さん‐すう【算数】
算数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/27 09:57 UTC 版)
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算数(さんすう)は、日本の小学校における教科の一つであり初歩的な数学を取り扱う。広義には各国の初等教育における一分野も指す。
この項では便宜を考慮して各国の初等教育(中でも小学校に相当する学校)における、算数に相当する教科について広く解説する。
類似の言葉として、初等数学(英: elementary mathematics)があり、定義は曖昧だが、こちらは日本の中学校の数学辺りまでを指す言葉である。方程式や冪乗などを含む。
概説
国ごとに教える内容や教え方、教科書のあり方などに相違点がある。例えば日本では乗法(かけ算)に関して、「九九」すなわち9×9の数表を教え暗記させているが、インドでは「20×20」(19×19) の数表を教え暗記させている。(昔は一部で99×99までを暗記させるところもあったといわれているが、実際は違う[1]。)また、日本では「2+3=□」というタイプの、答えが基本的には一つしかないような課題が主として出されるのに対し、ヨーロッパなどでは初期の段階から「□+□=5」といったような課題を頻繁に提示し、答えが一つではなく複数あり、様々な数学的な発想・探求へといざなうような教育がされることが多い。
中国、台湾、韓国、北朝鮮では、「算数」ではなく「小学数学」と呼ばれている。
「算数」という語の由来
中国、前漢時代についての史書『漢書』律暦志に「數者一十百千萬也 所以算數事物 順性命之理也」とある[2]。次に紀元前1世紀の『周髀算經』が知られている[3]。また1983年12月 - 1984年1月にかけて湖北省江陵県(現:荊州市荊州区)にある前漢時代の張家山西漢墓の発掘調査から竹簡『算數書』が発見されている[要出典]。その内容は乗法などの問題集で後の『九章算術』に影響したのではないかと推測されている。よって「算数」はこの時代に使用が広まったものと推測される。すなわち、算数、算術、数学の用語のうち、現在見つかっている最古の語は「算数」である。日本における教科名としては、算術に代わって1941年より用いられている。
中国では現在、「算数」とは数学の源流的なものを指す。
日本の算数
日本では、小学校までは「算数」、中学校以降では「数学」という呼称となっている。中学以降の数学は概念、厳密性(証明など)、抽象化に重きを置いた内容となっており、また専門的な職業で用いる応用をにらんだカリキュラムになっている[注 1]。対して小学校の算数は「日常の事象について見通しをもち筋道を立てて考え,表現する能力を育てる」ことが目指される[4]。
計算の反復練習が重要なことや、問題を制限時間内にこなすために集中力や持続力を育てる必要等から、しつけとしての役割もある[要出典]、と述べる教育者もいる。それに対して、 算数の目的はしつけや我慢にあるわけではない[要出典]と述べる人もいるという。
形式陶冶説と実質陶冶説
古くから日本の算数の目的としては「形式陶冶説」がとられていた[要出典]とされる。形式陶冶とは、実際的な知識や技能の獲得を主な目的とするのではなく、学ぶ過程から心的能力を育てることを目標とする考え方である。算数については、これを学ぶことで「 学んだ問題が解けるようになるだけでなく、広く、思考力が高まる[要出典]」ともされてきた。 しかし、これには異論もあり、例えば エドワード・ソーンダイクは実験により学習転移は狭い範囲に限られることを確かめた[要出典]と述べたという。「与えられた予め答えが決まっている問題解きを繰り返しても、その限られた狭い周辺の問題が解けるようになることはある。しかし広い意味の思考力はつかない」というのである。
その後も形式陶冶の考え方は根強いが、実際的な学習効果を重視する「実質陶冶」の考え方も強くなってきている[要出典]、ともされる。
現在の日本の小学校の算数の主な学習内容(2020年度以降)
出典:[5]
数・式
注釈
- ^ 中学校学習指導要領(平成29年3月告示)の「目標」では「数量や図形などについての基礎的な概念や原理・法則などを理解するとともに,事象を数学化したり,数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする。」とある。https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/073/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/06/21/1372244_15.pdf#page=2
- ^ 大学入試における三角比の問題で、三角形の辺の長さや角の大きさを具体的に求めるなら、三角比を使わずに、合同や相似の性質だけから解けることもある。また、大学入試の順列や組み合わせは意味さえ理解できれば小学生でも解けるものがある(芳沢光雄著『算数・数学が得意になる本』(講談社現代新書)163頁より)。
- ^ 方程式では未知数を文字で表し、それを立てて解くことで解が得られる。負の数、文字式の計算は小学校の範囲外なので、相当算・還元算などにおいて移項はできない。そこで、求めたい量を「1」などとして等式を立式し、増加量・減少量に着目して答えを導出する。
例として、方程式- 3x-1=x+5
出典
- ^ “How far up the multiplication tables do Indian students memorize?” (英語). Quora. 2022年8月24日閲覧。
- ^ “汉书·志·律历志上_古诗文网”. so.gushiwen.cn. 2022年8月24日閲覧。
- ^ “周髀算経の研究 - 国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2022年8月24日閲覧。
- ^ 小学校 算数科における目標の変遷-目標における資質・能力- 小学校学習指導要領 平成20年3月
- ^ 管理人. “小学校算数の目次|数学FUN”. 数学FUN. 2022年8月24日閲覧。
関連項目
算数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 14:14 UTC 版)
算数は点数の差がつきやすいことが多く、そのため難度の点でも話題に上ることが多い。出題形式は大むね、問題数が多く、正確さとスピードが重視されるタイプの学校と、3~6題程度の応用問題のみ出題する学校とに分かれる。 文章題では、方程式だけに頼らず、単元に固有の性質に着目して解くことが求められる。小学校では方程式を習わないため、方程式だけを使おうとすると、文字数や等式が多くなったり、立式が困難になる問題がほとんどである。 計算問題四則混合、逆算 虫食い算易しいものから、場合分け・論理的思考が問われるものまである。 覆面算(同じラベル(アルファベットなど)には同じ数字が入る) 小町算もどき小町算とは、123456789の数字に四則などの演算記号やかっこを挿入して計算結果が100(99という説もある)になる計算式を作る問題。 小町算は、小野小町が、言い寄って百夜通いをしていた深草少将の死を悼んで考え出した計算といわれる。 挿話の出典は世阿弥の浄瑠璃による架空のものであるとする説がある。 転じて、いくつかの数字に演算記号やかっこを挿入して与えられた数にする問題を小町算と称する、あるいは区別して、小町算もどきと称する。 魔方陣n×n個の小正方形に、縦・横・対角線の列内の和が互いに等しくなるように数を入れる。また、対角線については問わないものや、和の替わりに積であるといった変則的な問題もある。 魔方陣もどきもある。例えば、いくつかの互いに交わる円があり、その円周や交点に書かれた空欄に、各円周上に並ぶ数の和が互いに等しくなるように埋める問題である。形状はさまざまのものがある。 約束記号四則混合に加えて、ガウス記号が挙げられる。 数論約数・倍数に関する問題3数以上の最大公約数 (GCD)、最小公倍数 (LCM) には、素因数分解が有効である。 ユークリッドの互除法(数が大きく素因数分解が困難な場合に使う) オイラー関数は、大学課程の範囲であるが、検算用に利用できる。 商・余りに関する問題1次不定方程式 特定の整数の特別の性質について解く問題西暦の数字など カードのシャッフルカードを枚数の等しい2組に分け、一定の規則で並べ直すときの、カード番号の配置を問う問題。 位置番号の偶奇で場合分けする。 中学入試では1982年に麻布中に出たものが初出とされる。2002年に東京大学で出たことを受けて、2004年から中学入試に再浮上してきた。 ままこ立て継母の子と先妻の子を混ぜて輪状に並ばせ、10人ごとに取り除いて最後に残った者を後継者にするというもので、最後に残る者を選ばせたら、特定の者が残る数え方を問いたりする問題。 江戸時代の有名な塵劫記や鎌倉時代の徒然草にも出てくるが、室町時代の書にも、西行が源頼朝からもらった猫の置物を道すがら遊んでいた子を環に並べて、いくつかずつに数えながら順次環から出して最後に残った子に与えたという風聞が載っているなど出典は特定できない。 西洋ではヨセフスの問題ともいわれている。 2009年に開成中で出題されて以来、他の中学校でも出題されている。 中学入試では「輪状に並べた碁石を1つおきに取り除く」や、「1山に積み上げられたカードを上から1枚ずつ捨てる、1番下にするを交互に繰り返し、最後に残るカードを問う」という2形態で出る。 数と規則性(数列、数表)階差数列 漸化式 等差数列 等比数列 図形数三角数(=1から連続する自然数の総和) 四角数(=1から連続する奇数の総和)連続する2つの三角数の和に等しくなる。 五角数、矩形数、三角錐数など 群数列 数表 フィボナッチ数列自分の値が前の2項の和に等しい数列のことである。 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, 144, 233, … レオナルド・フィボナッチが自書『算術の書』にうさぎの増え方を例にとり説明している。この数列は生物の増え方にさまざまな局面において見られることが知られている。 中学入試では、次の形態で出題される。 フィボナッチ数列のある番号の項を問うもの うさぎ算 - うさぎや架空の微生物やロボット生産ロボットなど、自己増殖のものの増え方に関して問うもの 連絡網の伝わる時間 階段上り - 階段を1段か1段飛ばして2段ずつ上る上り方の総数を問うもの。発展問題として、最近1、2、3段の3種を混ぜてよいとする問題も出始めた。これはトリボナッチ数列を使う。 パスカルの三角形 文章題和や差に注目して解く問題植木算 和差算 鶴亀算 還元算 周期算 差集め算 割合に関する問題割合の問題は、式だけ立ててもややこしくなるのではじき図、面積図、てんびんなどいった図で解く場合が多い。 濃度算 損益算 仕事算 比に関する問題倍数算 帰一算 過不足算 分配算 速さに関する問題変速に関する問題 速さと比 速さの平均(→調和平均) 峠・坂・平地の往復 動く歩道、エスカレーター 旅人算直線運動・往復運動・周回運動 通過算 流水算 時計算 ニュートン算 3人旅人算 これらの混合問題 場合の数和の法則・積の法則 順列・組合せ 最短経路の数 ペントミノなどの図形の種類、配置 カタラン数 平面図形特殊角の性質 図形の折り返し 三角形の相似 三角形の面積比等高三角形・等底三角形の面積比 等角三角形・補角三角形の面積比 ベンツ切り - 三角形を3個の小三角形に分割し、それらの面積比を求める。これにより、線分比、面積比を、メネラウスの定理、チェバの定理(本来は小学校の範囲外)を使わずに容易に求めることができる。 動点問題 図形の移動センターラインの公式パップス=ギュルダンの定理の2次元版である。 線分が滑らかに移動し、通過領域が重ならなければ、その通過面積は、中点が描く長さ(「センターライン」)と直径の積に等しい。 空間内でも成り立つ。(応用例:円錐台の側面積) 証明には、大学課程の極限が必要である。 転がる円の中心が描く長さを求めたら、円の通過面積はこれにより容易に求まる。 移動が滑らかでなくても、区分的に滑らかなら、区分ごとに適用できる。 立体図形ブロックの積み上げ 立体のくり抜き 立体の切断 回転体 光が通らない部分(影の長さ、面積、体積) 水量の問題
※この「算数」の解説は、「中学受験」の解説の一部です。
「算数」を含む「中学受験」の記事については、「中学受験」の概要を参照ください。
算数
「算数」の例文・使い方・用例・文例
- 2時間目の授業は算数です。
- 私は算数や国語の基礎を学びます。
- 私は3年生と4年生に算数を教えています。
- 私が現在小学生に主に指導しているのが算数なので、算数が好きになりました。
- 彼は簡単な算数すらできなかった。
- 算数は数を取り扱う。
- 算数では正確さが重要だ。
- その子は算数ならどんな問題でも解ける。
- 彼は算数の初歩も知らない.
- 算数.
- 算数が上手[下手]である.
- 彼女は算数が得意だ.
- 算数でビルに勝る.
- 算数に弱い私はチップにはいつも戸惑う.
- 算数の才が有る
- 算数に関して
- 彼らは算数の基礎的な演算を学んでいた
- もう一つの数に加えられる数(被加算数)
- 過不足算という,算数の応用問題
- 還元算という算数応用問題
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