急性出血性結膜炎
・急性出血性結膜炎(AHC,acute hemorrhagic conjunctivitis) ![]() |
これも,エンテロウイルス70型によるウイルス性の結膜炎ですが比較的新しい病気です。アメリカの月ロケット,アポロ11号が打ち上げられた1969年に西アフリカのガーナで大流行し,インドネシア,シンガポール,フィリピン,台湾を経て,1971年秋に西日本に上陸し,翌1972年東京に発生してから,現在も全国の各地域で散発的に流行しています。そのために「アポロ病」ともよばれています。感染力は強く,感染して1~2日の潜伏期をおいて,急激に発病します。両眼に激しい異物感と痛みを起こし,まぶたが腫れ,充血とともに球結膜に大小の出血を起こすのが特徴です。7~10日で治ゆしますが,これも特効薬がなく,流行性角結膜炎と治療法は同じになります。周囲への感染防止が大切です。 |
急性出血性結膜炎
急性出血性結膜炎
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/29 13:43 UTC 版)

急性出血性結膜炎(きゅうせいしゅっけつせいけつまくえん、英:acute haemorrhagic conjunctivitis )は、アフリカのガーナが発祥の目の感染症。エンテロウイルス70またはコクサッキーA24変異株によって引き起こされる結膜炎。別名はアポロ病 (Apollo disease )[1]。
症状
1969年夏の大流行時には、結膜が出血し、赤く腫れ上がり眼痛、頭痛、発熱を発症した。また、小児マヒのように筋力低下を引き起こし、運動マヒによる後遺症が残される場合も報告された。その後、ウイルスの変異によって結膜下出血のような症状が出ることは稀となり、アデノウイルスによる流行性結膜炎同様の経過をたどり、1週間程度で治癒することが一般的となった[1]。
病原体
病原体は、エンテロウイルス EV70 , コクサッキーウイルス CA24v。日本人研究者によって原因ウイルスとして EV70 が発見された[1]。非常に伝染力が強く、当時は特効薬、予防法が確立されていなかった。結膜炎の病気は数日で治る病気であり、日本のような生活環境が優れた場所では、大きな広がりは見せないとされていたが、一部の地域では集団感染が報告されている。
「アポロ病」
1969年夏の大流行時は、アメリカの人工衛星アポロ11号が月の着陸を終えて、地球への帰還で人々が熱狂・興奮していた時期であった。当時は月に固有の微生物やウイルス等が全く存在しないという確証がなかったため、帰還した飛行士たちは3週間のあいだ厳重な隔離下におかれ、検査と経過観察を受けたほどであった。そのことと同時期に大流行が起きたため、「アポロ11号が月から病原体を持ち込んだ」というデマが流れ、俗にアポロ病と呼ばれた。
参考文献
- 中川尚、『エンテロウイルス結膜炎』 臨床眼科 Vol.57 (11), 2003/10/30, p.126-131, doi:10.11477/mf.1410101434
- 青木功喜、北市伸義、大野重昭、『急性出血性結膜炎』 臨床眼科 Vo.64 (1), p.18-22, 2010/1/15, doi:10.11477/mf.1410103052
出典
- 急性出血性結膜炎 感染症の話 2002年第33週号(2002年8月12日〜18日) 国立感染症研究所
- 細矢光亮、「手足口病を含むエンテロウイルス感染症」 『日本皮膚科学会雑誌』 2014年 124巻 10号 p.1913-1917, doi:10.14924/dermatol.124.1913
脚注
- ^ a b c 高村悦子 (2003年1月1日). “ウイルス性結膜炎:7.急性出血性結膜炎”. 目についての健康情報. 日本眼科医会. 2010年9月20日閲覧。
外部リンク
- 急性出血性結膜炎 - 国立健康危機管理研究機構
- 急性細菌性結膜炎 - MSDマニュアル
- Masako TANIMURA, Kikuko MIYAMURA, Naokazu TAKEDA, (英文)エンテロウイルス70型の系統樹の作成 / Construction of a phylogenetic tree of enterovirus 70 Genes & Genetic Systems 60(2), 137-150, 1985, doi:10.1266/jjg.60.137, NAID 130000060549
「急性出血性結膜炎」の例文・使い方・用例・文例
- 急性出血性結膜炎という目の病気
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