豚丼とは? わかりやすく解説

ぶた‐どん【豚丼】

読み方:ぶたどん

豚肉甘辛く炒めたものをのせたどんぶり飯北海道東部郷土料理

豚肉ネギなどとともに煮込んでどんぶり飯にかけたもの

[補説] 2は、BSE牛海綿状脳症)の発生により平成15年2003)に牛肉輸入一時停止されたことを受け、外食チェーン店で牛丼代用品としてつくられた。


ぶたどん

たどん【豚丼】[名]の上焼いた豚肉載せた丼物。たれは甘辛い醤油ベース一般的全・道東〉

豚丼

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/07 07:44 UTC 版)

豚丼
帯広市「ぱんちょう」の豚丼
発祥地 日本
地域 北海道帯広市
誕生時期 1933年
テンプレートを表示

豚丼(ぶたどん、とんどん)は、調理した豚肉米飯の上に載せた日本発祥の丼物料理。

  1. 1933年に考案された北海道十勝地方の郷土料理である。帯広系豚丼。読みはぶたどん。
  2. 2003年BSE問題によって牛丼チェーン店で誕生した牛丼の代替メニュー。牛丼チェーン店系豚丼

本項では区別しながら双方を詳述する。

帯広系豚丼

十勝地方の豚丼の一例

北海道十勝地方の豚丼(ぶたどん)は甘辛いタレを付けて焼いた豚焼肉を丼飯の上に載せた丼物である。十勝地方に特有のこの種の豚丼は、1933年(昭和8年)に帯広市の大衆食堂「ぱんちょう」創業者である阿部秀司が考案したとされる[1][2]

豚肉を砂糖醤油などで味付けした甘辛いタレで焼いたものを載せた丼飯で、十勝地方の名物として道東の飲食店で広く供されている。店舗によって肉の調理法(網焼きまたは鉄板焼き)や、トッピング(白髪ネギグリーンピース)などに違いがある。

十勝地方では明治時代末に養豚が始まり、大正時代末期には豚肉食が一般的になりつつあったが、食材調理器具の制限で料理法が限定されており、特に豚カツのような手の込んだ料理の提供は困難であった。阿部は調理が容易で庶民でも食べやすい料理ということで、鰻丼をヒントにした醤油味の豚丼を開発したという[3]

2003年以降は、牛丼チェーン店系との区別のため帯広系豚丼十勝豚丼帯広豚丼と呼称する場合もある。

牛丼チェーン店系豚丼

すき家の豚丼

牛丼チェーン店系豚丼は、薄切りの豚肉とタマネギやゴボウなどを調味した割下で煮たものを載せた料理である。

各社での呼び方は少しずつ異なっている。「豚」の読みは概ね訓読みだが、すき家では音読みとなっている。

  • 松屋:「豚めし(ぶためし)」
  • 吉野家:「豚丼(ぶたどん)」
  • すき家:「豚丼(とんどん)」
  • なか卯:「豚どんぶり(ぶたどんぶり)」

経緯

BSE問題による牛丼の代替品として導入

2003年(平成15年)12月BSE問題による牛肉の調達困難に伴い、牛丼の代替品として開発された。

牛丼にできるだけ近い味を目指した商品であったが、当初は豚肉の特性に合わせた調理法や味付けが不完全だったため、低評価を下した客も少なくなかった[4]。その後地道な改良を重ねて豚肉により合った調理法とオペレーションを築き上げ、独自の味付けに変化することで牛丼とは別の顧客が開拓された[4][5]

BSE問題解決による販売終了

その後、オーストラリア産牛肉の輸入やアメリカ産牛肉の輸入再開によって牛丼の販売が再開されたため、なか卯は2005年10月で豚どんぶりの販売を終了した[5]。吉野家・松屋・すき家では牛丼の販売再開後も豚丼の販売を続けてきたが、まずすき家が「牛丼の代替品の役目を終えた」[6]、「主力の牛丼とカレーを値下げするため」[5]として、2009年4月23日に豚丼の販売を休止した。

吉野家は2011年12月8日に「焼味豚丼 十勝仕立て」という名称で帯広系豚丼である焼味豚丼の販売を開始し、従来タイプの豚丼の販売を終了した。松屋も2012年1月9日に店頭メニューとしては販売を終了し、店頭およびインターネットでの冷凍個食パックの販売のみ継続とした。

復活

牛丼に似せた代用品として販売開始された商品であったが、牛丼の再開後も豚丼を好む客層があった[5]。牛丼より価格が安いことのほか、「味があっさりしていて食べやすい」「豚丼が好き」「牛肉があまり好きではない」などの声もあったという[5]

2009年にすき家が豚丼の販売を休止したときもすき家では「一定比率の売上はあった」としていたほか、吉野家・松屋でも牛丼に次ぐ売り上げがあった[5]。上記3社とも牛丼の代用品としての豚丼の販売は休止したが、期間限定での復活販売を行ったり、吉野家の焼味豚丼や塩豚丼、松屋の塩キャベツ豚丼や生姜焼き丼、すき家の豚生姜焼き丼や豚カルビ丼など豚肉を使用した丼物の開発と販売は断続的に行われていた。

そして、すき家は2015年から、吉野家は2016年から、松屋は2022年2月1日から、豚丼のレギュラー販売を再開した(一時終売していた時期を含む)。2022年7月現在では吉野家以外は販売終了している。

その他外食としての豚丼

スタミナ丼

伝説のすた丼屋の「すた丼」

ニンニクを効かせた醤油だれや塩だれで味付けし炒めた豚肉を丼物にして、生の鶏卵を上に落とした丼物を「スタミナ丼」として提供する店も存在する。東京都国立市の「サッポロラーメン 国立店」が発祥とされる[7]。スタミナ丼を主に取り扱っているチェーン店として、「すた丼」と呼称して販売する「伝説のすた丼屋」がある。2017年より吉野家でも「豚スタミナ丼」が販売され(終売)、2020年からは豚肉に加え牛肉と鶏肉ものせた「スタミナ超特盛丼」が販売されている。

生姜焼き丼

豚の生姜焼きを丼物とした料理を提供している店も、関東地方を中心に散見される。全国チェーンの吉野家で提供されるほか、松屋でも一時期販売されていた。

豚みそ丼

山間部にある埼玉県秩父地方では冷蔵・冷凍技術の発展前伝統的に食肉を味噌漬けで保管していた[8]。これと帯広の豚丼を参考に考案されたものとされる[9]

豚丼(とんどん)

かつて大阪府で数店舗展開していた「とん丼亭」では、豚肉とキムチニラを独自のたれで炒めたものを載せた丼物を「豚丼(とんどん)」として供していたが、現在は1店舗のみ営業しており、メニュー名は「とん丼」と表記変更している。

大学丼

大学丼」として、近隣の大学に由来する地域密着型メニューになっている。大学丼祭というキャンペーンを度々行っており、近隣に知られている。上記の「とん丼亭」も、大阪学院大学のそばにある。

  • 駒沢丼「ねぎ塩豚丼」
  • かまた丼「彩り野菜のホエー豚丼」
  • 東経丼「スタミナ塩すた丼」
  • 帝京丼「ホエー豚の肩ロース丼」
  • 仙台丼「ホエー豚の焼き肉丼」
  • 中央丼「チンジャオ仕立てのホエー豚丼」
  • 一橋丼「野菜たっぷり多摩すた丼」

中食

セイコーマートの豚丼(店内調理)
  • スーパーマーケット等の惣菜コーナー、コンビニエンスストア、持ち帰り弁当店などでは「豚丼弁当」を販売している例もある。中には、配達サービスを行う店舗もある。
  • 豚丼を販売する各牛丼チェーンでは、持ち帰り用の容器を用意しており「豚丼弁当」としても販売している。

家庭での調理

家庭に常備された基本的な調味料のみで作ることができる。また帯広系、牛丼屋系ともに市販の調味料が販売されている。

帯広系

あらかじめ調合された「豚丼のタレ」が各食品メーカーより発売されている。

牛丼屋系

レトルト冷凍の「豚丼の素」がグリコS&Bマルハソラチ等の食品メーカーや牛丼チェーンの松屋や吉野家からも発売されている。

豚丼の日

家庭用豚丼の素を発売している食品メーカーソラチが、2010年2月に2月10日を「豚丼の日」として日本記念日協会に登録し、PRや消費拡大活動を行っている[10]

関連項目

脚注

出典

  1. ^ 元祖豚丼ぱんちょう 帯広観光コンベンション協会
  2. ^ 「ステーキを下町で」p20 平松洋子著 文藝春秋 2013年2月初版第1刷発行
  3. ^ 十勝毎日新聞社連載記事「十勝豚丼物語」
  4. ^ a b 2005年7月号 特集:旨い!「丼」/豚丼は牛丼に勝てるか!?”. dancyu (2005年7月). 2008年5月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年11月12日閲覧。
  5. ^ a b c d e f 「豚丼」はどこへ行く すき家は休止したが… J-CASTニュース 2009年4月17日
  6. ^ すき家が牛丼やカレーを値下げ、そして「豚丼」を販売休止へ GIGAZINE 2009年4月16日
  7. ^ 株式会社アントワークス
  8. ^ 誕生秘話肉の安田屋公式HP
  9. ^ 誕生秘話豚みそ丼本舗野さかHP
  10. ^ 2月10日は「豚丼の日」”. WEB TOKACHI. 十勝毎日新聞社 (2011年2月4日). 2011年2月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年5月14日閲覧。
  11. ^ 将棋の渡辺くん(2)』付録「超異例鼎談in渡辺家!!」

豚丼(ぶたどん)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 09:21 UTC 版)

銀の匙 Silver Spoon」の記事における「豚丼(ぶたどん)」の解説

豚舎棟で実習(=食肉)用に飼育されている、生まれて間もないの子豚。三元交配豚(三元豚)。他の豚と違って尻尾半分が白いのが特徴生後直ぐに行う兄弟間での上下関係を決め競争敗れて母乳の出が豊富ではない乳房押しやられたため他の兄弟たちより発育悪く小柄。彼を哀れんだ八軒名付けようとしたが、いずれ確実に食肉にされる「家畜」に情が移ることを心配した女子らのアドバイスで「豚丼」に決まる。その直後、3ヵ月後に食肉になることが判明。後に予定通り出荷され屠畜される。数日後出荷前に「豚丼=食肉」を買い取った八軒のもとに豚肉となって届けられた。

※この「豚丼(ぶたどん)」の解説は、「銀の匙 Silver Spoon」の解説の一部です。
「豚丼(ぶたどん)」を含む「銀の匙 Silver Spoon」の記事については、「銀の匙 Silver Spoon」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「豚丼」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「豚丼」の関連用語

豚丼のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



豚丼のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
北海道方言辞書北海道方言辞書
Copyright © 1997-2025 by akaringo. All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの豚丼 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの銀の匙 Silver Spoon (改訂履歴)、豚丼 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS