流行性角結膜炎とは?

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 病気・健康 > 病気・けが > 病気 > 感染症 > 流行性角結膜炎の意味・解説 

流行性角結膜炎

読み方:りゅうこうせいかくけつまくえん

アデノウイルス呼ばれるウィルスによって引き起こされる目の疾患角膜炎結膜炎併発するために「角結膜炎」と総称されるが、角膜炎のみ発症する場合流行性結膜炎」とも呼ばれる

流行性角結膜炎は感染力が非常に強いことで知られる。罹患した際には学校職場には通わず静養することが求められるまた、流行性角結膜炎の治療法確立されておらず、ステロイド剤点眼しながら様子を見る、といった対応が主に取られている。

りゅう こうせい かくけつまくえん りうかう- [12]流行性角結膜炎


流行性角結膜炎

・流行性角結膜炎(EKC,epidemic keratoconjunctivitis

流行性角結膜炎流行性角結膜炎

一般にはやり目といわれるもので,主としてアデノウィルス8型によるウイルス性の結膜炎です。感染力強く感染してから1週間前後潜伏期間をおいて突然発病します。まず結膜真赤充血し,涙がよく出ます。次にまぶたが腫れゴロゴロした異物感もあり,しばしば耳下腺リンパ節腫れることもあります。片眠が先に発病することが多く数日後にもう片方の目にも発病してきますが,比較的後の目の方が軽くすみます。おとなと子どもでは経過症状違い幼児では,結膜の裏に偽膜という白濁色の膜のようなものができ,まぶたの腫れは非常に強くなります。この膜ははがれるときに出血するので,目から血が出たとおどろきますが,心配しなくてよいものです。おとなでは,症状おさまりかけた頃に角膜表面に点状の濁りがたくさんでき(点状表層角膜炎),視力が悪くなります。この角膜濁りはすぐには治りませんが,いずれは完全に治り視力元に戻ります。結膜炎は2~3週間治りますから,それ自体たいしたことはないのですが,その間は充血流涙などの症状強くうっとおしい日が続きます。特効薬がないため,混合感染を防ぐ意味で抗生物質,点状表層角膜炎に対して副腎皮質ホルモンビタミンB2点眼使用しますが,症状軽減それほど期待できません(むしろ周囲への感染防止に努めることが大切になってきます。感染防止のための注意等は次項)。


流行性角結膜炎

流行性角結膜炎(EKCepidemic keratoconjunctivitis)は、主にD 群のアデノウイルスによる疾患で、主として手を介した接触により感染する。以前は、本疾患患者を扱った眼科医医療従事者などからの感染多く見られたが、現在では、職場病院家庭内などの人が濃密接触する場所などでの流行発生みられるアデノウイルス種々の物理学条件抵抗性が強いため、その感染力は強い。19 世紀後半ドイツ労働者の間で流行したことが記載されている。その後米国で、"shipyard eye"と呼ばれる眼疾患が流行した。造船所労働者眼の外傷治療のさい、医原病的に広がったものと考えられる今日我が国では全国的EKCみられるが、年度によりD群の8、1937型のいずれか流行となっている。

疫 学
流行性角結膜炎患者との接触により感染する。病院医師看護婦、さらに職場家庭などで、ウイルスにより汚染されたティッシュペーパータオル洗面器などに触れるなどして感染する。年齢による頻度の差はみられない。血清学調査では、日本の子供の8型に対す抗体保有率は20%未満19型および37に対して10%程度である。
感染症法施行後の発生動向調査によると、全国600眼科定点からの報告では1999年4~12月報告23,941 (定点当たり報告数41.71)、2000年1~12月40,873 (65.40)、2001 年1~12月暫定データ)に39,141 (62.13)となっている。季節としては8月中心として夏に多く年齢では1~5歳を中心とする小児に多いが、成人含み幅広い年齢層みられる

病原体
アデノウイルスは現在まで49種の血清型が知られているが、EKC起こすのはD群の8、1937型である。まれに、B群の11型、E群の4型病因となりうる。現在流行中の型は19 型であり、ほぼ全国から分離されているが、8型と9型の中間型思われる血清型沖縄県におけるEKC病原考えられており、同様の型が横浜秋田でも分離されている。

臨床症状

潜伏期は8~14日である。急に発症し、眼瞼浮腫流涙を伴う。感染力が強いので両側感染しやすいが、初発眼の方が症状が強い。耳前リンパ節腫脹を伴う。角膜炎症が及ぶと透明度低下し、混濁数年に及ぶことがある時に結膜炎出血性となり、出血結膜炎(EV70, CA24 変異株による)や咽頭結膜熱との鑑別要することがある(図1)。その他、ヘルペスウイルスや、クラミジアによる眼疾患との鑑別が必要である。

流行性角結膜炎 

図1. アデノウイルス8型による結膜炎青木功撮影

新生児乳幼児では偽膜結膜炎起こし細菌混合感染角膜穿孔起こすので注意する必要がある

病原診断
眼ぬぐい液や結膜擦過法によりアデノウイルス分離することが、病原診断基本である。ウイルス分離されたら、中和反応により型を同定する。ほとんどはD 群であり、重症型が多い。他の型が分離される軽症型では、咽頭結膜熱との異同再検討する。急性出血性結膜炎エンテロウイルス(EV70)の感染よるものであるが、これは最近分離困難となり、ペア血清での中和抗体有意の上昇、あるいはPCRによる検出が必要となる。
迅速診断法としてELISAクロマトグラフィー法(アデノクロン、アデノチェック)があるが、型別の判定できないPCR‐RFLP法シーケンス法により、型の同定が可能となった。血清型を知ることで、より詳細疫学的調査が可能となり、公衆衛生的対応にも結びつくことが期待される。

治療予防
アデノウイルス全般について有効な薬剤はない。対症療法的に抗炎症剤点眼行い、さらに角膜炎症がおよび混濁みられるときは、ステロイド剤点眼する。細菌混合感染可能性に対しては、抗菌剤点眼を行う。眼疾患者分泌物取扱い処分注意し、手洗い消毒をきちんと行う。点眼瓶類がウイルス汚染されないよう注意をし、汚染された病院内の器具類はオートクレーブ滅菌するか、あるいはアルコールヨード剤などで消毒する。予防の基本接触感染予防の徹底である。

付記
EKCという診断名は8型において初めて用いられ、一元的病因論でいわれていたが、その後1937型も8型と全く区別できず、多元的病因論受け入れられている。4型でもEKC からPCF まで幅広い臨床像を示し、B群は軽症なのでEKCよりもアデノウイルス結膜炎という診断名を用い、重症型(D群)、中間型(E群)、軽症型(B群)という用語を用いることが提唱されている。

感染症法における取り扱い2003年11月施行感染症法改正に伴い更新
流行性角結膜炎は5類感染症定点把握疾患定められており、全国600カ所の眼科定点から毎週報告がなされている。報告のための基準以下の通りとなっている。
診断した医師判断により、症状所見から当該疾患が疑われ、かつ以下の3つの基準のうち2つ以上を満たすもの
1. 重症急性濾胞結膜炎
2. 角膜点状上皮混濁
3. 耳前リンパ節腫脹圧痛
上記基準は必ずしも満たさないが、診断した医師判断により、症状所見から当該疾患が疑われ、かつ、病原体診断血清学診断によって当該疾患診断されたもの

国立感染症研究所感染症情報センター 稲田
北海道大学医学部眼科学教室 青木功喜)


流行性角結膜炎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/28 00:34 UTC 版)

流行性角結膜炎(りゅうこうせいかくけつまくえん)(EKC:epidemic keratoconjunctivitis)はウイルスによって引き起こされる急性の結膜炎、あるいは角膜炎。別名「はやり目」ともいわれ、感染力が強い。




  1. ^ 石田篤行、益子直子、箕輪美紗斗ほか、流行性角結膜炎後、角膜混濁を生じた症例の生体共焦点顕微鏡による観察 日本視能訓練士協会誌 Vol.41 (2012) p.201-206, doi:10.4263/jorthoptic.041F121
  2. ^ 細田昌良、小松敏美、松下美幸、流行性角結膜炎に対する地域社会と連携した感染対策の試み 日本環境感染学会誌 Vol.23 (2008) No.2 P.140-144, doi:10.4058/jsei.23.140


「流行性角結膜炎」の続きの解説一覧



流行性角結膜炎と同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「流行性角結膜炎」の関連用語

流行性角結膜炎のお隣キーワード

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   
検索ランキング



流行性角結膜炎のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
新語時事用語辞典新語時事用語辞典
Copyright © 2020 新語時事用語辞典 All Rights Reserved.
三省堂三省堂
Copyright (C) 2001-2020 Sanseido Co.,Ltd. All rights reserved.
株式会社 三省堂三省堂 Web Dictionary
医療法人社団医新会医療法人社団医新会
Copyright (C) 医療法人社団 医新会 All Right Reserved.
国立感染症研究所 感染症情報センター国立感染症研究所 感染症情報センター
Copyright ©2020 Infectious Disease Surveillance Center All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの流行性角結膜炎 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2020 Weblio RSS