。 同クラスの女子生徒 40人学級のうち女生徒は7名のみのため、結束力が高い。年齢相応に恋愛には興味津々であり、(最終的に横槍が入ったが)八軒と御影の初デートとなる外出に同行しようとした常盤を実力で排除するなど、行動力も旺盛。 石坂と明野はアニメで声優が当てられておらず、原作コミックにあるセリフは別人に置き換えられている。北町 みなみ(きたまち みなみ) 声 - 種﨑敦美 オールバックポニーテールの眼鏡っ娘。テニス部。士別西中出身。 実家は作物栽培と牧羊を生業としている。国内の羊肉自給率向上のためにニュージーランド留学も考えている。 末広 実郷(すえひろ みさと) 声 - 清都ありさ 長身でショートヘア。バレー部。訓子府東中出身。 ほかの女子よりは物事をはっきりと言う性格であり、勇吾と二人きりで遊びに行く約束をしてもなお友達としか認識していなかった御影に「幼馴染じゃない男が女と二人きりで遊びにいきたいというのはそーゆーことだ」と言い放って、勇吾の御影への想いを諭した。 石坂 美穂(いしざか みほ) 糸目でウェーブヘア。卓球部。大樹中央中出身。 明野 琴音(あけの ことね) 黒髪ロングヘア。剣道部。幕別札内西中出身。
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