急性灰白髄炎とは?

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きゅう せいかいはくずいえん きふ-くわいはくずい- [9] 【急性灰白髄炎】

ポリオ-ウイルスによる感染症多く子供がかかる。経口的に感染ウイルス脊髄を侵し,手足麻痺(まひ)が起こる。現在ではワクチン投与によりほとんどみられない。俗に小児麻痺という。ポリオハイネ-メディン病。脊髄性小児麻痺
「急性灰白髄炎」に似た言葉


急性灰白髄炎

別名:ポリオ,小児麻痺

1980年世界保健機関(WHO)により根絶宣言が出された天然痘続いて、WHOが根絶のために各国協力して対策強化している疾患である。2000年予定していた世界的根絶宣言延期せざるを得なくなったが、2000年、WHO西太平洋地域では地域における根絶宣言が出され、同じくヨーロッパ地域でもまもなく根絶宣言が出されようとしており、全体的に確実に患者数の減少に向かっている。しかしながらアフリカ南・東アジアなどにおいては経済的政治的安定背景にして、まだまだ対策充分実効をあげていないことが危惧されている。

疫 学
ポリオウイルスの自然宿主ヒトのみである。ポリオ流行記載18世紀頃からみられ、1950年代まではしばし世界各地流行した。しかしその後不活化ワクチン(inactivated poliovirus vaccine:IPV)に次いでポリオワクチンoral poliovirus vaccineOPV)が開発され、定期接種されることにより多くの国でポリオ患者激減した。WHOは、西暦2000年までに世界からポリオ根絶する計画をたて、地域流行のある国を中心にして定期ポリオワクチン接種推進し、National Immunization DaysNIDs一定の日に一定年齢の子どもたちに一斉にOPV経口服用させる)を実施することによりこれらを補足強化し、さらには、高危険地域では家庭訪問によるワクチン接種徹底(mopping-up campaigns)を行ってきた。また、確実にポリオ患者捕捉するために、急性弛緩麻痺acute flaccid paralysisAFP)の発生動向調査強化してきた。
日本におけるポリオは、1940年代頃から全国各地流行がみられ、1960年には北海道中心に5,000名以上の患者発生する大流行となった。そのため1961年OPVを緊急輸入し、一斉に投与することによって流行は急速に終息した。引き続いて国産OPV認可され、1963年からは国産OPVの2回投与による定期接種が行われて現在に至っている。1980年の1型ポリオ症例最後にその後野生型ポリオウイルスによるポリオ麻痺症例見られていないその後に報告されているのは全てワクチン由来症例ワクチン関連麻痺:VAPP, vaccine associated paralytic poliomyelitis)である。
本邦におけるポリオ根絶宣言のために、1998年5月1日よりポリオ疾患発生動向調査が行われた。この調査では、ポリオが疑われるAFP患者診断した医師は、保健所連絡するとともに確定診断のための検体糞便)を発症14以内に2回採取することが求められた。また、日本国内でいくつかの地域選定し、1998年1年間AFP患者発生調査1999年1月から2000年3月までは、ギランバレー症候群を含めたAFP患者全員から2回糞便採取し、ポリオウイルスが分
離されないことを確認する調査行われ国内ポリオ患者発生がないことが臨床的、ウイルス学的に確認され、我が国におけるポリオ根絶国際的にも認められた。
日本所属している西太平洋地域全体に関しては、1997年カンボジアでの症例最後であり、その後1999年中国での症例については、他国からの輸入よるもの土着のものではないと判断され、その結果2000年10月京都会議において、この地域でのポリオ根絶宣言がなされた。
世界全体では、根絶宣言がなされたアメリカ地域1994年)、西太平洋地域以外に、ヨーロッパ地域でも1998年11月トルコ症例以来患者発生見られてなく、2001年根絶宣言予定している。2001年3~5月ブルガリアで2症例から1型ポリオウイルス野生株分離されたが、今のところ輸入例と考えられている。残るはアフリカ地域、東地中海地域南・東アジア地域である。
ポリオ流行見られるに関して1999年末に30カ国であったのが、2000年末には20カ国に減少している。2002年には野生株ウイルスの伝播が断たれ、世界的根絶宣言2005年末に行うというのが、現在のWHOが描くシナリオである。

病原体  
病原体ポリオウイルスで、エコーウイルスコクサッキーウイルスとともにエンテロウイルス属腸内ウイルス属)に分類される。抗原性により1型、2型、3型の3種類に分けられる。アルコールエーテルクロロホルム非イオン界面活性剤では不活化されないが、熱、ホルムアルデヒド塩素紫外線により速やかに不活化される。
ポリオウイルス経口的にヒト体内入り咽頭小腸粘膜増殖し、リンパ節を介して血流中に入るその後に脊髄中心とする中枢神経系達し脊髄前角細胞脳幹運動神経ニューロン感染し、これらを破壊することによって典型的ポリオ症状生ずる。発症1週間経過すると、咽頭分泌液にはウイルスはほとんど排泄されなくなるが、糞便には数週間わたって排泄されるので、感染源としての問題を生じる。


臨床症状
感染者の9095%は不顕性終わり、約5%(4~8%)では、発熱頭痛咽頭痛悪心嘔吐などの感冒症状終始し(不全型)、1~2%では上記症状引き続き無菌性髄膜炎起こす(非麻痺型)。
定型的麻痺ポリオ発病するのは感染者の0.12%である。その場合には6~20日の潜伏期をおき、前駆症状が1~10日続いた後、四肢非対称性弛緩麻痺AFP)が出現する。この場合、特に小児における前駆症状は2相性となることが多く初期の軽い症状の後1~7日間隔をあけて、表在反射消失筋肉痛筋攣縮などの前駆徴候がみられ、その後麻痺進展する。
しかし、全く前駆症状なくして麻痺現れる症例もある。麻痺下肢多くみられ、知覚障害はみられない。麻痺型としてはこのような脊髄型が大部分であるが、球麻痺合併して嚥下発語呼吸障害されることもある。多く場合麻痺は完全に回復するが、発症から12カ月過ぎても麻痺あるいは筋力低下が残る症例では、永続的後遺症を残す可能性が高い。死亡率に関しては、小児では2~5%であるが、成人では1530%と高くなり、特に妊婦では重症になる傾向がある。球麻痺合併した場合死亡率は、2575%と高率である。髄液検査では、細胞数増多(10~200/mm3)、蛋白増加40~50mg/dl)などが見られる

病原診断
確定診断ウイルス分離及び血清診断によるが、糞便からのウイルス分離がもっとも重要であり、血清診断補助的である。ウイルス分離比較的容易であるが、麻痺出現後できる限り早い時期検査材料糞便など)を2回採取する必要がある初発症状出現後、咽頭分泌液からは約1週間糞便からは約2週間ウイルス分離できる。髄液からウイルス分離できれば診断価値は非常に高いが、分離率は低い。ポリオウイルス検出された場合は、ワクチン由来野生株かの鑑別が必要となる。
血清中和抗体は、急性期回復期ペア血清で4倍以上の上昇認められれば診断価値があるが、発症早期から上昇するために確定できないこともある。


治療予防
特異的治療法はなく、対症療法中心となる呼吸障害分泌物喀出不全認められる例では、気管切開挿管、あるいは補助呼吸が必要となる。
本邦を含む多くの国々では、IPVあるいはOPV普及により、野生株によるポリオ患者発生は殆どみられなくなった。しかし、いまだに世界的には野生型ポリオ流行ないし存在している地域がみられ、我が国への侵入警戒する必要がある現在のわが国での予防接種OPVの2回投与方式であるが、世界的には3回以上の投与一般的である。
OPVには1~3型のポリオウイルス混合されている。3つの型の混合生ワクチン投与しても、ある型が腸管内で先に増殖すると、干渉作用により他の型のウイルス増殖できずに免疫が得られないことがある厚生省流行予測調査当時)によるポリオ中和抗体保有状況をみると、1975~1977年生まれ年齢群において低い傾向がある。この様な点から、ポリオがまだ存在する国への旅行者に対しては、ワクチン追加投与勧められている。また0歳代の年齢群では1型に対す抗体保有率も低いため、特にこの年齢群には注意すべきである

OPVとIPV
OPV接種有効性は、多く報告から90%以上と考えられており、また世界各地行われ一斉投与によるポリオ激減からもその効果は明らかである。ポリオワクチンによる重篤副作用としてVAPPがある。OPVにより世界では毎年40万人の子どもたちがポリオ罹患から救われているといわれている一方OPV投与200300万人1人割合でVAPPが出現している。米国では、初回接種78投与あたり、2回以降接種では600投与あたりそれぞれ1例、我が国では400投与あたり1例のVAPPがあり、1981~2000年の間に国内15例が報告されている。接種周辺における感染vaccine contact caseVCC)も米国640投与あたり、我が国では530投与あたりそれぞれ1例みられる野生株によるポリオ患者が多い時代にはVAPPやVCC極めて稀に発生したとしてもriskbenefitバランス明らかにOPVにあるが、OPV使用続け限りVAPPの問題も続くことになり、ここにIPV導入最大意義があるとされている。
このような背景のもと、世界全体を見るとOPVによる接種をする国が多いものの、先進国ではIPVへの移行を行った国や検討中の国が相当ある。最初にIPVを複数投与することによって血中中和抗体産生させ、その後さらに複数回のOPV追加投与によって腸管免疫与え
IPV/OPV併用方式をとる国もある。併用方式利点は、OPV投与時にはすでに血中抗体産生されているため、OPVウイルス腸管増えるだけで中枢神経到達することがなく、VAPPの発生95%減少させることが出来る、というものである。しかし、IPVは注射による投与であり、手技廃棄物注射であるがゆえの痛み副反応などの問題もある。ちなみに米国1997年からIPV/OPV併用方式導入していたが、2000年1月からは、原則としてIPV4接種方式を採ることを決定した。
野性によるポリオ根絶されても、ポリオウイルス存在する限りポリオワクチン投与は必要であるとするのか、目前控え世界からの制圧をまってワクチン接種中止するのか、移行措置を講じつつIPVの使用踏み切るのかなど、我が国におけるポリオワクチン今後について、世界的流行状況視点においてワクチン有効性安全性総合的に論じる時期となっている。

感染症法における取り扱い
ポリオ2類感染症定められており、診断した医師直ち最寄り保健所届け出る必要がある報告のための基準以下の通りとなっている。
診断した医師判断により、症状所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下の方法によって病原体診断がなされたもの。
材料)便など
 ・病原体検出
  ポリオウイルス分離同定など


国立感染症研究所感染症情報センター


急性灰白髄炎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/07/13 01:30 UTC 版)

急性灰白髄炎(きゅうせいかいはくずいえん、poliomyelitis)は、ポリオ (Polio) とも呼ばれ、ピコルナウイルス科エンテロウイルス属ポリオウイルスによって発症するウイルス感染症のこと。ポリオは、Poliomyelitis(ポリオマイアライティス)の省略形。ポリオウイルスが原因で、脊髄の灰白質(特に脊髄前角)が炎症をおこす。はじめの数日間は胃腸炎のような症状があらわれるが、その後1パーセント以下の確率で、ウイルスに関連した左右非対称性の弛緩性麻痺(下肢に多い)を呈する病気である[1]




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