九章算術とは? わかりやすく解説

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きゅうしょうさんじゅつ〔キウシヤウサンジユツ〕【九章算術】

読み方:きゅうしょうさんじゅつ

中国古代算術書。3世紀ころ成立著者未詳土地面積穀物交換分配などの計算術を9章分けて記す。高度な内容含み後世まで重んじられた。


九章算術

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/26 18:31 UTC 版)

九章算術の1頁。劉徽の註釈本。
九章算術の影宋本(代の本を復刻した本)

九章算術』(きゅうしょうさんじゅつ)は、古代中国数学書

著者は不明だが、加筆修正を経て次第に現在に伝わる形に完成したとされている。研究によると前漢張蒼耿寿昌中国語版も加筆した。263年三国時代劉徽が本書の註釈本を制作したことなどから、制作年代は紀元前1世紀から紀元後2世紀と考えられている。『算数書中国語版』(1983年12月に湖北省江陵県張家山で発見された[1])に続いて、古い数学書である。

構成

9章に分かれ、延べ246個の問題を収めた、問題集形式の数学書である。『九章算術』の書名は9章からなる構成に由来する。具体的な問題に沿いながら、算術の基本的な方法を、簡単なものから複雑なものへと順をおって導入する。

  1. 方田 - 主に面積計算分数の四則演算。分数の掛け算は、長方形の面積で説明される。長方形、三角形、台形、円の面積を求める方法が書かれている。
  2. 粟米 - 交換比率が異なる商品を物々交換するための計算。比例算の基本的な方法、いわゆる「三量法」の紹介。粟や米に関する比例や比率について書かれている。
  3. 衰分 - 商品と金銭の分配。比例按分、利息の計算。財産や金銭に関する分配の問題が中心で、等比級数や等差級数になっている場合もある。
  4. 少広 - 面積・体積から長さを求める、平方根立方根。土地の測量についての問題が書かれている。
  5. 商功 - 土石の量などを求める土木の計算、体積。城、家屋、運河などの建設に関係のある問題が書かれている。
  6. 均輸 - 租税の計算、複雑な比例の問題。
  7. 盈不足 - 鶴亀算、復仮定法。原語は、多すぎることや足りなすぎることを意味する。
  8. 方程 - ガウスの消去法による連立一次方程式の解法、そのための負の数とその演算規則の導入。二個ないし三個の未知数の連立方程式を扱う。
  9. 句股 - ピタゴラスの定理に関する問題、測量など。

内容

「(引き算の時)同符号は引き、異符号は加える。正を無入から引いて負とし、負を無入から引いて正とする」との一文がある。この無入(別の説には無人)とは0のことである。ここから著者らは0と正負の計算を理解していたことが分かる。実際に第8章「方程」の部において、連立一次方程式の問題をこの計算法によって巧みに解いている。

影響

『九章算術』には以来の古代中国の数学問題と、の時代の最新の数学問題が収められている。『九章算術』は内容の量と質の良さから古代中国の中心的な算書として用いられ、中国の数学史において数学の体系を完成させた本とされている。『九章算術』で完成された数学のスタイルの影響はの中期頃に西洋数学が入って来るまで続いた。現代の日本と中国では、数学教科書のコラムで、『九章算術』が言及されている。

『九章算術』は問題を出し答えと計算法を出す帰納的なアプローチである。具体的には問題の記述の後に、「答曰く、」で始まる答えと、「術曰く、」で始まる計算式(時には問題の解法としての役も得る)の記述という具合である。演繹的な手法のヨーロッパアラビア数学とは異なり、以後の中国の数学書はこの記述方法を採った。このスタイルは日本にも輸入され、和算の書籍や算額なども「答曰く、」や「術曰く、」を含む形で書かれている。

歴史上この本を註釈した数学者は多く、三国時代の魏の劉徽と李淳風中国語版による註釈は有名である。例えば『九章算術』の原本では円周率を3としているのに対して、劉徽は


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九章算術

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 15:34 UTC 版)

中国の数学」の記事における「九章算術」の解説

『九章算術』は中国の数学書であり、考古学上は最古西暦179年伝統的に紀元前1000年)であるが、恐らく紀元前300-200年に出来たとされる作者不明だが、彼らは東洋世界で大きな貢献をした。問題はすぐに答え手順が続く質問並んでいる。テキストには正式な数学的証明はなく、段階追った手順だけである。劉徽解説は、本文中に示され問題対す幾何学的証明および代数的証明提示した。 『九章算術』は中国あらゆる数学書の中で最も影響及ぼしたものの1つであり、それは約246問題構成されている。それは後の世紀に数学教育中核となる算経十書に組み込まれることになる。この本には、測量農産物交換比例商品お金分配工学課税計算方程式の解法、および直角三角形性質に関する246問題含まれる。『九章算術』は、二次方程式ホーナー法似た方法で解くための重要な追加をした。また「防城」あるいは現在の線型代数学として知られているものにも高度な貢献をした。第7章では『算数書』と同様に過不足算用いて2つ未知数を含む連立方程式解いている。第8章では、正と負の数を使用して確定的および不確定な連立一次方程式を解くことを扱い5つ未知数がある4つの方程式を解く問題がある。『九章算術』は、近代ガウスの消去法および後退代入同様の方法連立方程式を解く。

※この「九章算術」の解説は、「中国の数学」の解説の一部です。
「九章算術」を含む「中国の数学」の記事については、「中国の数学」の概要を参照ください。

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