食肉加工
食肉加工
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 13:22 UTC 版)
イノシシは、屠畜場法に基づく検査(と畜検査)の対象にされておらず、食肉として供給する際の疾病確認や解体時における衛生対策などの法定基準は設けられていない。 捕獲されたイノシシの食肉加工は猟師が自ら行う場合がほとんどであり、野生のイノシシの肉が流通することはまれである。このため、イノシシ肉の品質や味は、イノシシの健康状態や肉質のほか、加工を行った猟師によって大きく変化する。イノシシに限らないが、狩猟によって得られた肉は、当たり外れが大きいため、イノシシ肉を提供する店舗では、イノシシの牧場から仕入れることで、品質を一定にする試みが行われている。 鳥取県内では2003年(平成15年)より市町村の補助金で県内数箇所にイノシシ専用の食肉加工処理施設が設置、現在も稼働中である。 群馬県では、2007年(平成19年)4月より中之条町でイノシシ専用の加工施設が設置された。現在「あがしし君」のブランドで販売されている。 島根県では、イノシシなどの野生獣畜の食肉に起因するE型肝炎などの健康被害の発生もみられることから、2006年(平成18年)9月、猪肉を安全に供給するシステムを構築するため、HACCPの概念など食品安全基本法の趣旨を取入れた「猪肉に係る衛生管理ガイドライン」を独自に作成した。 佐賀県武雄市では2009年(平成21年)4月に「いのしし課」を新設。それまでの、個体数調整事業に偏りすぎていた対策に、捕獲したイノシシ肉の利活用まで取り組むことで、地域の資源として有効に活用、特産品・ブランド化を目指し食肉加工センター「やまんくじら」と連携して武雄産イノシシ肉のPRをはじめ新たな商品、加工品の共同開発を進めながら販路開拓に努めている。また、地元の商工会議所青年部、商工会青年部やまちおこし・まちづくり団体と協力・連携して、シシ鍋、シシ汁やシシリアンライス等の試食・振舞を実施しながら地元でのPR、普及に努めている。 福島第一原子力発電所事故を受けて、原子力災害対策特別措置法に基づく食品に関する出荷制限により、捕獲地域によっては出荷が制限されている。県の定める出荷・検査方針に基づき管理されるイノシシの肉は制限が除外される場合がある。
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