かて飯
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かて飯(かてめし)は、米に他の穀物や野菜・海藻などの食品を混ぜて炊いた飯。「かて」ともよび、「糅飯」とも書く[1][2]。
注釈
- ^ 「日本の食生活全集 東京」編集委員会 (1988)には、どのような時に白米飯を食べたかの記載があるが、白米飯を常食にしていたのは東京都区部のうち下町と山の手に限られ、葛飾や大森海岸では常食は2-3割程度の麦を混ぜた麦飯とあり、ここでいう都市部には含まれない。
- ^ 「日本の食生活全集 千葉」編集委員会 (1989)には、九十九里浜の漁村の例があるが、稲作地帯であり漁師でも水田を所有し米は自前であるにも拘らず、日常的には購入した麦を混ぜるとある。しかし忙しい時や漁に出た際の船上での炊飯は手間を省くため米だけの飯を炊き、ハレの日でなくとも白米飯を食べる例である。また、『聞き書 富山の食事』にある氷見灘浦の漁村の例は、冬場は脚気防止のため1割り程度麦を混ぜるが、ふだん食べるのは白米飯とある。
- ^ 「日本の食生活全集 埼玉」編集委員会 (1992)には、北足立台地の上尾の兼業として豆腐屋を営む農家の例があり、米と麦半々の飯を食べているとあるが、「日本の食生活全集 東京」編集委員会 (1988)の武蔵野台地・久留米の農家の例は、麦を7割あるいはさらに稗を1割入れた米3割か2割の飯となっており新谷尚紀ほか (2013)の記述と整合する。これは南側の世田谷の喜多見なども同様であった。
- ^ 野本寛一 (2011, p. 254)は、1933年(昭和8年)生まれの女性の幼少時の体験を一例としてあげている。なお、これが不幸な例というわけではなく、ひもじさをこらえていた都市部の子供よりむしろ恵まれていたということもできる。
- ^ 増田昭子 (2001, p. 40)には、秋田県は米の国であり、雑穀の生産が少ないこともあって、明治の初め県令島義勇の政府への報告書のなかに、「県民は山間僻地でも白米を食している……」と驚きの様子を示しているとあり、東北地方の山村でも、明治以前から白米飯を食べているところもあった。
出典
- ^ 新村出 編『広辞苑』(第5版)岩波書店、1998年11月。ISBN 4-00-080111-2。
- ^ a b c d e 新谷尚紀ほか 2013, pp. 26–30.
- ^ 新谷 尚紀 他『民俗小事典 食』(吉川弘文館、2013年、ISBN 978-4-642-08087-3)26-28頁
- ^ a b 「日本の食生活全集 山形」編集委員会 1988, pp. 123–124.
- ^ a b 「日本の食生活全集 東京」編集委員会 1988, pp. 164, 175.
- ^ a b c d 「日本の食生活全集 富山」編集委員会 1989, pp. 140–143.
- ^ 「日本の食生活全集 埼玉」編集委員会 1992, p. 347.
- ^ 「日本の食生活全集 埼玉」編集委員会 1992, p. 133.
- ^ a b 「日本の食生活全集 埼玉」編集委員会 1992, pp. 177–178.
- ^ a b 「日本の食生活全集 埼玉」編集委員会 1992, p. 224.
- ^ 「日本の食生活全集 埼玉」編集委員会 1992, p. 285.
- ^ a b c 「日本の食生活全集 東京」編集委員会 1988, p. 233.
- ^ 野本寛一 2011, pp. 254–255.
- ^ 「日本の食生活全集 山形」編集委員会 1988, pp. 171, 175, 197.
- ^ 「日本の食生活全集 宮城」編集委員会 1990, pp. 139–141.
- ^ 「日本の食生活全集 東京」編集委員会 1988, pp. 283, 294.
- 1 かて飯とは
- 2 かて飯の概要
- 3 栗飯
- 4 山菜飯、きのこ飯
- 5 海藻飯
かて飯
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かて飯
出典:『Wiktionary』 (2021/08/13 09:59 UTC 版)
名詞
- 米と一緒に米以外の穀物・豆・野菜・海草などを混ぜて炊いた飯。かつて貴重な米を食い延ばすために作った日常食である。肉・魚・きのこのような良い味が出る材料が入ると、炊き込みご飯という。混ぜる材料が穀物(雑穀)・豆などに限られても、その地方・家庭でご馳走として食べられる(御強(wp)など)なら、かて飯とは言わない。
語源
混ぜ合わせる意味の糅てるを語源とする。
これが転じて、糅飯と言い、大根飯、麦飯などを指すとされる。
(異説)学界にも依然異論があり(糅飯は、『穀物の食い延ばしをはかる目的の日常食なので、麦飯・玄米食などを含まない』と言う概念と、上記の説の矛盾を指摘する。=穀物節約食、飢饉・備荒食説)は残る。こちらの説を一部の辞書でも採用
関連語
「かて飯」の例文・使い方・用例・文例
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