重症急性呼吸器症候群とは? わかりやすく解説

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じゅうしょうきゅうせい‐こきゅうきしょうこうぐん〔ヂユウシヤウキフセイコキフキシヤウコウグン〕【重症急性呼吸器症候群】

読み方:じゅうしょうきゅうせいこきゅうきしょうこうぐん

サーズSARS


重症急性呼吸器症候群

【英】:severe acute respiratory syndrome

コロナウイルス一種SARSウイルスSARS-CoV)による感染症である。2003年2月アジア最初の症例報告され3月からの数ヶ月世界24カ国以上に拡散し感染者8,098名、死亡者774名の犠牲出して2003年流行終結した。この流行拡散速さ未知感染症脅威世界認識されるとともにさまざまな教訓残した。対応が遅れたり不適正であったり、ましてや被害隠蔽する感染者際限なく拡散することが膨大な犠牲者数示された。一方で、各機関国際的に協力して適正に対応する犠牲最小限抑制できることも同時に学んだ
SARS症状は、高熱で始まる。悪感頭痛全身倦怠などを随伴するが、呼吸器症状初期には少なく発病2-7日後に肺炎症状になる。乾性咳が強くなり動脈血酸素分圧低下して10-20%に人工呼吸器必要になる伝播様式は、SARS-CoV感染者の咳などの飛沫によりヒトからヒト伝播する近距離では直接に、口・目・耳の粘膜を介して感染し間接的に汚染物に触れた手から感染することもある。さらに、SARS-CoV空気中に散布され拡散した疫学記録があり、感染経路詳細不明である。
SARS対策個人的には、感染者との濃厚な接触避けることである。濃厚な接触とは、キッス抱擁食器などの共有対面での会話汚染物に直接触れることなどである。集団としての対応は、SARS伝播迅速に確認して、対応(予防治療)しなくてはならない。そのためには迅速精度の高い診断法開発研究急務である。

重症急性呼吸器症候群


中国南部広東省起源とした重症非定型肺炎世界的規模集団発生が、2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS: severe acute respiratory syndrome)の呼称報告され、これが新型コロナウイルス原因であることが突き止められた。わが国においては同年4月新感染症に、ウイルス特定され6月指定感染症指定され2003年11月5日より感染症法改正に伴い第一類感染症としての報告義務けられるようになった前回集団発生2002年11月16日中国症例始まり台湾症例最後に2003年7月5日にWHOによって終息宣言出されたが、32地域と国にわたり8,000人を超える症例報告された。

疫 学
SARS2002年11月16日に、中国南部広東省非定型肺炎患者報告されたのに端を 発し北半球インド以東アジアカナダ中心に32地域国々拡大した中国では初期305人の患者死亡例5人)が発生し2003年3月始めには旅行者を介してベトナムハノイ市での院内感染や、香港での院内感染引き起こした同年3月12日にWHOは、全世界向けて異型肺炎流行に関する注意喚起Global Alert)を発し本格的調査開始した3月15日には、原因不明重症呼吸器疾患としてsevere acute respiratory syndromeSARS)と名づけ、「世界規模の健康上の脅威」と位置づけ異例旅行勧告発表した1)

2003年12月31日時点データによれば報告症例数は、2002年11月2003年8月中国中心に8,096人で、うち774人が死亡している。1,707人(21%)の医療従事者感染が示すように、医療施設介護施設などヒトヒト接触密な場合に、集団発生可能性が高いことが確認されている(表)。起因病原体特定のためのWHOを中心とした各国協力と、古典的隔離検疫対策用いて収束はかられ2003年4月16日新型SARSコロナウイルスSARS-CoV特定続き7月5日終息宣言出された。

その後流行間期2003年9月シンガポール12月台湾続いて孤発実験室感染報告され2004年1月入り中国広東省において3例の市中感染疑われる症例報告された。さらに、2004年4月中国北京および安徽省において、実験室感染思われる例をきっかけに、合計9例(死亡1例)の患者発生確認されたが、大規模な拡大くいとめられた。

SARS-CoV流行中心院内感染であったこともあり、症例のほとんどは成人小児患者数少ない。2003年5月末における中国データでは、罹患率2029歳で最も高く人口10万人当たり2.92、次いで4049歳(2.15)、3039歳(1.87)の若年成人高く50歳以上の年齢群ではすべて1.8以下、10歳未満は0.16であった2)発症者の約80%は軽快し、およそ20%重症化したが、予後年齢基礎疾患有無により異なっていた。男女差人種差は、各集団 発生生じた地域状況によって異なり疾患特性指摘することは難しい。

SARS起源感染経路病原性不顕性感染有無病態生理季節的流行可能性など、依然として不明な点が多い。集団発生においてはスーパー・スプレッディング事例」と呼ばれる、ひとりの有症状患者多数への感染伝播関与した事例注目されているが、そのメカニズム解明されていない

わが国では、集団発生間中報告のあった可能性16例と疑い52例すべてが、他の診断がつき取り下げられたか、あるいはSARS対策専門委員会SARS可能性否定されている3)

病原体

 コロナウイルス科ヒトコロナウイルス一本鎖RNAウイルスで、軽症のかぜ様症状の約30%の原因となっていると考えられていたが、重症化報告はほとんどなかった。SARSは、この科に属す新型SARSコロナウイルスSARS-CoV)(図)により引き起こされる全身性の感染症である4)

このウイルス種は、杓子状の突起表面有するエンベロープ持ちウイルス核酸そのもの感染性有ることが知られ29,00031,000ヌクレオチド塩基を持つとされている5)ブタマウスニワトリ七面鳥などに呼吸器系消化管肝臓神経系などの病気をおこす動物コロナウイルスのあることも知られているが、SARS-CoVは、これらとは遺伝子的に大きく異なる。一般的にコロナウイルス変異しやすいことも知られており、ワクチン治療薬開発上の今後の問題点とされている。

感染経路は、飛沫および接触(糞口)感染主体とされるが、空気感染可能性含め依然議論の余地がある。最も一般的には感染性のある飛沫への曝露を伴う密接なヒトヒト接触伝播していると考えられ医療従事者介護者などの場合は、感染性のある血液始めとした体液への直接的接触考えられる1)ヒト感染源となるのは有症者だけで、現在までのところ発症前の患者感染源となったという報告確認されていない動物媒介ハクビシンタヌキネズミ他)、食品媒介示唆され消化器症状を伴う例も多く見られることから、糞口感染主体ではないかとの議論もある6)野生動物感染伝播に果たす役割については、依然結論出ていない。

臨床症状徴候
潜伏期は2~10日平均5日であるが、より長い潜伏期報告もまれにはある2)SARS自然経過としては、発病第1週発熱悪寒戦慄筋肉痛など、突然のインフルエンザ様前駆症状発症する疾患特異的な症状症状群は確認されていない発熱歴が最も頻繁に報告されるが、初期検温ではみられないこともありうる発病第2週には非定型肺炎進行し咳嗽初期には乾性)、呼吸困難みられる下痢発病第1週にもみられるが、一般的には第2週目により多く報告されている。最大70%の患者が、血液粘液含まない大量水様下痢発症する6)発症者の約80%はその後軽快するが、なかには急速に呼吸促迫酸素飽和度低下進行しARDS急性呼吸窮迫症候群)へ進行し死亡する例もある。約20%集中治療を必要とする。感染伝播は主に発症10日目前後ピークとし、発症第2週の間に起こる6, 7

SARS特異的な血液学的、生化学的パラメーターはないが、病状とともに進行するリンパ球減少血小板減少APTT延長LDH上昇血清電解質異常などが複数研究により報告されている。ALTASTCPKの上昇の報告はあまり多くない7)

症候場合もほとんどの患者で、最も早期第3~4病日に胸部レントゲン、あるいはCT上の変化みられる典型的な所見では、細変化所見や斑状影が片側の末梢肺野に始まり陰影の増多またはすりガラス陰影進行する移行性の陰影もある。さらに進行した病期では、時に自然気胸、気縦隔胸膜下線維症や嚢胞性変化などを含む所見みられることがある8)

病理組織像間質浮腫線維化、細への間質液浸潤、下肺野の無気肺などが主体ARDS所見を示す9)

成人例では胸部所見症状から、インフルエンザマイコプラズマレジオネラなどをはじめとした肺炎鑑別対象となる。また、既知コロナウイルス活動期季節的にこれらの患者増加する時期重なることから、診断時には十分な注意が必要である。小児例ではこれ以外にも、RSウイルス感染なども鑑別対象となる。

SARS致死率感染者年齢基礎疾患感染経路曝露しウイルスの量、国によって大きく異なる。全体としてはおよそ9.6%(2003年9月)と推計されているが、24歳未満では1%未満2544歳で6%、4564歳15%、65歳上で50%以上となっている。男性であること、基礎疾患存在高致死率のリスク因子とされている10SARS可能性があると判断された人のうち、1020%呼吸不全などで重症化しているが、8090%の人は発症後6~7日軽快している。1カ月上人呼吸治療続けて死亡する例がある。

無熱の発症や、細菌性敗血症または肺炎併発のような非定型的な発症仕方が、高齢者における問題点として特に取り上げられている。一般にこの年齢層は、免疫力低下や基 礎疾患伴っていることが多く、他の年齢層より頻繁に医療施設利用するなど、院内感染伝播事例発生つながっている。また、小児におけるSARS報告頻度低く12歳未満では咳嗽鼻汁のみなど、より軽症なことが多い。妊娠中のSARS感染は、妊娠初期では流産の、妊娠後期では母体死亡増加につながる例のあることが報告されている。

病原診断
SARS-CoV検査法としては、ウイルス分離RT-PCR法LAMP法血清抗体測定実施可能であるが、病原体診断によるSARS早期診断現段階では困難である。病原体検査陰性そのまま感染否定するものではなく診断臨床所見加え感染曝露歴の有無、他疾患除外により行われなければならない臨床検体としては、糞便喀痰鼻咽腔ぬぐい液、血清などを用いるが、検体採取時期により検出率影響が出る。また、検査法には下記のような特徴があり11、安全上の問題から、P3施設以外でのSARS-CoV取り扱い行わないこととなっている。

  1. ウイルス分離検体からウイルスそのもの分離検出するため、確実な診断が可能であるが、感度低く時間要する
  2. RT-PCR法SARS-CoVRNA検出する迅速な検査法で、特異度も高いとされるが、感度が十分と言えず、陰性結果がただちにSARS否定にはならない病期によりウイルス排泄量異なるため検出感度影響され発症後10日前後が最も高い。
  3. 血清抗体価測定ELISAIFANT3種類があり、いずれも急性期回復期ペア血清用いて検査を行う。現在使用可能な方法では、第20病日で約60%、第30病日で95%程度陽性率であるため、回復期血清採取発病3週目以降推奨される


治療・予防
有効な根治療法はまだ確立されていない。病初期には鑑別診断を急ぐとともに症状緩和と胸レントゲン所見改善目的として、一般細菌性肺炎対象に、広域スペクトル抗菌薬療法を行う。肺病変進行する場合は、酸素投与人工呼吸器などによる患者管理が必要となる。海外では抗ウイルス剤であるリバビリン静脈内注射ステロイド剤併用療法インターフェロン療法などに効果期待できるとの報告もあるが、治療効果確認されていない1)

患者早期検知即時隔離と、接触者自宅隔離検疫)以外には、特に有効な予防措置はない。一般的呼吸器感染症予防策として手洗い、うがい、マスク着用体力免疫力増強をはかる、人混みへの外出控えるなどがあげられる1,7)

感染症法における取り扱い
重症急性呼吸器症候群は一類感染症定められており、診断した医師直ち最寄り保健 所に届け出る報告のための基準以下の通りになっている
確定例の判断基準
診断した医師の判断により、症状所見から当該疾患疑われ、かつ、以下の方法によって 病原体診断血清学診断なされたもの。
材料鼻咽頭ぬぐい液、喀痰、尿、便、血清など
 ・病原体検出
  例 ウイルス分離など
 ・病原体遺伝子検出
  例 PCR法LAMP法など
 ・血清抗体検出
  例 酵素免疫測定法ELISA)、免疫蛍光法IFA)、中和試験など
注)これらの検査所見(特にPCR法LAMP法ウイルス分離)で陰性になった場合でもSARS否定することはできない。この場合には、医師総合判断により、疑似症例として取り扱うこととする

疑似症判断基準
臨床所見渡航歴などにより判断する
以下の1)又は2)に該当し、かつ3)の条件を満たすものとする

1)平成14年11月1日以降に、38度以上の急な発熱及び咳、呼吸困難などの呼吸器症状示して受診した者のうち、次のいずれか1つ上の条件を満たす
(一)発症10日以内に、SARS疑われる患者看護若しくは介護していた者、同居していた者又は気道分泌物若しくは体液直接触れた
(二)発症10日以内に、SARS発生報告されている地域(WHOが公表したSARS伝播確認地域)へ旅行した
(三)発症10日以内に、SARS発生報告されている地域(WHOが公表したSARS伝播確認地域)に居住していた者

2)平成14年11月1日以降死亡し病理解剖が行われていない者のうち、次のいずれか1つ上の条件を満たす
(一)発症10日以内に、SARS疑われる患者看護若しくは介護していた者、同居していた者又は気道分泌物若しくは体液直接触れた
(二)発症10日以内に、SARS発生報告されている地域(WHOが公表したSARS伝播確認地域)へ旅行した
(三)発症10日以内に、SARS発生報告されている地域(WHOが公表したSARS伝播確認地域)に居住していた者

3)次のいずれか条件を満たす
(一)胸部レントゲン写真肺炎、または急性呼吸窮迫症候群所見を示す者
(二)病理解剖所見呼吸窮迫症候群病理所見として矛盾せず、はっきりとした原因がないもの
 注)他の診断によって症状説明ができる場合除外すること。

備考
SARS伝播確認地域指定されていない期間においては報告基準の「確定例の判断基準」を満たすもののみとする。


文献
1)CSR, WHO: Severe acute respiratory syndromeSARS): Status of the outbreak and lessons for the immediate future. WHO, Geneva, 2003(May) (http://www.who.int/csr/media/sars_wha.pdf)
2)Chinese CDC, The People's Republic of China: Overview of epidemics and responses to the severe acute respiratory syndromeSARS)in the People's Republic of China. Chinese CDC, The People's Republic of China. 2003June
3)国立感染症研究所感染症情報センターSARS対策チーム本邦におけるSARS:重症急性呼吸器症候群サーベイランスへの報告症例. 病原微生物検出情報2003; 24(7): 156-159
4)Drosten C, et al: Identification of a novel coronavirus in patients with severe acute respiratory syndrome. N Engl J Med 2003; 348: 1967-1976.
5)Marco AM, et al: The genome sequence of the SARS-associated coronavirus. Science 2003;300: 1399-1404
6)Donnelly CA, et al: Epidemiological determinants of spread of causal agent of severe acute respiratory syndrome in Hong Kong. Lancet. 2003; 361: 1761-1766.
7)CSR, WHO: Alert, verification and public health management of SARS in the post-outbreak period. 14 August 2003http://www.who.int/csr/sars/postoutbreak/en/)
8)Wong KT, et al: Severe acute respiratory syndrome: radiographic appearances and pattern of progression in 138 patients. Radiology 2003; 228: 401-406.
9)Nicholls JM, et al: Lung pathology of fatal severe acute respiratory syndrome. Lancet 2003;361: 1773-1778.
10CSR, WHO: Consensus document on the epidemiology of severe acute respiratory syndromeSARS). WHO, Geneva, 2003http://www.who.int/csr/sars/en/WHOconsensus.pdf)
11CSR, WHO: Sampling for severe acute respiratory syndromeSARSdiagnostic tests. 29 April 2003http://www.who.int/csr/sars/sampling/en/)


重症急性呼吸器症候群

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/23 02:28 UTC 版)

重症急性呼吸器症候群

SARSコロナウイルス (SARS coronavirus 1; SARS-CoV-1) はこの感染症の原因病原体である
概要
診療科 感染症科 (Infectious disease (medical specialty)
分類および外部参照情報
ICD-10 U04
ICD-9-CM 079.82
DiseasesDB 32835
MedlinePlus 007192
eMedicine med/3662
Patient UK 重症急性呼吸器症候群
MeSH D045169

重症急性呼吸器症候群(じゅうしょう きゅうせい こきゅうき しょうこうぐん、: Severe acute respiratory syndrome; SARS〈サーズ〉[1])は、SARSコロナウイルス (SARS-CoV-1) によって引き起こされるウイルス性の呼吸器疾患である。動物起源の人獣共通感染症と考えられている。ウイルス特定までは、その症状などから、新型肺炎(しんがたはいえん)、非定型肺炎(ひていけいはいえん、英: Atypical Pneumonia)などの呼称が用いられた[2][3]

2002年11月から2003年7月にかけて、中華人民共和国南部を中心に起きたアウトブレイクでは、広東省香港を中心に8,096人が感染し、37ヶ国で774人が死亡した(致命率9.6%/WHO発表)[4][5](なお、世界30ヶ国8,422人が感染、916人が死亡〈致命率11%〉とする報告もある[6])。このアウトブレイク終息後は、封じ込め宣言後いくつかの散発例があったが、現在に至るまで、新規感染報告例は無い[7][8]

現在の症例定義は、「38度以上の高熱及び呼吸困難、息切れのいずれかの症状」「レントゲン検査において肺炎の症状」を呈し、この原因が不明で、ウイルス検査で陽性となった者とされている[9]。また水様性下痢を呈する例も存在する[10]。感染経路としては飛沫感染や接触感染が考えられている[6][8]

兆候と症状

最初の症状はインフルエンザ様で、発熱筋肉痛、無気力状態 (Lethargy咳嗽咽頭痛、その他非特異的症状が見られる。全患者に見られるのは38 °C (100 °F)以上の発熱だが、始まるまでには2〜7日の潜伏期間が存在する[6]。この病気では粘膜病変を伴わず、咳嗽は乾性咳である[6]。SARSでは呼吸困難肺炎、またはその両方が見られることがあるが、これは一次的なウイルス性肺炎、また細菌性肺炎双方の可能性が考えられる。発熱に伴う肺病変は間質性肺炎であるが、これにはウイルスが誘導する免疫・サイトカインの関与が考えられている[6][11][12]喀痰には10億コピー/mLのウイルスが排出されるとされ、この状態では感染性が非常に高い[10]。またウイルス血症も起こしうる[10]

最重症例では、免疫反応によって、サイトカイン・ストームを引き起こすことがある[13]

消化管感染も示唆されており、糞便中にウイルスが数多く排出されるほか、10%の症例では水様性下痢が確認される[10]

診断

SARS患者の胸部X線写真(CDC提供)。両肺野に不透明な領域が増え、肺炎を示唆する

2003年のアウトブレイク時、SARS感染は次のような患者で疑われた[9]

  • 38 °C (100 °F)以上の発熱、その他の症状(咳や呼吸困難)を呈している。そして、
  • 以下の2条件のどちらかを満たす。
  1. 10日以内に、SARS診断を受けた人物と濃厚接触している[注釈 1]
  2. 世界保健機関 (WHO) の発表で現在流行が起きているとされている地域に、渡航歴がある(2003年5月10日現在では、中国の一部、香港シンガポールカナダオンタリオ州ジェラルドトン英語版)。

現在の症例定義では、渡航歴は問わず、「38度以上の高熱及び咳、呼吸困難、息切れのいずれかの症状」「レントゲン検査において肺炎の症状」を呈し、この原因が不明で、ウイルス検査で陽性となった者とされている[9]

感染の疑いが濃厚な患者では、胸部X線写真で非定型肺炎急性呼吸窮迫症候群などの症状、またはコロナウイルス検査での陽性所見が見られる[9][14]。WHOでは、感染の疑いが「濃厚」(英: probable)だが胸部X線写真で特徴的な症状が見られず、またELISAや免疫蛍光抗体法、PCR法などのテストで陽性となった患者について、"laboratory confirmed SARS" とのカテゴリを設けた[15]。胸部X線写真については、SARS患者でも像がまちまちであるが、一般的にまだらに浸潤するような不自然な像が見られることが多い[16]。初期ではX線写真で気道炎症所見を認めない[6]。臨床症状はインフルエンザマイコプラズマ肺炎に類似しており、症状のみでの鑑別は難しい[10]

確定診断にはウイルス分離、核酸検出、中和抗体の上昇などが決め手となるほか、迅速診断には咽頭ぬぐい液からのRT-PCR法LAMP法などが用いられる[10]

予防

SARSのワクチンは研究段階である(→#治療)。治療法は確立していないが、2002年の中華人民共和国でのアウトブレイク時の教訓から、一般的な感染防止策の徹底が二次感染防止に有用であることが示されている[10]。また感染経路としては、飛沫感染と直接・間接的な接触感染が想定されている[6]

SARSコロナウイルスは環境中で安定であり、中国政府対策本部からの発表によれば、紙・木などの環境中で3日間、痰や糞便中で約5日間、血液中で15日間生存するという(従来知られていたコロナウイルスでは、環境中で3時間)[6]:表38-18。また消毒用アルコール漂白剤界面活性剤での消毒で失活する[17][18]。隔離と検疫がSARS予防に重要である[19]。他にも次のような予防法が存在する。

院内感染対策として、サージカルマスクや使い捨てガウンが有効である[21]

治療

SARSコロナウイルスに感染した肺組織の写真。肺胞組織が破壊され、中央に多核巨細胞が出現している

SARSは、SARSコロナウイルスによるウイルス性疾患であるため、抗生物質は無効である。先のSARSアウトブレイク時には、この性質を逆手に用い、抗菌薬が無効であることからマイコプラズマ肺炎を否定し、その上で間質性肺炎肺線維症を防ぐためのステロイド投与・リバビリン治療が行われた[10]。但し、リバビリンは細胞培養レベルでは有効でなく、グリチルリチン甘草の成分)が有効であるとの報告がある[22]

また治療法は確立しておらず[10]対症療法として解熱薬、必要に応じた酸素吸入人工呼吸などが用いられる。SARS患者は陰圧室に入院させる必要があるが、この際看護する側も完璧な防護をした上で、患者との不必要な接触を避けることが肝要である。

人に対し安全性・有効性の両方が確認されているワクチンは、治療用・予防用どちらでも存在しない(但し、実験動物レベルでは存在する)[22][23]。生物学的治療法の発見・開発・生産を行うNPOのMassBiologicsは、アメリカ国立衛生研究所 (NIH) やアメリカ疾病予防管理センター (CDC) の研究者と協力し、動物モデルで効果があったモノクローナル抗体を用いた療法の開発を行っている[24][25][26]。またウイルス表面のスパイクタンパク質をターゲットにしたワクチン[27]、レセプタータンパクの拮抗薬[22]遺伝子の一部を欠いた弱毒化ウイルスの利用[28]も検討されている。

予後

SARSからの回復者について中国で出された報告書では、重症の後遺症が長時間続くことが示されている。最も典型的な症状は、肺線維症骨粗鬆症阻血性骨壊死で、どれも就業や自己介護の妨げとなり得る症状である。SARSでは間質性肺炎に引き続く肺線維症が報告されているが、これを防ぐため、ステロイド系抗炎症薬の投与が行われた[10]。骨粗鬆症や骨壊死は、このステロイド剤の副作用として知られるものでもある[29][30]。隔離収容の結果、SARSからの回復後に心的外傷後ストレス障害 (PTSD) や大うつ病性障害を発症した例も報告されている[31][32]

病原体

コロナウイルスの電子顕微鏡写真

SARSの原因病原体・SARSコロナウイルスは、コロナウイルス科オルトコロナウイルス亜科ベータコロナウイルス属に分類され、同じ属には中東呼吸器症候群を引き起こすMERSコロナウイルスが含まれる[33]。コロナウイルスはエンベロープを持つ1本鎖RNAウイルスで、ゲノムRNAはmRNAと同じ配列のプラス鎖である[34]。また、コロナウイルスは呼吸器消化器上皮細胞に親和性を持つが、SARSコロナウイルスでは呼吸器や消化管などに発現しているアンジオテンシン変換酵素のACE2が感染のレセプタータンパクとなる[35]。SARSコロナウイルスはベロ細胞(Vero E6細胞)などで細胞培養できる[35][6]。RNAウイルスではあるが、ゲノム変異はヒト免疫不全ウイルス (HIV) ほど大きなものではなく、比較的安定だと報告されている[35]。また、環境中でも比較的安定であるが(→#予防[6]、エンベロープを持つため、エーテルクロロホルムに感受性がある[34]。このウイルスはコウモリ・ヒトに感染するが、MERSコロナウイルスも同じくコウモリに感染するほか、コロナウイルスの分類では、コウモリコロナウイルスもこの2種と同じグループ2bに含まれる[36][37]

ウイルスの特定

当初、中国衛生局はクラミジア香港大学麻疹ウイルスRSウイルスと同じパラミクソウイルスを原因病原体として発表していた[3]

CDCとカナダ国立微生物研究所英語版は、2003年4月にSARSウイルスのゲノムを特定した[38][39]エラスムス・ロッテルダム大学の研究者たちは、SARSコロナウイルスコッホの原則が成り立つことを突き止めた[40][41][42]マカク属カニクイザル)へのウイルス感染で、SARS患者と同様の症状(具体的には鼻腔咽頭・糞便からのウイルス分離と間質性肺炎)が発生することが実験的に証明されている[6][43]

2003年5月下旬、最初の症例が出た中国広東省の地元市場で、食用野生動物を用いた研究調査が行われた[注釈 2]。この結果、ハクビシンからSARSコロナウイルスが単離されたが、ハクビシンは固有宿主ではなく、ヒトへの感染のキーとなる中間宿主だと推定された[47][48][49]

中間結果では、SARSコロナウイルスはパームシベットからヒトへ、種の壁を越えた異種伝播をするとされ、広東省だけで1万頭以上が駆除された。この対応に関しては、パームシベット・ハクビシンをスケープゴートにしたとの批判もある[50]。またシンガポールでは野良猫の駆除が行われた[49]。ウイルスは、タヌキ[48]イタチアナグマ(流行地にはシナイタチアナグマが棲息)[48]イエネコなどからも単離された。

2005年には、中国のコウモリから多数のSARS様コロナウイルスが発見されたと報告された[51][52]。これらのウイルスの系統学的解析から、SARSコロナウイルスはコウモリ由来の可能性が高いとされ、コウモリから直接人間に感染したか、中国の市場で販売されていた食用コウモリをはじめとした食用動物を介して人間に広まったと推測された。コウモリは感染しても不顕性感染となるが、SARS様コロナウイルスのリザーバーになっていると推測されている。

2006年遅く、香港大学CDC (Chinese Centre for Disease Control and Prevention of Hong Kong University)、広州市疾病予防コントロールセンター(広州市CDC)は、パームシベット(ハクビシン)とヒトから単離されたSARSコロナウイルスの遺伝的系譜を作成し、このウイルス感染症が宿主ジャンプしたことを証明した[53]

罹患数

SARSは新興感染症のひとつであり、大流行した2003年の患者数は8,273人と比較的まれな疾患である[54]。このアウトブレイク時の罹患数は、世界保健機関 (WHO) の報告によると、香港を中心に8,096人が感染し、37ヶ国で774人が死亡したとされている(致命率9.6%、内訳は下記)[4]。また最終的な罹患数は、世界30ヶ国の8,422人が感染、916人が死亡(致命率11%)とされている[6]

感染拡大から終息まで

中国南部でのアウトブレイク

2002年11月に、中華人民共和国広東省で最初のSARS症例が報告され、同月に同省で流行が発生した。最初の患者は広東省仏山市順徳区出身で、地元の村の管理責任者も務めていた農家の男性で[56][44][57][58][59]、仏山市の第一人民医院(英: The First People's Hospital)で治療を受けた。この男性の疾患原因特定は行われなかった[注釈 3]。感染制御に多少動いたものの、中国政府は、2003年2月までこの感染症の発生をWHOに公式報告しなかった。この情報公開の遅れが感染症対策の遅れに繋がり、結果として中国政府は国際的に多くの批判を受けることとなった[61]

アウトブレイクが最初に起きたのは2002年11月27日で、WHOのGOARN英語版の一角を成す、カナダグローバル・パブリック・ヘルス・インテリジェンス・ネットワーク英語版 (GPHIN) が、インターネット・メディアの監視を通じ、中国で「インフルエンザの流行」(英: "flu outbreak")が発生していることを突き止め、そのままWHOに報告した。現在GPHINでは、アラビア語中国語英語フランス語ロシア語スペイン語への翻訳に対応しているが、当時は英語・フランス語のみの対応だった。アウトブレイクに関する最初の報告は中国語文献だったため、英語でのレポートは2003年1月21日になってようやく作成された[62][63]

この報告を受け、WHOは中国当局に対し、2002年12月5日・11日に照会を行った。それまでの感染症アウトブレイクでは対応ネットワークが上手く機能していたものの、中国からのメディア報告がアウトブレイク発生から数ヶ月後にずれ込んだため、情報共有が遅れる元となった。第2回目のアラート発令後、WHOは病名、症例定義と共に、慎重な注意と封じ込め方法を共有するため、協調した世界的なアウトブレイク対応ネットワークの構築を発表した (Heymann, 2003)。WHOが対策を開始した時までに、世界中で死者は500人以上、加えて2,000人程度の感染者が発生していた[63]

4月上旬、蒋彦永英語版が中国での脅威を報告した後[64][65]、公式方針の転換があり、SARSはメディアでより大きく取り上げられるようになった。これにはアメリカ人のジェームズ・アール・ソールズベリー(英: James Earl Salisbury)の死が直接関わっていたとされる[66]。これとほぼ同じ頃、蒋彦永は北京の軍事病院で症例数が過少報告されていたことを告発した[64][65]。猛烈な追及の後、中国当局はWHOなど国際当局の現地調査を認めることになった。この調査により、地方分権化の拡大、繁文縟礼、不十分なコミュニケーションなど、成長過程にあった中国の保健政策を悩ます諸問題が明らかになった。

また、SARS予防策が広く知られておらず、流行地では看護や汚染物運搬の過程で、多くの医療スタッフが感染の危機に晒されたり、最悪の場合死に至ったりした[67]

世界への感染拡大

2002年から2003年にかけて、SARSが発生した地域

流行に一般の関心が向いたのは、2003年2月に、中国に渡航したアメリカ人ビジネスマンが、シンガポールへの飛行中に肺炎様の症状を呈した一件からだった。飛行機はベトナムハノイに立ち寄り、このビジネスマンはハノイ・フレンチ・ホスピタル英語版に搬送され、転院先の香港で死亡した[68]。一般的なプロトコルで看護を行ったにもかかわらず、この男性から複数の医療スタッフへ二次感染が起きた。イタリア人医師のカルロ・ウルバニは感染危機に気づき、WHOとベトナム政府の連携を要請して感染拡大阻止に尽力したが、その後自身もSARSに罹患して死亡した[69]

症状の重症度と、病院スタッフへの院内感染は国際保健当局に危機感を持って捉えられ、当局は肺炎感染症の拡大を危惧した。2003年3月12日、WHOはグローバル・アラート英語版を発令し[2][14]アメリカ疾病予防管理センター (CDC) もこれに続いてアラートを発表した[70][71]。WHOは続く3月15日に、広東省香港への渡航自粛勧告を出す異例の措置を取った[3]。SARS感染拡大は、トロントオタワサンフランシスコウランバートルマニラ、シンガポール、台湾、ハノイ、香港で見られ、中国国内では広東省、吉林省河北省湖北省陝西省江蘇省山西省天津市内モンゴル自治区などに拡大した[72]。この際、WHO西太平洋事務局の責任者として、押谷仁が陣頭指揮に当たった(その後、2005年に東北大学教授就任)[73][74][75]

香港

香港、メトロポール・ホテル9階の見取り図。この階に宿泊し、後に死亡した男性がスーパー・スプレッダーと考えられている

香港では、2003年3月29日に病院から患者集団の発生が報告され、これが当地初のコホートとなった[76]。2月に香港へ到着した中国の医師がインデックス・ケースになったと考えられ、九龍にあったメトロポール・ホテル(英: The Metropole Hotel)の9階に宿泊し、16人の宿泊客に感染を広げた(医師はその後死亡し、SARSによる初の死者だと推定されている)[3][59][77][78]。ここで感染した宿泊客は、香港国際空港から旅客機で、カナダシンガポール台湾ベトナムなどに向かい、到着先で感染をさらに拡大させた[79][80]。香港での流行は世界的流行の一助となったが、背景にはこの医師のようなスーパー・スプレッダーの存在があった[81][82][83][84]

香港第2の流行が起きたアモイ・ガーデンズの外観

香港では、クイーン・メアリー病院英語版(英: Queen Mary Hospital)、プリンス・オブ・ウェールズ病院英語版(英: Prince of Wales Hospital)という2つの病院が流行発生の中心地となった[10][80]。この病院での流行後、アモイ・ガーデンズと呼ばれる高層マンション群でも集団感染が発生した。この流行のインデックス・ケースは、プリンス・オブ・ウェールズ病院で慢性腎臓病の治療を受けており、アモイ・ガーデンズに弟を訪ねて行った男性と推定されている[80]。トイレ排水システムを通じてウイルスを含んだエアロゾルが浮遊し、これが感染拡大の一助になったと考えられているほか[85][86]齧歯類ゴキブリの関与も示唆されている[80]。香港市民は、市民への情報提供が遅すぎるのではないかと心配し、sosick.org と呼ばれるウェブサイトを立ち上げて、SARSに関する情報を随時発表するよう香港政府への働きかけを強めていった[87]

トロント

カナダトロントでのSARS初報告は、2003年2月23日のことである[88]。メトロポール・ホテルに宿泊し、香港旅行から帰国した女性に始まり[80]オンタリオ州の257人がウイルスに感染した。トロントでのアウトブレイクには2つの流れがあり、第2波では、トロントの大病院内で、偶発的なウイルス暴露を受けた患者・見舞客・スタッフ間にSARSが拡大した。WHOは2003年6月末に、トロントをSARS流行地から外した[89]

カナダ政府公式の反応は、アウトブレイク発生後数年に渡って広く批判され続けた。オンタリオ州の SARS Scientific Advisory Committee(SARSに対する科学的助言委員会)の副委員長だったブライアン・シュワルツ(英: Brian Schwartz)は、公衆衛生当局の準備と、アウトブレイク時の緊急対応に対し、「ごくごく基本的で、よくても最小限と言ったところ」(英: “very, very basic and minimal at best”)と回想している[90]。当時の対応を批判する人々は、お粗末な概要のまま施行された医療関係者保護用のプロトコルと、ウイルス感染が拡大している時に必要な、感染者洗い出しシステムの欠陥について指摘する。SARSアウトブレイクに対する恐れと不確かな情報のせいで、暴露リスクを取るくらいならと医療スタッフが辞職していき、結果として当該地区ではスタッフ不足に悩まされることになった。

社会の反応

感染した野生動物を食べてウイルス感染することへの恐れから、中国南部や香港では、公的な取引禁止や、食肉市場での取引減少などの動きが見られた[91][49]。中国では、美食の街として知られ、多くの動物種を食肉として扱う広東の伝統が、SARSアウトブレイクを起こした重要な原因のひとつと指摘されることが多い。

トロントに住むアジア人たちは、トロントでSARSアウトブレイクが発生した際、少数民族として差別を受けた。地元の擁護団体は、アジア人たちが、地元住民やタクシードライバーに無視されたり、公共交通機関の利用を避けたりしたと報告している[92]ボストンニューヨーク市では、エイプリルフールの悪ふざけとして噂が回り、中華街に経済的損失をもたらした[93]

WHOの渡航自粛勧告もあり[3]、世界的に流行地への渡航を控える傾向が見られ、これらの地域の観光業や航空業は大きなダメージを受けた[94]

SARS陰謀論

また、この病気はアジア人、特に中国人を標的として意図的に流行させられたものだとするSARS陰謀論も出た[95][96]

日本での対応

中国での流行を受けて、厚生労働省は2003年4月3日に、SARSを感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)の「新感染症」に指定した[97]。その後4月7日に、WHO指針(厚生労働省から3月18日発表)に専門家の意見を加えた独自の管理指針を通達した[98]。ウイルス特定後の同年7月14日に指定感染症となった後[99]、感染症法の改正[100]を受け、同年11月5日に第一類感染症となった。その後2007年4月1日の感染症法改正施行[101]で、分類が見直されて第二類感染症へ変更された。

2003年5月には、観光旅行で来日して近畿地方を訪れた台湾人医師が、帰国後SARSコロナウイルス陽性と分かる一件があり、国立感染症研究所や大阪市保健所などが調査を行ったが、二次感染は確認されなかった[102][103][104][105]

日本では管理指針に示された「疑い例(Suspected case)」・「可能性例(Probable case)」が複数発生したが、他疾患の診断が付くなどしていずれも後に否定された[14][106]

またSARS感染患者搬送用の救急車や治療・入院を行う病院が整備された。2003年7月には日産自動車の関連会社である日産車体京都府へ重症急性呼吸器症候群患者対応救急車の第1号車を寄贈したのを皮切りに、同様の車両が多くの自治体に導入されている[107]

封じ込めの成功

国・地域別に見た感染者数の推移(2003年3月から7月)。香港を中心とした流行の後、中国本土・カナダ・台湾での流行がこれに引き続いた

世界保健機関は、2003年7月5日にSARS封じ込め成功を発表した[注釈 4][108][109]

封じ込め成功後も、2003年12月と2004年1月、さらに同年4月から5月に、中国で3例のSARS散発例と、実験室での偶発的暴露で感染した3例が報告され、総勢14名が感染したことが分かっている[106][110]。うち1件では、感染した看護師の女が、複数人に感染を広げたことが分かっている[106][110][111]

封じ込め成功の声明でWHOが示したように[108]、研究者の安全確保が必要であり、SARSコロナウイルスの研究をする際には、活性ウイルスではBSL-3相当の施設が必要であり、不活化ウイルスではBSL-2の施設が望ましい[112]

研究事例

  • リセプターの発見
    • SARS-CoV-1リセプターが発見されたことから、リセプター発現マウスなどの感受性動物が作成されれば、有効なワクチン、抗ウイルス剤の開発も期待できる可能性がある[113]

脚注

注釈

  1. ^ 介護や同居、キスなどが挙げられており、近くを通り過ぎたり、同じ部屋で短時間過ごすなどでは感染しないとされている[8]
  2. ^ 経歴調査で、最初期の感染者に食用動物を扱う販売業者やレストランの従業員がいたことも判明していた[44][45][46]
  3. ^ この患者は後に回復した[60]。最初の死者は、香港での流行のインデックス・ケースとなった中国人医師と考えられている[59]
  4. ^ ここでいう「封じ込め」とは新たなヒト=ヒト感染や感染拡大の可能性が無くなったことを示すもので、感染者がいなくなったことを示すわけではない。実際にWHOの声明でも、「サーベイランスの網をくぐり抜ける患者がいるかもしれない」として、感染状況に引き続き注視するよう呼びかけている[108]

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