計算理論とは? わかりやすく解説

計算理論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/10 07:42 UTC 版)

計算理論(けいさんりろん、Theory Of Computation)または計算論は、理論計算機科学数学の一部で、計算模型アルゴリズムを理論的にあつかう学問である。計算複雑性理論計算可能性理論を含む。ここでいう計算(Computation)とは、数学的に表現できる、あらゆる種類の情報処理のこと。

計算を厳密に研究するため、計算機科学では計算模型と呼ばれるコンピュータの数学的抽象化を行う。その手法はいくつかあるが、最も有名なものはチューリングマシンである。チューリングマシンは、言ってみれば無限のメモリを持つコンピュータであるが、一度にアクセスできるメモリ範囲は非常に限られている。チューリングマシンは十分な計算能力を持つモデルでありながら、単純で定式化しやすく、様々な証明に使い易いため、計算機科学者がよく利用する。無限のメモリというのは非現実的な特徴と思われるかもしれないが、より適切な表現を使うならば「無制限」のメモリであって、読み書きしようとした時にそれができればよく、それに対応する「無限な実体」とでも言うべきものが必要なわけではない。「チューリングマシンで、ある問題が解ける」とは必ず有限のステップで計算が終了することを意味し、よってそれに必要なメモリの量は有限である。よって、チューリングマシンで解くことが出来る問題は、現実のコンピュータであっても必要なだけのメモリがあれば解くことが出来る[1]

計算可能性理論

計算可能性理論は、ある問題がコンピュータで解くことができるかどうかを扱う。チューリングマシンの停止問題は計算可能性理論における、ある意味で最も重要な成果である。定式化しやすく、かつチューリングマシンで解けない問題の具体例であり、数学基礎論との関係もある。同時に、静的に無限ループの検出を確実に行う方法は無いことを示している、といったように実応用的な意義もある。

計算複雑性理論

計算複雑性理論は、問題がコンピュータで解けるかどうかだけでなく、その問題の困難さを扱う。時間計算量と空間計算量という2つの観点がある。時間計算量とは計算にかかるステップ数、空間計算量は計算に必要とされるメモリ量に相当する。

あるアルゴリズムが必要とする時間と空間を分析するため、時間や空間を問題の入力量の関数として表現する。例えば、長い数列から特定の数を見つけ出すという問題は、数列が長くなればなるほど難しくなる。数列に 概要英語版

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    出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/31 03:06 UTC 版)

    モンテカルロ法」の記事における「計算理論」の解説

    計算理論の分野において、モンテカルロ法とは誤答する確率の上界が与えられる乱択アルゴリズムランダム・アルゴリズム)と定義される一例として素数判定問題におけるミラー-ラビン素数判定法がある。このアルゴリズム与えられ数値素数場合確実に Yes と答えるが、合成数場合非常に少ない確率ではあるが No と答えるべきところを Yes と答え場合がある。一般にモンテカルロ法独立な乱択を用いて繰り返し実行時間犠牲にすれば誤答する確率いくらでも小さくすることができる。またモンテカルロ法中でも任意の入力に対して最大時間計算量の上界が入力サイズ多項式与えられるものを効率的モンテカルロ法という。 なお、これとは対照的に理論上必ずしも終了するとは限らないが、もし答え得られれば必ず正し乱択アルゴリズムラスベガス法と呼ぶ。 計算複雑性理論では、確率的チューリング機械によるモデル化によってモンテカルロ法用いて解決できる問題クラスいくつか定義している。代表的なところでは RPBPPPP などがある。これらのクラスと P や NP との関連性解明していくことによって、モンテカルロ法のようにランダム性を含むアルゴリズムによって解ける問題範囲拡大しているのか(P ≠ BPP なのか)、それとも単に決定的アルゴリズム解ける問題多項式時間次数減らしているだけなのか(P=BPP なのか)は計算複雑性理論における主要課題1つである。現在、NPPPRPNPであることは解っているが BPPNPとの関係は解っていない。

    ※この「計算理論」の解説は、「モンテカルロ法」の解説の一部です。
    「計算理論」を含む「モンテカルロ法」の記事については、「モンテカルロ法」の概要を参照ください。

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